2017年4月21日金曜日

“HDL≠善玉”:HDL値と全死亡率とにU字現象

誰だよ・・・HDL高いほど良いと言ったのは?



 2つの前向き住民ベース研究: Copenhagen City Heart Study、Copenhagen General Population Study ;75万人年規模の調査

死亡数 5619名(千人年あたり 17.1 (95% CI, 16.7 - 17.6)、 女性 12.1 (11.8 - 12.4))

Extreme high high-density lipoprotein cholesterol is paradoxically associated with high mortality in men and women: two prospective cohort studies
Christian M. Madsen et al.
Eur Heart J ehx163. DOI: https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehx163

男女とも、HDLコレステロール値と全原因死亡率にU字現象


最小死亡率相関HDL濃度は

  • 男性 1.9 mmol/L (95% CI: 1.4–2.0) (73 mg/dL (54–77))
  • 女性 2.4 mmol/L (1.8–2.5) (93 mg/dL (69–97))


最小リスク群比較全原因死亡多区分補正ハザード比
<男性>

  • 2.5–2.99 mmol/L (97–115 mg/dL)  1.36 (95% CI: 1.09–1.70)
  • ≥3.0 mmol/L (116 mg/dL) 2.06 (1.44–2.95)


<女性>

  • 3.0–3.49 mmol/L (116–134 mg/dL) 1.10 (0.83–1.46) 
  • ≥3.5 mmol/L (135 mg/dL) 1.68 (1.09–2.58)





「善悪二区分」が大好きな日本人、水戸黄門じゃあるまいに、最初から善悪ラベリングする愚かなネーミング

腸内細菌まで最近善玉とか言い出す始末


脂質代謝関係の学会の親玉たち、悪玉、そろそろ 反省してもらおうじゃないの・・・



人工甘味料:卒中・認知症リスク増加の可能性

Framingham Heart Study Offspring cohortの検証


サッカリン、アセスルファムK 、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロースなど非栄養価甘味料が代表的。ステビアは2008年FDA認可。微量で甘みを形成する人工物。

有害性機序の解説論文中に見いだせないが・・・

Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia
A Prospective Cohort Study
Matthew P. Pase, et al.
https://doi.org/10.1161/STROKEAHA.116.016027
Stroke. 2017;STROKEAHA.116.016027


卒中45歳超(平均 62 [SD, 9]歳; 男性 45%)2888名
認知症60歳超 (平均 69 [SD, 6]歳; 男性 46%) 1484名

コホート調査時点での食事回数アンケート定量化による飲料摂取評価

アンケート 5 (1991–1995), 6 (1995–1998), 7 (1998–2001)、主にアンケート7と累積消費量で評価


年齢、性別、教育(認知症解析)、カロリー摂取、食事の質、身体活動、喫煙補正後、
人工甘味ソフトドリンク摂取の直近摂取量と総摂取量多いほど、虚血性卒中、全原因認知症、アルツハイマー性認知症リスク増加

参照値として1日累積摂取量0としたハザード比は、虚血性卒中 2.96 (95% 信頼区間, 1.26–6.97)、 アルツハイマー病 2.89 ((95% 信頼区間, 1.18–7.07)

糖添加飲料と卒中、認知症相関認めず


喘息患者でも吸入ステロイド肺炎リスク増加

喘息治療において持続性の場合吸入ステロイドが第一選択薬剤。COPDにおいてはTORCHトライアルや観察研究において肺炎の超過リスクが明らかになっている。喘息患者ではどうなのか?

喘息でも吸入ステロイド(ICS)による肺炎超過リスク増加あり・・・という報告


Pneumonia Risk in Asthma Patients using Inhaled Corticosteroids: A Quasi-Cohort Study
Christina J. Qian et al,
British Journal of Clinical Pharmacology (2017).
DOI: 10.1111/bcp.13295


吸入ステロイドによる超過肺炎リスクはCOPDでは既知。喘息ではまだ不明。12−35歳までの喘息におけるICS超過肺炎リスク検討


コホート(ケベック、健康保険データベース 1990−2007年)

肺炎指標イベント先行60日内ICS使用をマッチ化person-momentで比較

コホート 15万2412名、フォローアップ中肺炎


ICS現行使用での肺炎リスク増加 (RR 1.83; 95% CI 1.57-2.14) 、超過リスクとして 2.03 症例/ 1000 人年 (RD 1.44; 95% CI 1.03 to 1.85)

超過リスク:ICS未使用比較

  • 低用量 RR 1.60; 95% CI 1.06 - 2.45
  • 中等量 RR 1.53; 95% CI 1.12 - 2.08
  • 高用量 RR 1.96; 95% CI 1.64 - 2.34

  • budesonide (RR 2.67; 95% CI 2.05-3.49) 
  • fluticasone (RR 1.93; 95% CI 1.58-2.36)






潜在的protopathic bias(初発症状バイアス:疾患の初期症状のために要因に暴露され、そのために要因と疾患との関係が誤って検出される)考慮すると、ICS現使用リスクは減衰 RR 1.48; 95% CI 1.22 to 1.78



解釈として、喘息患者人年あたりの桁は 千名あたり・・・絶対リスクを考慮する必要がある




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