2013年3月21日木曜日

胸部レントゲンコンピュータ補助診断システム:OnGuard

Lung Cancer Screening with Computer Aided Detection Chest Radiography: Design and Results of a Randomized, Controlled Trial.
Mazzone PJ,  et al. (2013)
PLoS ONE 8(3): e59650. doi:10.1371/journal.pone.0059650

40−75歳、喫煙10 pack-years、1424名登録、CAD胸部レントゲン 710
CTにて追加評価15名のうち、結節確認 4名、肺がん確認 2名
がんの2名は、CAD胸部レントゲンで同定。





CAD versionは、 OnGuard 5.0 (Riverain Medical)
解説
OnGuard™ Chest X-ray CAD

http://www.mikrondigital.com/uploads/media/onguard-technical-bulletin.pdf

11mm未満の結節の71%、11−30mmの28%、31-40mmの12%は検出不能
この診断遅延は、5年生存率の23%低下をもたらす
コンピュータ補助(CAD)技術により、9−30mmの結節を同定し、領域の真ん中に円を描き、自動的にoverlay表示し、患者ファイルに追加イメージを作成する。

RESPECT:卵円孔開存閉鎖術の卒中再発二次予防効果 ・・・ ITT有意差至らず、per-protocolでは有意

980名の患者対象のRESPECTトライアル

卵円孔開存閉鎖術 vs 薬物治療にて、約2.5年間の研究で、ITT分析の結果は、卒中再発リスク 51%減少したが、有意差に至らなかったというもの( HR 0.49 95% CI 0.22-1.11 p = 0.08)


対照群(薬物療法)の治療ドロップアウトが多すぎて、解釈困難に陥った研究になってしまっている。上記グラフをみると、そんなに差が無い気もする・・・言うほどPFO閉鎖療法って効果があるのだろうか?
解説記事(http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Strokes/37991)でも同様の疑問が呈されている。

Closure of Patent Foramen Ovale versus Medical Therapy after Cryptogenic Stroke
John D. Carroll, et. al.
for the RESPECT Investigators


しかし、卵円孔開存閉鎖は、薬物治療より、事前層別per-protocolや、as-treated analysisでは優越性示された。



980名(平均年齢 45.9歳)
薬物療法:抗血小板療法1剤以上 74.8%、ワーファリン 25.2%
2群治療の治療暴露は薬物療法群のドロップアウト率が高く不均等:閉鎖群1375人年 vs 薬物治療 1184人年 p=0.009

問題のITTでは、卒中再発 閉鎖群9名、薬物療法16名
(ハザード比 0.49;95%信頼区間[CI], 0.22-1.11; p=0.08)


空腹時・食後2時間高血糖型は、診断前から心血管系リスク高い

英国の検診後顧的post-hoc解析

糖尿病という病態は多因子・heterogenousな特性を有する疾患という認識であるが、システマティックに層別化した予防、治療はなされてない。空腹時血糖ベース、食後2時間血糖ベースがあるが、その両クライテリアでの心血管リスク、病態での違いを明らかにしようとするもの


Whitehall II研究: 糖尿病への軌道:空腹時血糖、食後血糖、HOMA指数、β細胞機能の変化  2009年 06月 09日
”徐々に血糖が増加し、食後血糖の上がりが空腹時血糖より3年ほど先行してあがる。
HOMAインスリン感受性は診断前5年で急激に低下(→86.7%)

HOMAβ細胞:インスリン抵抗性は、診断前4-3年の間に増加(85.0% →92.6%)そして診断前に減少(→62.5%)"

このときの記載から考えれば、病型というより”食後血糖増加→食後・食前血糖増加”及びインスリン感受性先行性低下・抵抗性亢進が先行するという一連の流れの認識が主流だったようだ。

今回は、病型という認識の記載が気になる。

2型糖尿病の3病型(空腹時・食後2時間両者高値 群、空腹時単独高値 群、食後2時間単独高値 群)で、診断時あるいはその前からの保有する心血管系リスクが異なるという報告。

Trajectories of cardiometabolic risk factors before diagnosis of three subtypes of type 2 diabetes: a post-hoc analysis of the longitudinal Whitehall II cohort study
Kristine Færch, et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 21 February 2013doi:10.1016/S2213-8587(13)70008-1

フォローアップ中央値 14.2年、15826人年(1991−2009年)
10308名のうち、6843名を登録、6569名は糖尿病なしのまま
2型糖尿病 274症例 ;空腹時高血糖単独  55名、2時間後高血糖単独 148名、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発  71名
BMI値平均は、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発(BMI 30.9 kg/m2 [SD 5.7])では、空腹時血糖高値 単独群、食後2時間血糖高値 単独群に比べ高値 (28.4 [4.4] p = 0.0009、  27.9 [4.9] p < 0.0001)
平均糖化ヘモグロビンA1c濃度も同様高値 ( 7.4% [1.6] vs 5.9%[0.5] p < 0.001、 5.9% [0.6] p < 0.001)
空腹時高血糖・食後高血糖両者併発群では、空腹時血糖高値 サブグループに比べ中等度以上の心血管軽疾患リスクを有する比率が高い ( p = 0.02)

診断前のβ細胞機能低下の古典的パターンは、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発群でのみ著明。
加え、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発では、 単独血糖高値 群(空腹単独、食後2時間単独高値 群)に比べ、診断前の血糖濃度・インスリン抵抗性は加速的高値 

DECODE(The Diabetes Epidemiology Collaborative Analysis of Diagnostic Criteria in Europe )、DECODA(The Diabetes Epidemiology Collaborative Analysis of Diagnostic Criteria in Asia)研究の食後高血糖の意義と矛盾しない報告だが、空腹時高血糖・食後2時間高血糖群と食後2時間高血糖単独群との違いが見られる。

米国:ロタウィルスワクチン後はノロウィルスが乳幼児急性胃腸炎の主役

ロタウィルスワクチン導入後、ノロウィルスが米国内の子供では急性胃腸炎の医療受診の主な原因となりつつ有り、年間100万件の医療機会増加に関連 ( Centers for Disease Control and Preventionの基金研究)

ワクチン後進国日本では、ロタワクチン公費接種一般化せず・・・前の段階
(情報提供の非対称性の極みである・・・朝日読売毎日共同などの”反ワクチン世論誘導によるワクチン接種禍報道”禍は国家的損失・国民の機会損失は膨大である・・・彼らメディアは誰も責任とらない)

Norovirus and Medically Attended Gastroenteritis in U.S. Children
Daniel C. Payne, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:1121-1130March 21, 2013
DOI: 10.1056/NEJMsa1206589

ロタウィルス急性胃腸症症例はロタウィルス・ワクチン導入後減少してるそうだ。しかし、ノロウィルス関連急性胃腸症は評価段階である。

病院・ED、外来での5歳未満の急性胃腸症での検査確認ノロウィルス症例のactive surveillance

2009年ー2010年間の3US地域の最低一つ居住小児。便試料でノロウィルス・ロタウィルス検査。
住民ベースのノロウィルス関連急性胃腸症の頻度を計算。医療コスト決定のための支払い記録レビュー。これらのデータを5歳未満の米国民への適応。

2009−2010年の急性胃腸症のうち、ノロウィルス同定 278/1295、21%
2008年 165/742、22%、2010年 113/553、20% p=0.43
健康対照者でも2008年 19/493、4%

2009−2010年の急性胃腸症のうち、ロタウィルス同定 152/1295、12%

2009年の、ノロウィルスによる入院、ED、外来受診対応比率は、5歳未満で、それぞれ1万人あたり8.6、146.7、367.7、2010年では、それぞれ、5.8、134.3、260.1
推定コストは、2009年それぞれ3918ドル、435ドル、151ドル

米国内での2009年、2010年の年間あたりの入院、ED受診、外来受診推定し、1万4千、28万1千、62万7千と推定され、それぞれ年間273百万ドル超に相当する。



米国神経学会:スポーツ震とう対策を地方政府・州に訴え

2013AAN(アメリカ神経学会)年次集会は、スポーツ震とう(振盪)に熱心


AAN:スポーツしんとうガイドライン 2013/03/19
ガイドライン
Summary of evidence-basede guideline update: Evaluation and Development Subcommittee of the American Academy of management of concussion in sports : Report of the Guideline
http://neurology.org/content/early/2013/03/15/WNL.0b013e31828d57dd.full.pdf+html

Neurology group urges states to pass concussion laws
http://www.stltoday.com/lifestyles/neurology-group-urges-states-to-pass-concussion-laws/article_281d55c4-182f-5ca3-a57e-bd8691bd7624.html

米国内では、1年間に推定160万から30万件が生じているとのこと。
AANは州や地方政府に対して、スポーツ関連震とう最小化する法律導入を強く推奨とのこと。
  • アスリート、親、コーチに、アスリートの震とう(振盪)の認識、震とう後の後遺症の可能性の認識を最大に拡大すべき
  • 震とうを疑うアスリートは、だれでも、重症度と無縁に、ゲームや練習中止すべき
  • 神経専門医などのライセンスを持つ医療専門医、震とうへの評価・管理に関し適切に実践訓練を受けた上での者が、若年アスリートのプレー復帰前にその問題をクリアしなければならない。これには、高校の運動連盟によるもの、他の範疇の娯楽リーグなどのものも含まれると認識。
  • 高校・アスリートの運動連盟は、 非医師使用のためデザインされているStandardized Assessment of Concussion (SAC)などのツールを取り入れなければならない。スポーツ震とう評価・管理のためのAANのガイドラインによれば、SACは外傷早期において、震とう存在を正確に同定する可能性がある。



日本では、スポーツ関連でのコーチ監督による生徒・学生・競技選手への虐待が話題になっているが、海の向こうでは、別の話題が・・・

高potencyスタチン治療により4ヶ月間に急性腎障害入院発生率増加の可能性

スタチン服用と急性腎障害の関連性は、服用後1年以内で増加したとの報告があり、カナダからの報告(CNODES;or the CNODES investigators. CNODES: the Canadian Network for Observational Drug Effect Studies. Open Med2012;6:E134-40.でこの懸念浮かび上がっていた。 JUPITERでもその副作用の懸念があった。

 日本では、ロスバスタチン:クレストール 通常10mgまで、家族性20mgまで、アトルバスタチン:リピトール 通常10mg、重症40mgまで、 シンバスタチン:リポバス 通常5mg、重症20mgと添付文書上は記載がある。日本でも、以下の論文定義による高potencyスタチン治療として、クレストール10mg、 リピトール 20mg以上の場合が存在する。

高potencyスタチン治療により4ヶ月間に急性腎障害入院発生率増加の可能性
既存腎障害である、CKDの有無と無縁というのが予測可能性の上で、懸念として浮かび上がる。

Use of high potency statins and rates of admission for acute kidney injury: multicenter, retrospective observational analysis of administrative databases  
Colin R Dormuth, et. al.
Canadian Network for Observational Drug Effect Studies (CNODES)
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f880 (Published 19 March 2013)
目的 急性腎障害と高potencyスタチン vs 低potency スタチン間の相関性定量的評価
デザイン コホート研究・メタアナリシスベースの9つの住民ベース行政データベースの後顧的観察分析研究。ネステッド症例対照デザインによる各データベース被治療解析。スタチン現行・既往暴露の期間ばらつきに対する発生率を高potency、低potencyスタチンを、conditonalロジスティック回帰を用いた比較推定。発生比率は共役高次元propensityスコア項目で補正。
セッティング カナダ7地域、二つのUK・USデータベース
被験者 2 067 639 名(40歳以上、1997年1月1日から2008年4月30日までのスタチン新規使用。急性腎障害入院各人を10対照とマッチ化。
介入 前年にコレステロール低下薬剤されてない場合・ナイアシン処方の場合、薬剤調剤イベントを新規とする。高potencyスタチン治療は、ロスバスタチン10mg、アトルバスタチン20mg、シンバスタチン40mg以上をその定義とする; 他の全てのスタチン治療法を低potencyとする。スタチンpotencyグループを慢性腎不全有無のコホートに分割。
主要アウトカム測定 急性腎障害相対的入院比
結果 200万名超(非慢性腎臓病(CKD) 2,008,003名、慢性腎臓病 (CKD) 49636名)中、特性マッチ化させ、類似potensity score患者で比較。現行治療120日間内で、非CKD患者での急性腎障害入院イベント 4691、CKD患者での入院イベント 1896で、治療開始120日以内の高potencyスタチン服用者では、34%入院率高い  (fixed effect rate ratio 1.34, 95% 信頼区間l 1.25 〜 1.43)。CKD患者での高potencyスタチン服用者では、入院率増加は大きくない(1.10、0.99〜1.23)。  heterogeneity χ2 検定により患者site横断的に確認(注;CKD患者以外全て有意差無しで、全体的に解釈上影響なしのようだ)。
結論 高potencyスタチン使用は低potencyスタチン使用に比べ、入院を伴う急性腎障害発生率増加と相関する。スタチン使用120日で最も強い影響を受けるようだ。
 

noteへ実験的移行

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