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2020年10月21日水曜日

COVID-19肺炎への抗IL-6治療トライアル 3つ ・・・ スッキリとは行かない

何かと“サイトカインストーム”を叫ばれるが、一部有効性はありそうではあるが、スッキリ効果を証明できない抗サイトカイン治療


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Effect of Tocilizumab vs Standard Care on Clinical Worsening in Patients Hospitalized With COVID-19 Pneumonia

A Randomized Clinical Trial

Carlo Salvarani, et al. for the RCT-TCZ-COVID-19 Study Group

JAMA Intern Med. Published online October 20, 2020. doi:10.1001/jamainternmed.2020.6615

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2772186


質問 コロナウイルス疾患2019(COVID-19)肺炎入院患者におけるトシリズマブの早期投与は臨床増悪を予防するか?


所見 登録時の動脈酸素分圧対触発酸素分画比(Pao2/Fio2)が200~300mmHgの患者126例を対象とした本無作為化臨床試験では、主要臨床エンドポイント(臨床増悪)の割合は対照群とトシリズマブ投与群で有意差はなかった。


意味 COVID-19肺炎患者でPao2/Fio2比が200~300mmHgの患者にトシリズマブを投与しても、臨床増悪のリスクは低下しなかった。この結果を確認するためには、さらに盲検プラセボ対照無作為化臨床試験を実施し、疾患の異なるステージにおけるトシリズマブの適用可能性を評価する必要がある。

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Effect of Tocilizumab vs Usual Care in Adults Hospitalized With COVID-19 and Moderate or Severe Pneumonia

A Randomized Clinical Trial

Olivier Hermine, et al for the CORIMUNO-19 Collaborative Group

JAMA Intern Med. Published online October 20, 2020. doi:10.1001/jamainternmed.2020.6820

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2772187

質問 COVID-19 および中等度から重度の肺炎患者における抗インターロイキン-6 受容体抗体トシリズマブの効果は?


所見 COVID-19 と中等度から重度の肺炎で入院した患者 130 例を対象とした無作為化臨床試験において、トシリズマブは 4 日目に世界保健機関(WHO)の 10 点満点臨床進行度スコアを 5 以下に低下させず、14 日目に非侵襲的人工呼吸、挿管、または死亡した患者の割合は、通常治療で 36%、トシリズマブで 24%であった。28日目以降の死亡率については、2群間で差は認められなかった。


意味 トシリズマブは14日目までに機械的・非侵襲的人工呼吸の必要性や死亡を減少させる可能性があるが、28日目までの死亡率は減少しない;これらの予備的な結果を確認するためにはさらなる研究が必要である。


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Association Between Early Treatment With Tocilizumab and Mortality Among Critically Ill Patients With COVID-19

Shruti Gupta,, et al for the STOP-COVID Investigators

JAMA Intern Med. Published online October 20, 2020. doi:10.1001/jamainternmed.2020.6252

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2772185


Question トシリズマブの早期治療はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)の重症患者の死亡率低下と関連しているか?


所見 3924人の患者を含むこの多施設コホート研究では、トシリズマブの早期使用を行わなかった場合と比較して、集中治療室入院後最初の2日間にトシリズマブを投与した場合、院内死亡リスクが低くなると推定された。


意味 これらの結果は、COVID-19を有する重症患者において、トシリズマブの早期投与が死亡率を低下させる可能性があることを示唆しているが、測定されていない交絡因子の影響を受けやすい可能性があり、無作為化臨床試験による更なる研究が必要である。


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Editorial

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2772184


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JAMA Internal Medicineの今号では、コロナウイルス病2019(COVID-19)肺炎におけるトシリズマブの使用法を探る3つの重要な論文が掲載されています。トシリズマブは、ヒトインターロイキン6(IL-6)受容体に結合するヒト化モノクローナル抗体である。

炎症性関節炎、巨細胞性動脈炎、キメラ抗原受容体T細胞療法後のサイトカイン放出症候群に日常的に使用されています。中国での初期観察でCOVID-19とIL-6レベルが上昇した患者の死亡リスクの増加が示され、非ランダム化研究でトシリズマブ治療の有用性が示唆されたことから、最近、トシリズマブの使用が拡大しています。

米国の多くの施設では、トシリズマブの適応外使用がCOVID-19と炎症亢進の証拠のある患者の標準治療となった。しかし、実践パターンにはばらつきがあり、米国国立衛生研究所と米国感染症学会のガイドラインでは、現在では臨床試験以外でのトシリズマブの使用を推奨している。

観察研究では死亡率の改善が示唆されているが、COVID-19を対象としたトシリズマブの無作為化臨床試験(RCT)のデータが臨床実践に役立つことが切実に必要とされている。


(中略)

変わるかもしれない

COVID-19時代のすべてのものと同様に、物事は変わるかもしれない。15-19 これらには、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験、英国で実施されている大規模で実用的なRandomized Evaluation of COVID-19 Therapy (RECOVERY)試験17が含まれている。さまざまな患者さんの集団と転帰に焦点を当てた研究は、COVID-19の管理におけるトシリズマブの役割をより明確にすることになるでしょう。

しかし、今のところ、ここに記載されている無作為化試験の知見は、COVID-19におけるトシリズマブのルーチン使用を支持するものではない28日目または30日目のトシリズマブによる死亡率の差は、すべての無作為化試験において観察されなかった。有効性の証拠を報告したのは4試験のうち2試験のみであり、そのうちの1試験は単一の主要アウトカム指標に基づいており、事前に定義された有効性のしきい値をほとんど満たしていなかった。STOP-COVIDの研究者3や他の研究者9-11による観察研究では、死亡率の改善やその他の良好な結果が報告されているが、臨床アルゴリズムを開発する際には、無作為化試験の結果を優先すべきである。

COVID-19のこれらの試験や他の治療法の試験に関連する重要な注意点がある:それは、長期的な結果が異なることを物語っているかもしれないということである。我々は、一部の患者における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって誘発される炎症性亢進状態がCOVID-19の罹患率と死亡率の主な要因であることを知っている。長引く入院およびリハビリテーションは、重症COVID-19で入院している患者の間では一般的である。トシリズマブで免疫反応を鈍らせることで、長期的に罹患率と死亡率が減少する可能性がある。また、治療に関連した有害事象や二次感染が時間の経過とともに明らかになる可能性もあるが、これらはここに記載された研究ではまれであった。


結論

新たに発表されたランダム化試験では、COVID-19におけるトシリズマブの役割の可能性が示唆されているが、観察研究とは対照的に、有効性の明確な証拠は示されていない。これらの所見は、ほとんどの設定でCOVID-19に対するトシリズマブのルーチン使用を支持するものではない。私は積極的な観察研究のトレンドを待ち、無作為化試験からより説得力のあるデータが得られた場合にのみ、トシリズマブのCOVID-19への使用を再考するつもりである。

2020年5月22日金曜日

COVID-19剖検所見:DAD主体 中枢神経系関与少ない

COVID-19の剖検10例では、急性・器質化DAD(diffuse alveolar damage)が主な組織所見で、侵襲性人工呼吸使用有無に変わらず共通した所見

  • 門脈周囲のリンパ球浸潤は非特異的炎症形態だが存在する
  • 心筋・心外膜の病変は全身性炎症を示唆するのか、心筋炎を示唆するのかは不明
  • 中枢神経系病変は認めず


Postmortem Examination of Patients With COVID-19
Tina Schaller, et al.
JAMA. Published online May 21, 2020. doi:10.1001/jama.2020.8907
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766557?guestAccessKey=7a571320-ff91-4834-bc1d-7542aa5dbe58&utm_source=silverchair&utm_medium=email&utm_campaign=article_alert-jama&utm_content=olf&utm_term=052120
May 21, 2020

研究方法
2020年4月4日から4月19日の間に、University Medical Center Augsburg (Germany)で死亡した重度の急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の患者に対して連続剖検。
検死は、 published best practiceに従って行われた。 肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、脳、胸水、脳脊髄液(CSF)からの検体評価。剖検鼻咽頭、期間、気管支swab、胸水、CSFでRT-PCRによるSARS-CoV-2検証

結果
死亡したCOVID-19の連続患者12人のうち、死後の検査は10人。 中央値の年齢は79歳(範囲、64-90歳) 7人の患者が男性 すべての症例は入院時に鼻咽頭綿棒によってSARS-CoV-2に陽性反応 入院から死亡までの期間の中央値は7.5日(範囲、1〜26日)
最も頻繁な初期症状には、発熱、咳、呼吸困難が含まれ、9人の患者では、主に中下の肺野における ground-glass opacityを呈する浸潤影が胸部X線で検出。
患者は併存疾患数中央値 4(範囲、0〜6)、心血管疾患が最多。
既存の構造肺損傷(例えば、肺気腫)は2人の患者に見られた。
解剖時または死亡前に中央血管で血栓塞栓性イベントは誰も無かった

侵襲性換気を受けていない6人の患者を含むすべての症例において、様々な病期を呈する(急性呼吸窮迫症候群の病理組織学的関連性がある)disseminated diffuse alveolar damageが主要な組織学的所見であった。diffuse alveolar damageは全肺葉で検出されたが、中下肺に不均一に優位分布。hyaline membrane形成を伴う滲出性早期急性diffuse alveolar damageの徴候、肺胞内浮腫、血管周囲リンパ・形質細胞浸潤を伴う肺胞隔壁肥厚が一致した所見。
器質化stageのdiffuse alveolar damageは、線維芽細胞増生を伴い、一部線維化し、肺胞細胞の過形成により間質性肥厚と肺胞の虚脱を生じることとリンパ球のpatchyな分布が主な所見

器質化diffuse alveolar damageの部分では反応性骨性・扁平上皮異形成も観られる

完全にできあがった線維化は患者1で顕著で、ほぼ完全に肺胞実勢栂破壊されている。
患者5では、軽度の好中球浸潤が観られ二次感染あるいは誤嚥の可能性示唆

患者4と2では、各々、軽度リンパ球性心筋炎:myocarditisとepicarditis徴候があり
感組織では微小な門脈周囲リンパ球形質細胞浸潤と線維化の徴候あり

他の器官には形態学的に検出可能な病理はなかった。

具体的には、脳炎や中枢神経系血管炎の徴候は見つからなかった。

解剖時に、SARS-CoV-2は依然としてすべての患者の気道で検出可能であった。
PCRは、胸水で陽性であったが、すべての脳脊髄液試料において陰性であった。


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この研究には、単一のセンターからの少数の症例や直接ウイルス臓器感染の証拠の欠落を含む制限がある。

COVID-19の肺組織学的特徴は、重症急性呼吸器症候群4および中東呼吸器症候群などの他のベタコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患で観察されたものに似ている。 



2017年8月3日木曜日

睡眠時無呼吸症候群:安静時酸素消費量の低下はIL-6メチル化低下、IL-6高値へ

 睡眠時無呼吸症候群における、安静時基礎代謝低下→メタボリックヘルス悪化の機序


Low Oxygen Consumption is Related to a Hypomethylation and an Increased Secretion of IL-6 in Obese Subjects with Sleep Apnea-Hypopnea Syndrome
Lopez-Pascual  et al.
Ann Nutr Metab 2017;71:16-25
https://doi.org/10.1159/000478276

【背景】 Deoxyribonucleic acid (DNA) methylation はエピジェネティックな変化を遺伝子発現調整上もたらし、多くの多要素疾患のリスクに寄与する。
SAHSを有する肥満者で、安静時酸素消費量の、血液サンプルでglobal および gene DNAメチル化、炎症性マーカーの蛋白分泌への影響検討

【方法】44名のSAHS肥満:安静時酸素消費量によるカテゴリー別
DNAメチル化レベルを評価:methylation-sensitive high resolution melting approach

【結果】酸素消費量上昇群に比べ低下群ではIL6遺伝子CpG islandではメチル化低下を示すが、しかし、血中IL-6は低下群で高値 (p < 0.05)
さらに、TNF、「長鎖散在反復配列」(" long interspersed nuclear element" LINE) 1 遺伝子CpGsのDNAメチル化の加齢関連喪失を認めた (B = -0.82, 95% CI -1.33 to -0.30, -0.46; 95% CI -0.87 to -0.04)

血中 peptidase inhibitor, clade E member 1 (r = 0.43; p = 0.01)、 IL6 (r = 0.41; p = 0.02) のCpGメチル化レベルはfat-free massと正の相関


【結論】
炎症性遺伝子調整上酸素の寄与大きいこと示唆。
安静時の酸素消費量増加はメタボリック・ヘルス上臨床的バイオマーカー





HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...