2016年4月27日水曜日

シフト労働:冠動脈心血管リスク前向き検討

シフト勤務と冠動脈性心疾患リスクの関連性を前向きにおこなったもの

18万9158名の、健康女性を24年にわたり検討
Nurses’ Health Studies (NHS [1988-2012]: N = 73 623 and NHS2 [1989-2013]: N = 115 535)


看護師としての勤務の場合、シフト勤務長いほど、その絶対的増加程度はさほどないものの統計学的有意差のある冠動脈性心疾患リスク増加をもたらす


Association Between Rotating Night Shift Work and Risk of Coronary Heart Disease Among Women
Céline Vetter, et. al.
JAMA. 2016;315(16):1726-1734. doi:10.1001/jama.2016.4454.


フォローアップ期間中、incident CHD 症例
NHS (ベースライン平均年齢, 54.5 歳) 7303
NHS2 (平均年齢, 34.8 歳) 3519



多変量補正Cox比例ハザードモデルベースラインのrotating night shift work年数増加ほど、両コホートともCHDリスク有意増加


NHSにおいて、年齢標準化(罹病)発生率(10万人年対)はrotating night shift work年数
5年間未満経験 435.1 (hazard ratio [HR], 1.02; 95% CI, 0.97-1.08)
5 to 9 年間  525.7 (HR, 1.12; 95% CI, 1.02-1.22)
10 年間以上 596.9 (HR, 1.18; 95% CI, 1.10-1.26; P<.001 for trend)
vs 経験無し 425.5


NHS2において
5年間未満経験 130.6 (HR, 1.05; 95% CI, 0.97-1.13)
5 to 9 年間  151.6 (HR,1.12; 95% CI, 0.99-1.26)
10 年間以上 178.0 (HR, 1.15; 95% CI, 1.01-1.32; P = .01
vs vs 経験無し 122.6



NHSにおいて、rotating night shift work年数とCHDの相関性は 
フォローアップ前半で著明
フォローアップ前半 
 (5年間未満経験, 382.4; HR, 1.10 [95% CI, 1.01-1.21];
5 to 9 年間 , 483.1; HR, 1.19 [95% CI, 1.03-1.39]; and
10 年間以上, 494.4; HR, 1.27 [95% CI, 1.13-1.42]; P<.001 for trend)  
フォローアップ後半 
 (5年間未満経験, 424.8; HR, 0.98 [95% CI, 0.92-1.05];
5 to 9 年間, 520.7; HR, 1.08 [95% CI, 0.96-1.21];
10 年間以上, 556.2; HR, 1.13 [95% CI, 1.04-1.24]; P = .004 for trend; P = .02 for interaction)
 
このことはシフト勤務中止後リスクは軽減することを示唆


NHS2のシフト勤務経験者の内、シフト勤務止めた後長いほど、CHDリスク減少 (P<.001 for trend)


シフト労働というのは、心血管リスクの少ない人たちが絶対的リスクは少ないものの無理して行う勤務体制ということ。






RCT: ハウスダスト舌下免疫療法:喘息への効果 吸入ステロイド減量中喘息発作出現までの期間改善

吸入ステロイド(ICS)減量中の喘息コントロールを指標とするというややウィンドウの狭いトライアル。素直に、安定喘息、ICS投与量変化無しの症例を対象にしなかった理由がよく分からない



Efficacy of a House Dust Mite Sublingual Allergen Immunotherapy Tablet in Adults With Allergic Asthma
A Randomized Clinical Trial
J.
Christian Virchow, et. al.
JAMA. 2016;315(16):1715-1725. doi:10.1001/jama.2016.3964.


house dust mite (HDM)舌下(アレルゲン)免疫療法(SLIT)のHDMアレルギー関連喘息への治療オプションとしての可能性検討
二重盲検ランダム化プラシーボ対照化トライアル(2011年8月〜2013年4月、109のヨーロッパトライアル施設)
HDMアレルギー関連喘息成人834名、ICSもしくは合剤でもwell controlに至ってない症例でHDMアレルギー性鼻炎合併
除外クライテリア FEV1予測値比 70%未満、ランダム化前3ヶ月以内喘息入院

有効性は6ヶ月以上ICS使用50%減少時、3ヶ月以内中止完了で評価

1:1割り付け
プラシーボ n=277
HDM SLT錠 :6 SQ-HDM( n=275 )、12 SQ-HDM (n = 282)、ICS+SABAサルブタモール追加

主要アウトカム:ICS減量期間中 中等度・重症喘息急性増悪までの期間
二次アウトカム:前職症状悪化、アレルゲン特異的免疫グロブリン IgG4、喘息コントロール変化、喘息QOLアンケート、副作用イベント

結果
ランダム化 834名(平均年齢 33歳 [range 17-83歳]、女性 48%)
研究完遂 693名

6 SQ-HDMと12 SQ-HDM投与群、中等度/重症喘息急性増悪、プラシーボ対照に比べリスク減少
 (ハザード比 [HR]: 6 SQ-HDM  0.72 [95% CI, 0.52-0.99]  , P = 0.045, 12 SQ-HDM 0.69 [95% CI, 0.50-0.96] , P = 0.03)
観察データベース(full analysis set)の絶対的リスク差はリスク群vsプラシーボ群で 6 SQ-HDM 群 0.09 (95% CI, 0.01-0.15) for the 6 SQ-HDM 群 と、12 SQ-HDM群 0.10 (95% CI, 0.02-0.16)

2つのactive群で有意差認めず

プラシーボに比較して、喘息症状悪化を伴う急性増悪リスク減少 (6 SQ-HDM 群 HR, 0.72 [95% CI, 0.49-1.02]  , P = .11、12 SQ-HDM 群 0.64 [95% CI, 0.42-0.96] , P = .03)
アレルゲン特異的IgG4有意増加

しかし、喘息コントロール指標(ACQ)、喘息関連QOLはどの投与量群でも有意差認めず

全身性アレルギー反応の報告無し

最頻副事象イベントは中等口腔掻痒  (6 SQ-HDM 群 13%, 12 SQ-HDM 群 20%,プラシーボ 3% )、口腔浮腫、咽頭部不快


結論
ICSによりwell controlに至らないHDMアレルギー関連喘息成人において、HDM SLIT治療追加は、ICS減量期間中の中等度以上の喘息急性増悪までの期間を改善し推定絶対的減少は6ヶ月で9-10%ポイント;中等度急性増悪への効果が主。
治療関連副事象はactive dose両方でみられ、長期有効性・安全性評価がなされるべき




house dust mite (HDM):チリダニ (チリダニ【house dust mite】. 無気門亜目チリダニ科Pyroglyphidaeに属する小さなダニの総称)

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