2013年5月31日金曜日

メタアナリシス:禁煙薬物治療

Cochrane Databases of Systematic Reviews

Cahill K, et al "Pharmacological interventions for smoking cessation: an overview and network meta-analysis" Cochrane Database of Systematic Reviews 2013; Issue 5.
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/Smoking/39484

ニコチン置換治療とブプロピオンは、プラシーボに比較して禁煙を助ける
NRT オッズ比 [OR], NRT 1.84, 95% CI 1.71-1.99
ブプロピオン OR 1.82, 95% CI 1.60-2.06

相互比較すると、NRTと ブプロピオンは、同等の有効性 (OR 0.99, 95% CI 0.86-1.13)

レビューは、2008-2011年行われ 、267トライアル、101,804の喫煙者解析
NRT、抗うつ薬(ブプロピオン、ノルトリプチリン)、ニコチン受容体部分的アゴニスト(バレニクリン、シスチシン)、不安緩和薬、選択的type 1 カンナビノイド受容体アンタゴニスト(リモナバント)、クロニジン、ロベリン、ジアニクリン、メカミラミン、ニコブレビン、オピオイドアンタゴニスト、ニコチンワクチン、酢酸銀

バレニクリンは、プラシーボに比べ禁煙オッズ比増加 (OR 2.88, 95% CI 2.40-3.47)
さらに、NRT、ブプロピオン単剤比較で優越性

ニコチンパッチ、ニコチンガム、NRT吸入、スプレー、タブレット、トローチとの比較でも全て、バレニクリン優越

NRTガムより、境界的有意性ではあるが、優れてるのは、NRT吸入、スプレー、タブレット、トローチ。お互いは同等。

ロシア・東欧では、cytisineがニコチン受容体部分的アゴニストとして用いられ、有意名効果を持つ(RR 3.98, 95% CI 2.01-7.87)。しかも、重大、有意な副作用イベントなし

抗うつ薬である、ノルトリプチリンも、禁煙可能性を増す(RR 2.03, 95% CI 1.48-2.79)
ノルトリプチリンも、ブプロピオンも、NRTと単独と比較して、併用促進は示されてない。
クロニジンは、禁煙確率を高める ( RR 1.63, 95% CI 1.22-2.18)だが、副作用にて用量依存的に打ち消される。

NRTとメカミラミン併用は、禁煙確率を増加させるが、エビデンス結論なし

他の治療では、プラシーボ比較でベネフィット示せず

ニコチンワクチンは、まだライセンス米国でも受けられず

NicobrevinのUKライセンスは破棄され、rimonabant、taranabant、dianiclineはもはや開発されず、検討もされない。

FDA: 早期産防止のための硫酸マグネシウム 5-7日以上使用しないように

早期出産予防のための硫酸マグネシウム5-7日間超投与しないようFDA助言

催奇形性カテゴリーを A → Dへ変更し、胎児骨形成への有害性についての注意を喚起。

FDA Recommends Against Prolonged Use of Magnesium Sulfate to
Stop Preterm Labor Due to Bone Changes in Exposed Babies
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM353335.pdf

weekend effect : 待機的手術成績:金曜日・週末の手術は死亡率増加

緊急手術でのウィークエンドの死亡率の高さは英国の病院で報告されていた。
"weekend effect"と記載され、週末の入院患者の入院滞在期間延長、死亡率増加を表現されている.否定する報告も有り、週末に受診する患者の背景因子なども考えられた。
オーストラリアの待機的計画手術の研究やイギリスからも入院日にフォーカスされた研究がなされた。手術施行曜日に関する報告はないということで・・・


Day of week of procedure and 30 day mortality for elective surgery: retrospective analysis of hospital episode statistics
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f2424 (Published 28 May 2013)Cite this as: BMJ 2013;346:f2424

行政データを用いた、イギリスの公的病院の後顧的解析 (2008-2009年から2010-2011年)

手術後30日内の死亡(院外・院内)を主要アウトカム測定とする

30日内死亡 4,133,346名の入院患者のうち 27582 (粗死亡率 1000あたり 6.7)
平日、ウィークエンド施行数な3年間で、それぞれ、4.5%、26.8%減少

死亡補正オッズは、月曜日比較で、
金曜施行なら、44% ( オッズ比 1.44, 95% 信頼区間 1.39-1.50)
ウィークエンドなら82%増加 (1.82 , 1.17-1.94) 

乳がん検診ガイドライン:異なる矛盾するガイドラインの狭間で、医療訴訟リスク存在

複数のガイドラインで多くの基準が存在する状況と、医療訴訟リスクとの狭間

医師はガイドライン毎に矛盾する内容 により、医療訴訟上脆弱な状況となっている。USPSTFのようなより積極的に疫学上の根拠に基づくガイドラインほどその採用に消極的になってしまう矛盾の存在に気づくべきである。

乳がんリスクを持ってない、健康な52歳女性に対し、どのような管理をするか?


・2008年ACR、2003年ACSガイドラインは40歳以上での無症状平均リスク女性 に対し、年次スクリーニングマンモグラフィーを推奨していた
・ATSも、CBE(臨床的乳房検査)毎年を推奨

しかし
・2009年、USPSTFガイドラインでは60-74歳女性に隔年マンモグラフィーを推奨、CBEに関してはエビデンス不十分とした
・ACOGガイドラインでは、CBEは年次施行されるべき、マンモグラフィーは年次必要で、隔年マンモグラフィーは適切・許容範囲とされた。

結果、USPSTFガイドラインに従うことで、漏れ落ちたがん発症による医療訴訟問題が生じるのではないかという危惧が発生している。

そもそも、診療ガイドラインが医療過誤訴訟に果たす役割はいかなるものか?
臨床ガイドラインは医学専門家の合意であり、治療標準化であり、主に有意差が出やすいように 設計された治験結果に基づく”エビデンス”から合成されたものであり、最近は臨床実践しやすいように配慮されたものである。ガイドラインが、医療慣行とともに、医療過誤事件に関して合理性判断に利用される。診療ではガイドライン以外の慣行部分も大きなウェイトを占めるはずだが、検診では、この慣例の部分の判断はより厳しく判断されるべきものである。

頻回検診、マンモグラフィー・CBEは早期乳がん診断を増やす面で魅力的。だが、偽陽性検出で、本来受ける必要の無かった、より侵襲的な検査治療に関わる負担の問題。そして、本来侵襲性の少ないがんを見つけたために、続発する、生命に関わる侵襲的検査・治療が行われる有害性の存在は無視できない。ガイドラインは、検出のgainとかかるコスト、さらに放射線被曝などのリスクも加味されるわけだが、これら疫学的にのみ検証しうる有害性に関して、司法判断がまともに配慮してくれるかどうか、司法不信背景に多くの専門家たちが危惧をもつ。

ガイドラインにも利益相反の問題があり、複数の答えがある場合、その判断は被検診者側にゆだねるよう、複数ガイドライン提示すべきである。


Breast Cancer Screening: Conflicting Guidelines and Medicolegal Risk
Allen Kachalia, MD, JD, Michelle M. Mello, JD, PhD.
JAMA. Published online May 30, 2013. doi:10.1001/jama.2013.7100


Sorting Through the Arguments on Breast Screening
Michael G. Marmot, MBBS, MPH, PhD, FRCP, FFPHM.
JAMA. Published online May 30, 2013. doi:10.1001/jama.2013.6822

心房細動による卒中:アピキサバン、ダビガトラン、リバロキサバン、ワーファリン

Cost-Effectiveness of Apixaban, Dabigatran, Rivaroxaban, and Warfarin for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
Stroke. 2013;  44:  1676-1681   doi: 10.1161/​STROKEAHA.111.000402


Markov decision-analysis model (生涯コスト・Quality-adjusted life-years) 
70歳非弁膜症性心房細動 CHADS2 1以上、Ccr 50 mL/min以上、抗凝固剤禁忌無し 
willingness-to-pay threshold :5万米ドル/QALY gainedと設定
ワーファリンは最小で $77,813 SD $2223
rivaroxaban 20 mg ($78 738±$1852)
dabigatran 150 mg ($82 719±$1959)
apixaban 5 mg ($85 326±$1512)

quality-adusted life-years gained
apixaban 5 mg  8.47 (SD, 0.06)
dabigatran 150 mg (8.41±0.07)
rivaroxaban 20 mg (8.26±0.06)
warfarin (7.97±0.04)

Monte Carlo probabilistic sensitivity analysisでは、 apixaban 5mg、 dabigatran 150 mg、 rivaroxaban 20 mg、 warfarinで、コスト効果 45.1%、 40%、 14.9%、 0%

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