2012年2月14日火曜日

生活習慣病:ペットは心臓自律神経インバランスを補正してくれる?

北里大学からの報告



Usefulness of Pet Ownership as a Modulator of Cardiac Autonomic Imbalance in Patients With Diabetes Mellitus, Hypertension, and/or Hyperlipidemia

Naoko Aiba et. al.
The American Journal of Cardiology Available online 24 January 2012


ストレスフルな状況で頻拍を

191名(平均年齢 69±8歳)にペットの有無インタビューし、ペット保有有無群に分ける。
24時間ホルター心電図にて心拍変動解析、周波数ドメイン、非線形ドメイン解析を行い、HF、LF成分、LF/HF比、エントロピーを検討。

心拍変動パラメータを24時間評価、昼間、夜間比較・・・

心臓自律神経バランス不良予測評価のため、HFおよびLF/HFの単因子・多因子解析にて、寄与因子補正


ペット保有群は、ペット非保有群に比べ、有意に、 HF24h、HFday、 HFnight、 entropy24h、 entropyday, と entropynightは高く、 LF/HF24h と LF/HFnight は低い

多変量解析にて、ペット保有は独立して、 HF24h 、HFday、HFnight正の相関、 LF/HF24h とLF/HFnight.で逆相関。





ペット保有は、ライフスタイル関連疾患を有する患者において、独立した心臓自律神経系のインバランスのmodulatorである。
心拍変動減少は心疾患において死亡リスク増加を意味する。ストレス状況下で脈が速くなるなど人間はその状況において自律神経変動を生じている。


ロイター:http://www.reuters.com/article/2012/02/14/health-pets-heart-idUSL4E8DE06Y20120214

カナダ:慢性非がん性疼痛へのオピオイド使用ガイドライン

非がん性の慢性疼痛オピオイド治療新規ガイドライン(カナダ)2010年 06月 16日

昨年11月のCFPガイドライン
Canadian guideline for safe and effective use of opioids for chronic noncancer pain
Clinical summary for family physicians. Part 1: general population
Can Fam Physician. 2011 November; 57(11): 1257–1266. 
Canadian guideline for safe and effective use of opioids for chronic noncancer pain
Clinical summary for family physicians. Part 2: special populations 
Can Fam Physician. 2011 November; 57(11): 1269–1276.



非がん性疼痛へのオピオイドはいづれもe-learning前提 

・ 「デュロテップMTパッチ」 
http://www.jspm.ne.jp/html/pdf/mt20100730.pdf
・ 「ノルスパンテープ」
http://www.hisamitsu.co.jp/company/pdf/btds_110223.pdf


抗凝固・血栓予防:ACCPエビデンスに基づく臨床実践ガイドライン ;水分補給などエビデンス無し

Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines

http://chestjournal.chestpubs.org/content/141/2_suppl





解説:http://www.chestnet.org/accp/article/new-dvt-guidelines-no-evidence-support-economy-class-syndrome




経口避妊薬、 窓側着席、加齢、妊娠を含むリスク要素

エコノミー・クラスでの旅行が深部静脈血栓を生じることを支持する明確なエビデンスは存在せず、”, remaining immobile for long periods of time”(長時間寡動継続)が問題。



長距離旅行のDVT/PEリスク要素: 
DVT/PE既往や既知の血栓性疾患、悪性疾患、直近の手術・外傷、無動、加齢、経口避妊を含むエストロゲン、妊娠、窓際座位、肥満


脱水、アルコール摂取、エコノミー・クラス座位のリスク増加に関わる明確なエビデンス存在しないことを示唆。


長距離旅行でのDVT/PE予防推奨
頻回名歩行、ふくらはぎの筋肉ストレッチング、可能なら通路側座位、膝下graduated compression stockings (GCS)の使用を勧める
DVT/PEリスク増加のないひとでの長距離旅行は、GCS使用推奨せず

長距離旅行DVT/PE予防のためのアスピリンあるいは抗凝固療法使用は勧めず
DVT/PE高リスクに限って、ベネフィットを上回る副作用のため、抗凝固療法を個別的に考慮する。

“有症状 DVT/PE は、長距離旅行からの帰還では稀。しかし、8-10時間を越える旅行での飛行機旅行との関連性はある。発症者の多くは一つ以上のリスクを有する人たち”

600を超える推奨が、予防・診断・治療の側面から記載されている。

患者にフォーカスを当てたガイドライン

大気汚染:高齢者女性の認知機能低下と関連し年時推移に相当、卒中急性リスクとも関連

環境省:大気環境モニタリング実施結果
http://www.env.go.jp/air/osen/monitoring.html


以上をみると、PM値はさほど問題となるところは少ないようだ。
だが、設置場所が適切かどうかも問題だろう。


公衆衛生上重要な、大気汚染について2つの報告



Exposure to Particulate Air Pollution and Cognitive Decline in Older Women
Jennifer Weuve, MPH, ScD; Robin C. Puett, MPH, PhD; Joel Schwartz, PhD; Jeff D. Yanosky, MS, ScD; Francine Laden, MS, ScD; Francine Grodstein, ScD

Arch Intern Med. 2012;172(3):219-227. doi:10.1001/archinternmed.2011.683


長期PM2.5-10とPM2.5暴露は高齢者の認知機能悪化と関連



Nurses' Health Study Cognitive Cohortでの検討

PM2.5-10とPM2.5 10μg/m3増加毎、 認知機能の2年間減衰 0.020 (95% CI, –0.032 to –0.008)悪化
PM2.510μg/m3増加毎、0.018 (95% CI, –0.035 to –0.002)悪化

認知推移差は、2歳離れた年齢の差と同様で、則ち、 10-μg/m3 増加毎長期暴露影響は、約2歳差の加齢効果と同等。





メタアナリシス:アスピリン一次予防 効果は主に非致死性心筋梗塞 有害性考慮下の使用必要



メタ/アナリシスにて、アスピリンによる一次予防のベネフィットは主に非致死的心筋梗塞減少によるもので、心血管死やがん死亡減少を示せない。さらに、出血イベントなどの有害性増加が認められ、一概に是とすべきでなく、症例毎にその必要性が考慮されなければならない。

Effect of Aspirin on Vascular and Nonvascular Outcomes
Meta-analysis of Randomized Controlled Trials

Sreenivasa Rao Kondapally Seshasai, MD, MPhil; Shanelle Wijesuriya, MA, MBBChir; Rupa Sivakumaran, MA, MBBChir; Sarah Nethercott, MA, MBBChir; Sebhat Erqou, MD, PhD; Naveed Sattar, MD, PhD; Kausik K. Ray, MD

Arch Intern Med. 2012;172(3):209-216. doi:10.1001/archinternmed.2011.628



アスピリンのCVD・非血管疾患イベントへのネットの一次予防ベネフィットは、そのインパクト(安全性を含め)は不明。

10万被験者平均(SD) 6.0(2.1)年間フォローアップ間

アスピリン治療は、総CVDイベントを10%減少  (OR, 0.90; 95% CI, 0.85-0.96; number needed to treat, 120)、それは、主に、非致死的心筋梗塞減少によるもの (OR, 0.80; 95% CI, 0.67-0.96; number needed to treat, 162)。

CVD死亡、がん死亡に有意差無し (OR, 0.99; 95% CI, 0.85-1.15、  0.93; 95% CI, 0.84-1.03)

だが、非軽症出血イベントリスク増加  (OR, 1.31; 95% CI, 1.14-1.50; number needed to harm, 73)


有意なheterogeneityが冠動脈疾患、出血アウトカムで見られ、これらは住民統計学的補正、被験者特性では説明不能であった。



患者満足度を高めること=入院・医療費・薬剤処方コストをかさ上げし、死亡率を増加させること

医療機関もサービス業、故に、顧客満足度を高めることには何の疑問も感じる必要ないだろう。、そのことは新たな時間やコストを消費するような 無用な争いごとを避けることにもつながる。

しかし、医療コスや患者のアウトカムトを俯瞰的に見れば、”患者満足度高ければすべてが良し”なのだろうか?

患者満足度が高い 場合は、救急医療使用は少ないが、入院に関わる医療資源、医療全般・処方薬剤消費量を増加させ、しかも、死亡率増加するという皮肉な話。


ONLINE FIRST
The Cost of Satisfaction
A National Study of Patient Satisfaction, Health Care Utilization, Expenditures, and Mortality
Joshua J. Fenton, MD, MPH; Anthony F. Jerant, MD; Klea D. Bertakis, MD, MPH; Peter Franks, MD

Arch Intern Med. Published online February 13, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2011.1662



“患者満足度”は、“医療の質”の測定項目として用いられている。しかし、患者満足度と医療機関利用度、支出、アウトカムとの関係は不明。
前向きコホート研究(2000-2007年の米国民Medical Expenditure Panel Survey調査)

社会住民統計学的・保険状況・通常診療利用度・慢性疾患状況・健康状況・1年間医療利用・支出費用補正後、患者満足度回答最高四分位群は、
・救急医療受診オッズ比が低い(補正オッズ比 [aOR], 0.92; 95% CI, 0.84-1.00)
・入院オッズ比が高い (補正オッズ比, 1.12; 95% CI, 1.02-1.23)
・医療総消費量が高い : 8.8% (95% CI, 1.6%-16.6%)
・薬剤消費量が多い : 9.1% (95% CI, 2.3%-16.4%)
・死亡率が高い (補正オッズ比, 1.26; 95% CI, 1.05-1.53)



ビタミンB and/or 不飽和脂肪酸サプリメント がんへのベネフィット認めず;女性におけるω3とがんリスク増加の関連?

ONLINE FIRST
B Vitamin and/or ω-3 Fatty Acid Supplementation and CancerAncillary Findings From the Supplementation With Folate, Vitamins B6 and B12, and/or Omega-3 Fatty Acids (SU.FOL.OM3) Randomized Trial
Valentina A. Andreeva, PhD; Mathilde Touvier, PhD; Emmanuelle Kesse-Guyot, PhD; Chantal Julia, MD; Pilar Galan, MD; Serge Hercberg, MD

Arch Intern Med. Published online February 13, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2011.1450



心血管疾患生存者のビタミン B and/or ω3脂肪酸のがんアウトカムへの影響検討

Supplementation With Folate, Vitamins B6 and B12 and/or Omega-3 Fatty Acids (SU.FOL.OM3) secondary prevention trial (2003-2009)


2501 (45 ~ 80 歳)を 2 x 2 factorial designで以下の4つに割り付け
(1) 5-methyltetrahydrofolate (0.56 mg), pyridoxine hydrochloride (vitamin B6; 3 mg) and cyanocobalamin (vitamin B12; 0.02 mg)
(2) eicosapentaenoic and docosahexaenoic acid (600 mg) in a 2:1 ratio
(3) B vitamins and ω-3 fatty acids
(4) placebo


がんアウトカムに対する全体・性別ハザード比(HRs)及び95% CIsをCox比例ハザードモデル推定 

5年間サプリメントにて、がん発生はサンプル群で7.0%(男性 145、女性 29)、がん死は2.3%

がんアウトカムとビタミンB and/or ω3脂肪酸サプリメントの相関認めず  (HR, 1.15 [95% CI, 0.85-1.55]、HR, 1.17 [95% CI, 0.87-1.58])

性別により、治療の統計学的に有意な関連を認めるが、がんリスクでの治療の影響を男性では認めず、女性ではω3脂肪酸サプリメントでがんリスク増加を認める(HR, 3.02 [95% CI, 1.33-6.89])
ビタミンB and/or ω3脂肪酸サプリメントはがんへのアウトカムにベネフィット認めず、 それどころか、 女性ではω3脂肪酸サプリメントでがんリスク増加と関連する可能性がある。




野球:ピッチャー外傷リスクは肘のアングルに無関係


Nissen C, et al "Elbow positioning: a predictor for injury and performance in baseball pitching" AOSSM 2012; Abstract 5.



肘の  "drop" (肩とのの垂直関係) と "drag" (水平関係) は、肘・肩への負担に無関係。

しかし、投球時ホームプレートへsquare名時の10cmの肘のdrag、則ち、肩の背後にある肘は、ボールスピードを1.3m/sec(2.9 mile/h)減少を意味する。


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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note