2012年8月17日金曜日

卵は動脈硬化悪化させる; 卵黄×年は心血管リスク増加と相関

“たまごの摂取”に関しては心血管イベントとの関連性明らかでないというのが一般的だったと思う。最下段のごとく、AHAでもたまご制限を推奨してないと思う。

“たまご”の摂取に関しては、“空腹時コレステロール”と指標とする栄養指導と、食事性コレステロールのもたらす副事象影響の混同もあり、クリアカットな指導が難しい現状がある。

そんななか、卵黄が動脈硬化進展性に働くという直接証拠の報告

マスメディアは、卵黄はたばこ並みにやばいhttp://www.cbc.ca/news/canada/windsor/story/2012/08/14/wdr-egg-yolk.html)と表現


Egg yolk consumption and carotid plaque
J. David Spence et. al.
Atherosclerosis Available online 31 July 2012

カナダの心血管予防クリニック患者での total plaque area (TPA)評価
卵黄摂取量と、喫煙(pack-years)の検討

連続患者:ベースラインでTPA(duplex ultrasound)測定

データ:1262名 平均(SD)年齢 61.5(14.8)歳、女性 47%

Carotid plaque area 40歳後線形に増加。しかし、喫煙pack-yearと卵黄年により対数的に増加

プラーク面積
卵 <2個/週(n=388) 125 ± 129 mm2、 vs 3個以上 132 ± 142 mm2 (n = 603)、 (年齢補正後 p<  0.0001)

多変量回帰で、卵黄・年は有意に冠動脈リスク要素と関連性維持


卵黄の定期的摂取は心血管疾患リスク場合、避けるべき


Dietary cholesterol and egg yolks: Not for patients at risk of vascular disease
Can J Cardiol. 2010 November; 26(9): e336–e339.


食事性コレステロールと卵黄摂取の誤解がある
・・・
(卵黄摂取は)食事そのものは空腹時コレステロールと関連しない。
食後コレステロール、飽和脂肪酸、酸化ストレス、炎症への悪影響が考えられ、
空腹時コレステロールだけに専念し議論することは問題を曖昧にしている。
食事由来コレステロールは、酸化LDL、食後脂質異常、飽和脂肪酸に影響を与え、卵黄を含む食事由来コレステロールは血管に有害である。



空腹時コレステロールだけに着眼していては、真の動脈硬化対策とは言えない。
(内外の動脈硬化ガイドラインはまさにそれだけど・・・)


食事性コレステロールへ効果のあるはずののゼチーアが単剤で、硬化退縮性エエビデンス出せないのはなぜ? 


卵そのものに関する制限はAHAは行ってないと思われるが、今後変更される可能性があるかも・・・

卵1個あたりのコレステロール含量が10年で2割減少している  2011年 02月 09日


”American Heart Association guidelines no longer include a recommendation to limit egg consumption, but recommend the adoption of eating practices associated with good health. ”とかかれ、卵食制限は推奨されてない。



にんにく卵黄とか、にんにく玉とかが動脈硬化に役立つような宣伝しているが・・・あれって

Cochraneレビュー: 軽症高血圧への薬物治療ベネフィットに疑問

軽症高血圧に関して、検討数が少ないというのは、問題のレビュー評価の是非にかかわらず、一致した意見である。


Cochraneレビューからの記事
軽症高血圧での心血管イベントプライマリ予防薬物治療とプラシーボ比較の4つのRCT、9000名で、治療ベネフィット認めずという報告(August 15, 2012 in the Cochrane Database of Systematic Reviews ;  Diana Diao (University of British Columbia, Vancouver) らの報告)

いままで十分量の検討がなされてなかったと彼らの言い分。

他の専門家以外は、イベント数がかなり少ないことを問題視、臨床的な意味づけできないと延べ、実地医療家はこの知見を採用すること無かれと警告し、JNC7定義の軽症(stage 1)高血圧:収縮期血圧140-159 mmHg/拡張期血圧 90-99 mmHgでの治療は、より重度高血圧への進展予防に役立つことは強調すべきとしている。
(http://www.theheart.org/article/1434701.do)


Cochraneの論述
Benefits of antihypertensive drugs for mild hypertension are unclear
Diao D, Wright JM, Cundiff DK, Gueyffier F Published Online:  August 15, 2012

http://summaries.cochrane.org/CD006742/benefits-of-antihypertensive-drugs-for-mild-hypertension-are-unclear
 
Pharmacotherapy for mild hypertension.
Cochrane Database Syst Rev 2012; DOI: 10.1002/14651858.CD006742.pub2.
Diao D, Wright JM, Cundiff DK, Gueyffier F.

検討されたRCT
・Australian Therapeutic Trial in Mild Hypertension (ATTMH)—chlorothiazide vs placebo.
・UK Medical Research Council (MRC) trial of drug therapy for mild hypertension—Bendrofluazide and propranolol vs placebo.
・Systolic Hypertension in the Elderly (SHEP)—chlorthalidone and atenolol vs placebo.
・Veterans Administration-National Heart, Lung, and Blood Institute (VA-NHLBI) Evaluation of Drug Treatment in Mild Hypertension—Chlorthalidone vs placebo.

死亡率、CHD、卒中、総CVDイベント減少に有意でなく、イベント数は治療群77 vs プラシーボ群 90など少ない。卒中では一応治療群 10、プラシーボ 20と50%減少だが、数的に十分でない。

noteへ実験的移行

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