2012年11月5日月曜日

高血圧への瞑想法の有効性 ・・・ 薬剤服用遵守性改善だけの効果?

降圧薬服用してない患者へのマインドフルネス・ベースのストレス解消法(mindfulness based stress reduction (MBSR))は有効でない。
いままで、高血圧患者への降圧効果があったのは、薬剤使用遵守性改善効果があっただけではないかという報告。
 

Hypertension Analysis of Stress Reduction Using Mindfulness Meditation and Yoga: Results From a Randomized Controlled Trial
Canadian Journal of Cardiology Volume 28, Issue 5, Supplement , Pages S418-S419, September 2012
 【序文】 高血圧は予防可能なリスク要素としてトップの病態で、5名に1人が罹患している疾患。
ライフスタイル修正が予防治療の鍵であるとされる。ストレスは心血管疾患リスク増加と関連し、ストレスマネージメントが高血圧介入でも推奨されている。
リラクセーションによるストレス減少はヒトの血圧低下を含む効果があることは判明している。個別化行動的介入はリソース集約的、グループストレス管理アプローチは血圧減少のための評価もされておらず、十分検討されてない。

HARMONY研究は前向きwait-list RCTで、マインドフルネス・ベースのストレス解消法(mindfulness based stress reduction (MBSR))、標準化グループストレス解消法が、広く利用され、不安、うつ、慢性頭痛などに特定の地域では公的負担がなされている。




【研究方法】

 研究登録には自由行動下血圧モニタリングを含み

 平均昼間ABP >/= 135/85 mmHgあるいは24時間ABP >/= 130/80 mmHg
 早期(即時治療)群、遅延(wait-list対照)群にランダム割り付け

 ベースライン受診4週間以内にMBSR早期施行割り付け。遅延群は4週間以内に、8週間のwait list期間に割り付け
プライマリアウトカム測定は、12週間のプライマリアウトカム期間の平均覚醒時・24時間自由行動下血圧 (全被験者に対し12週後ベースライン)


Wait-list患者はプライマリアウトカム期間後MBSR開始


診察室血圧、検査、身体測定、アンケートをベースライン時行う。


【結果】

 20-75歳の101名の成人を登録;男性 38名、女性 63名、平均年齢 55±11歳


平均24時間ABPは 135/82±7.9/5.8 mmHg、平均覚醒時ABPは140/87±7.7/6.3 mmHg




RANOVA (Group X Time) で、治療vs対照群で、12週後プライマリアウトカム及びどの期間でも、すべてのABPパラメータで有意差認めず
たとえば、12週後の24時間SBP/DBPの治療群vs対照群差は、0.0/0.4 mmHg(± 7.2/4.7) SBP p=0.95、DBP p=0.63

この研究は、各群37名での24時間収縮期血圧6.0 mmHgの差を検知パワー81%である




【結論】

 MBSRは、無薬物治療stage 1高血圧患者に対し、血圧 6mmHg 効果項目表にしても無効
文献再検にて、瞑想法使用した多くのpositiveな研究は、降圧薬治療を行った患者を多く含むものであった。
2つのnegativeな研究は薬剤naive
故に、これらの研究は血圧減少に関する研究は、薬剤服用アドヒアランス改善の寄与要素が考えられる。
HARMONY研究は、服薬のない患者では、降圧効果を認めなかったという落胆すべき結果だったが、心身相関は服薬患者では血圧コントロールを改善する可能性はある

次のステップとして、MBSR使用は、アジュバントとしての血圧コントロール良好さ、薬剤アドヒアランス/持続性改善評価を検討する。

“精神的苦痛”の死亡率への影響は、量反応的・・・ H24/08/02

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マインドフルネス・グループ介入:関節リウマチ ・・  精神的苦痛・疲労軽減 2011年 12月 20日

線維筋痛症におけるヨガの効用:マインドフルネス向上・コーチゾル値改善 2011年 07月 28日

急性冠症候群: プラスグレル vs クロピドグレル ・・・ 抗血小板機能に関わらず差認めず

急性冠症候群(ACS)患者において,アスピリンと血小板P2Y12受容体拮抗剤クロピドグレルとの併用療法が現在標準治療である。プラスグレル、クロピドグレルともに、チエノピリジン系薬剤(P2Y12受容体拮抗薬)。

プラスグレルの方がpotential高く、この薬剤は、クロピドグレルのように代謝がP2Y12で変動することがない ・・・ 故に、治療効果の優越性が期待されていたのだが、予想外の結果になった

プラスグレル(prasugrel)は、第一三共と宇部興産株式会社が発見し、第一三共とイーライリリーが共同開発している経口抗血小板剤であり、メバロチン以来の大型医薬として第一三共が力を入れている医薬品です。 http://www.chem-station.com/chemistenews/2009/02/post-156.html


血小板P2Y12の反応性測定にて高低差あるにかかわらず臨床的有用性は同様という報告

急性冠症候群患者の血小板機能とアウトカムの関連性検討

TRILOGY ACS trial (2008 to 2011) 登録の不安定狭心症・ST非上昇心筋梗塞薬物治療群でのクロピドグレルvsプラスグレル比較検討

ST非上昇型心筋梗塞・初期血管再建施行なし患者において、

Platelet Function During Extended Prasugrel and Clopidogrel Therapy for Patients With ACS Treated Without Revascularization:  The TRILOGY ACS Platelet Function Substudy  
Paul A. Gurbel, et.al. ; for the TRILOGY ACS Platelet Function Substudy Investigators
JAMA. Published online November 04, 2012. doi:10.1001/jama.2012.17312
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1389509

アスピリン+
prasugrel(10 or 5mg/日)
or
clopidogrel(75 mg/日)


P2Y12 reaction unit (PRU)測定
ベースライン、2時間、1ヶ月、3、6、12、18、24、30ヶ月後施行

primary efficacy end point は、30ヶ月後の心血管死亡、心筋梗塞、卒中組み合わせ
75歳、60kg以上の比較的若年(75歳未満)では、30日めのPRU中央値は
prasugrel群 64(IQR 33-128)
clopidogrel群 200(IQR, 141-260)(P < .001) この差はその後もすべて持続

75歳未満、60kg未満では、
prasugrel群 39 (IQR, 86-203)
clopidogrel群 209 (IQR, 148-283)
(P < .001),


75歳以上では、
prosugrel群 164 (IQR, 105-216)
clopidogrel群  222 (IQR, 148-268)
 (P < .001).

30ヶ月で、プライマリefficacyエンドポイントは
prasugrel群 17.2% (160 events)
clopidogrel群 18.9% (180 events)
(P = .29)

プライマリエンドポイントイベント被験者 (n = 214)の30日めのPRU値の連続分布に関して、イベントのない被験者 (n = 1794)と比べて、有意差は認めない; P = .07

プライマリ有効性エンドポイントと連続PRU値には有意な相関認めず
(60PRU増加毎の補正ハザード比 [HR], 1.03; 95% CI, 0.96-1.11; P = .44)


208超を高on-treatment血小板反応性と定義、230超を定義した場合も同様の所見が見られる (補正 HR, 1.16; 95% CI, 0.89-1.52, P = .28、 補正HR, 1.20; 95% CI, 0.90-1.61; P = .21).








ACS・ステント治療後の管理において、抗血小板機能だけがポイントでは無いというところが、今後の課題となった。

FREEDOM : 糖尿病・多枝冠動脈病変では、冠動脈手術のほうがPCIより優れる



FREEDOM: CABG superior to PCI in diabetic patients with coronary disease
NOVEMBER 4, 2012
http://www.theheart.org/article/1469059.do


Farkouh ME, Domanski M, Sleep LA, et al. Strategies for multivessel revascularization in patients with diabetes. N Engl J Med 2012; DOI:10.1056/NEJMoa1211585.



糖尿病・多枝病変は、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)治療に比べ、全原因死亡率、非致死性MI、非致死性卒中比率有意に少ない。



1900名の糖尿病・冠動脈疾患(三枝病変が主)患者を登録し、CABGと、シロリムス溶出性・パクリタキセル溶出性ステントPCIを比較

フォローアップ期間は3.8年、エンドポイント(全原因死亡・非致死性心筋梗塞・卒中)発生は、PCI 205名、CABG 147名

5年間のプライマリエンドポイントは有意にCABGが優れていた。



 アウトカム PCI(%) CABG(%) p
プライマリエンドポイント 26.6%18.7% 0.005
 全原因死亡 16.3%10.9%  0.049
 心筋梗塞 13.9% 6.0% <0.001
 卒中 2.4% 5.2% 0.03
 心血管死 10.9% 6.8% 0.12





欧米研究:クレメジンCKD進行抑制効果無し

CKD進行抑制目的の 活性炭製剤 AST-120 “クレメジン” の 効果を確認するプラシーボ比較


アメリカ・ヨーロッパ 237カ所、2035名のEvaluating Prevention of Progression in CKD (EPPIC)シリーズ研究に一環で、同様な2つの研究のpool化解析

標準治療としての、ACE阻害剤/ARBを加えたもの


エンドポイントとして、透析・腎移植・sCr倍化時間を比較として、36% vs 35%


結論から言えばその効果は認めなかったとのこと

全経過をフォローしてないなどの問題も指摘、クレメジンは球形活性炭吸収剤で、1991年日本では、CKD患者の透析までの期間延長効果、尿毒症改善目的で承認されている。
インドールを含み、これがインドキシル硫酸となり、腎臓へ取り込まれ、線維化を引き起こす可能性がある。



Gerald Schulman (Vanderbilt University in Nashville)らが。Kidney Weekのlate-breaking poster sessionで報告
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASN/35737


Schulman G, et al "EPPIC (evaluating prevention of progression in CKD -- results from two phase III, randomized, placebo-controlled, double-blind trials of AST-120 in adults with CKD" ASN 2012



日本での、臨床上影響の大きい報告


インドキシル硫酸は、スポンサーサイドだと薬理作用の方のみ記している

ウレミックトキシン「インドキシル硫酸」の生成とクレメジンの作用点
http://medical.mt-pharma.co.jp/intro/krm/action.shtml

noteへ実験的移行

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