2013年8月23日金曜日

プロバイオティクス:アトピー関連検査に効果あるも、喘息・喘鳴に効果無し ・・・ 悪化菌種も存在

"乳酸菌 L. acidophilusで、アトピー感作リスク増加"という部分が気になる。

菌種により効果が様々ということは重要で、リスク増加の可能性さえある菌種がある。
アトピー感作に関する検査値異常、すなわち、皮膚プリック試験やIgE特異抗体に関して効果的だが、喘息や喘鳴などの臨床的なアウトカムに関しては確定的なものは存在しない



臨床的には懐疑的な結論となっている。

nistration in Early Life, Atopy, and Asthma: A Meta-analysis of Clinical Trials
Nancy Elazab, et. al.
Pediatrics DOI: 10.1542/peds.2013-0246
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2013/08/13/peds.2013-0246.full.pdf


【背景と目的】 probioticsは小児のアトピーと喘息のリスクを減少させる可能性があるが、臨床トライアルからの結論は様々で、検出パワー不足研究もある。ランダム化プラシーボ対照化トライアルのメタアナリシスにて、probioticsサプリメント投与にて、アトピー感作と喘息/喘鳴予防効果評価

【方法】 Random-effects modelを用い、pooledリスク推定計算。メタ回帰にてprobiotics有効性に関わる寄与要素の影響調査。

【結果】 Probioticsは、総免疫グロブリンE(IgE)減少に効果的  (mean reduction: –7.59 U/mL [95% 信頼区間(CI): –14.96 to –0.22]; P = .044).

メタ回帰で、IgE減少はより長期フォローアップでも深まることが示された。

Probioticsは、胎児期に投与されたときアトピー感作リスクを有意に減少する  (皮膚プリックテスト and/or 通常アレルゲンへの特異的IgE増加の相対リスク: 0.88 [95% CI: 0.78 to 0.99]; P = .035。そして、出生後も減少  (皮膚プリック陽性に於ける相対リスク: 0.86 [95% CI: 0.75 to 0.98]; P = .027)



Lactobacillus acidophilus投与は、他の種類と比べ、アトピー感作リスク増加と関連する (P = .002)
Probioticsは有意に喘息/喘鳴を減少せず (相対リスク: 0.96 [95% CI: 0.85 to 1.07])





【結論】
出生前 and/or 出生後間もないころからのprobiotics投与はアトピー感作リスク減少し、総IgE レベル減少するが、喘息/喘鳴リスク減少せず
フォローアップ期間・菌種によりこの効果は有意に異なる可能性がある
喘息予防のさらなるトライアルにおいてはprobiotics菌種選択に関して注意が必要だし、より長期のフォローアップが必要






対メトホルミン比較、シタグリプチン使用にて超過死亡増加

日本の糖尿病診療は、国際的に見て狂ってる異なってる。特に、メトホルミン使用に関して・・・ 

以下の論文では、日本の診療上直接応用はできないし、そもそも、文献自体が後顧的検討で、かつ寄与要素補正が不十分。

でも、単純に見ると、シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)単剤は、メトホルミン使用者に比べ死亡率超過あり

筆者等は、シタグリプチン使用だと薬剤変更に苦労した症例だから予後悪いんだと説明しているが・・・

All-cause mortality and cardiovascular effects associated with the DPPIV-inhibitor sitagliptin compared with metformin, a retrospective cohort study on the Danish population
Diabetes, Obesity and Metabolism, 08/22/2013

あくまで、後顧的コホート解析

sitagliptin治療でのメトホルミン単剤治療と比較;死亡率・心血管疾患の臨床的アウトカム


検討:84,715名


シタグリプチン単剤 1,228(1.4%)
メトホルミン単剤 83,487(98.6%)


メトホルミン使用患者は、より若年 (59.0 ± 15.2 vs. 62.5 ± 13.0)、男性でやや少ない  (51.6 vs. 54.2%)、単剤使用期間が長い (1.8 ± 1.3 vs. 0.9 ± 1.1 years)


メトホルミン服用者と比べ、シタグリプチン使用患者は統計学的に有意でない全原因死亡超過リスクがある (ハザード比, 1.27; 95% 信頼区間 (CI), 0.93 to 1.73; P = 0.139 or 複合エンドポイント (hazard ratio, 1.25; 95% CI, 0.94 to 1.67; P = 0.128)



しかし、シタグリプチン単剤使用は、治療変更尤度多いことが関連  (ハザード比, 4.88; 95% CI, 4.46 to 5.35; P < 0.001).

卒中血栓溶解治療;超早期治療(90分以内)ほどよい

90分内の血栓溶解治療が、それ以降の治療より、より有効

死亡率の差は認めないが、アウトカム良好性と関連

"Ultra-early intravenous stroke thrombolysis: do all patients benefit similarly?"
Strbian D, et al
Stroke 2013; DOI: 10.1161/STROKEAHA.111.000819.

連続症例前向き集積データ(10の欧州卒中センター)


全コホート (n=6856)、発症から治療開始までの時間の短さを連続変数として評価すると、有意に、アウトカム良好性と相関  (P<0 .001="" p="">

5名に1人ほど、90分以下の発症から治療開始までの時間で。これらの患者は頭蓋内出血の頻度少ない。

年齢、性別、受診時血糖値、治療年数補正後、発症から治療開始までの時間は、そのアウトカムの良さと相関
National Institutes of Health Stroke Scale 7 〜 12 (オッズ比, 1.37; 95% 信頼区間, 1.11–1.70; P=0.004)

しかし、ベースラインのNational Institutes of Health Stroke Scale>12 の患者でベースラインでのではそれは認めない  (オッズ比, 1.00; 95% 信頼区間, 0.76–1.32; P=0.99) 、また、ベースラインでの National Institutes of Health Stroke Scale 0 〜 6 (オッズ比, 1.04; 95% 信頼区間  0.78–1.39; P=0.80)の患者でも認めない


アウトカムとして、修正Rankin scale 0を考慮した場合には、独立した相関が認められた  (odds ratio, 1.51; 95% 信頼区間  1.14–2.01; P<0 .01="" nbsp="" p="">(要するに、軽症症状患者による本来良好予後による、天井上乗せ効果を除外するための検討)


超早期治療は死亡率と相関せず



医療整備されてない地域では、恩恵が得られないという・・・

喫煙と卒中リスク ほぼ性別差認めず

喫煙の害そのものを認めない人間がいる、それも、○○大学教授や元教授とかいう肩書きや○○賞受賞という栄光の肩書きを持つ人間にも・・・

後述するが、かれらの主張は比較的ステレオタイプ。

たばこの害に関する性別影響は、妊娠出産など継代的影響は特別
妊娠中母体喫煙は子供の行為障害へ影響を与える:遺伝的要素独立コホート研究で証明 2013/07/25
では、卒中などの世代限りの影響はどうか?

Smoking as a Risk Factor for Stroke in Women Compared With Men
A Systematic Review and Meta-Analysis of 81 Cohorts, Including 3 980 359 Individuals and 42 401 Strokes
Published online before print August 22, 2013,
doi: 10.1161/ STROKEAHA.113.002342

PubMed Medlineを用い、前向き住民ベースコホート研究を検索し、19966年1月1日から2013年1月26日まで検索された文献で、卒中に対する、喫煙・非喫煙比較の変数に関し性別特異的な相対リスク推定因子


81の前向きコホート研究データ、中身、3,980,359名、卒中42,401

喫煙は両性とも卒中の独立したリスク要素


全体分析だと、pooled多因子補正相対的リスク比(RRR)は、女性は、男性と同じリスク  (RRR, 1.06 [95% 信頼区間, 0.99–1.13])


地域解析によると、西洋では、女性では男性に比べより有害性認める (RRR, 1.10 [1.02–1.18)] が、アジアでは性差認めず (RRR, 0.97 [0.87–1.09]) 


never-smokerと比べると、喫煙既往者での禁煙の有用性効果は、両性とも同様 (RRR, 1.10 [0.99–1.22]).


禁煙ファシズム
他団体を批判するとき一番意味の無い言葉・・・ファシスト・ファシズム
本来のファシストに対してちょっとでも賛同する意見を示すことさえ否定されてしまうことが麻生副総理発言曲解報道でも明らかになった。これは、相手に絶対悪だとラベルする言葉であり、議論継続拒否を表明する言葉である。


この言葉をやたらと聞く昨今


わたしは、禁煙学会という名称に関して疑問を持っているが、かれらをファシズムと呼ぼうとは思わない。中立的立場を担保する学問集団ではないということも批評に加えておこう。

欧州各国調査:たばこを吸ってるシーンを見せられると青少年喫煙比率は増加する2011年 09月 24日メディアと青少年喫煙問題 2005/12/09【規制必要】プロダクト・プレスメント 映画内ブランド露出広告 2013/05/28 

喫煙習慣につながりやすいシネマ上、テレビ上での喫煙シーンに関する影響に関して疫学的一定のエビデンスが有り、それに対して苦言を呈したことには賛同したい


一方、疫学という学問の存在を否定する【学者さんたち】も存在する。そして、司法の場で、それがまかり通っているという日本の現実。横浜たばこ病裁判に於ける「“原因”は病理によってのみ確定されるのであり、“疫学”によっては確定されないのである」” という証言 が象徴的。

喫煙と肺がんに関するエビデンスと議論 ”実験的結果の欠如” ”疫学的証拠軽視主義” ・・・などが存在 2012/01/23

テレビでよく見聞きする中京大学の先生も、ほぼ”“疫学”によっては確定されない”ということと、バイアスデータによる批評に基づくもののようだ。


ランダム化二重盲験プラシーボ対照研究:急性頸部痛に対するボルタレンゲルの有効性安全性

ジクロフェナク・ゲルは、日本では、ボルタレンゲル1%として"変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎 (テニス肘等)、筋肉痛 (筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛"の保険適応で、OTCとして外用鎮痛・消炎剤「ボルタレン®AC」が発売されているらしい。

値段
ボルタレンACゲル 50g:1980円
ボルタレンACゲル 25g:1280円
もうちょっと安くできないものか?
医療施策として考えるなら、医療リソース対比できないくらい安価な状況を作る必要があるとおもうのだけど・・・

Efficacy and safety of diclofenac diethylamine 1.16% gel in acute neck pain: a randomized, double-blind, placebo-controlled study
Hans-Georg Predel, et. al.
BMC Musculoskeletal Disorders 2013, 14:250 doi:10.1186/1471-2474-14-250
 Published: 21 August 2013

【序文】
頸部痛(NP)はプライマリケアで多い筋骨格筋疾患で、不快な症状の原因となることが多い。NSAIDSは頸部痛軽減し、炎症軽減効果が期待され、早期治癒の可能性も期待されている。局所投与として、Topical diclofenac diethylamine (DDEA) 1.16% ゲルが、急性慢性筋骨格筋疾患に対し有効で耐用されると判明しているが、急性頸部痛、NPに関する治療に関しては現在まで臨床的データは存在しない。この研究の目的はDDEA 1.16%ゲルの有効性安全性をプラシーボ比較で評価すること


【研究方法】
ランダム化、二重盲験、プラシーボ対照化研究において、急性頸部痛(n=72)
DDEA 1.16% ゲル(2g, 4×/day, 5日間) vs プラシーボ

有効性評価は、 pain-on-movement (POM)、 pain-at-rest (PAR)、 functional neck disability index (NDI) と response to treatment (decrease in POM by 50% after 48 h)

副事象;Adverse events (AEs) は全研究期間対象


【結果】
プライマリアウトカムである、48時間時点でのPOMは統計学的に有意に減少
DDEA gel (19.5 mm) vs. placebo (56.9 mm) (p < 0.0001)

これは、ベースラインからの減少として臨床的有意なものである (それぞれ、75% vs. 23% )


すべてのPOMスコアは。プラシーボ比較で、DDEAゲルで、1時間で有意に減少
PARやNDIスコアは、初期評価(24時間)から以降も減少  (all p < 0.0001)


治療反応性は、プラシーボ比較した場合DDEAゲル群で有意に良好 (94.4% vs.  8.3%) (p < 0.0001)

DDEAゲルの副作用なし


【結論】
DDEA 1.16% ゲルは、OTCとして入手可能、急性頸部痛に対し有効で、耐用性あり

有効性評価ツールにより、迅速に頸部痛改善し、頸部機能改善を示す。

しかし、これらのツールがほんとに比較可能性判断に有効で、信頼できるものか不明。

さらなる研究により、このDDEA 1.16%ゲルがこのありふれた機能低下状況に対する代替的治療オプションとなるか確認が必要であろう。

AACE:米国内分泌学会 インクレチン糖尿病薬とがんリスクとの関連性のエビデンス不十分との見解


American Association of Clinical Endocrinologistsのコンセンサスステートメント


インクレチン糖尿病薬とがんリスク増加の関連性に関し、確実なエビデンスとしては不十分

リスクにかする懸念は持つべきで、患者モニターはしっかりすべきだが、現行エビデンスとしてはトータルには変更の必要は無いというステートメント


Source reference: Handelsman Y, et al "Diabetes and cancer -- an AACE/ACE consensus statement" Endo Pract 2013; DOI : 10.4158/ep13248.cs.
https://www.aace.com/files/position-statements/diabetes-and-cancer-consensus-statement.pdf


推奨事項
・ライフスタイルと肥満のルーチンカウンセリングが糖尿病ケアの基本
・肥満関連悪性疾患に関し、糖尿病を含む代謝的問題を検査しておくこと
・臨床医は糖尿病患者ではより若年からがん検診を推奨を考慮
・現時点での明快な臨床的判断には、抗糖尿病薬のリスクベネフィット比に基づく必要性と、適切でない糖尿病コントロールと糖尿病合併症に対する、すぐではないが内在可能性のある、がんリスクの比重を考慮する必要性がある。


noteへ実験的移行

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