2013年7月24日水曜日

米国北西部:サイクロスポラ感染流行

サイクロスポラ(Cyclosporiasis)

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/cyclospora1.html


米国中西部(アイオワ、ネブラスカ、テキサス、ウィスコンシン、イリノイ州)で、200名超サイクロスポラ感染


2013 Outbreak
http://www.cdc.gov/parasites/cyclosporiasis/outbreaks/investigation-2013.html
http://www.cdc.gov/parasites/cyclosporiasis/

FDA Investigates Multistate Outbreak of Cyclosporiasis
Posted July 23, 2013
http://www.fda.gov/Food/RecallsOutbreaksEmergencies/Outbreaks/ucm361637.htm


July 24, 2013
CDC: More than 275 have unidentified stomach bug
http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/07/24/cdc-stomach-bug/2584273/

女性:腎結石は冠動脈精神疾患のリスク要素

2つの女性コホートで、腎結石既往は、軽度だが、CHDリスク増加と有意相関。男性では相関認められず。


History of Kidney Stones and the Risk of Coronary Heart Disease
Pietro Manuel Ferraro,  et. al.
JAMA. 2013;310(4):408-415. doi:10.1001/jama.2013.8780

Health Professionals Follow-up Study (HPFS) (男性 45 748 、40-75 歳; フォローアップ:1986-2010年)、 Nurses’ Health Study I (NHS I) (女性 90 235 ,  30-55 歳)の男性 45,748名、女性 196,347名での前向き研究
主要アウトカム・測定項目は、致死的・非致死的心筋梗塞・冠動脈再建を含む冠動脈疾患、隔年アンケートとカルテ確認

総計 242,105名のうち、腎結石既往 19,678
フォローアップは男性で24年間、女性で18年間
CHD発症 16,838

寄与要素補正後、女性において、腎結石既往女性は、既往無しに比べCHDリスク増加  in NHS I (発症率 [IR], 754 vs 514 per 10万人年; 多変量ハザード比[HR], 1.18 [95% CI, 1.08-1.28]) 、 NHS II (IR, 144 vs 55 per 1 per 10万人年; 多変量ハザード比[HR], 1.48 [95% CI, 1.23-1.78])

男性では有意相関無し (IR, 1355 vs 1022 per 1 per 10万人年; 多変量ハザード比[HR],  1.06 [95% CI, 0.99-1.13])

個別エンドポイント解析時でも、同様結果がみられた(致死性、非致死性心筋梗塞、血管再建)



寄与要素補正項目:
年齢、居住場所、心疾患家族歴・糖尿病・高血圧・高コレステロール、アスピリン、サイアザイド系利尿剤、ループ系利尿剤、経口ステロイド、脂質効果薬剤、CCB、β遮断剤、ACE阻害剤、他の降圧剤、閉経状態・閉経後ホルモン使用、職業、喫煙、BMI、身体活動性、カルシウム、カリウム、マグネシウム摂取、動物性蛋白、総脂肪・ビタミンD、アルコール、カフェイン、DASH食

塩分摂取量とか、耐糖能異常とか、PTHの状況とか、腎機能とかは?

「エストロゲン未使用による超過死亡増加説」への反論

事前設定プライマリエンドポイントの議論でなく、サブグループ解析をして勝手な結論づけをするやり方。これって、反ワクチンや特定薬剤非難のための主張根拠にありがち。

同様なやり方を、以下の論文で行われているという批判
WHI新規解析:子宮摘出後50-59才:エストロゲン治療行わないことで死亡率増加 ・・・ 全米で年間数千名というインパクトと・・・ 2013/7/19
大元はこれだが、

特に、サブグループ解析で臨床上の推奨を行うとは・・・地に落ちた主張もんだと・・・

「我々は、乳がんアジュバント、疾患回避トライアルでのサブグループ解析に基づいての考察に基づく臨床推奨を行うことはない」

Estrogen Debate Continues: The WHI Side
Published: Jul 22, 2013
http://www.medpagetoday.com/TheGuptaGuide/OB/GYN/40624

最初の質問は、ホルモン治療使用減少著明な地域で50-59歳で死亡率増加したというところの、リアルなエビデンスは何処にあるのか?

研究中心の変化は、50-59歳で、9万1千名に上るエストロゲン治療回避による死亡のことで、10年間に1万8千名死亡すると推定している。方法論として、これらの所見は信頼不能のプロジェクションで、仮説合成し、臨床上の情報が示されなければならないと WHI 研究者 Rowan Chlebowski, MD (University of California Los Angeles)が電子メールで述べている。

「我々は、乳がんアジュバント、疾患回避トライアルでのサブグループ解析に基づいての考察に基づく臨床推奨を行うことはない」


日本では良く見聞きしますけどね、事前設定されてないアウトカムで、後顧的解析をして、結論づけされることって・・・

FDA:糖尿病治療と称した非合法販売警告

FDA alerts companies to stop illegal sale of treatments for diabetes
Includes certain products containing undeclared active pharmaceutical ingredients
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm362012.htm

FDAは2013年7月、連邦法違反したとして、糖尿病薬代替商品販売した15の会社に警告文書を交付
アーユルベーダ商品やOTC、ホメオパチー商品などで、非合法的に、「血糖を自然に下げる」、「A1c値を有意に下げる」「眼・腎臓・神経障害・心疾患の危険を防止」「治療薬の代わりに」「糖尿病性下肢痛軽減に」と表示記載

一覧表示
http://www.fda.gov/ForConsumers/ProtectYourself/HealthFraud/ucm352276.htm


自然に 血糖降下」 ・・・ 日本では野放し・・・


米国は欧州よりサプリメントの効能表示は自由だが、やや欧州よりに表示厳格化となる兆しか?日本は、サプリメントの表示自由化するとか・・・
アベノミクスで健康食品表示が「企業任せ」へ 日米表示一覧から見える“怪しいサプリ”氾濫の未来 http://www.mynewsjapan.com/reports/1845

効能に疑念ある、コストパフォーマンスの悪いサプリメントの 宣伝が増える、悲しい日本の実態・・

日経記事の誤記載? 「メンソールタバコはニコチンに対する中毒症状度合いが高い」

メンソール入りタバコが若年喫煙促進してることは確かで、メンソール入りタバコ制限は賛成だが・・・

日本経済新聞社の記者の「中毒症状」ってなんだ?



メントールたばこ、中毒性高い可能性 米FDA評価
2013/7/24 10:45
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2400T_U3A720C1CR0000/
FDAの専門家チームは、メントールたばこと通常のたばこに関するさまざまな研究結果を分析。肺がんや呼吸器疾患など健康への直接の害では差が見られなかったが、メントールたばこは若年層がたばこを吸い始めるきっかけになることが多い上、ニコチンに対する中毒症状を示す度合いが高く、禁煙も成功しにくい傾向があるとした。
FDAは味覚の爽快さに加えて粘膜をまひさせる効果があり、煙を吸う抵抗感が少なくなって依存性が高まる可能性を指摘している

Toxicという単語無し
     ↓
F.D.A. Closer to Decision About Menthol Cigarettes
By SABRINA TAVERNISEPublished: July 23, 2013



FDA Cites Likely Risks of Menthol Cigarettes

Agency Says Greater Addiction Is Possible
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324783204578623731340812650.html

In a preliminary assessment of the possible health effects of menthol cigarettes, the federal agency said current data don't show such cigarettes are more toxic or increase the risk of smoking-related diseases compared with regular cigarettes.
But the FDA found that menthol in cigarettes likely increases smokers' addiction, and that menthol smokers "are less likely to successfully quit smoking."

この記事だと、現行データでは、メンソール入りタバコが通常のタバコより毒性高いといえるデータは存在しない ・・・ とある。

日経記事にある「ニコチンに対する中毒症状」とは「中毒」のことではなく、「ニコチンに対する依存症状」の間違いなのではと思いたくなる。いずれにせよ、「中毒症状を示す度合いが高い」とは誤りとみるべきだろう。

ニコチン中毒症状とは、「ニコチンによる正常機能阻害状態・病的状態」のことであり、ニコチンから離脱できない「依存症」とは異なるわけだが、この記事記載者混同してるのだろう。

新聞記者の基本的知識のなさがたびたび話題になるが・・・この日経の記事もそれを露呈したのかもしれない。




愛する人との別れ:”複雑性悲嘆”治療

複雑性悲嘆(complicated grief)ってことになってるけど、なんだかしっくりこない訳と感じてる。 PTSDもそうだが、日本語訳のため、無駄な議論が日本だけ続いた気がする。
この場合の"complicated"とは、”合併症”存在の意味だと思う。故に、brief reaction(悲嘆反応)に終わらない、心的病理的部分を含む心身合併症とともにある状況を指すと思う・・故に、「複雑性」という表現は・・・

精神・心理範疇では昔から誤訳がめだつ。「place phobia」などは「広場恐怖」じゃなく、本来は「場所恐怖」だし・・・

死別した家族への配慮というのが医療関係者に求められる傾向もある。いかなるアプローチが正しいか、一つの課題だろう。

Treating Complicated Grief
Naomi M. Simon, et.al.
JAMA. 2013;310(4):416-423. doi:10.1001/jama.2013.8614.
研究重要性  愛する人の死というのは人生最大、不変のストレッサーで、臨床的介入無く遺族の大部分は適応に成功する。遺族の一部に、死別悲嘆に他の問題が重なり、治癒困難となる。この複雑性悲嘆(complicated grief)にともなう症候群により、重要なdistressや機能障害が死別数年間でも継続する場合があるが、それへの介入時期・方法に関しては未だに解決してない。


研究目的 様々な診断、リスク要素、complicated griefの管理について、利用可能エビデンス及び臨床観察結果に基づき議論


Evidence Review  MEDLINE を1990年1月から2012年10月まで検索。選別研究リファレンス・レビュー記事から追加引用。complicated griefに対する有益治療研究を含む。



結果  強力な文献検索で、DSM-5によるcomplicated griefを参照
( 意味合いは、特異な外傷・ストレッサー関連疾患のサブタイプとして持続的複雑性死別疾患)するも、今後より多くの研究がフォーマルに要求される状況であり、適切な命名、診断クライテリアについて未だ議論進行中の病状である。

信頼性のあるスクリーニング法は利用可能で、推定発生率は死別の7%

ランダム化対照データにより、ターゲット化心理療法の有効性が支持され、それはcomplicating problemの改善を促進し、自然治癒プロセスを育てるエレメントを含む。

予備研究にて、うつ治療薬物も有用な可能性


結論・意義  健康アウトカムに多大な悪影響を有する複雑性悲嘆者を診断し、自殺リスクを評価し、他の病的状況合併状況、うつ、PTSDなどを評価し、治療を考慮すべきである。

原発開放隅角緑内障のルーチン検査所見 ・・・ 眼科専門医でないとだめ

 北米に於ける原発開放隅角緑内障:primary open-angle glaucoma (POAG)同定上の検査所見・関連リスク要素定量


Do Findings on Routine Examination Identify Patients at Risk for Primary Open-Angle Glaucoma?
The Rational Clinical Examination Systematic Review
Hussein Hollands, et. al.
JAMA. 2013;309(19):2035-2042. doi:10.1001/jama.2013.5099.


構造化Medline検索と手作業検索データベース

高品質研究緑内障要約罹患率 2.6%(95% CI, 2.1-3.1%)

評価リスク要素のうち、最も強い相関は
・高度近視 (球面度数 ≥6; オッズ比 [OR], 5.7; 95% CI, 3.1-11)
・家族歴 (OR, 3.3; 95% CI, 2.0-5.6)


・黒人  (OR, 2.9; 95% CI, 1.4-5.9)
・加齢  (especially age >80 years; OR, 2.9; 95% CI, 1.9-4.3)


 Cup-to-disc ratio (CDR:陥凹乳頭径比)増加ほど、POAG尤度は増加(CDR 0.7以上での尤度  14 (95% CI, 5.3-39))

 CDR asymmetry増加ほど、POAG尤度増加  (CDR asymmetry ≥0.3; LR, 7.3; 95% CI, 3.3-16)

CDRやasymmetryの単独閾値では緑内障除外できず

disc出血頻度は緑内障を強く示唆  (LR, 12; 95% CI, 2.9-48)
しかし、出血がないという所見は診断的意味なし   (LR, 0.94; 95% CI, 0.83-0.98)


IOP(22以上)という通常用いられるカットオフ値では、LRは  13 (95% CI, 8.2-17)
IOP少ないほど尤度低い  LR, 0.65; 95% CI, 0.55-0.76)

ルーチンセッティングでのGP施行に関するスクリーニング検査の研究認めず


結論としては、CDR高値 、CDR非対称性、disk出血、IOP増加といった所見に、家族歴、黒人、加齢がPOAGリスク増加と相関。ただ、これらの存在がないからといって、POAGリスク増加と相関。除外はできない。 現時点利用可能データによれば、緑内障同定の最も正確な診断法はやはり眼科医による検査


視神経乳頭陥凹(CDR):検眼鏡、細隙灯顕微鏡、眼底写真撮影法、無赤色眼底観察法で、視神経乳頭変化を観察

緑内障性視神経乳頭・網膜神経線維層変化判定ガイドライン
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/glaucoma2-8.pdf

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note