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すなわち、GLP-1受容体アゴニストの作用は、低下したGLP-1濃度の正常化機転というより、正常GLP-1濃度をさらに増加させた作用と言える。
Secretion of glucagon-like peptide-1 in patients with type 2 diabetes mellitus: systematic review and meta-analyses of clinical studies
Diabetologia , May 2013, Volume 56, Issue 5, pp 965-972
フルテキスト:http://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2Fs00125-013-2841-0.pdf
【目的/仮説】
2型糖尿病・非糖尿病性対照患者へのGLP-1分泌研究臨床的研究のシステマティックレビューし、GOTT and/or meal test中の血中総GLP-1濃度のmeta-analysis施行
【方法】
プライマリメタアナリシスのrandom effects modelとrandom effects meta-regression
サブグループ・回帰分析を施行
【結果】
29の異なる刺激試験、22トライアルで、GLP-1反応のrandom effects meta-analysisで以下のことが示された
2型糖尿病(n=275)有りと、2型糖尿病無し(n=279)比較で、総GLP-1に関し、同じresponseが示された;
・総AUC (tAUC) (159 pmol/l×min [−270, 589])
・時間校正 tAUC(tAUC min−1) (0.99 pmol/l [−1.28, 3.27])
・AUC増加 (iAUC) (−122 pmol/l×min [−410, 165])
・時間校正 iAUC (iAUC min−1) (−0.49 pmol/l [−2.16, 1.17])
fixed effects meta-analysisは、2型糖尿病患者では、ピーク血中GLP-1濃度明らかに高度。
サブグループ解析にて、2型糖尿病患者において、liquid mixed meal test後反応増加(peak, tAUC and tAUC min−1) 、50 g OGTT (AUC and tAUC min−1)後の増加、solid mixed meal test後の反応減少(tAUC min−1) が示された。
meta-regression analysisにおいて、HbA1cと空腹時血糖は、アウトカム iAUCと iAUC min-1のアウトカムの予測因子であった。
【結論/解釈】
この研究で判明したのは、2型糖尿病患者では、一般的には、OGTTやmeal testからの刺激でGLP-1分泌低下せず。
血糖コントロール異常とGLP-1分泌減少は相関関係があると考えられる。
ピーク血中濃度 (weighted mean difference [95% CI] 1.09 pmol/l [−2.50, 4.67])
長年、「糖尿病患者はインクレチン作用が低下し、GLP-1分泌障害されている」という嘘が蔓延していた・・・Medpageでは書かれてる。
むしろ、random effect modelでは、2型糖尿病と非糖尿病者では同じGLP-1分泌反応だが、fixed-effect meta-analysisでは、2型糖尿病でGLP-1のピーク血中濃度高度(加重平均 1.09 pmol/L、有意差無し)。さらに、mixed meal試験や50GOTT後も2型糖尿病ではGLP-1反応増加。solid mixed meal testではGLP-1ピーク値増加せず。
この負荷食品による違いは、栄養吸収の違いによるものかもしれないと研究者たちは考察。
2型糖尿病発症後GLP-1の反応特性も、急激に変化している可能性があると解説