2013年5月13日月曜日

2型糖尿病:GLP-1反応は正常者と変わらない、GLP1薬剤は反応低下代償効果ではなく、付加効果によるもの

GLP-1分泌データのシステミック研究として、2型糖尿病患者において、経口ブドウ糖負荷・食事負荷試験でGLP-1分泌減少することは一般的には認められてなかった。これが、以下のシステマティック・メタアナリシスで確認された

すなわち、GLP-1受容体アゴニストの作用は、低下したGLP-1濃度の正常化機転というより、正常GLP-1濃度をさらに増加させた作用と言える。


Secretion of glucagon-like peptide-1 in patients with type 2 diabetes mellitus: systematic review and meta-analyses of clinical studies

Diabetologia , May 2013, Volume 56, Issue 5, pp 965-972
フルテキスト:http://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2Fs00125-013-2841-0.pdf

【目的/仮説】
2型糖尿病・非糖尿病性対照患者へのGLP-1分泌研究臨床的研究のシステマティックレビューし、GOTT and/or meal test中の血中総GLP-1濃度のmeta-analysis施行
【方法】
プライマリメタアナリシスのrandom effects modelとrandom effects meta-regression
サブグループ・回帰分析を施行
【結果】
29の異なる刺激試験、22トライアルで、GLP-1反応のrandom effects meta-analysisで以下のことが示された
2型糖尿病(n=275)有りと、2型糖尿病無し(n=279)比較で、総GLP-1に関し、同じresponseが示された;
・総AUC (tAUC) (159 pmol/l×min [−270, 589])
・時間校正 tAUC(tAUC min−1) (0.99 pmol/l [−1.28, 3.27])
・AUC増加 (iAUC) (−122 pmol/l×min [−410, 165])
・時間校正 iAUC (iAUC min−1) (−0.49 pmol/l [−2.16, 1.17]) 
fixed effects meta-analysisは、2型糖尿病患者では、ピーク血中GLP-1濃度明らかに高度。 
サブグループ解析にて、2型糖尿病患者において、liquid mixed meal test後反応増加(peak, tAUC and tAUC min−1) 、50 g OGTT (AUC and tAUC min−1)後の増加、solid mixed meal test後の反応減少(tAUC min−1) が示された。 
meta-regression analysisにおいて、HbA1cと空腹時血糖は、アウトカム iAUCと iAUC min-1のアウトカムの予測因子であった。 
【結論/解釈】
この研究で判明したのは、2型糖尿病患者では、一般的には、OGTTやmeal testからの刺激でGLP-1分泌低下せず。 
血糖コントロール異常とGLP-1分泌減少は相関関係があると考えられる。
ピーク血中濃度 (weighted mean difference [95% CI] 1.09 pmol/l [−2.50, 4.67])


長年、「糖尿病患者はインクレチン作用が低下し、GLP-1分泌障害されている」という嘘が蔓延していた・・・Medpageでは書かれてる。

むしろ、random effect modelでは、2型糖尿病と非糖尿病者では同じGLP-1分泌反応だが、fixed-effect meta-analysisでは、2型糖尿病でGLP-1のピーク血中濃度高度(加重平均 1.09 pmol/L、有意差無し)。さらに、mixed meal試験や50GOTT後も2型糖尿病ではGLP-1反応増加。solid mixed meal testではGLP-1ピーク値増加せず。
この負荷食品による違いは、栄養吸収の違いによるものかもしれないと研究者たちは考察。

2型糖尿病発症後GLP-1の反応特性も、急激に変化している可能性があると解説

日本人:思春期特発性脊柱側湾関連染色体異常・遺伝子変異(GPR 126)

思春期特発性脊柱側湾(Adolescent idiopathic scoliosis : AIS)

日本のAISは、染色体 10q24.31との関連正が報告されていた。

AIS関連locus同定のため、X染色体SNPsに拡大し、replication cohortのサイズを増加させ検討。
1819名の症例と、25,939名の対照で、染色体6q24において新しい感受性遺伝子座(susceptibility locus)を同定 p= 2.25 x 10 -10最も有意なSNP rs6570507は、GPR126 (G蛋白質結合受容体 126)である。
これは、漢民族、ヨーロッパ民族の相関を再現(combined P = 1.27 × 10−14; OR = 1.27)

GPR126 は軟骨で特に発現され、zebrafish のgpr 126 ノックダウンで、脊椎発生の骨化の遅れを示す。

この遺伝子変異が、AISの病因・病態発生に関する上での、考察的役割を示した。

Genetic variants in GPR126 are associated with adolescent idiopathic scoliosis
Nature Genetics (2013) doi:10.1038/ng.2639
Ikuyo Kou, et al.

心房細動は、発作性、持続性に関係なく、抗凝固療法考慮必要なのだが・・・

心房細動は、持続性と永続性区別が臨床実地的なのかという議論がありながら
・発作性:paroxysmal
・持続性: persistent
・永続性: permanent
と分けられている。以下の報告見ると、永続性心房細動がないのだが・・・              

心房細動の上記分類に無関係に、血栓塞栓リスクに応じた抗凝固療法が考慮されるよう、コンセンサスガイドラインでは要求されている。

発作性心房細動に対して、適切な抗凝固療法がなされてないという話。


多変量解析にて、経口抗凝固薬処方リスク比は、発作性心房細動で75%、持続性心房細動で25%(95%信頼区間, 0.72-0.77)

National Cardiovascular Data Registry (NCDR)
Differences in anticoagulant therapy prescription in patients with paroxysmal versus persistent atrial fibrillation: Insights from the NCDR PINNACLE Program.
Hsu JC, Chan PS, Tang F, et al.
Heart Rhythm Society 2013 Scientific Sessions; May 8, 2013; Denver, CO. Abstract PO01-113.


ACC NCDR-PINNACLE Registry 、2008年6月から2012年6月まで
細動・中間から高度血栓塞栓リスク(CHADS2 スコア 2点以上)
62,018名のうち、発作性心房細動 46,458(74.9%)、持続性心房細動 15,560(25.1%)
発作性心房細動への抗凝固療法頻度少ない (48.1% vs 58.4%)
抗血小板治療の頻度が多い(34.2% vs 24.2%)
治療失敗率は 17.7% vs 17.4%
サブグループ解析にて、若年(75歳未満)が、発作性心房細動 vs 持続性心房細動での経口抗凝固療法使用頻度の差と有意に関連


抗血小板治療使用・抗凝固治療非使用に関するリスク比は、1.79(95% CI, 1.70-1.88)
抗凝固治療全く行ってない治療に関し、1.20(95% CI, 1.13-1.27)


今年第1・四半期 米国薬剤売り上げ トップ100



100 Top-Selling Drugs Report Released Mark Crane May 10, 2013
http://www.medscape.com/viewarticle/803986

制酸剤:esomeprazole(ネキシウム、アストラゼネカ)と、aripiprazole(エビリファイ、大塚)が米国処方薬剤今年第1・四半期トップ

続いて、サインバルタ、クレストール、Advair Diskusと続く・・・

増加ランキング
タミフル、シナジス、Advair Diskus、サインバルタ、ディオバン

減少ランキング
モディオダール(モダフィニル)、アボネックステラビック錠(テラプレビル)、エノキサバリン(クレキサン)、ツルバダ(HIV薬剤)

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note