2012年5月5日土曜日

ACR2012推奨:手・股・膝変形性関節症の非薬物的・薬物的治療

下記解説は要約記しただけで、文中の個別的記載を参照のこと。
たとえば、ヒアルロン酸関節注に関して、初期治療として推奨せずと記載され、条件下での推奨となっている。

American College of Rheumatology 2012 Recommendations for the Use of Nonpharmacologic and Pharmacologic Therapies in Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee
Arthritis Care & Research Vol. 64, No. 4, April 2012, pp 465–474 DOI 10.1002/acr.21596
© 2012, American College of Rheumatology
http://www.rheumatology.org/practice/clinical/guidelines/PDFs/ACR_OA_Guidelines_FINAL.pdf#toolbar=1


変形性関節症(OA)マネージメントに関する、 “strong” 及び “conditional” 推奨

手関節OAに対する、条件下マネージメント推奨モダリティーは、
・instruction in joint protection techniques :関節保護テクニック・インストラクション
・provision of assistive devices :補助具提供
・use of thermal modalities and trapeziometacarpal joint splints :温熱療法、菱形中手骨関節スプリント
・use of oral and topical nonsteroidal antiinflammatory drugs (NSAIDs), tramadol, and topical capsaicin

膝関節OAに対する、強い推奨マネージメント非薬物的モダリティーは
・aerobic, aquatic, and/or resistance exercises
・weight loss for overweight patients

膝関節OAに対する、条件下推奨・非薬物的モダリティーは、
・medial wedge insoles for valgus knee OA:外反膝OAへの内側楔状足底板
・subtalar strapped lateral insoles for varus knee OA:内反膝OAへの距骨下関節固定
・medially directed patellar taping, manual therapy, walking aids, thermal agents, tai chi, self- management programs, and psychosocial interventions

膝関節OAに対する、初期管理としての、条件下・薬物療法モダリティーは
・acetaminophen
・oral and topical NSAIDs, tramadol, and intraarticular corticosteroid injections
・intraarticular hyaluronate injections
・duloxetine, and opioids were conditionally recommended in patients who had an inadequate response to initial therapy.
・オピオイド鎮痛剤は、薬物治療失敗後のtotal joint arthroplasty希望なしあるいは禁忌患者で強く推奨。

股関節OAに対する推奨は、膝関節OA管理と同様。

中高校生女子サッカー:スポーツ外傷予防のための神経筋訓練の有効性

Football (soccer) ということで、女子サッカーの話

青少年女子の神経筋訓練(neuromuscular training)が急性膝損傷率減少に役立つかの研究

Prevention of acute knee injuries in adolescent female football players: cluster randomised controlled trial

BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3042 (Published 3 May 2012)Cite this as: BMJ 2012;344:


230名のスウェーデンサッカークラブ(介入群 121、対照群 109)
2009年、7ヶ月、1シーズンフォローアップ
12−17歳の4564名のプレイヤー(介入群 2479名、対照群 2085名)
シーズン中、15分の神経筋ウォームアッププログラム(core stability、バランス、proper knee alignment) 週2回実施
プライマリアウトカムは、前十字靭帯(anterior circulate ligament ACL)損傷
セカンダリアウトカムは、重度膝損傷率(4週超休養必要)および急性膝損傷
ACL損傷
介入群 7名(0.28%)
対照群 14名(0.67%)
ITTによるCox回帰分析にて、介入にてACL損傷 64%減少 (rate ratio 0.36, 95% 信頼区間 0.15 〜 0.85)
絶対的差比率は、1000プレー中時間あたり −0.07 (95% 信頼区間 −0.13 〜 0.001)
セカンダリアウトカムでは有意な差認めず

腹部大動脈瘤検診:腹部大動脈径25−30mmでもその後の死亡率、特定合併症入院リスクと相関

65歳以上の男性では腹部大動脈瘤の検診がRCTやメタアナリシスベースで推奨されている。多くの検診では30mmが基準とされているが、大動脈径とその後の死亡率、合併症との関連が示唆されている。



Long term outcomes in men screened for abdominal aortic aneurysm:
prospective cohort study
BMJ 2012; 344 
doi:10.1136/bmj.e2958 (Published 4 May 2012) 

【目的】 男性の腹部大動脈瘤検診:大動脈径と合併症・死亡率相関

【デザイン】 Prospective cohort study.

【セッティング】 Highland and Western Isles (a large, sparsely populated area of
Scotland).

【登録者】 65−74歳の8146名男性

【主測定アウトカム】 腹部大動脈瘤と大動脈径(24mm以下、25−29mm、30mm以上)3つのカテゴリーとの合併症、死亡率相関。


【結果】 大動脈瘤 30mm以上 414名(5.1%)、 25−29mm 660名(8.2%)、24mm以下 7063(86.7%)

フォローアップ期間中央値 7.4(中間四分位 6.9−8.2)年

死亡率は、有意に大動脈径に相関 24mm以下 512 (7.2%) men 、25−29mm 69 (10.3%)、 30mm以上 73
(17.6%)

大動脈瘤有りもしくは大動脈径25−29mmの男性では、24mm以下に比べ、死亡リスク高い

25−29mmの死亡リスク増加は、喫煙、既知心疾患要素により減弱する。

補正後、大動脈径24mm以下に比べ、大動脈瘤ありもしくは大動脈径25−29mmでの男性では、心血管・COPDのための入院リスクは有意に高い。


Fig 1 腹部大動脈径による、循環器系疾患入院までの年数

大動脈瘤による入院までの期間


大動脈瘤ありの男性は、心血管疾患、動脈硬化、末梢動脈疾患、呼吸器疾患入院リスク増加も認められる。

大動脈径25−29mm男性では、24mm以下に比べ、腹部大動脈瘤入院リスクは、有意に高い (補正ハザード比 6.7, 99% 信頼区間 3.4
to 13.2) 、このリスク増加は検診後2年で明らか。


【結論】 腹部大動脈を認め、大動脈径25−29mmの男性は、24mm以下の例に比べ、死亡率リスク高く、入院リスクが高い。
指標検診時25−29mm大動脈径測定された大動脈奨励では、リスク要素及び再検診に関する考慮がなされるべき。

エビデンスのない検診には一生懸命なのに、腹部大動脈瘤検診は顧みられない、日本の検診のまか不思議

noteへ実験的移行

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