2013年6月5日水曜日

理想的ライフスタイル → 8年後 全原因死亡率8割減

タバコを吸わず、地中海料理のような理想的食事をとり、正常体重を維持し、定期的運動することは、健康なライフスタイル。どの程度健康になるのか?・・・8年間で、全原因死亡率の80%まで減少することができる。


だが、この研究対象者で、健康ライフスタイル全てに合格する率はわずか2%

食事では、フルーツ、野菜、豆類、オリーブオイル、全粒穀物・魚を多く含み、ワイン・乳製品・肉を少なくという全ての要素が必要・・・まぁあくまで理想ということで・・・


Low-Risk Lifestyle, Coronary Calcium, Cardiovascular Events, and Mortality: Results From MESA
Am. J. Epidemiol. (2013) doi: 10.1093/aje/kws453 First published online: June 2, 2013

不健康ライフスタイルは冠動脈性心疾患の主要素
この研究の目的は、喫煙、体重維持、運動、食事と、冠動脈石灰化、心血管イベント、死亡率との関連を調査
Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (2000-2010)の44-84歳の米国人登録者(n=6,229)
ライフスタイルスコアを0-4に分ける
・食事
・運動
・BMI
・喫煙状態
冠動脈石灰化をベースラインと、事後評価平均3.1年(SD 1.3)
冠動脈イベントあるいは死亡フォロー7.6年間 SD 1.5)

対照群比較すると、ライフスタイルスコア1、2、3、4で、年次石灰化進行は、それぞれ、3.5 (95% 信頼区間 (CI): 0.0,7.0) 、4.2 (95% CI: 0.6, 7.9)、 6.8 (95% CI: 2.0, 11.5), 、 11.1 (95% CI: 2.2, 20.1)点ずつ年間緩徐化   (P = 0.003)
死亡に関するライフスタイルスコア非補正ハザードは、
スコア1 0.79 (95% CI: 0.61, 1.03)
スコア2 0.61 (95% CI: 0.46, 0.81)
スコア3 0.49 (95% CI: 0.32, 0.75)
スコア4 0.19 (95% CI: 0.05, 0.75) (P < 0.001 by log-rank test)

結論としては、定期的運動、健康食、喫煙回避、体重維持は、冠動脈石灰化発症低率化と関連し、冠動脈石灰化緩徐化し、総原因死亡率を7.6年間に相当するほど減少する。


考えてみると、わずか2%の人しか達成できないような”理想”を掲げて、全員まるでできるかのように指導するってのもどうなんだろ。




HeartBEAT研究:治療抵抗高血圧・OSA :酸素投与では降圧効果認めず、CPAP治療で低下

高血圧・循環器系専門家の一部、あるいは大部分は、睡眠時無呼吸と血圧のからみを軽視、あるいは、無視する。

Review Article
Resistant Hypertension and Obstructive Sleep Apnea
International Journal of Hypertension
Volume 2013 (2013), Article ID 193010, 6 pages
http://dx.doi.org/10.1155/2013/193010

3剤以上でも、血圧 140/90というゴールを到達できない、治療抵抗性高血圧は、高血圧症のうち、8.9%、降圧治療患者中12.8%を占めるという。そして、治療抵抗性血圧中のOSA(AHI 10以上)比率は、女性で65%、男性で95%という報告がある。そのOSAに影響として、繰り返す低酸素血症以外に、高アルドステロン血症、交感神経トーン亢進、血管内皮障害、炎症などが考えられ、治療抵抗性高血圧の生理的メカニズムと考えられ、CPAPが治療抵抗性高血圧の治療オプションとも考えられる。


CPAP治療では血圧減少に効果があるが、夜間酸素負荷では効果が無いと、冠動脈性心疾患(CHD)患者及び冠動脈性心疾患(CHD)リスク患者で、2.4 mmHg 、2.8 mmHgの24時間平均血圧の差が存在する。




HeartBEAT (Biomarker Evaluation in Apnea Treatment) study
106名の薬物治療、夜間酸素療法、CPAP治療への効果研究

4つのランダム化トライアル

重度OSA患者研究第一部分は、コントロールされた患者175名、コントロールに達してない患者109名からなる284名

コントロール未達成者では、強化降圧治療28名、強化治療せず81名
血圧コントロール未達成者は、糖尿病状態(p = 0.009) 、無呼吸指数 (p = 0.01)と有意関連

重度OSAは、治療抵抗性血圧と有意関連 (aOR 4.12, 95% CI 1.67-10.2, p = 0.002)、強化降圧治療レジメン使用と関連 (p = 0.01 vs 中等度OSA)

重度OSAは、強化降圧治療及び心臓疾患専門医管理されてるにかかわらず、心血管疾患患者の血圧コントロール不良さと関連している。




CPAP vs 夜間酸素投与比較部分では、CPAPアドヒアランスは未達成が多く、(すなわち、実施困難例が多く、)夜間酸素投与で血圧軽減できればよいという仮説

45-75歳、Berlinアンケートスコア2もしくは3で、冠動脈疾患もしくは、高血圧・糖尿病・肥満・脂質異常のうち3つ存在する場合を検討。
健康ライフスタイル・睡眠教育、教育・CPAP治療、教育・夜間酸素投与にランダム化
アウトカムは24時間持続血圧で測定

CPAPアドヒアランスは、夜間酸素投与アドヒアランスより悪い( p=0.001)
しかし、CPAPは夜間酸素投与より、平均血圧を有意に低下 (差 2.8 mm Hg, 95% CI 0.5 - 5.1)

酸素投与も、CPAPも酸素化は改善したのだが、
CPAPの長期的心血管的ベネフィットが期待できるはずと


One limitation of the study was that researchers did not stratify nocturnal from daytime blood pressure in blood pressure measures, Walia noted.
Primary source:
Gottlieb DJ, et al "Effect of continuous positive airway pressure and nocturnal supplemental oxygen on blood pressure in patients with obstructive sleep apnea: the HeartBEAT randomized clinical trial" SLEEP 2013; Abstract 0331.
http://www.sleepmeeting.org/flippingbook/sleep2013final/files/assets/basic-html/page68.html
Additional source:
Walia H, et al "Severe obstructive sleep apnea is associated with sub-optimally controlled blood pressure despite use of anti-hypertensive medications: Heart Biomarker Evaluation in Apnea Treatment (HeartBEAT) study" SLEEP 2013; Abstract 324.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/SLEEPPulm/39630

インド・アーユルヴェーダ医学の前向き・多施設・ランダム化対照化トライアル

インド・アーユルヴェーダ医学の前向き・多施設・ランダム化対照化トライアル

研究プロトコール

Comparative effectiveness of a complex Ayurvedic treatment and conventional standard care in osteoarthritis of the knee -- study protocol for a randomized controlled trial
Trials, 06/04/2013  Evidence Based Medicine
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3664613/

40-70歳、有痛性膝変形性関節症(VAS 40mm以上/100mm)を対象に、
・メンタル治療・マッサージ・日記・ライフスタイル助言・食品選択、栄養サプリメント・ヨガ姿勢助言・膝マッサージと組み合わせたテーラー化 
・観察群は、自己ケア助言、疼痛治療・(過体重なら)減量アドバイス・現行ガイドラインに従う理学療法
15治療セッション・12週間

アウトカム評価は6週間、12週間、6ヶ月、12ヶ月後

プライマリエンドポイントは、12週後WOMACスコア変化
セカンダリエンドポイントは、WOMACサブスケールである、疼痛障害指数、疼痛・睡眠VAS評価、疼痛経験スケール、QOL指数、気分特性、患者満足度Likert scale、患者日記、安全性



「アーユルヴェーダでは、3つの要素のバランス・・・トリドーシャ、ヴァータ(Vata: 風)、ピッタ(Pitta: 火)、カバ(Kapha: 水)で、宇宙の5元素(空、風、火、水、地)が生体内で2つずつペアを作ることで作られる。すなわち、ヴァータは空+風、ピッタは火+水、カバは水+地で、ヴァータは体内で細胞レベルでの細胞内外・各内外の電解質・糖などの移動で動きすぎると風が乱れて電解質・糖などの動きが不調になる。ピッタは、TCA回路などの酵素などエネルギー生成源で、代謝維持に働く。カバは、水分・油分で、細胞膜・細胞質構造維持的働き・物質蓄積の働き。」
「カバ体質・・・本来体格や構造を作るドーシャで体格が良く、安定と重さ、粘着性が有り、肉体労働や運動に耐える、白髪が少なく、黒髪、しかし、肥満しやすく、気管支疾患にかかりやすく、湿気に弱いため関節の異常も起こしやすい」「ピッタ・カバ体質・・・カバの安定性とぴったのそつのなさにより成功しやすい人。ただ、油性・湿性がでやすく、肥満による脂肪肝や関節の炎症を起こしやすい」
「生活が不規則、心身ストレス加重だと、ヴァータが増悪、バー他体質の人は寒さ・感想が強くなる晩秋から冬、梅雨にかけヴァータ悪化し、疲労・いらいらが強く、手足が冷たくなり、間接や腰が痛むなどのヴァータ過剰症状が出てくる。ヴァータの質と相反する質を持った生活を心がける。心身急速・規則正しい生活、音楽・香りでリラックスする、食事は温かいもの・油のある程度ふくむもの、入浴で体を温める、冷たい風に当たらないようにする、マッサージ、ごま油のオイルマッサージ」
「アーサナは座禅、季候と同じように呼吸と体の動きを合わせる、個記事に筋肉の緊張が低下し間接が柔軟に」
(補完・代替医療アーユルヴェーダとヨーガ [単行本]から抜き書き)

アーユルベーダ医療薬品中の重金属に注意 2004年 12月 18日

心不全治療ランダム化トライアル:中国漢方有効性提示

Li X, Zhang J, Huang J, et al. Li X, Zhang J, Huang J, et al. A multicenter randomized double-blind parallel-group placebo-controlled study of the effects of qili qiangxin capsules in patients with chronic heart failure. J Am Coll Cardiol 2013. J Am Coll Cardiol 2013
参照:http://www.theheart.org/article/1546703.do

慢性心不全500名超へのランダム化トライアル

qili qiangxin(芪藶強心: 11種薬草配合物:黄芪、人参、附子、丹参、葶藶子、澤瀉、玉竹、桂枝、紅花、香加皮、陳皮。)

12週間研究にて、プラシーボ比較でナトリウム利尿ペプチド値改善


qiangxin部分は、「強心」という意味。中国でも、このトライアル結果で、即、標準治療として推奨とはならず、臨床的エビデンスが必要だが、この研究はその有効性根拠にはなり得ると、共著者の弁

中国版FDAはqili-qiangxinカプセルを心不全治療として2004年認可
有効性エビデンス不明のままの認可であった。

慢性心不全 512名 (23施設)、18-75歳 (平均年齢 57歳) NYHA 2-4
男性比率75%、慢性心不全歴 77.2ヶ月

血中NT-proBNP値 30%以上改善率 :治療群 48% vs プラシーボ群 32%

加え、NYHA分類、 6MWD、QOL指標改善

死亡数: 4 vs 7
心不全悪化入院: 8 vs 16


日本漢方医療より健全に感じる、中国医療行政
ただ、このRCTは臨床的アウトカムとして、MACEではなく検査値変化を強調している。
故に、確固たる臨床的エビデンスとして疑問。プライマリアウトカムをMACEとしてより高品質のRCTが必要だろう。

それでも、漢方はRCTにそぐわないなどと逃げてる日本の漢方医療権威者たちよりは遙かに・・・



偏狭な漢方屋さんたちの言い分 2012/01/31

“EBM漢方” 感想文 2004年 07月 04日

漢方の一律健康保険適応はおかしい・・・という意見まで抹殺される風潮 2009年 11月 30日

NHKの愚挙続く:認知症と漢方 2012/02/27
・・・そんなに効果があるというなら、二重盲験RCTを ・・・ open labelや症例対照でごまかす研究は品質保証のあるエビデンスとは言いません → NHK解体賛成!

【米国】中年男性向きテストステロン処方乱発:ベネフィット・基準曖昧な中・・・ 疲労だけで処方も・・・

男性ホルモンであるテストステロンの補充療法の関して、日本でも、”男性更年期障害”などと 一方的に喧伝している人たちがいる。日本医師会学会誌はその軽薄さは非難されるべきである。
一方、診断基準・有益性に関しては見解がまとまってないが、有害性に関して様々な危惧が存在する

血中総テストステロン低値の特異性は低い・・・ いいかげんな基準で“男性更年期”を拡大解釈するな! 2012/04/13
男性更年期診断の厳格化によりその疾病はわずか2%となる ・・・ 疾患存在への疑問 2010年 06月 17日

疾患概念を拡大することにより利益を得る人たちが、非対称性情報を垂れ流している状況にあると私は考えている。


JAMA Internal Medicineの速報版にて、中年向けテストステロン米国内処方量増加の報告がなされている。
医療保険会社の追跡調査で、2001年 0.81%から、3%近くと、3倍以上処方が増えている状況。さらに拍車かがかかっている。DTCマーケッティングなどと、臨床専門家の一方的
処方の半数が、hypogonadismという診断され、勃起障害・性機能障害理由の処方は、全処方の40%であった。そして、3分の1は単に疲労という理由だけで処方。

Trends in Androgen Prescribing in the United States, 2001 to 2011
Jacques Baillargeon, et. al.


Promoting “Low T”A Medical Writer's Perspective
Stephen R. Braun, BA
JAMA Intern Med. 2013;():1-4. doi:10.1001/jamainternmed.2013.6892.

ARDSへのうつぶせ治療:肥満患者で、より酸素化改善、さらに、死亡アウトカム改善効果を示唆

ARDSへのProne Position (PP)の効果は、無気肺改善し、酸素可能・アウトカムを改善する。

重症ARDSへのうつぶせ治療効果 2013/3/21

一方、肥満は無気肺・ARDS発症リスクである。
となると、肥満者ARDSでのPP施行上の安全性、有効性に関心が高まる。

 結論から言えば、症例対照臨床研究によれば、PPは、肥満患者で安全で、非肥満患者よりむしろ酸素化改善を示唆する。

肥満患者ARDSこそ、PPの有効なサブグループ

Feasibility and Effectiveness of Prone Position in Morbidly Obese Patients With ARDS: A Case-Control Clinical Study
Audrey De Jong, et. al.
Chest. 2013; 143(6):1554-1561. doi:10.1378/chest.12-2115 


肥満患者 (BMI 35以上)・ARDS (PaO2/FIO2 200以下)を、非肥満(BMI 30未満)とマッチか

プライマリエンドポイントは、安全性と、PPコンプライアンス
セカンダリエンドポイントは、 PaO2/FIO2 、人工換気期間、ICU滞在期間

2005年1月から2009年12月まで、 149名のARDS入院
33名の肥満患者、33名の非肥満患者マッチ化

PP期間中央値(25th-75th パーセンタイル)
肥満:9 (6 - 11)時間 、非肥満: 8(7-12)時間 p=.28

合併症 51
肥満:25、 非肥満 26 

グループ同士、1つ以上の合併症数は同等 (n=10, 30%)


PaO2/FIO2比は、有意に肥満患者で増加  (肥満: 118 ± 43 mm Hg → 222 ± 84 mm Hg vs 非肥満 113 ± 43 mm Hg → 174 ± 80 mm Hg; P = .03)

人工換気期間、ICU滞在、院内感染に関して有意差なし

90日めでの死亡率は有意に肥満患者で減少 (27% vs 48%, p < 0.05)

小児閉塞型無呼吸と認知機能障害の関連:尿中神経伝達物質研究により関連性明らかに

小児の認知機能への影響は、社会的・国家的な問題でもある。小児認知機能と閉塞型無呼吸、特に、治療可能な扁桃腺肥大との関連にもう少し社会が関心を向けてくれたら・・・

小児閉塞型無呼吸(OSA)は認知障害と関連し、神経伝達系機能障害の存在を示唆。

小児 OSA
・尿中カテコラミン増加 :交感神経outflow増加を示唆
・GABA濃度増加、タウリン濃度減少 :neuronal excitotoxicity (ニューロン興奮性毒)とニューロンの障害のメカニズムを示唆
・特定の尿中神経伝達物質の終夜変化カットオフ値組み合わせ値で、OSAを予測可能であり、認知機能障害の予測も可能
・これらの知見を確認する上で、大規模コホートが必要


Urinary Neurotransmitters Are Selectively Altered in Children With Obstructive Sleep Apnea and Predict Cognitive Morbidity
Leila Kheirandish-Gozal, et. al.
Chest. 2013; 143(6):1576-1583. doi:10.1378/chest.12-2606 


興奮性毒:グルタミン酸による興奮性神経細胞死の仮説が特徴的

COPD:間葉系幹細胞注射によりCRP減少、副作用認めず しかし、QOL・肺機能には改善効果無し



COPD患者への間葉系幹細胞:MSC全身投与による抗炎症効果、そして、肺機能・QOL改善効果狙いの研究


52名への二重盲験 IV注射投与 MSCs (Prochymal; Osiris Therapeutics Inc) 
 4ヶ月毎 (100x106 個/注入)、2年間フォローアップ

エンドポイントは、安全性評価、肺機能、アンケートQOL評価、6MWT、全身性炎症評価

A Placebo-Controlled, Randomized Trial of Mesenchymal Stem Cells in COPD Daniel J. Weiss, et. al.
Chest. 2013; 143(6):1590-1598. doi:10.1378/chest.12-2094

2年フォローアップ 74%
注射毒性、死亡、重大副作用認めず

COPD急性増悪回数、疾患増悪などMSC治療での副作用有意増加認めず

肺機能、QOL指標に関し有意差認めず

CRP値有意減少が見られた

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note