2016年5月19日木曜日

WHI:スタチンは閉経後女性新規糖尿病発症患者の心血管疾患予防効果疑問?

 WHI(Women's Health Initiative)データの新規解析:2型糖尿病新規診断閉経後女性の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクをスタチン治療の存在によって有意減少させない
糖尿病診断時スタチン使用してない女性では、糖尿病を有さない女性に比べ、ASCVDのハザード比 1.42 (95% CI, 1.28 - 1.58)だが、

スタチン使用者、即ち、糖尿病診断時スタチン使用女性では、糖尿病を有さない場合、リスク増加の程度はやや軽度 (HR 1.39, 95% CI 1.12-1.74)

糖尿病患者においては、スタチン使用有無でその差は有意でなくなる


表題とは異なるが・・・ 解釈としては、住民ベース閉経後女性前向き観察研究において、スタチン治療有無にかかわらず、糖尿病新規発症はASCVDリスクを有意にたかめるということ。 スタチン治療がこの群にbluntであるかどうかは解釈を控えているとの記載




Impact of incident diabetes on atherosclerotic cardiovascular disease according to statin use history among postmenopausal women
Yunsheng Ma , et. al.
CARDIOVASCULAR DISEASE
European Journal of Epidemiology pp 1-15 First online: 17 May 2016


動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)における糖尿病発症インパクトを閉経女性にてスタチン使用に基づき比較
12万499名の閉経後女性、糖尿病・心血管疾患明確履歴無し、WHI前向きデータ 使用


糖尿病発症は年次自己報告、錠剤や糖尿病注射薬剤治療で定義
現行スタチン使用は、登録時、year 1、3、6、9、13.5で3臨床トライアルアームで決定
プライマリアウトカムは、ASCVDイベント発生。糖尿病発症とスタチン使用状態は経時的共役要素にてフィットさせ、Cox回帰モデルにてASCVDリスク評価(平均フォローアップ 13.6年間)
糖尿病診断時スタチンのない事例では、ASCVDリスク 糖尿病発症女性では糖尿病なしの場合に比べ 42%増加 [hazard ratio (HR) 1.42, 95 % CI 1.28–1.58]


スタチン使用事例では、ASCVDリスク  糖尿病発症女性では糖尿病なしの場合に比べ  39%増加 (HR 1.39, 95 % CI 1.12–1.74)

糖尿病によるASCVDリスク増加はスタチン使用前・使用後で同様 (P = 0.89)


糖尿病がスタチン使用前・後診断されても、ASCVDの糖尿病関連リスク増加に変動はない


 スタチン使用者の糖尿病発症増加緩和によりASCVDの benefit-to-risk ratio増加をもたらすことができそう

テロメア病へのダナゾール治療

骨髄不全、肝硬変、肺線維症、ひいては癌感受性増加を引き起こすテロメア維持・補修に関する遺伝的異常。アンドロジェンが歴史的に骨髄不全に用いられているが、培養・動物モデルで性ホルモンがテロメラーゼ遺伝子の発現を調整する・・・という序文


変な妄想広げないように・・・対象とされた患者像を示すと・・・
患者選択:年齢補正テロメア長 1パーセンタイル以下、テロメアのメンテナンス・修復関連遺伝子変異同定 or 血液異常(Hb 9.5 g/dL未満、血小板数 3万/mm3未満、好中球数 1000//mm3未満)、肺線維症のいずれかもしくは両者

最下段に疾患頻度推定される報告を掲げているが、家族性IPFの8-15%、sporadic IPFの1-3%、再生不良性貧血の3-5%程度の頻度と考えれる

この種の難病と思える疾患に、蛋白同化ホルモンで効果があったという・・・驚くべき報告


Danazol Treatment for Telomere Diseases
Danielle M. Townsley, et. al.
N Engl J Med 2016; 374:1922-1931May 19, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1515319

テロメア疾患の第1/2相前向き治験
ダナゾール800mg/日・経口投与24ヶ月間


telomere attrition加速減弱を目標、プライマリ有効性エンドポイントは、2年間観察年次減少率20%


27名登録後、プライマリエンドポイント評価可能12名患者全例でtelomere attrition減少認めたため、早期終了;ITT解析にて、 12/27(44%; 95% 信頼区間 [CI], 26 to 64)で既にプライマリ有効性エンドポイント合致



予想外なことに、ベースラインと比べ、24ヶ月目にはtelomereのゲインをほぼ全例認めた(11 / 12, 92%)


exploratory analysisにて、6ヶ月時点 (16 / 21 ; 平均増加, 175 bp [95% CI, 79 to 271]) 、12ヶ月時点(16 / 18 ; 平均増加,360 bp [95% CI, 209 to 512])で同様に増加認めた

血液学的反応として、3ヶ月  19 / 24  (79%) 、24ヶ月時点10 / 12 (83%)であり



ダナゾール既知副作用としての肝酵素レベル・筋肉クランプ(Grade 2以下 41%、33%)




テロメアは、repeated hexanucleotide:e (TTAGGG)nで、線状染色体 の終末に存在、テロメア機能としては、障害・感染DNA認識から染色体終末を防御する役割で、テロメラーゼ複合体によるテロメア修復は、分裂毎に遺伝素材 の避け得ない減少、すなわち"end replication problem"の解消にやくだつ。


テロメア疾患:

Telomere Diseases Rodrigo T. Calado, et. al.
N Engl J Med 2009; 361:2353-2365December 10, 2009DOI: 10.1056/NEJMra0903373












テロメア長とコモンな疾患の関連性
Telomere length and common disease: study design and analytical challenges
Hum Genet. 2015; 134(7): 679–689.




 Mutation Research/Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis
Volume 730, Issues 1–2, 1 February 2012, Pages 52–58
Telomeres and disease
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0027510711002892



特発性肺線維症の遺伝的リスク要素として、テロメラーゼ関連phynotypeがある
テロメラーゼは2つのコンポーネントとして、hTERTと: telomerase reverse transcriptase、 hTR:repeat addtionのためのtemplateを含む特異的RNA。
hTRは染色体3’末端へ(TTAGGG)nを追加するようhTR内でこのtemplateを使用。
細胞内でテロメラーゼは他の蛋白とholoenzymeを形成し、この生合成と安定性がX染色体DKC1遺伝子コードされているdyskerin蛋白に依存する









CTSN: 術後心房細動:心拍コントロール vs 調律コントロール 同等予後

 心臓手術後の心房細動は、死亡・合併症・入院と関連するが、術後心房細動安定患者において、ベストな初期治療戦略として、心拍コントロール vs リズムコントロールかはまだ未確定であった

結論としては、「心拍コントロール、リズムコントロール戦略とも入院日数、合併症率、60日内持続性心房細動率とも同等」


Rate Control versus Rhythm Control for Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery
A. Marc Gillinov,  et. al, for the CTSN
N Engl J Med 2016; 374:1911-1921May 19, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1602002


プライマリエンドポイントは、ランダム化後60日内の入院総日数で比較

術後心房細動(695/2109)33%発生、523名ランダム化

心拍コントロール群とリズムコントロール群とも同等
中央値, 5.1 日 、 5.0 日; P=0.76


死亡(P=0.64) 、血栓塞栓・出血イベントを含む重篤副事象イベント (心拍コントロール群 100人年対 24.8、リズムコントロール群 26.4 , P=0.61)にも有意差無し


治療群変更理由は、主に無効性(対照群)、アミオダロン副作用もしくは副事象(リズムコントロール群)


63日めに、心拍コントロール群 93.8%、 リズムコントロール群 97.9%が、事前30日間心房細動無しの安定心拍s (P=0.02)
退院から60日めまでに心房細動なしは、それぞれ84.2%、86.9%


結論:術後心房細動において、心拍コントロール、リズムコントロール戦略とも同様の入院日数、同様の合併症率、同様の発症から60日内持続性心房細動率であった






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