2016年5月3日火曜日

肥満:減量後も代謝適応により基礎代謝低下し、6年も続く;肥満リバウンドの機序

減量は基礎代謝速度低下を伴い、体組成変化により基礎代謝も減少する。
この現象はmetabolic adaptationとかadaptive thermogenesis(適応的熱発生?)などと呼ばれ、多源量の邪魔で、体重再増加現象にも関与する。
このありがたくない影響・作用はいつまで続くのだろう?

テレビ番組で減量を競い合った競技(30週間)参加者(平均148.9±40.5kg →競技終了 90.6±24.5 kg)を対象に検討した結果、6年後(体重:131.6 ± 45.3 kg)も(基礎代謝はベースラインより低下する場合があるほど)基礎代謝低下は続き、いわゆるmetabolic adaptationが増強され、減量前より太りやすいという悲観的な報告


Persistent metabolic adaptation 6 years after “The Biggest Loser” competition
Erin Fothergill, et. al.
Obesity,  First published: 2 May 2016

"The Biggest Loser"の安静代謝速度(RMR)の長期変化調査
関節calorimetryをベースライン、30週間、6年後調査
metabolic adaptation:代謝適応:体組成・年齢補正後residual RMRと定義

16名の"Biggest Loser"というテレビ番組減量競技の参加者
強化食事・運動介入したclass III 肥満
フォローアップは14名

競技終了時点での減量は (平均 ± SD) 58.3 ± 24.9 kg (P < 0.0001)
RMR は 610 ± 483 kcal/day (P = 0.0004)減少

6年後、体重減少分の41.0 ± 31.3 kg再増加 (P = 0.0002)、 RMR ベースラインより 704 ± 427 kcal/day減少 (P < 0.0001) 、 metabolic adaptation −499 ± 207 kcal/day (P < 0.0001)

体重再増加は競技終了時点でのmetabolic adaptationと相関せず (r = −0.1, P = 0.75)、しかし、6年後体重減少維持被検者はconcurrentな代謝速度低下も伴っている(r = 0.59, P = 0.025)




急性胃腸炎:施設託児1年間は増加、その後感染予防的に

1歳児デイケア託児は急性胃腸感染(AGE)のタイミングを早め、託児所年は感染burden増加するも、その後、防御的働きをして、託児されない子供より感染に対して防御的となり、6歳までこの防御的役割を果たす


Wheezing Illnesses Study Leidsche Rijn cohort 6年間、 デイケア託児初年の急性胃腸炎(acute gastroenteritis)発症とプライマリケア受診率の影響を6歳まで検討


First-year Daycare and Incidence of Acute Gastroenteritis
Saskia Hullegie, et. al.
Pediatrics May 2016, VOLUME 137 / ISSUE 5
http://pediatrics.aappublications.org/content/137/5/e20153356


1歳未満のデイケア託児 2220名中1344名(83%)、1歳デイケア託児と、非託児対照とは同等 (IR: 12.2/100 vs 13.3/100 人年)
1歳デイケア託児は、非託児と比べ、初年1年でAGE高頻度 IRR: 1.13; 95% confidence interval: 1.06–1.21) 、3-6年で減少  (P < .0001)

デイケア関連AGE発症率増加は主に託児初年12ヶ月であり、明らかな季節性を認めた
同様パターンがAGEエピソード毎プライマリケア受診率についての認められた

Hピロリ治療中のクラリスロマイシンによる急性精神神経症リスク増加

短期間で精神神経症を誘発する、Hピロリ菌除菌治療

抗生剤投与後の躁症状出現を、"antibiomania"と呼ぶが、クラリスロマイシンだけでなく、除菌治療に含まれるアモキシシリンでも報告がある



Association Between Acute Neuropsychiatric Events and Helicobacter pylori Therapy Containing Clarithromycin
Angel Y. S. Wong, et. al.
JAMA Intern Med.  Published online May 02, 2016.doi:10.1001/jamainternmed.2016.1586



香港のClinical Data Analysis 及び Reporting System database



post hoc nested case-control analysisも施行
年齢補正 incidence rate ratios (IRR) は conditional Poisson regressionにて行う

最低1回CAM処方された患者 66 559 。平均(SD)年齢: 50.8 (14.8 歳);初回暴露時平均年齢 55.4 (14.8) 歳、男性 30 910  (46.4%)。

研究期間中初回複合神経精神イベント 1824名


複合精神神経イベント組み合わせ(72人年あたり35)、 IRR増加 4.12 (95% CI, 2.95 - 5.76)、1暴露前14日間 (72人年あたり14イベント);  IRR, 1.63; 95% CI, 0.96-2.77) vs baseline (16 665人年あたり 1766 イベント)


現行使用中のIRR増加 4.12 (組み合わせ精神神経イベント 72人年あたり 35; 95% CI, 2.94 - 5.76)、直近使用なしでは増加認めず  (9 events during 82 person-years; IRR, 0.95; 95% CI, 0.49-1.83) 、暴露前14日間(72人年中14イベント; IRR, 1.63; 95% CI, 0.96-2.77) vs baseline (16 665 人年中1766)

同様に、精神病イベントと認知機能障害とも、ベースラインに比べた現行使用中ではリスク増加するが、近日使用の場合ベースラインまで次第に減少する

CAM使用中精神神経イベント、精神病イベント、認知障害組み合わせ粗絶対リスクは、1000処方あたりそれぞれ 0.45、0.12、0.12

nested case-control analysis でもself-controlled case series analysisと同様の結果


 

末期腎不全:心房細動ワルファリン治療にリスク/ベネフィット疑念、非末期腎不全は効果



Stroke, Major Bleeding, and Mortality Outcomes in Warfarin Users With Atrial Fibrillation and Chronic Kidney Disease : A Meta-Analysis of Observational Studies
Khagendra Dahal, et. al.
Chest, Volume 149, Issue 4, April 2016, Pages 891-892
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2443140


メタアナリシスによると、CKDのうち、non-end-stage CKDではない、end-stage CKDに於いてワルファリン使用に関しリスク/ベネフィット比不良の可能性あり



11コホートの13出版(後顧的研究6つ、前向き研究5つ)、48,500患者、ワルファリン使用11,600患者


AF及びnon-end-stage CKDでは、ワーファリン虚血性卒中/血栓塞栓リスク低下(HR, 0.70, 95% CI, 0.54 - 0.89; p=0.004)、死亡率低下(HR, 0.65, 0.88 - 0.72; p< 0.00001)。重大出血への影響なし (HR, 1.15; 95% CI, 0.88 - 1.49; p=0.31)


一方、AF及びend-stage CKDでは、ワルファリンは卒中リスクへ効果無し(HR, 1.12; 95% CI, 0.69-1.82; P =0 .65) 、死亡率へも効果無し(HR, 0.96; 95% CI, 0.81-1.13; P = 0.60)、しかし、重大出血リスク増加あり(HR, 1.30; 95% CI, 1.08-1.56; P = 0.005)

上:卒中/血栓塞栓、中:重大出血、下:死亡率

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note