Atypical B cells and impaired SARS-CoV-2 neutralisation following booster vaccination in the elderly
Isabella A.T.M. Ferreira, et al.
doi: https://doi.org/10.1101/2022.10.13.22281024
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.10.13.22281024v1
SARS-CoV-2感染後の入院や死亡は、ワクチン接種者であっても年齢が大きな危険因子となる。 高齢者では、一次接種コースに対する反応が不十分であることが報告されているが、ブースター3回目の接種に対する反応に対する年齢の影響に関する情報はほとんどない。
AZD1222の2回投与スケジュールのprimaryワクチン接種した70歳以上の対象者では、70歳未満の対象者に比較してSARS-CoV-2スパイクpseudotyped virusの中和抗体価は有意に低い。ブースター接種1カ月後の血清結合抗スパイクIgG抗体濃度およびスパイク特異的B細胞頻度には年齢群による差は認められなかった。
しかし、高齢者のpost-3rdスパイクワクチンの抗体の親和性および多様性(potency or breadth of the overall memory antibody compartment)低下は、特異的CD11cとFCRL5の発現循環中B細胞のenrichmentと相関していた。単細胞RNAsequencingで、 B cell activation/receptor signalling pathway geneのenrichな高齢者でのTBX21-、ITGAX-発現B細胞のexpansionが確認された。
重要なことは、ブースター後の高齢者において、SARS-CoV-2スパイクペプチドに対するT細胞応答はIFNγとIL2分泌の両面で損なわれており、またT細胞受容体シグナル伝達経路遺伝子の減少も観察されたことである。
このようなatypical B細胞のexpansionやT細胞応答の障害は、高齢者では3回目以降の投与で親和性の低い成熟した抗体が生成され、中和能が低下する一因になっている可能性がある。
以上より、高齢者におけるワクチン接種後のワクチン応答障害の程度とそのメカニズムが明らかになり、高齢者のCOVID-19感染感受性を高める一因となっていることが示唆された。