2012年1月21日土曜日

日常臨床・検診・保健指導におけるHbA1cは全部国際標準化で・・・ 後手後手



糖尿病の診断基準値、国際標準に変更へ
http://www.asahi.com/national/update/0120/TKY201201200469.html
日本糖尿病学会などは20日、糖尿病の診断に広く用いられているヘモグロビンA1c(HbA1c)と呼ばれる値の読み替えを発表した。表記を国際標準に合わせる。4月以降の一般診療で実施する。  HbA1cは、過去1~2カ月の平均的な血糖値を反映する測定値。日本ではJDS値と呼ばれる数値が「精度が高い」として使われてきたが、海外ではNGSP値と呼ばれる値が一般的で、「日本だけ異なる表記のままだと、研究や治療に重大な不利益となる」として変更する。  NGSP値はJDS値より約0.4ポイント高い。「糖尿病が強く疑われる」数値はこれまでの6.1%以上から6.5%以上となる。  ただし、特定健診(メタボ健診)はシステムの変更など影響が大きいため、2012年度まではJDS値のみを使い、13年度以降については今後、協議する。
・・・新聞記事


で、糖尿病学会の説明は・・・

日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針
http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/modules/news10/article.php?storyid=45#45http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/modules/news10/article.php?storyid=45#45

2012年4月1日より日常臨床等においてもNGSP値「HbA1c(NGSP)」の使用を開始いたしたいと考えております。これらの経緯ならびに詳細 を下記の基本方針及び運用指針として掲載致しました。なお、学会誌「糖尿病Vol.54 No.12」の巻頭にも同様のものを掲載しております。
重要なお知らせ:日常臨床及び特定健診・保健指導の於けるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針(平成24年1月5日 日本糖尿病学会 糖尿病関連検査の標準化に関する検討委員会) pdf



DSM-5:自閉症の多くが診断クライテリアから外れる可能性


2013年5月に出版予定で、17年ぶりの大改訂であるDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders V(DSM V)

この出版へ向けての専門委員会再評価が始まった。
その中で、自閉症のクライテリアの狭小化に対し、多くの興味がもたれている。(NYTimes )。


110名に一人が現在自閉症の診断だが、この提案提議により、かなりの数、減少することが明らかになったとのこと。自閉症やAsperger syndromeのような関連疾患の現行クライテリアの曖昧性と、それに伴う診断率の著増(100名に一人)が問題化されている。

自閉症の新しい定義に対し、重要なサービスが受けられなくなるのではないかという家族の懸念がある。

専門家たちは、「診断の変化もゴールは診断を明確化することであるが、家族からサービスを奪うことではない」と説明している。

新しいパラメータはスペクトラム内のカテゴリー定義のインスタンスのいくつかを除去すること。たとえば、Asperger syndrome。 広い意味での診断症例とすることで、より個別的にしなければならず、特定の種類で特定のアプローチを優先するというものではない。



別の報道では、Asperger Syndromeの75%、Pervasive Developmental Disorders(広汎性発達障害)の85%が新しい定義下で除隊される推定されるとのこと
(http://www2.wnct.com/news/2012/jan/20/new-proposed-autism-definition-could-include-fewer-ar-1838193/)。



DSM-5: A 09 Autism Spectrum Disorder
http://www.dsm5.org/ProposedRevisions/Pages/proposedrevision.aspx?rid=94

 



関連: 
DSM-5フィールドトライアルの遅れ 2010年 10月 06日

慢性不眠症 :薬物治療に関するエビデンスも不十分 ;CBTとの併用が最適だろうが・・・

”不眠”を訴える患者は多い。そして、私自身も、結果的に不眠をよく経験する。
25%の人が自分の睡眠に満足せず、昼間の生活に10-15%が影響を及ぼす不眠と答えており、不眠症の診断クライテリアに合致するのは6-10%と紹介文献に書かれている。

短期的な不眠に関して薬物治療は効果あるし喜ばれるのだろうが、慢性不眠の可能性、あるいは慢性不眠への移行の可能性がある。
慢性不眠を念頭に置いて、不眠の診療は行うべき。

ただ、その慢性不眠の定義すら・・・はっきりしてないという指摘もあるのだが・・・

慢性不眠の総説的まとめ・・・
Chronic insomnia
Charles M Morin et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 20 January 2012 doi:10.1016/S0140-6736(11)60750-2 


不眠症は臨床においてかなり頻度の高い訴えであり、単独あるいは、他の医学的・精神的病態の合併症として存在する。それ自身で治療が必要な場合もある。
様々な治療オプションのなかで、benzodiazepine-receptor agonists (BzRAs) と cognitive-behavioural therapy (CBT) が経験的エビデンスとして最良なものとして支持されている。

BzRAs は、利用されやすく、短期的治療には有効だが、長期的有効性のエビデンスは乏しく、多くの睡眠薬は副作用の可能性がある。

CBTは慢性不眠の有効性として代替的である。ただ、薬物治療より時間がかかる。CBTの実践は、睡眠を改善し、その効果も持続し、治療は患者に受容されやすい。
CBTは多くの臨床的状況で利用されがたいが、アクセス、サービス供給は革新的技術、電話コンサルテーション、グループ治療、自助アプローチなどで安易化されてきてる。

CBTと薬物治療併用でアウトカム最適化される可能性がある。ただ、これらのアプローチをintegrateするベストな方法を臨床実践をガイドするエビデンスは乏しい。


薬物治療選択ガイドライン
(Clinical guideline for the evaluation and management of chronic insomnia in adults.;J Clin Sleep Med. 2008 Oct 15;4(5):487-504.)
  • 短期・中間持続型ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BzRA) or ramelteon
  • 代替:BzRA or ramelteon 第一選択役の反応で選択(作用持続時間不十分ならより半減期の長いものを選択など)
  • 鎮静作用を有する低用量抗うつ薬 sedating low-dose antidepressant うつ症状のある人、治療失敗など
  • BzRAと抗うつ薬の併用 併用療法によりそれぞれの薬剤の投与量を抑え毒性低下

  • tiagabin、pregabalin、quetiapin、olanzapineなどの有効性エビデンス不十分
  • アルコール、chloral hydrate、非バルビタール系非ベンゾジアゼピン系薬剤、たとえばmeprobamateなどは毒性、乱用・依存のため推奨されない。
  • 抗ヒスタミンは有効性データ不十分なのと副作用のため使用すべきでない
  • OTC薬としてのvalerianやmelatoninも一般には安全性欠如・有効性データ欠如のため推奨されない



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