2013年10月2日水曜日

死亡アウトカム比較: 運動 vs くすり :良きライバルであり、「運動」を凌駕できない薬剤も多種・多数

「お薬を処方しておきます」ということで話がおしまいって時代ではない。そもそも、薬物療法は、疾患予防法・治療法のごく一部に過ぎないが、金が多く動く介入方法に皆が群がり、介入トライアルもこれに集中する。もともと非対称性、バイアスだらけの世界。

純粋に、死亡率だけで、薬物と運動を評価すると、運動介入は薬剤に対し充分善戦できる存在。

Comparative effectiveness of exercise and drug interventions on mortality outcomes: metaepidemiological study
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5577 (Published 1 October 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f5577


BMJ誌における数百トライアル、34万名近い対象者で、運動と薬剤の死亡抑制効果比較

運動は特定の薬剤に対して良きライバルとなりえ、卒中薬剤へのパフォーマンスで優越している。


各種疾患での運動vs個別薬剤比較のネットワーク
ノードのサイズはトライアル被験者数に比例し、太さはランダム化直接比較数の反映



運動と全薬剤介入との比較のネットワーク



network meta-analysis:運動と薬剤介入比較



αグルコシダーゼ阻害剤って・・・

下肢変形性関節症の治療の核は「運動」 ・・・ この原則を無視する整形外科医たち

充分なエビデンスで、無運動を凌駕する、運動のベネフィットは十分に証明されている

下肢変形性関節症に対しては、筋力、flexibility、好気的運動の組み合わせが最も効果的


Exercise for lower limb osteoarthritis: systematic review incorporating trial sequential analysis and network meta-analysis
Olalekan A Uthman,  et. al.
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5555 (Published 20 September 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f5555





下肢変形性関節症による社会的コストは膨大。生涯有症状変形性関節症確率は25.3%。膝関節がそのうちの44.7%を占める。薬剤、医療介入だけでなく、氾濫する低効果・無効果サプリメントや疑似医療行為などの直接コストと、生産性低下・損失に伴う関節コストに関して膨大である。日本国行政はこのようなコストをトータルに鑑みようとせず、野放しの状況である。英国では3600万人日の労働喪失、GNPのおよそ1%損失に相当という推定がなされている。カナダでは、1人あたり1年間1万2千200カナダドルの遺失利益と推定されている。

上記論文のまとめ
現行の国際的ガイドラインでは、変形性関節症管理において、治療的運動(地上歩行あるいは水中歩行)が、「核」及び効果的管理方法であり、疼痛・機能への効果があり、容易であり、副作用が少なく、低コストでもある。
2002年の時点で、運動介入のベネフィットに関して充分なエビデンスが存在しており、いまさらこのベネフィットに関して検討の必要すら無い。

一方、関節の痛みに対して、安静をアドバイスし、効果的な運動療法に導こうとしない不埒な医師たちも存在する。一時的除痛しか認められない介入を繰り返すだけの詐欺的医療行為を行うのみという嘆かわしい医師たち(e.g. 治療の原則は安静」 AND 変形性関節症)の存在。こういうひとたちが、一方では「ロコモ」とさわぐ・・矛盾。


【デンマーク】院外心停止:bystander心肺蘇生 年次的に生存者数増加

Association of National Initiatives to Improve Cardiac Arrest Management With Rates of Bystander Intervention and Patient Survival After Out-of-Hospital Cardiac Arrest
Mads Wissenberg,  et. al.
JAMA. 2013;310(13):1377-1384. doi:10.1001/jama.2013.278483.

院外心停止の早期発見介入が患者生存率に関連し、bystander心肺蘇生が生存率に関与する一要素と考えられる。 
bystander CPR、bystander 除細動の短期トレンド、 30日間生存率、1年間生存率を主要アウトカム測定
国内調査 Danish Cardiac Arrest Registry(2001年から2010年)
蘇生院外心停止29,111例、非心臓原因を除外(7390)、EMS人員による心停止除外(2253)

年齢中央値は72歳。男性 67.4%。bystander CPRは調査期間中増加(21.1% (95% CI, 18.8%-23.4%)→ 44.9% (95% CI, 42.6%-47.1%) p < 0.001)

bystanderによる除細動使用率は増加しているもののその使用頻度は未だに低い (1.1% [95% CI, 0.6%-1.9%] in 2001 →  2.2% [95% CI, 1.5%-2.9%] in 2010; P = .003)


受診時生存数増加  (7.9% [95% CI, 6.4%-9.5%] in 2001 →  21.8% [95% CI, 19.8%-23.8%] in 2010; P < .001)

また、30日生存率も改善   (3.5% [95% CI, 2.5%-4.5%] in 2001 →  10.8% [95% CI, 9.4%-12.2%] in 2010; P < .001)

同様に、1年生存率も改善   (2.9% [95% CI, 2.0%-3.9%] in 2001 → 10.2% [95% CI, 8.9%-11.6%] in 2010; P < .001)

期間中院外心停止頻度現象に関わらず (10万対 40.4 → 34.4 ; P = .002)、10万対生存者数増加 (P < .001)

研究期間全体を通して、 bystander CPRは30日生存率と正相関。

ただ、目撃状況に影響される(30日生存率 心停止目撃例 4.3% [95% CI, 3.4%-5.2%]  vs 心停止非目撃例 1.0% [95% CI, 0.8%-1.3%] ;4.38 [95% CI, 3.17-6.06])、それぞれ、心停止目撃対応は、  19.4% (95% CI, 18.1%-20.7%) vs 6.1% (95% CI, 5.4%-6.7%); odds ratio, 3.74 (95% CI, 3.26-4.28)


日本ではどうなんだろ



日本でも同様傾向が示唆されるが、頭打ち気味?
積極的啓発活動が必要だろう。オリンピックも控えてるわけで・・これを利用するとか・・・



肥満手術後も慢性疼痛オピオイド中止できず、むしろ、増量必要

慢性疼痛へオピオイド使用が日本でも認可(e.g. トラマールカプセル)されはじめ、なんだか、抵抗感を感じる日常。

肥満自体が慢性非がん性疼痛と関連するとされる。この報告は、肥満患者・減肥手術患者での、慢性疼痛オピオイド使用の影響検討したもの。


Chronic Use of Opioid Medications Before and After Bariatric Surgery
Marsha A. Raebel, et. al.
JAMA. 2013;310(13):1369-1376. doi:10.1001/jama.2013.278344.

減肥手術コホートで、手術後も慢性オピオイドは1年後も、77%で継続。
むしろ、オピオイド使用量は術後の方が増加している。



原因関連性は様々考えられるが、事実として、肥満と慢性疼痛の関連性存在する。
2008−2010年ギャロップ調査、白人比率85%、高校教育率94.2%の内訳で、正常BMI 36.8%、過体重 38.3%、肥満 24.9%
過去12ヶ月間疼痛経験(背部、頸部、膝)調査したところ、過体重群(BMI 25−29)では20%、30−34では68%ほど疼痛存在。
http://www.webmd.com/pain-management/news/20120130/does-obesity-cause-pain



【議論】患者は全て個室入院すべきか?

HEAD TO HEAD
Should hospitals provide all patients with single rooms?
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5695 (Published 24 September 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f5695


Yes
・医療関連感染症予防・コントロール
→ 全体的には感染症コントロール上の個室使用原理にエビデンスがないが、CD、ノロウィルス、結核、インフルエンザなどを例示、感染症原因と思われるARDS感染例も。

・患者のニーズ:プライバシー

No
・多くの患者は仲間を探す、そして、看護師がすぐ応答できないとき手助けしてくれる。入院期間と関係し、急性期、一週間以内なら個室希望が多く、長くなれば、例えば、三週間以上なら個室希望は減る
・スコットランド政府国内臨床指導によると、Radio Scotland(2013年2月4日)報告によると、患者同士の相互監視は役立ち、患者安全上有益というもの。
・感染症リスクに関しては、個室管理の有効性に関しては、CDに関してもそれを一般化できるような頻度ではないと主張。
・一律個室という考えは正当化できない

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