2014年3月3日月曜日

islet zinc transporter (ZnT8)機能喪失遺伝子変異(ヒト)の糖尿病発症抑制効果

SLC30A
http://envirome.jp/egpdb-project/diabates/g-slc30a8/
 SLC30A8は、亜鉛トランスポーターZnT8をコードし、膵臓ランゲルハンス島β細胞に特異的に発現するアイソザイムで顆粒膜や細胞膜に存在する。 SLC30A8の発現は、亜鉛、脂質、グルコース量に呼応する。SLC30A8発現量の変化はインスリン分泌と関連がある。SLC30A8発現の減少は、 亜鉛が減少することに加え、脂肪毒性が生じることで生じ、グルコース応答性インスリン分泌(GSISを減少させる原因となる。しかし、SLC30A8の過剰発現は、テトラキス(2-ピリジ ンメチル)エチレンジアミンやパルミチン酸により引き起こされるGSIS減少を阻害する。


Loss-of-function mutations in SLC30A8 protect against type 2 diabetesJason Flannick, et. al.
Nature Genetics (2014) doi:10.1038/ng.2915
SLC30A8機能欠損変異にて、2型糖尿病予防的、 islet zinc transporter (ZnT8)抑制が2型糖尿病発症抑制に働く可能性



遺伝子検査1万5千名で発見した稀な遺伝子変異で、肥満でも2型糖尿病になりがたいというもの。すでにファイザーはめざとくこの研究に経済的援助し、創薬を狙っている。

Rare Mutation Kills Off Gene Responsible for Diabetes
http://www.nytimes.com/2014/03/03/health/rare-gene-protects-against-type-2-diabetes-even-in-obese-people.html

COPD : FEV1、BODE個人内変動と臨床的アウトカム

COPDってのは、1秒量の変化だけで予後推定できるのだろうか?

よく見受けるこの図はほんとに科学的根拠があるのだろうか?

 (Fletcher C, et al.: Br Med J 1: 1645, 1977).

 COPDの指標である、BODE指数変動が少なく安定な場合アウトカムと関連し、FEV1を用いたアウトカム予測は一致せず関連性は少ない。



Longitudinal assessment in COPD patients: multidimensional variability and outcomes
Ciro Casanova,et. al.
ERJ March 1, 2014 vol. 43 no. 3 745-753
アウトカムへの変動性や相関についての情報が少ないため、COPD多次元評価の値・タイミングは不明。この研究目的は、アウトカムとしてCOPD進行具合を臨床的・スパイロメトリー変数を用い、死亡率の経時変化上への影響を決定する目的。


FEV1とBODE指数の年次個体内変動を5つの測定最低限行った403名。
観察中66%以上の一致性残存の「安定」、閾値まで合致しない「不安定」
704名の死亡率関連する年次観察最小数報告


FEV1「不安定」パターンは、年次40mL、100mLを閾値として、53%、40%に見られる。


BODE指数における「安定」パターンは、1ポイント62%とすこしだけ多い。


死亡率関連特性は、BODE指数2年間年次連続測定ベースラインによるが、個別因子、FEV1などでは明確でない  (p < 0.001)
FEV1を用いたCOPD進行ではアウトカムに一致せず、関連性乏しい。BODE指数安定というモニタリング疾患発症上評価として優れている。

COPD急性増悪グレーディング:EXACT、E−RS・・・

患者報告アウトカム日記による急性増悪同定について、急性増悪重症度に関し一定の有効性がしめされた。正確な検出力があるかは不確定。


COPD急性増悪標準化 EXACT-PROの信頼性 2011年 02月 02日

EXAcerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool (EXACT)
http://www.exactproinitiative.com/
PRO (Patient - Reported Outcome)
E-RS: EXACT派生インストルメント

EXACT e-Diary Certification Program(http://www.exactproinitiative.com/wp-content/uploads/2014/01/EXACT_eDiary_Vendor_Certificationv3_Evidera.pdf)



Detection and severity grading of COPD exacerbations using the exacerbations of chronic pulmonary disease tool (EXACT)
Alex J. Mackay, et. al.
Eur Respir J 2014 43:735-744; doi:10.1183/09031936.00110913


ロンドンCOPDコホート58名、前向きEXACT完遂(128のコホートカード定義急性増悪)(2010年1月から2012年4月)


平均±SD EXACTスコアはベースラインから急性悪化発症で増加  42.6±8.6  → 48.0±8.6  (p<0 .001="" 54.1="" p="">


最大EXACTスコアは有意に無治療イベントより高い 


 EXACTスコアのベースラインまでの必要期間は、ロンドンCOPDコホートカード判断の症状改善、PEF回復までの期間と有意関連。日記カード定義・医療施設ケア利用急性増悪50%までは、EXACT イベント閾値横断的。しかし、EXACTイベントクライテリアに完全一致なのは、 日記定義で27.9%、医療利用で34.6%。増悪時EXACTスコア増加は、ベースライン疾患重症度増すほど少ない。 




日米ねじれ適用薬剤:レルベアのCOPD治療:アドエアと有効性安全性・・・大差なし

日本では、フルチカゾン・フランカルボン酸/ビランテロール(FF/VI 100/25μg)はCOPD適応ない。ところが、米国FDAでは、7千7百COPDトライアルに基づく、COPD承認。


Breo Ellipta(FF/VI:フルチカゾン・フランカルボン酸/ビランテロール)
BREO ELLIPTA is a combination of fluticasone furoate, an inhaled corticosteroid (ICS), and vilanterol, a long-acting beta 2 -adrenergic agonist (LABA), indicated for long-term, once-daily, maintenance treatment of airflow obstruction and for reducing ex acerbations in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD). (1) Important limitations: Not indicated for relief of acute bronchospasm or for treatment of asthma. (1, 5.2) 
http://us.gsk.com/products/assets/us_breo_ellipta.pdf


日本では、レルベアは喘息にのみ適応(ICS/LABA併用が必要場合のみ)
http://relvar.jp/product/basic/effect.html


ちなみに、CHMPは、
喘息に対して、FF/VI  184μg/22μg、92μg/22μg
COPDに対して、FF/VI 92μg/22μg
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Summary_of_opinion_-_Initial_authorisation/human/002673/WC500150090.pdf


地域毎承認具合にばらつきがあって興味深い。健全と言えば健全・・・



A comparison of the efficacy and safety of once-daily fluticasone furoate/vilanterol with twice-daily fluticasone propionate/salmeterol in moderate to very severe COPD
Alvar Agustí, et. al.
Eur Respir J 2014 43:763-772;  doi:10.1183/09031936.00054213

フルチカゾン・フランカルボン酸/ビランテロール(FF/VI 100/25μg)1日1回(レルベア(エリプタ)) vs フルチカゾン・プロピオン酸/サルメテロール(FP/SAL 500/50)1日2回

中等度から最重症COPD、プライマリエンドポイントは0-24時間加重平均FEV1(weighted mean FEV1) 量12週間、100mlのベースラインからの改善とSGRQ変化量


FF/VIは、FP/SALに比べ、wmFEV1は大きく (平均 130 mL)、100mL以上までの改善期間は迅速(中央値16分)(vs FP/SAL 平均 108 mL, 28分)
SGRQ総スコアは両群で改善  (FF/VI -4.3 units, FP/SAL -3.0 units).


治療群の差は統計学的に有意でない。 


FF/VI 6例、 FP/SAL 3例で重度副事象、薬剤関連副事象はない


肺機能改善・健康状態改善は群間差認めず、安全性特性に差を認めず



【AAAAI】花粉症持ちも悪いことばかりじゃない! 心臓発作・脳血管疾患・全原因死亡率リスク低下の可能性

花粉症などアレルギー性鼻炎持ちは、心臓発作リスク減少?
http://annualmeeting.aaaai.org/UserFiles/file/AllergicRhinitisAsthmaandCardiovascularDisease_v2.pdf


1995-2012年の間の心臓疾患、脳血管疾患、全原因死亡率、年次死亡率への影響検討

花粉症などアレルギー性鼻炎を有する場合、心発作リスク減少だけじゃ無く、脳血管疾患・全原因死亡率リスク減少


原因考察は不十分だが、喘息患者み見られる心疾患増加関連性とは異なるという記載
e.g.)http://www.medscape.com/viewarticle/775475


喘息なしの花粉症持ちにとっての朗報ということになる

AAAAIプレスリリース:経口減感作報告だらけの中、食品植物エストロゲンのアレルギー抑制効果、好酸球性食道炎、慢性鼻副鼻腔炎性差

AAAAI年次総会から・・・

● 植物エストロゲン増加ほど喘鳴、喘息、アレルギー頻度減少
 http://annualmeeting.aaaai.org/UserFiles/file/UrinaryPhytoestrogenLevelsAssociatedwithWheezingAsthmaandAtopy.pdf



● 経口減感作
Consuming Low Doses of Peanut after Being Desensitized with Peanut Oral Immunotherapy Can Produce Sustained Unresponsiveness

New Findings of the Benefits of Allergy Immunotherapy Show Implications for the U.S. Healthcare System

Pairing Oral Immunotherapy with Biological Medication for Allergic Asthma Reduces Dosing-Related Side Effects and Time Needed to Reach Maintenance Dose

Prolonged Avoidance of Peanuts after Peanut Oral Immunotherapy May Reverse Its Effects



●好酸球性食道炎
食物アレルギー既往にて好酸球性食道炎の可能性
http://annualmeeting.aaaai.org/UserFiles/file/FoodAllergyandDevelopingEoEtotheSameFood_v1.pdf
EoE(好酸球性食道炎)は、食道組織好酸球増加による炎症と浮腫を生じる状態で、乳製品、卵、大豆製品・麦などが原因となる。小児病院にて、特定食品アレルギーが疑われ除去後症状軽減あるいは再投与症状再現で診断考慮。425名の疑い例で、疑い食品投与にてEoE発症。94%がアトピー性疾患を有していた。
→ 難病情報センター:http://www.nanbyou.or.jp/entry/2296 臨床研究班:http://ee.shimane-u-internal2.jp/23.html


●慢性鼻副鼻腔炎と鼻茸:女性の方が男性より重症罹患率多い
http://annualmeeting.aaaai.org/UserFiles/file/Sex-SpecificDifferencesinDiseaseSeverityinChronicRhinosinusitisPatientswithNasalPolyps.pdf



女性の方が自己免疫疾患・喘息罹患率多い。では、慢性鼻副鼻腔炎・鼻茸はどうか?
1200名を超える患者で、女性の方が慢性鼻茸を有する慢性鼻副鼻腔炎は有意に少ない。だが、慢性鼻副鼻腔炎・鼻茸女性は喘息をより有しやすく、アスピリン過敏気道疾患患者の65%が、アスピリン過敏症と関連する。さらにこれらの症例は手術必要性があり、関連蛋白・抗体産生が増加する。




●花粉症などアレルギー性鼻炎持ちは、心臓発作リスク減少?(別掲)
http://annualmeeting.aaaai.org/UserFiles/file/AllergicRhinitisAsthmaandCardiovascularDisease_v2.pdf
花粉症などアレルギー性鼻炎を有する場合、心発作リスク減少だけじゃ無く、脳血管疾患・全原因死亡率リスク減少

多施設コホート二次解析:吸入ステロイドは入院必要肺炎と関連性認めずというが・・・

多施設コホート の二次解析でエビデンスレベルそのものは低いと思うのだが・・・それなりの研究グループのよう


肺炎ということでも「walking pneumonia」のような本来抗生剤も必要でないような肺炎から、入院必須・さらにICUケア・人工呼吸必要な重症例までいろいろあるわけで、吸入ステロイドと肺炎との関連性についてはそのくくりを明確にする必要がある。


薬剤副作用として、対象臓器関連疾病による入院比率を相当数増加させるとしたら、その薬剤の存在意義に関わるわけで・・・



この報告の結論は、一応、吸入ステロイド入院前使用と、入院肺炎の関連性に、統計学的有意性をみとめないという ことだが、COPDや非喘息・非COPDでは、信頼区間微妙。



Prehospital Use of Inhaled Corticosteroids and Point Prevalence of Pneumonia at the Time of Hospital Admission: Secondary Analysis of a Multicenter Cohort Study
Emir Festic, et. al.
United States Critical Illness and Injury Trials Group
Lung Injury Prevention Study Investigators (USCIITG-LIPS)
Mayo Clinic ProceedingsVolume 89, Issue 2 , Pages 154-162, February 2014 


5584名の検討で、ICS吸入 495名(9%)、入院必要肺炎 1234((22%)の症例
ロジスティッ ク回帰分析にて、全コホートで入院前吸入ステロイドと全コホート肺炎発症において、有意な関連性認めず(OR 1.20 ; 95% CI 0.93 - 1.53)、COPDにおいても(OR 1.40; 95% CI, 0.95 - 2.09)、喘息(OR 1.07; 95% CI 0.61 - 1.87)、COPD・喘息無し(OR 1.32; 95% CI 0.88 - 1.97)でも同様


COPDに於けるICS投与のポジション・・・議論が必要だと思う

【ワクチン行政の愚】肺炎球菌ワクチン(PPV23)肺炎入院・肺炎発症予防効果ベネフィットわずか 有意性認めず

Hibワクチンじゃ無くて、欠陥ワクチンPPV23、すなわち、西田敏行が変な宣伝している・・・アレ! このワクチンに関して、呼吸器学会が変だからどうしようも無いのかもしれないけど・・・



政府・行政というところは、「医療の効率化」とすぐ言うくせにその解決法の例と言えばすぐ、ワンパターンで、「ジェネリック導入」がなどと、脊髄反射発言を繰り返す。経済界もそうだが、直感的にしかものを考えられないのだろう。行政にも司法判断にも科学性を求めるべきだ。実際、その方法論は完全とは言いがたいが少なくとも導入している国も存在するわけだし・・・。官僚の直感、経済界の利益性だけで国が動き、お涙ちょうだい国会議員が国策を混乱させる。ワクチン行政が代表的。



真の効率化は、コストにかかる効率・効果・有効性解析からしか生まれない。


果たして、一般高齢者への肺炎球菌ワクチンのその効果・効率・有効性は、コストに見合うのだろうか?


3万名弱の60歳以上のスペインの前向き住民コホート(7万6千33人年)研究。

細菌性肺炎発症は、ワクチン群 0.14 vs 非ワクチン群 0.26
非細菌性肺炎発症は、ワクチン群 1.46 vs 非ワクチン群 1.44
全原因市中肺炎は、ワクチン群 7.19 vs 非ワクチン群 7.71
PPV23は、プライマリアウトカム設定(市中肺炎入院・全原因肺炎)に対し、ベネフィット有益性を認めなかった

Effectiveness of the 23-Valent Pneumococcal Polysaccharide Vaccine Against Community-Acquired Pneumonia in the General Population Aged ≥60 Years: 3 Years of Follow-up in the CAPAMIS Study
Olga Ochoa-Gondar1, et. al.
Clin Infect Dis. (2014)  doi: 10.1093/cid/ciu002 First published online: February 13, 2014

あと、二次解析で、感度分析・層別分析して、有効性の言い訳がなされている。

接種後5年未満では、細菌性市中肺炎、非細菌性肺炎、全ての肺炎、全原因市中肺炎で、リスク減少が示されたと・・・


PPV23は、反復投与で、効果減少の可能性があり、接種タイミングや回数に関して、充分なエビデンスも存在しない。・・・そんなのに、国税を使う愚!!!


・ 本邦老人施設:肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌のワクチンであり、肺炎ワクチンではない!2010年 03月 12日
・ 肺炎球菌性肺炎予防のエビデンス無き肺炎球菌ワクチン:PCV7の方がより免疫反応が優秀 2009年 09月 09日

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note