2013年7月3日水曜日

潜在性結核感染症治療指針

現行、健康保険のみでLTBI保険診療がおこなわれている、すなわち、感染症予防法の届け出義務を怠ってる場合もかなり多いと思え、法治国家としてはあってはならない現状。
そもそも、保健所など行政などが、医療機関や医療関連団体へ積極的に働きかけてないように思える。


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潜在性結核感染症治療指針 平成25年3月  
日本結核病学会予防委員会・治療委員会
http://www.kekkaku.gr.jp/ga/Vol.88%282013%29/Vol88_No5/Vol88No5P497-512.pdf

 LTBI治療対象の決定に際しては,①感染・発病のリスク,②感染の診断,③胸部画像診断,④発病した場合の影響,⑤副作用出現の可能性,⑥治療完了の見込みについて検討が必要である。
 積極的にLTBI治療を検討するのは,HIV/AIDS,臓器移植(免疫抑制剤使用),珪肺,慢性腎不全⁄透析,最近の結核感染(2年以内),胸部X線画像で線維結節影(未治療の陳旧性結核),生物学的製剤の使用,多量の副腎皮質ステロイドなど,相対危険度が4以上と考えられる状態である。それよりはリスクは低いが,複数の発病リスクが重複した場合にLTBI治療の検討が必要なのは,経口および吸入副腎皮質ステロイド剤の使用,その他の免疫抑制剤の使用,糖尿病,低体重,喫煙,胃切除等である。
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LTBI治療に際しては,患者に対して副作用および発病の危険,および薬の中断の危険について健康教育が必要であり,保健所と連携して治療継続のための支援と治療成績の評価をする。感染症法の規定によって保健所への患者発生の届出が義務付けられており,保健所はそれに基づく登録,訪問指導,服薬支援を行うことになっている。結核指定医療機関における医療は保健所に公費負担申請を行い,感染症診査協議会の審査を経て承認されれば自己負担額が低減される。

COPD:不安と身体活動量は相関する



COPDに於ける身体活動性は、今年改定の日本のCOPDガイドラインの注目点の一つ。 一方、肥満関連疾患などでは、acceloerometryを用いた身体活動性評価がなされている。
COPD患者において、うつや不安とこの身体活動性の関連性を検討したところ、奇異な現象が見つかった。

すなわち、身体活動性増加と不安特性の関連性である。

 Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS)スコア 1ポイント増加毎、1日あたりのステップ数が288増加する (β 288 steps, p < 0.001 :全因子補正後)

逆に、高レベルうつでは、身体活動性低下(β -178 steps, p=0.02);ただし不安が存在する場合

不安とうつの相互関連(β 26 , p = .10)は不安では身体活動性をため、うつでは低下に向かうことが示唆される。


Patients With COPD With Higher Levels of Anxiety Are More Physically Active
Huong Q. Nguyen,  et. al.
Chest. 2013; 144(1):145-151. doi:10.1378/chest.12-1873a


COPDでは身体活動性増加がひとつの目標とされたが、ネガティブな不安という因子の関与をいかに考えるか、課題が加わった。

長期非侵襲的陽圧呼吸療法候補小児への催眠術応用



長期NPPV候補の小児へ、不安軽減と、順応化のため、催眠術を・・・


有効で、安全で、非侵襲的で、安価なツールという結論

2-15歳 9名
うち、生下時からの気管切開2名、上顎顔面手術既往2名、重度呼吸苦2名、肥満合・うつ合併という理由で不安レベル 高い7名を含む

最若年では集中力回避、年長では心理身体的リラクセーションを獲得するよう、直接・間接的催眠

全ての患者でNPPV受容性良好・・・という結果

Medical Hypnosis as a Tool to Acclimatize Children to Noninvasive Positive Pressure Ventilation: A Pilot Study
Vincent Delord , et. al.
Chest. 2013; 144(1):87-91. doi:10.1378/chest.12-2259



催眠術は、小児hypoanalgesy訓練された看護師(フランス・パリ、 French Institute of Hypnosis)

【COPDと認知機能】COPD急性増悪は、悪い健康状態・長い入院期間と関連する認知機能障害が認められ、退院後も改善しない



COPD急性増悪急性期患者において、認知機能障害は、健康状態悪化・入院期間長期化と関連し、認識されてない軽症から重度認知障害を有し退院する比率は多く、回復が望めないという事実が判明した。


Cognitive Dysfunction in Patients Hospitalized With Acute Exacerbation of COPD
James W. Dodd,  et. al.
Chest. 2013; 144(1):119-127. doi:10.1378/chest.12-2099

認知機能はcopd合併症でもっとも研究されてない併存症
低酸素状態で生じるともされるが、急性増悪時の存在に関しては確立してない

110名の患者、内訳、退院待ち急性増悪30名、安定COPD外来患者50名、対照30名検討

COPD急性増悪では、安定患者より認知機能測定範囲において有意に悪化 (p < .05)
低酸素、疾患重症度、脳血管リスク、喫煙pack-yearと関連無し

COPD急性増悪患者のうち、障害範囲なのは57%、processing speedの病的障害と思われるのが20%

認知機能障害は、St. George&s Respiratory Questionnaire screと相関(r = - 0.40-0.62, P≦ 0.02)、入院期間とも相関(r = 0.42, p = 0.02)

3ヶ月後認知機能観点では改善ない

家庭内血圧遠隔モニタリング・薬剤師症例管理プログラム:血圧管理良好

IT利得者たちにとって大喜びの報告、 でも、長年の報告じゃなく、せいぜい1年半



Effect of Home Blood Pressure Telemonitoring and Pharmacist Management on Blood Pressure ControlA Cluster Randomized Clinical Trial
Karen L. Margolis, et. al.
JAMA. 2013;310(1):46-56. doi:10.1001/jama.2013.6549.

【重要性】  米国内での血圧高値者の約半数のみ血圧コントロール状況下。血圧コントロール不能例に対し臨床実地的、十分な、持続的なモデルが血圧コントロール化以前のため必要。
【目的】  通常ケアと比較した上での、居宅血圧モニタリングと薬剤師症例管理を結合して介入で血圧コントロール改善するか判断と、血圧コントロールが介入後も維持するか否かも判断

【デザイン、セッティング、被験者】  cluster randomized clinical trial 、 Minneapolis-St Paul, Minnesotaにおける集約的医療システム16プライマリケアクリニックの14,692名の電子カルテから、登録した血圧未コントロール 450 名の成人
12ヶ月介入と、介入後6ヶ月間フォローアップ
【介入】  8つのクリニックを通常ケア (n = 222) 、 8つのクリニックを遠隔モニタリング介入 (n = 228)にランダム割り付け
介入患者は居宅血圧遠隔モニターを受け、血圧データは降圧治療調整する薬剤師へ転送。
【主要アウトカム・測定】  6ヶ月後、12ヶ月後、収縮期血圧を140 mmHg未満、拡張期血圧を90 mmHg未満(糖尿病、CKDでは <130 br="" mmhg="">セカンダリアウトカムは血圧の変化、患者満足度、18ヶ月後血圧コントロール  (介入後フォローアップ 6ヶ月 )
【結果】  ベースライン時、女性 45%、白人 82%、平均(SD)年齢 61.1(12.0)歳、 平均収縮期血圧 148 mmHg、拡張期血圧 85 mmHg
6,12ヶ月後ともに血圧コントロールされた比率は 
介入群 57.2% (95% CI, 44.8% - 68.7%) vs 通常ケア群 30.0% (95% CI, 23.2% - 37.8%) (p = .001)
18ヶ月(介入後フォローアップ6ヶ月時点)で、血圧コントロール比率は
介入群 71.8% (95% CI, 65.0% - 77.8%) vs  対照群 57.1% (95% CI, 51.5% - 62.6%)   (P = .003)
通常ケア対照群と比較し、6ヶ月後収縮期血圧は、ベースラインから減少大きい  (−10.7 mm Hg [95% CI, −14.3 〜 −7.3 mm Hg]; P<.001)、12ヶ月時点でもより減少(−9.7 mm Hg [95% CI, −13.4 〜 −6.0 mm Hg]; P<.001)、 18ヶ月時点でも対照比較で減少有意性維持(−6.6 mm Hg [95% CI, −10.7 〜 −2.5 mm Hg]; P = .004)

遠隔モニタリング介入群では、通常ケア群と比べ、ベースラインからの拡張期血圧減少大きい;6ヶ月時点(−6.0 mm Hg [95% CI, −8.6 〜 −3.4 mm Hg]; P<.001)、12ヶ月時点  (−5.1 mm Hg [95% CI, −7.4 〜 −2.8 mm Hg]; P<.001)、18ヶ月時点  (−3.0 mm Hg [95% CI, −6.3 〜  0.3 mm Hg]; P = .07)

【結論・知見】  居宅血圧伝各モニタリングと薬剤師症例管理により、通常診療と比べ介入期間12ヶ月及び介入後6ヶ月間血圧コントロールは改善

Trial Registration  clinicaltrials.gov Identifier: NCT00781365

末梢動脈疾患(間欠性跛行有無不問):居宅運動プログラムにより運動耐用能・身体活動性・スピード改善

末梢動脈疾患(PAD)への居宅ベースウォーキング運動プログラム助言のエビデンス不十分だった。

間欠性跛行有無問わないPAD患者において、居宅ベースのウォーキングプログラムだが、グループを介した認知行動介入を使用し、グループサポート、自己調整技倆を組み入れて、機能的パフォーマンス改善したかどうか、健康教育対照群と比較

194名のPAD患者、間欠性跛行無し 72.2%

介入は2平行群:居宅ベースの認知行動的ウォーキング介入 と 教育対照条件の比較

プライマリアウトカムは、6ヶ月後6分間歩行パフォーマンス
セカンダリアウトカムは、6ヶ月間のトレッドミルウォーキング、身体活動性、Walking Impairment Questionnaire (WIQ)、Physical and Mental Health Composite Score(12項目 Short-Form Health Survey)


介入群ランダム割り付け群では、
・ 6分間歩行距離増加(m表示 357-399.8 vs 353.3-342.2,  差平均 53.5 [ 95% CI, 33.2-73.8] ; p< .001)
・ 最大トレッドミルウォーキング時間(介入群 7.91-9.44分 vs 対照群 7.56-8.90分; 差平均 53.5 [95% CI, 1.01 分 [95% CI, 0.07-1.95] ; p = 0.04)
・ 7日間accelerometer-測定身体活動性(介入群, 778.0 - 866.1 vs 対照群, 671.6 - 645.0; 差平均, 114.7 activity units [95% CI, 12.82 to 216.5]; P = .03)
・ WIQ distance score (介入群, 35.3 - 47.4 vs 対照群, 33.3 0 34.4; 差平均, 11.1 [95% CI, 3.9 - 18.1]; P = .003)
・ WIQ speed score (介入群, 36.1 - 47.7 vs 対照群, 35.3-36.6; 差平均, 10.4 [95% CI, 3.4 - 17.4]; P = .004)


結論としては、居宅ウオーキングプログラムは、PAD患者(間欠性跛行有無不問)で、運動endurance改善し、身体活動性やスピードを増加させる。
今後のsupervise下運動プログラムに対して不能・無意欲対象者へも検討が必要。

Home-Based Walking Exercise Intervention in Peripheral Artery Disease: A Randomized Clinical Trial
Mary M. McDermott, , et al.
JAMA. 2013;310(1):57 doi:10.1001/jama.2013.7231


 

心不全:BNP判断によるプライマリケア・専門機関共同診療により左室収縮期・拡張期機能障害、心不全発生頻度低下



Natriuretic Peptide–Based Screening and Collaborative Care for Heart Failure:  The STOP-HF Randomized Trial    
Mark Ledwidge,  et. al.
JAMA. 2013;310(1):66 doi:10.1001/jama.2013.7588


重要性  心不全予防戦略必要性

目的      新規診断心不全減少と有意な左室収縮期 and/or拡張期機能障害頻度減少目的としたBNPとリスク状態患者共同ケア使用によるスクリーニングプログラムの有効性決定

デザイン、セッティング、被験者      St Vincent’s Screening to Prevent Heart Failure Study は、 平行群ランダム化トライアルで、アイルランドの1374名の心血管リスク要素保有者(平均年齢 64.8歳 [SD, 10.2])、39のプライマリケア施設から登録(2005年1月から2009年12月(で、2011年12月までフォローアップ(平均フォローアップ、4.2 [SD, 1.2]年間)

介入      ランダム割り付け
・通常プライマリケア (対照として; n=677)
・BNPを用いたスクリーニング  (n=697)
BNP  50 pg以上の介入群登録者は心臓超音波検査、共同ケアをプライマリ医師と専門心血管施設で行う

主要アウトカム・測定項目      プライマリエンドポイントは、無症状左室機能障害(新規診断心不全有無問わず)頻度
セカンダリエンドポイントは、不整脈、TIA、卒中、心筋梗塞、末梢・肺血栓・塞栓、心不全のための緊急入院

結果      介入群総数263名(41.6%)は少なくとも1回は BNP 50 pg/mL以上の検査値を有する。
介入群では、心血管検査頻度多く (対照, 496 / 1000 人年 vs 介入, 850 / 1000 人年; 発生率比, 1.71; 95% CI, 1.61-1.83; P<.001)、 フォローアップ時RAASベース薬剤を多く服用  (対照 49.6%; 介入, 56.5%; P=.01)
プライマリエンドポイント(左室機能障害、心不全有無両方とも)は、対照群 59/577(8.7%)、 介入群 37/697(5.3%) (オッズ比 [OR], 0.55; 95% CI, 0.37-0.82, p= 0.003)
無徴候左室機能障害は、対照群 45/677 (6.6%)、介入群 30/697 (4.3%) (OR, 0.57; 95% CI, 0.37-0.88; P = .01)
心不全発生 対照群 14/677 (2.2%) 、介入群 7/697 (1.0%) (OR , 0.48 ; 95% CI, 0.20-1.20; p = 0.12)
重大心血管イベント緊急入院発生比率は、 対照群 40.4/100人年  、介入群 22.3/1000人年(発生頻度比 0.60 ; 95% CI, 0.45-0.81 ; p =0.001)

結論・知見      心不全利リスク患者において、BNPベース篩い分け、プライマリケア・専門施設共同診療は左室収縮期機能障害、拡張期機能障害、心不全の複合的イベント発生減少

noteへ実験的移行

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