2012年3月3日土曜日

スタチン投与は遺伝子型によっては間質性病変発症・病態促進に関与?


interstitial lung disease (ILD)の発症と進行に対するスタチンの役割







COPDGene喫煙者の大規模コホートに於けるスタチン使用とILA( interstitial lung abnormalities:間質性肺病変)の関連評価
bleomycin-induced fibrosisのマウス実験


Statins and Pulmonary Fibrosis
The Potential Role of NLRP3 Inflammasome Activation

Am. J. Respir. Crit. Care Med. March 1, 2012 vol. 185 no. 5 547-556 


COPDGeneは、ILA患者で38%、ILAなしで27%

スタチン使用はILAと正相関   (odds ratio, 1.60; 95% confidence interval, 1.03–2.50; P = 0.04)(高コレステロール・CAD既往補正後)
この相関はスタチンの水溶性・対象者年齢により補正される。

スタチン投与は、bleomycin処理マウス肺障害・線維症 を増悪させる。
スタチン前処理により、 in vivoin vitroで、caspase-1-mediated免疫反応を促進する。
後者の反応は、 Nlrp3−/−Casp1−/− マウスから分離骨髄マクロファージにより消失する。

さらに、スタチンが、マクロファージ内のミトコンドリアROS産生増加により、NLRP3-inflammasone activationを促進することを示した。
スタチン治療は、COPDGene研究での喫煙者の間質性肺病変を増加させ、マウスにおいてはbleomycin誘発肺炎症・線維化促進し、それは、NLPR3-inflammasone activationによるメカニズムであることを示唆した。






スタチン系薬剤での間質性肺炎発現について、【重大な副作用】の項に「間質性肺炎」が追記されている。
http://www.yakuji.co.jp/entry19147.html


特に、ジェネリック採用の無情報桟敷の医療関係者は注意が必要だろう 。もっとも、先発採用しているところでもMRがまともに情報提供しているとは限らないが・・・

急性肺障害後のうつ発症リスクと うつの身体障害への悪影響報告



急性肺障害後のうつ症状の発症リスク要素の分析
それと、急性肺障害後の身体機能障害のリスク要素としてうつが存在するという事実

急性肺障害生存者への心理的介入が必要かも?


Depressive Symptoms and Impaired Physical Function after Acute Lung Injury
A 2-Year Longitudinal Study
Am. J. Respir. Crit. Care Med. March 1, 2012 vol. 185 no. 5 517-524



13のICUでの、急性肺障害 3、6、12、24ヶ月フォローアップ

186名の生存者で、 うつ症状 40%、身体障害残存 66%で、3ヶ月後が最多

うつ症状発症のリスク要素は、教育期間が短い12年以下、ベースラインの障害、失業、医学的合併症、ICUでの血糖低下

身体機能障害発症のリスク要素は、ICU滞在期間、先行うつ症状


米国GAO ジェネリック製品でかえって医療費増加



政府やマスコミなどが、重層的にジェネリックの有害性に関する議論を拒絶してる。

むなしくなり、ジェネリック批判してない。

“患者への安全性議論”をあきらめた訳ではないが・・・

どうせジェネリック批判できないなら、本来の趣旨である医療コスト削減推進の観点から見ようとすると、それも疑問。かえって、高コスト維持してるだけ( ジェネリック価格の高止まりの疑問 2007年 11月 15日  インド産ジェネリック ・・・ 歓迎いたします。 ただ、後発メーカーを考えた薬価高止まりは駄目ですぞ。2011年 02月 17日  なぜ日本はジェネリック医薬品高値価格統制をつづける? 本来なら先発比1割程度になるはず・・・ 2011年 07月 25日)。



米国からだが、ジェネリック製品が医療コスト削減に、単純につながるのか・・・それに対する疑問が報道されている。


Generic Drugs' Effect on Health Costs Unclear, GAO Says

By Emily P. Walker, Washington Correspondent, MedPage Today
Published: March 02, 2012
http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/GeneralProfessionalIssues/31463


米国でも、93%をジェネリックブランドに雄子変えようとする動きがある一方で、かえって、ジェネリックへ変更で医療コストかさ上げしているのではないかという疑念が起きているという・・・

“Government Accountability Office (GAO)”<米政府説明責任局>による報告


SSRIに関する一つの研究で、ブランドSSRI開始し、ジェネリックへの変更したケースで、入院率増加・ED受診増加で、トータルコスト881米ドル増加しているという・・・



結局、この問題は、これにつきる
 Generic drugs must have the same active ingredients, route of administration, strength, and intended use as their brand-name counterparts. They also must be absorbed into the bloodstream at the same rate. Generic drugs are allowed to have different inactive ingredients, such as binding materials, dyes, preservatives, or flavoring agents compared with brand-name drugs.
含有活性成分が同じで投与経路が同じでも、賦形剤などの添加物や色素・保存用添加物・香料などが異なる。


問題点はかわってないんだなぁと改めて思う。
ジェネリック薬品の問題点も放送せよ!  2005年 01月 27日


“ジェネリック”の問題点を述べると、日本の場合は独占禁止法に引っかかるそうで・・・まことにおそろしい、どこかの国顔負けの独裁的国家。

 後発医薬品:使用、医療機関に不安--公取委調査
医療機関への聞き取り調査では「先発品メーカーが後発品の不安をあおる説明をし た」「後発品の効能が低いというデータを見せられたが、根拠があいまいだった」など、不当な情報提供で後発品採用を妨害する行為が報告された。公取委は 「妨害行為は独占禁止法違反に当たる」と指摘している。毎日新聞 2006年9月28日 東京朝刊

こんな馬鹿な国って・・・、*朝*なみの日本という国


ジェネリック高止まり分の膨大な差益・・・いったいどこに消えているのだろう?

日本政府って、“アカウンタビリティー”はからっきしする気も無いが、 “fraudulence”と無能ぶりにはたけてる



まだ、こんなことやってんだもんなぁ・・・

◇胃がん検診などの受診率目標、当面4割に―民主・部門会議、厚労案に「異論なし」
→ http://www.cabrain.net/jump.do?cd=73639
民主党の厚生労働部門会議(座長=長妻昭衆院議員)は1日、厚生労働省から、
2012年度からの次期がん対策推進基本計画案について聴取した。厚労省は、胃、肺、
大腸がんの検診受診率の目標値を当面40%にとどめ、3年後に見直す案を説明。
出席議員から否定的な意見はなかった

標準的方法存在しない、科学的エビデンスの乏しい”胃癌検診”、しかも層別化しない“ばらまき検診”、予備的研究によるコスト効果解析も無いのに、“否定意見ゼロ” という・・・・この厚労省・政府・与党・・・まあ知識ゼロで、頭・空っぽなんでしょうね・・・この関係者たち。

まぁ滅びて当然の国だ・・・

健康老人の方が若い人より睡眠障害少ない・・・

高齢者と不眠ばかり話題になるので、高齢者の方が、睡眠障害多いのかと 思ってた。

だが、実際は、健康な老人は不眠症に関しては若年者のそれより少ない。

80歳超の老人に比較して、睡眠障害リスクに関し、18-24歳は2倍(OR 2.19, 95% CI 1.58 to 3.05, P. < 0001)の問題をもつ

"Age and sleep disturbances among American men and women: data from the U.S. Behavioral Risk Factor Surveillance System"  
Grandner M, et al 

Sleep 2012; 35: 1-12.

 Self-Reported Sleep Disturbance (SLEEPDIST) と Self-Reported Tiredness/Lack of Energy (TIREDNESS)による自己報告

2週間の内、6夜未満と6夜以上と日数で2分割
予測因子は年齢、健康状態、うつ感情状態
人種/民族、収入、教育、最後の医学チェックからの期間で補正
全年齢横断的に女性でSLEEPDIST と TIREDNESS多く報告
一般健康状態不良、軽度うつ感情、中等・重症うつと、SLEEPDISTとTIREDNESS相関
SLEEPDISTとTRENDNESSは一般的に寿命と共に減少し、80歳を越える回答者ではさらに少なくなる。
SLEEPDISTに対し、80歳超を対照としたオッズ比は 18-54歳から減少し、59歳男性でやや増加し、以降減少する。
女性でも同様パターンだが、40-59歳で急増する。TREDNESSに関しても同様パターン。


自己申告睡眠障害:Self-Reported Sleep Disturbance (SLEEPDIST)
自己申告倦怠感/活力不足: Self-Reported Tiredness/Lack of Energy (TIREDNESS)


一方的な刷り込みにより、高齢者=不眠というイメージが固着してたようだ。

となると、外来で多く見る高齢者の不眠に関して、病的要素を考慮すべきで、処方薬剤による不眠、基礎疾患との関連、精神心理的病態を探らなければならないということを示唆しているかもしれない。

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