2012年6月1日金曜日

CAT:COPDアセスメント・・・頻回急性増悪や肺機能重症化指標として有用らしい

「CAT(COPDアセスメントテスト)」 当方でも日常臨床で頻用している。
http://adoair.jp/disease_info/cat/howto/index.html



スコアを日常臨床で用いていると、良いことがあるらしい
急性悪化(増悪)の信頼できる指標となる。
ベースラインスコアは頻回急性悪化で増加する。
スコア増加は急性増悪の増加、肺機能重症化・急性悪化期間の重症度を反映する



Usefulness of the Chronic Obstructive Pulmonary Disease Assessment Test to
Evaluate Severity of COPD Exacerbations
Alex J. Mackay, Gavin C. Donaldson, Anant R. C. Patel, Paul W. Jones, John
R. Hurst, and Jadwiga A. Wedzicha
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2012;185 1218-1224
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/185/11/1218?etoc

London COPD cohort 161名、ベースライン、急性悪化時、回復期施行(2010年4月から2011年6月)

頻回急性増悪症例は、急性増悪少ない症例よりベースラインのCATスコア高い (19.5 ± 6.6 vs. 16.8 ± 8.0, P = 0.025)

152の急性悪化時、CATスコアは平均値より増加 (19.4 ± 6.8 → 24.1 ± 7.3 (P < 0.001) )

CATのベースラインから急性増悪への変化は有  (rho = 0.09, P = 0.351)

急性悪化時、CATスコア増加は有意にFEV1低下と相関  (rho = −0.20, P = 0.032)


症状日誌判断回復期間中央値はベースラインへのCATスコア改善に相関する  (rho = 0.42, P = 0.012).



ACTは高得点ほど良好、CATは低得点ほど良好
ACTは「アクト」と呼ばないと主張する先生もいる。CATは知らない・・・

高温・高湿度空気吸入にて喘息患者のみ気道れん縮・咳嗽悪化・・・コリン系関与

高温・高湿度空気吸入で、喘息患者は、気道れん縮・咳嗽悪化を生じる。
そして、それは、コリン作動性経路の関与と思われ、抗コリン剤が有効と推定。

Bronchoconstriction Triggered by Breathing Hot Humid Air in Patients with
Asthma: Role of Cholinergic Reflex
Don Hayes, Jr., Paul B. Collins, Mehdi Khosravi, Ruei-Lung Lin, and Lu-Yuan
Lee
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2012;185 1190-1196
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/185/11/1190?etoc


暖かい湿気のある空気を過換気することで、一過性の気道れん縮が生じる。
このメカニズムは不明だったが、気温増加が迷走神経性気道血管C線維感覚神経を活性化し、これにより気道れん縮反射が出現するということが示されてきた。

この実験は、気道内の温度増加による気道れん縮が気道感覚神経活性化によるコリン作動性反射を介するか、その検討実験。

HA:49度加湿空気(HA)と、20-22度室温(RA)による等炭酸ガス過呼吸による気道反応測定:Specific airway resistance (SRaw) と pulmonary functionを測定

二重盲検

喘息患者において、SRawは、HA過換気後112%増加、RA後は38%増加

HA呼吸は患者の咳嗽トリガーとなるが、RA呼吸はならない。

反対に、喘息の無い健常者では、HA過換気は咳嗽の原因とならず、22%のみSRaw増加。
HAとRA暴露によるSRaw反応の差は健常者で認めず。

ipratropiumによる前治療で、喘息患者のHA誘発気道れん縮予防可能であった。



テレビなどをみると加湿器礼賛だが、喘息患者においては、過剰な高温・多湿状態は気道れん縮をもたらすこととなり、注意が必要。

高温多湿環境による喘息悪化に抗コリン剤が効果有る可能性がある。

秋・春先に多い喘息発作は気温の高低差が関連すると思うのだが、この実験も実は空気の気温差及び湿度差によるものという考え方はできないのだろうか・・・と思いつきを書いたが・・・気にしないで下さい。

小児喘息発症:半分弱は生下時に気流制限という形で顕在化している 半分強がその後の要素で発症


Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood Studyの報告


生下時から7歳までの肺機能発達相関を検討。

スパイロメトリーを新生児(403 98%)と7歳(317 77%)で施行したもの

新生児でのスパイロメトリーはsedation下で強制flow-volume測定で行い、喘息診断は日記・6ヶ月後と受診時診断


Interaction between Asthma and Lung Function Growth in Early Life
Hans Bisgaard, et. al.
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2012; 185: 1183-1189. First published online March 29, 2012 as doi:10.1164/rccm.201110-1922OC

喘息の子供(14%)は、既に、新生児で有意な気流制限を示す(強制呼気流量(50%肺活量時)、0.34 z スコア(mo)減少 P = 0.03)。

生まれたての時点でこの障害がすでに存在することは、誕生時点で喘息が気流制限の関連は40%で、その後の発症が60%ということになる。

環境的喫煙暴露は気流制限に影響をあたえる。

また、新生児のメサコリン気道過敏性は喘息発症と関連する。




小児喘息発症の半分弱は生下時に既に決まっている。

豪州メタボ研究:心血管疾患予防:ダークチョコレート年間3200円程度未満ならコスト効果的

研究対象者を、恣意的病的範疇であるメタボリックシンドロームクライテリアに一致している住民に限定している部分に引っかかりを覚えるが・・・


ダークチョコレートの血圧とコレステロール低下作用はメタボリックシンドロームのヒトにとって、ダークチョコレートは心血管イベント予防のための、ベネフィットを認めるという報告。



The effectiveness and cost effectiveness of dark chocolate consumption as prevention therapy in people at high risk of cardiovascular disease: best case scenario analysis using a Markov model
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3657 (Published 31 May 2012) 


連日ダークチョコレート摂取で、10年間で、1万人対85(95%信頼区間 60-105)の心血管イベント減少

付加コスト効果推定としては、生涯 $A50 000 (£31 150; €38 555; $52 500)生命危機回避と計算し、1人あたり年間 $A40 (interquartile range $A29-55; $42, $31-58)なら、ダークチョコレートでの費用効果ありと計算できる。

結果として、 予防的有効的年間経費効果があるとのことが示された。





“健康に良い食品”というものもコスト効果的解析すると、非現実的なモノである場合もある。 ダークチョコレートは心血管予防的に役立つが、条件として、毎日食べて、年間3200円以下であること・・・となると、非現実的になる。


ついでに言えば、 外見豪華なサプリメントって、コスト効果上矛盾している製品である。

“健康に良い食品”という宣伝文句、よく見聞きする。たとえば、セロリが体に良いと聞き、スーパーに行くと、その値段の高さから毎日は無理だとあきらめる。この種の食品にもコスト効果解析が必要というのを経験したことがある。

・・・確かになぁ ダークチョコレートも年間4000円以上かかるなら意味が無いことになる。


健康食品なんかもにも、このコスト効果的解析導入が必要

パッケージを豪華にして、フランスのなんたら勲章みたいなのに金をかけて、コストを引き上げているサプリメントなんて最も無駄


ダークチョコレートって日本ではいくら位するのだろう?
調べる限り、上記のような値段で、入手するのは、日本では通常、不可能のようだ。

豪州のコスト分析だから、日本にそのまま応用出来ないにしても、日本では非現実的と言わざる得ないのかもしれない。



脊髄損傷麻痺:ラット実験で電気化学的刺激&ロボットサポート訓練で完全回復 ヒトへの応用に希望

スイスの研究者たちの研究で、脊髄損傷による麻痺ラットが、ある種のテクニックにより完全回復したというもの、結果的には自主的歩行だけで無く、疾走や階段昇降や障害物を避けるなど の回復も見られた。

electrical及び化学的刺激とともにロボットサポートによるトレーニングが必要


Electrochemical neuroprosthesisとは他電極を脳内に設置し、四肢からのシグナルを検知し、コンピュータ解析し、FES(機能的電気刺激)装置へリレー、脊髄をバイパスして直接麻痺四肢へ信号を伝達するもの
  By implanting a multi-electrode array directly into the brain of the monkeys, they were able to detect the signals that generate arm and hand movements. These signals were deciphered by a computer and relayed to a functional electrical stimulation (FES) device, bypassing the spinal cord to deliver an electrical current to the paralyzed muscles.(http://www.gizmag.com/neuroprosthesis-restore-movement-paralysis/22237/


この論文に関する意見だが、麻痺ラットでの実験 であり、実験的切断と、ヒトにおける脊髄損傷を果たして同等にあつかっていいのか?疑念があるが、今までの脊髄損傷治療より希望が持てるのではないかというマスメディアへの専門医の意見掲載されている(http://today.msnbc.msn.com/id/47634550/ns/health-heart_health/#.T8f5NcW0O24


Restoring Voluntary Control of Locomotion after Paralyzing Spinal Cord Injury
Rubia van den Brand, et.al.
Science 1 June 2012:Vol. 336 no. 6085 pp. 1182-1185

 ヒトの脊髄損傷は慢性的麻痺の原因となる。
この実験は、麻痺病変ラットで、electrochemical neuroprosthesisとロボット姿勢介入で、脊髄より上のレベルで運動を促進した。

運動に際し、それをrefine修正するよう仕向けるタスク特異的なコマンドが必要だが、この方法により、皮質は、脊髄上部経路の神経遮断にかかわらず、contextual informationをtransformする能力を回復した。

 この回復は、皮質投射の広汎なリモデリングによるもので、その回復の中身は、脳幹・脊髄内リレーの情報を含み、それらは電子化学的腰仙髄上回路の質的コントロールを回復させた。

自動化トレッドミル制限トレーニングでは、皮質ニューロンは関連せず、障害部位を通した部分の可塑性・回復促進に失敗する。

機能的状況下で積極的関与することで、トレーニングパラダイムが示され、皮質依存的回復のトリガーとなり、同様な損傷のあるヒトにおける機能回復も期待出来るだろう。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note