2012年12月21日金曜日

飲み過ぎ注意: アルコールは低濃度でも冠動脈血管痙攣性に働く

アルコールの血管痙攣惹起作用、低濃度でも生じ、高濃度では用量依存的に痙攣を生じ安くなる。

Ethanol produces coronary vasospasm: evidence for a direct action of ethanol on vascular muscle.
Am Heart J 1978; 95: 555-562
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2044708/
エタノールやアセトアルデヒドのイヌの小血管・大血管のbasal toneへの影響
エタノールは、 8.5 mM程度の低濃度でも、閾値での冠動脈収縮を惹起しやすくなる。
高濃度では濃度依存的にKCL濃度上限超過収縮と同等の冠動脈性血管痙攣を生じる。
アセトアルデヒド(10-5 ~10-2M)で、濃度依存的なbasal toneの弛緩を生じる
様々な薬物拮抗剤(i.e., phentolamine, methysergide, diphenhydramine, metiamide, propranolol と indomethacin)はエタノールのspasmogenicな作用を軽減促進的に働くということはない。

アルコールが心臓の機能を低下させ、不整脈を生じ、心筋症まで生じ、アルコールのみに見られる突然死の増加の理由づけになるかもしれない。


研修医の頃、発症15分の心筋梗塞を見たのはやはり繁華街近くの病院だった。

クリスマスから年始にかけて、アルコール、過食、睡眠不足、カフェインなどが、心血管系へ悪影響を与える。“Holiday Heart” syndromeとは、“an irregular heartbeat pattern presented in individuals who are otherwise healthy. ”ということで、アルコール過飲による原因と考えられる発作性心房細動。 こういったこととも関連するのではないかと・・・

知能に関わる3つの要素:短期記憶力・推論力・言語能力

IQというのは、直線上の値で、標準化された数値で、優劣が決まるわけだが・・・そんなはずないというのは直感的にも分かる。



どのような要素が関係するか、すこし、踏み込んだ研究

Fractionating Human Intelligence
Neuron, Volume 76, Issue 6, 1225-1237, 20 December 2012

知能計測というのは、一つの物差しだけで、測れるものなのだろうか?
ヒトの広汎な知能の曲面を、のうの機能的結びつきを反映する一般的能力や要素をわけて、個別の要素モデルと比較し、脳のはたらきのネットワークのアナログとしていくつかの構成要素を示した。アンケート指標を用いてこれらのインテリジェンスに関わる独立した要素を確認した報告



記憶、論拠づけ、注意集中、プラン能力、バックグラウンドの調査、ライフスタイル習慣に関わる12の認知機能検査

広汎な認知機能を研究し、3つの独立した要素“短期記憶力、推論能力、言語能力”で説明出来るとした。


一つの構成要素、IQではすべては説明困難。

故に、fMRIのような脳画像化システムを用いて、認知機能の差が、異なる脳回路にマップ化することで説明可能であった。

また、年齢、性別、コンピューターゲーム遊びの影響などについても新しい情報が提示された。

習慣的脳トレーニングは認知機能を必ずしも改善せず、むしろネガティブな影響を記憶、推論能力に与えることが分かったと、 Owen (Canada Excellence Research Chair in Cognitive Neuroscience and Imaging and senior investigator on the project)


興味あることに、コンピュータゲームを習慣的に行うひとは、推論や短期記憶に関して有意なパフォーマンスを示した。
喫煙者は、短期記憶、言語要素のパフォーマンス低下。
不安状態にある場合は、短期記憶特に低下。

【アイアンシェフ】テレビの有名シェフのレシピは、スーパー販売即席食品より、不健康

BMJのクリスマス特集の一つ

テレビに出演するセレブシェフのレシピは、即席スーパーマーケットの食事より、高脂肪(27.1g vs 17.2g)、高飽和脂肪酸(9.2g vs 6.8g)、高蛋白(37.5g vs 27.9g)である(すべて P<0.01)

しかも、食物線維量が少ない(3.3g vs 6.5g、 p<0.01)
そして、カロリーは多い(604 kcal vs 493 kcal、 p<0.01)



 Howard S, et al "Nutritional content of supermarket ready meals and recipes by television chefs in the United Kingdom: cross sectional study" BMJ 2012; DOI: 10.1136/bmj.e7607.

【目的】 テレビでシェフが作ったメインミールのエネルギー・マクロ栄養素をスーパーマーケット販売の出来合いの食品と比較、そして、WHO及び英国食品標準局(UK FSA)の栄養ガイドラインとの比較。

【デザイン】 横断研究.

【セッティング】 2010年の英国3つの食料売り場をもつスーパーマーケット

【サンプル】 英国テレビ出演シェフの5つのベストセラー料理本からの100のメインミールと、3つの主要英国スーパーマーケットからのブランド既製食品の比較

【主アウトカム測定】 WHO推奨に適合した栄養成分の食品数と、red、amber、greenと分類(UK FSK分類)した食品群の比率

【結果】 レシピ、既製食品ともにWHO推奨に完全一致したものはない。

既製食品は、推奨比率としては、より適合している
炭水化物エネルギー適合比率  (18% v 6%, p= 0.01) 、糖分(83% v 81%, p= 0.05)、食物繊維分 (56% v 14% p<0.01)

レシピの方は、塩分濃度に関しては適合率高い  (36% v 4%, p<0.01)
しかし、ソースでの使用塩分は評価していない。

FSAの食品ラベルとしての信号機色の推奨分布としては
モード信号はレシピは赤(47%)、既製食品は緑(42%)

全体としては、レシピの方が、既製食品に比べ、よりカロリー多く (2530 kJ v 2067 kJ)、蛋白多く(37.5 g v 27.9 g)、脂肪多く (27.1 g v 17.2 g)、飽和脂肪多い (9.2 g v 6.8 g; p<0.01 for all) 、そして、食物線維比率が少ない(3.3 g v 6.5 g, p<0.01)。

【結論】 テレビにでる料理人達のレシピも、英国内のトップ3のスーパーマーケットで売られている既製食品もWHO推奨推奨に合致したものではない。
レシピは、既製食品より不健康で、カロリー分、蛋白分、脂肪分、飽和脂肪分ともに多く、食物線維は少ない。




テレビに出てるシェフ達も別に健康食作ってるわけじゃないから・・・ちょっと気の毒。

科学的根拠無く、健康だ健康だと言い放つ料理人達やら評論家風のタレントたちの方が有害だと思うけど・・・

ETに遭遇したら、どのような診断を下しどのような治療すべきか・・・


映画“ET”も古くなりましたが、確かに、病気をおもわせる体型をしてましたね。

Christmas 2012: Tomorrow’s World
Case report of E.T.—The Extra-Terrestrial
BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8127 (Published 18 December 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e8127
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e8127


ETの病態
・ペルテス病の可能性:両側下肢関節障害
・下肢リンパ浮腫
・中心性肥満、おそらく、メタボ
・単指ばち状
・先天性右胸心、単心室・右心耳を伴う


ETは電話で、かかりつけメディカルスタッフに連絡を取ろうとしている。風呂場で倒れ、全身状態悪く、蒼白、頻呼吸、意識レベル低下。
医療機関搬送されるも、心室頻拍、心停止。心肺蘇生で胸骨圧迫回数60/分で、バッグ呼吸し、除細動施行。リドカイン、ノルアドレナリン投与。自然循環回復せず。


随分、昔の映画で、詳細・・・忘れたなぁ

胸骨圧迫60/分というところが・・・

アルツハイマー病:“アミロイド仮説” EXPENDITIONトライアル実質失敗と その他の動き

ちょい数年前まで、“アルツハイマー病はβアミロイド対策ですべて解決”などと医師向け講演会でしゃべっている医師がいた。だが、最近の報告をみていると、むしろ、“アミロイド仮説”、“βアミロイドをターゲットとする治療”の方が終焉を迎えてるのではないかと思える。


Year in Review: Alzheimer's Disease: Amyloid 'Proponents' Soldier On
By John Gever, Senior Editor, MedPage Today
Published: December 20, 2012
http://www.medpagetoday.com/Neurology/AlzheimersDisease/36562

イーライリリーの、8月のEXPEDITIONトライアル(抗アミロイド薬:solanezumab)は有意なベネフィットを示せなかった。モノクローナル抗体であるBapineuzumab もまた、rogue proteinターゲット薬だったが、結果が得られてない。
Eli Lilly and Company Announces Top-Line Results on Solanezumab Phase 3 Clinical Trials in Patients with Alzheimer's Disease
August 24, 2012
http://newsroom.lilly.com/releasedetail.cfm?releaseid=702211


かりに仮説が正しくても、巣でのプラークが広汎となってる状況では、抗アミロイド治療は有効では無いのかもしれない。治療ターゲットを間違えてることには違いないが・・・

だが、イーライリリーは、薬が不発だということを認めてない。 二次解析にて、中等度アルツハイマーに希望を託しているようだ。

そして、MK-8931。
メルクは前駆物質からβアミロイド蛋白をcleaveする、(γセクレターゼとは別の主成分)の酵素であるβsecretase、BACEの経口阻害剤で、βアミロイド産生減少効果を示す薬剤。
第1相では、健常者で、MK-8931は髄液中βアミロイド蛋白を90%減少。これを期にPII/IIIトライアルと進んでいる。1700名もの大規模研究へ。


やはり、βアミロイドは疑いなくアルツハイマー病の病理要素であるが、これのみをターゲットとするのではなく、多くの要素を治療ポイントとして考慮すべきだろうと・・・過リン酸化としてのτ蛋白のが次のターゲットになるのかもと。


 そして、乳がんをたとえにして、HER2のみが乳がんの原因ではないと・・・



noteへ実験的移行

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