2014年3月13日木曜日

2型糖尿病腎症も、塩分制限、利尿剤、RAAS系遮断薬剤の効果を増強し、併用がさらに効果的

非糖尿病性腎症において、食事性塩分制限や利尿剤投与は、RAAS blockade増加させる。2型糖尿病腎症・residual アルブミン尿患者へのRAAS blockadeに、塩分制限、ヒドロクロロサイアザイド利尿剤を加えることによる影響検討

多施設二重盲験プラシーボ対照交差ランダム治験

Effects of sodium restriction and hydrochlorothiazide on RAAS blockade efficacy in diabetic nephropathy: a randomised clinical trial
Arjan J Kwakernaak,et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 5 March 2014

微量アルブミン・マクロアルブミン・前年6 mL/min未満のCCr 30 mL/min以上、


ナトリウム制限とヒドロクロロサイアザイド(50mg/日)+ACE阻害剤(lisinopril 40mg/日)のアルブミン尿への効果(プライマリエンドポイント)


4治療期間(6週間)中、ヒドロクロロサイアザイド(50mg/日)vs プラシーボ投与
通常のナトリウム食とnatoriumuseigenn(目標 50 mmol Na+/日)
 randam順で6週間治療群はそれぞれ行われる
2名患者ブロックでランダム化


 89名の登録患者中、45名。
ナトリウム制限・ヒドロクロロサイアザイドは共に、治療シークエンスに関係なくアルブミン尿減少。
ベースライン治療による残存的幾何平均アルブミン尿は711mg/日(95 % CI, 485 - 1043)。



 ナトリウム制限n(393 mg /日 [258—599], p=0·0002)、ヒドロクロロサイアザイド(434 mg per day [306—618], p=0·0003)ともに有意減少。
併用がもっとも大きい効果(305 mg/day [203—461], p<0 p="">




ヒドロクロロサイアザイドの低カリウム血症、耐糖能への影響、尿酸への影響をスペアするほどの価値があるのかは、まだ分からないが、塩分制限と加え、腎症への効果は認められる。

DNAメチル化とBMI:GWA

DNAメチル化変異とBMIの初期システマティック解析

459名からのDNAサンプル、35万1千超部位のメチル化値を検証

HIF3A遺伝子近傍の3つのメチル化部位と強い相関性あり、体重変化に関連するDNA
変化と考えられる。



DNA methylation and body-mass index: a genome-wide analysis
Katherine J Dick, et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 13 March 2014


HIF:Hypoxia Inducible Factor: 低酸素誘導因子
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/64344

部分引用だけど示唆を感じる(http://vril.blog.so-net.ne.jp/2011-03-09)
肥大した肥満細胞における酸素需給不均衡により、組織低酸素が起こり、組織中の炎症性アディポカインが増える。その結果、マクロファージが集積し、慢性的に軽度の炎症がくすぶることになり、インスリン抵抗性が増強する。以上のように、臨床的にも低酸素症が炎症を促進する

下肢静脈潰瘍・血栓後症候群に、圧迫ストッキングは有効か?

深部静脈血栓症では静脈弁不全が発生し、慢性的な下腿腫脹や皮膚障害きたす血栓後症候群が生ずることがある。それに対し予防的な圧迫ストッキングやバンド法比較報告だが、実際には劇的に有効というわけではないようだ。


下肢静脈潰瘍に対し、2層compression hosiery(圧迫ストッキング(類)) は、 4層compression bandage(圧迫バンド)の代替となりえるが、より頻回に交換が必要で、全患者には不適切。

Clinical and cost-effectiveness of compression hosiery versus compression bandages in treatment of venous leg ulcers (Venous leg Ulcer Study IV, VenUS IV): a randomised controlled trial
Rebecca L Ashby, et. al.
The Lancet, Volume 383, Issue 9920, Pages 871 - 879, 8 March 2014 

潰瘍治療中央時間は、圧迫ストッキング群で99日間(95% CI, 84 - 126日間)、圧迫バンド群98日間(85 - 112日間)潰瘍治療比率は2群で同様  (70·9% hosiery 、 70·4% bandage)
より圧迫ストッキング群の治療部位変更多い (38·3% hosiery vs 27·0% bandage; p=0·02) 
300例、895の副事象イベント、9.5%,85イベントが重度と判断されたが、トライアル治療とは関連せず

血栓症後症候群は多くやっかいなDVT合併症。今までのトライアルから、可塑性圧迫ストッキング(ECS)が予防に役立つというプラシーボ対照小規模単一研究は存在する。PTS予防プラシーボストッキング比較のECS効果を検証。
 ↓
多施設ランダム化プラシーボ対照化トライアル
Compression stockings to prevent post-thrombotic syndrome: a randomised placebo-controlled trial
Susan R Kahn, et. al.
for the SOX trial investigators

The Lancet, Volume 383, Issue 9920, Pages 880 - 888, 8 March 2014

PTS累積頻度は、active群で14.2%、プラシーボESC群で 12.7%(センター毎ハザード比 1.13, 95% CI 0.73 - 1.76 ; p =0.58)
結果は、事前設定プロトコール解析にて同等。

運動量低下はCOPD急性増悪リスク増加に繋がる


運動習慣スローダウンしたら、その後COPD急性増悪入院回数増加させる

"Influence of changes in physical activity on frequency of hospitalization in chronic obstructive pulmonary disease"
Esteban C, et al
Respirology 2014; DOI: 10.1111/resp.12239.


1日ほぼ2マイル歩行からゼロへ、2から4マイルからそれ以下へ減ると、高度運動活動性維持群に比べ、3年時点で、COPD急性増悪入院オッズ 2.49倍

 高度運動活動性から運動活動低カテゴリー減少となった場合、その後のリスクが倍となる  (OR 2.13, P=0.017),

 この関連性は、年齢、肺機能、急性増悪入院既往と関連無し


身体運動習慣の小さい変化が入院というアウトカムに重大な影響を与える






COPDという診断 されず、単に、気道感染にて入院し、入院にて安静を強要され、それまでの運動習慣がゼロになる・・・そして、さらに急性増悪を繰り返す。


そういう症例をやまとみてきた・・・


重症好酸球性喘息:抗IL-5アンタゴニストモノクローナル抗体注射mepolizumabにて重度急性増悪減少、必要経口ステロイド量減少

重度好酸球性喘息治療:抗IL-5アンタゴニストモノクローナル抗体注射製剤:mepolizumab第3相治験結果

http://www.gsk.com/media/press-releases/2014/gsk-announce-positive-results-from-phase-iii-studies-for-mepoliz.html

MEA115588:重度好酸球喘息の2つのレジメン:静注(IV) 75mg、皮下注(SC) 100mg、プラシーボ 4週毎
プライマリ・エンドポイントは、臨床重要急性増悪回数比較で、 iv 75m 、 sc 100mgでそれぞれ、47%、53%減少 (p < 0.001)

副事象は全治療群で、同等。

メタアナリシス:正常高値血圧は、低レンジでも、高レンジでも、卒中増加をもたらす

prehypertension:正常高値血圧で、表題のごときメタアナリシスが新たに報告された。


しかし、注意すべきは、正常高値血圧という状況が卒中リスク増加と関連する現象であって、正常高値血圧への積極薬物治療が卒中治療を減少させるということを示しているのではないということ!

例えば、内臓肥満などのメタボリックな要素が寄与要素として補正されていたのだろうかという疑念はこれでは払拭できない。


さらに、介入報告プール解析としては

故に、これはさほどの意義をもたない報告なのかもしれない。


Prehypertension and the risk of stroke: A meta-analysis
Yuli Huang,et.al.
Neurology 10.1212/WNL.0000000000000268; published ahead of print March 12, 2014

目的: メタアナリシスによる、正常高値血圧と卒中リスクの相関関係評価を試みる。
方法: 正常高値血圧と卒中に関するデータを有する研究のPubMed、EMBASEデータベースを検索。2名の独立したレビューアがレポートと抽出データを評価。前向き研究は、卒中と正常高値血圧あるいは2つのサブレンジ(比較的低レンジ正常高値血圧:120-129/80-84 mm Hg; 高レンジ正常高値血圧 130-139/85-89 mmHg)と、卒中の関連性多変量補正相対リスク(RRs)と95%信頼区間(CIs)が報告された場合検討として含む。
血圧レンジ、卒中病型、エンドポイント、年齢、性、民族、研究特性に基づくサブグループ解析

結果: プール化データには、19の前向きコホート研究、762,393被験者を含む。正常高値血圧は、至適血圧(<120/80 mm Hg)に比べ、卒中リスク増加を示す (RR 1.66; 95% CI 1.51–1.81)
セカンダリアウトカム解析にて、低レンジ正常高値血圧(120-129/80-84)でさえ卒中リスク増加と関連  (RR 1.44; 95% CI 1.27–1.63)し、正常高値血圧(130-139/85-89 )はさらにリスク増加 (RR 1.95; 95% CI 1.73–2.21)
相対リスク(RR)は低レンジ正常高値血圧より高レンジ正常高値血圧で高い (p < 0.001)どのサブグループ解析でも、有意な差を認めず (all p > 0.05)

結論: 多心血管リスク要素補正後、正常高値血圧は、卒中合併症と相関。高レンジ正常高値血圧の部分が大いに卒中リスク増加をもたらすが、低レンジ正常高値血圧もリスク増加をもたらす。


WGS:臨床応用まだまだ

ヒトゲノム解析は1990年開始され、270億万米ドルかけて、2003年完遂

以降、今日、1千米ドル、数日で、Whole Genome Sequencing(WGS)は完遂できる状況。

今日、JAMA誌の掲載は、3つの問題が指摘されている

Clinical Interpretation and Implications of Whole-Genome Sequencing
Frederick E. Dewey, et. al.
JAMA. 2014;311(10):1035-1045. doi:10.1001/jama.2014.1717.

1)遺伝的疾患遺伝子のWGSカバー率は不完全、家族内の疾患のゲノムの重大部分のマップを正確に作成しなければ、ゲノムの他の部分のマッピングより困難。
2)研究者たちは、検出遺伝子変異全てを再現することができず、変異のタイプが疾患にどれが重要か不明。
3)実は、WGS結果不一致こそ最も重要研究対象項目で、臨床的に報告価値があるのかもしれない




シークエンシングプラットホームによれば、遺伝性疾患遺伝子の10%〜19%は、1塩基対変異発見の一般に認められたスタンダードでカバーされてないもの
1塩基対遺伝子変異記載と遺伝子型一致性が高い(99% 〜 100%)が、small insertion/delition変異は低い(53%〜59%)。
それぞれの被験者あたりの90-127のcurationは、中央値54分間(5-223分間)/遺伝子変異毎必要。専門者間の分類一致度中等度 (Gross κ, 0.52; 95% CI, 0.40-0.64)で、不明・有意性認めない変異と遺伝子データベースとカテゴライズ再分類されたのは遺伝子変異の69%。
BRCA1遺伝子1つのframeshift欠損を含む、6個別的疾患リスク候補中2つはどの被験者でも検出
遺伝子配列所見の医師レビューは、メディアンとして3つの1つが初期診断検査・被験者毎の参照として示唆され、臨床的フォローアップのためWGS所見のsuitabilityに関してはfair interrater agreementであったFleiss κ, 0.24; P  < 001)



これを見ると日本のこの方面実地研究、かなり遅れをとってるというのを実感する。
http://mbrdb.nibio.go.jp/data/20130118/20130118_a_WGS.pdf

右中大脳動脈領域梗塞は左同病変と比べ、歩行緩徐・歩行非対称性めだつ、そして、非梗塞病変灰白質容積大きいほど機能は温存

右中大脳動脈内領域(MCA)脳障害は、特に、mediolateral postural stabilizationへの障害をもたらす。横断的研究にて、慢性右中大脳動脈領域梗塞(左病変と比較)が、より緩徐歩行・より両側非対称性となる仮説、そして、慢性右MCA領域病変において、MCA領域外に存在する運動制御脳を含む、脳非梗塞領域内の灰白質により依存するという仮説検証。


結論は、左中大脳動脈領域梗塞と比べ、右MCA領域内慢性病変では、歩行緩徐化、非対称性がめだつ。梗塞領域外の病変内の灰白質容積が大きいほど、locomotor control温存する。




Infarct hemisphere and noninfarcted brain volumes affect locomotor performance following stroke
I-Hsuan Chen, et. al.
http://www.neurology.org/content/early/2014/01/31/WNL.0000000000000186.abstract


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