2013年3月11日月曜日

地域在住高齢者:スタチン使用により入院・死亡減少効果認めず

スタチンは一般的には心血管疾患合併症や死亡率低下と関連するわけだが、高齢者・地域在住者で、この効果があるかどうかは不明であった。以下の報告では、スタチンにより、減少効果示せなかった。

オーストラリア・シドニーの地域在住高齢者の前向きコホート

70歳以上、1665名対象

Pharmacology and therapeutics
Statin use and clinical outcomes in older men: a prospective population-based study
BMJ Open 2013;3:e002333 doi:10.1136/bmjopen-2012-002333 
ベースラインで、スタチン服用43%
フォローアップ6.79年で、入院 132(7.9%)、死亡 358(21.5%)

補正モデルで、ベースラインスタチン使用は入院リスクと統計学的に相関せず
(HR 1.60; 95% CI 0.98-2.63)
死亡と相関せず(HR 0.88; 95%CI 0.66-1.18)

スタチン投与期間・投与量とも、2つのアウトカムいずれも有意相関無し

Propensity scoring にて同様結果

非投与非脆弱登録者に比べ
非脆弱・処方者の入院補正HR 1.43(95% CI 0.81-2.51)
脆弱・非処方者の入院補正HR 2.07(95% CI 1.11-3.86)
脆弱・スタチン処方者の入院補正HR 4.34(95%CI 2.02-9.33)






レスベラトロールなどのSTACによるサーチュイン活性化メカニズム

"脱アセチル化酵素サーチュインの一種・SIRT1の基質PGC-1αやFOXO3a等に認められる特定の疎水性モチーフはレスベラトロールなどのサーチュイン活性化化合物(STAC)によるSIRT1活性化を促す "という報告

ところで、NHKってところは、最近、民放並み、あるいはそれ以上に軽薄で、あおることに専念しているように思える。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/110612.html

奇妙なテレビ番組で、ある面、「奇跡の詩人」的内容であった。

レスベラトロールとサーチュイン遺伝子に関しては、未だ、その関連性が改名されてないのに、異常なる放送を行ったNHK。結果的には、関連商品の売り上げに寄与したことだろう。NHK制作者サイドは放送内容により株価
 
赤ワインやダークチョコレートに含まれる価額物資とにより余命上の生命の質改善に望みをかける報告があったが、肥満・糖尿病・特定のがん、他疾患についてのミステリーが一つ暴かれたという。ハーバードのJeneticistである David Sinclairらは、レスベラトロールと、sirtuin類として知られている酵素群の化学的リンクを明らかにした。今後、関連薬剤の合理的設計上役立つと述べている。

同時に、若返りのための薬理学的噴水口としての役割にいんちきだと考える科学者も居る。自然には生じない蛍光化学物質の影響を受けているという批判。レスベラトロールと関連するといってサプリメントを購入をあおった。赤ワインなら、100本のボトルを開かさなければその効果があり得ない。
アンチエイジング研究はカロリー制限により、修復機転を促進し、有害事象を食い止めるということやら、グレープやピーナッツ、ココア、ベリーなどの食品中にもレスベラトロールを含むが、これらの化学物質の働きはまだミステリーのまま。
 (http://articles.latimes.com/2013/mar/07/science/la-sci-resveratrol-20130308)





Evidence for a Common Mechanism of SIRT1 Regulation by Allosteric Activators
Science 8 March 2013: Vol. 339 no. 6124 pp. 1216-1219

多数の加齢関連疾患の、その治療する分子があれば、世界の医療・健康、経済に巨大なインパクトを与えることとなる。SIRT1 deacetylaseはこ薬剤デザインターゲットとして注目されている。しかし、sirtuin-activating compounds (STACs)に関して賛否あり、特異的疎水性モティーフがSIRT1器質である、PGC-1α、FOXO3aなどが、STACsによるSIRT1活性化促進的に働くことが示された。

SIRT1の単一アミノ酸、Glu230は、N末端ドメインに位置し、今まで報告があったSTAC scanffoldにとって活性化にクリティカルな部位 で、新しい独立したactivatorのクラスである。
activation-defective SIRT1を構成するプライマリな細胞で、STACの代謝的影響をブロックする、故に、化学的に多様なSTACsにコモンなallostericなメカニズムを通して、SIRT1は直接活性化される。

Red Wine, Toast of the Town (Again)
Science 8 March 2013: Vol. 339 no. 6124 pp. 1156-1157
http://www.sciencemag.org/content/339/6124/1156.summary

ハイブリッド冠動脈血管再建術(HCR):外科医・IVR専門医の症例判断一致率は高い

hybrid coronary revascularization(HCR)多施設研究

INTERVENTIONAL CARDIOLOGISTS AND CARDIAC SURGEONS:
CONCORDANCE REGARDING ANATOMIC ELIGIBILITY FOR HYBRID CORONARY REVASCULARIZATION IN > 6,500 PATIENTS
J Am Coll Cardiol. 2013;61(10_S):. doi:10.1016/S0735-1097(13)61700-3

冠動脈造影 6669名レビューで55.7%で有意CAD、うち、454(12.2%)でHCRが解剖学的に適切と判断、3261(87.8%)は不適切判断
心臓外科医・インターベンション専門医の合議決定で、わずか113名(3.0%)で解剖学的理由で不一致。κ統計で、0.87とかなり一致率高い。
解剖的排除の理由は相互排他的でなく、一枝病変(33.2%)、CABG既往(25.6%)、有意LAD病変無し(22.3%)、グラフト不能LAD(6.3%)、重度左室駆出率低下(1.8%)
HCR候補のうち、二枝病変 58%、三枝病変 三三%、 LAD病変12.2%
HCR–eligible patient平均SYNTAXスコアは  19.0 ± 9.2.

PCIと同程度の初年度、重大副事象イベント率との報告も


以前の報告だと・・・
Hybrid Coronary Revascularization Versus Off-Pump Coronary Artery Bypass Grafting for the Treatment of Multivessel Coronary Artery Disease
Ann Thorac Surg 2011;92:1695-1702. doi:10.1016/j.athoracsur.2011.05.090

定義:Hybrid procedures were defined as those in which a minimally invasive LIMA-LAD bypass was performed in combination with PCI to at least 1 major non-LAD coronary artery (right coronary artery or circumflex artery, or both)

Hybrid revascularization は、CABGとステントを組み合わせ侵襲性を最小化する技術
多枝病変治療戦略で、胸骨処置を回避し、バイパス手術のdurabilityを温存する
胸骨回避内胸動脈・左前下行枝(LIMA-LAD)、非LAD部位へのPCI施行手術





循環器内科と心臓血管外科の共同作業:ハイブリッド手術室で期待される冠動脈疾患治療の発展
http://nv-med.mtpro.jp/jcoron/pdf/20121802/147.pdf







RED-HF 研究:収縮期心不全・貧血患者:エリスロポイエチン製剤投与効果認めず



収縮期心不全と貧血ともに有する患者は、症状・機能・アウトカム面で、そうでない患者に比べ悪化を伴う。なら、erythropoiesis-stimulating agent (ESA) であるdarbepoetinα(商品名:ネスプ)使用したらどうか・・・ということでのトライアル

結論からいえば、効果無し、むしろ、血栓イベント増加の可能性あり

Treatment of Anemia with Darbepoetin Alfa in Systolic Heart Failure
Karl Swedberg, et. al.
for the RED-HF Committees and Investigators
NEJM March 10, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1214865
収縮期心不全と軽度・中等度貧血(Hb. 9.0-12.0g/dL)
2278名割り付け

目標Hb 13 g/dL

プライマリアウトカムは全原因死亡・心不全悪化入院

darbepoetinα群:576/1136(50.7%)
プラシーボ群;565/1142(49.5%)
ハザード比 1.01;95%信頼区間, 0.90-1.13 p=0.87

セカンダリアウトカム有意差無し

全ての事前特異化サブグループ横断的にdarbepoetinはneutral

致死・非致死性卒中: 42(3.7%) vs 31(2.7%) p=0.23
血栓塞栓副作用イベント: 153(13.5%) vs 114(10.0%) p=0.01

がん関連 副作用イベントは同等

金を賭けると、減量効果的 ・・・ 

金を賭ければ痩せる

 預託金:deposit contracts (DC)を預け、減量しなければ没収というインセンティブ有効
Financial Incentives for Extended Weight Loss: A Randomized, Controlled Trial
J Gen Intern Med. 2011 June; 26(6): 621–626.

こういう報告があったが、やっぱ人間は金をかけると減量効果あるようだ

ACCで報告のやり方は、経済的インセンティブの有無にて1年間調査
 "Lose It!"という介入で、インセンティブ群は、月20$を預託し、成功者へのボーナスとする

18-63歳の BMI30-39.9の2×2区分デザイン

Driver S, et al. "Financial incentives for weight loss: A one year randomized controlled clinical trial"
J Am Coll Cardiol. 2013;61(10_S):. doi:10.1016/S0735-1097(13)61459-X



経済的インセンティブ群では、対照群より参加率維持し、より減量
完遂率は、インセンティブ群 vs 非インセンティブ群で、有意差   (62% vs. 26%, p<0 .001="" span="">

ITT解析をプライマリアウトカムである1年後体重減少で施行。

体重減少、インセンティブ群 9.08ポンド、非インセンティブ群複合では2.34ポンド 。

two-way ANOVAで、インセンティブによる推計効果は6.5ポンド SE 1.92, p< 0.001)

この"Lose It!"というインセンティブによる、体重減少効果は2.36(SE 1.90, p=0.22)ポンド 
 

52週の研究で9.08ポンド(4.12kg)減量
20米ドル×12ヶ月だから、 4kgの減量に2万3千円あなたの体重は、kgあたり5千円

抗ADPアンタゴニスト Changrelor:PCI後ベネフィット改善

PCI中の抗血小板治療にとってPCI関連虚血性合併症は重要な要素で、Cangrelorは、強力な静脈内投与ADP受容体アンタゴニスト製剤で、迅速に効果、急激に可逆性に働く。
Cangrelor、ADPアンタゴニストのトライアルといえば、CHAMPION研究(American Heart Journal Volume 163, Issue 2 , Pages 182-190.e4, February 2012)


"Effect of Platelet Inhibition with Cangrelor during PCI on Ischemic Events"
Bhatt DL, et al 
N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMoa1300815.

2重盲験プラシーボ対照化トライアルで、11145名の待機的PCI

・ cangrelor bolus and infusion
・ クロピドグレル付加投与600mg、300mg投与

プライマリ有効性エンドポイントは、48時間後死亡・心筋梗塞・虚血による血管再建、ステント血栓

 プライマリ有効性エンドポイント
・cangrelor 群 4.7%
・clopidogrel群 5.9%

(補正オッズ比 0.78; 95%信頼区間[CI], 0.66-0.93; p=0.005)


ステント血栓発症 0.8% vs 1.4%(オッズ比 0.62;95% CI, 0.43-0.90; p=0.01)

副作用は両群少ないが、cangrelor群では、一過性呼吸困難多い(1.2% vs 0.3%)
ベネフィットが多因子事前層別横断的に一致

Additional source: New England Journal of Medicine
Source reference:
Lange RA, Hillis LD "The Duel Between Dual Antiplatelet Therapies" N Engl J Med 2013.


呼吸困難という副作用に関して詳細説明がなされてない。

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