2015年10月14日水曜日

2型糖尿病:メトホルミンに加える治療薬は・・・ SU剤 vs DPP4阻害剤

2型糖尿病に対して欧米ではメトホルミンが基軸。では、次にadd-onする薬剤は?


Effects on Clinical Outcomes of Adding Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors Versus Sulfonylureas to Metformin Therapy in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus
Shuo-Ming Ou, et. al.
Incorporating New Medications in Diabetes Care
Ann Intern Med. Published online 13 October 2015

2009−2012年の20歳以上、2型糖尿病
1万89名のpropensity scoreマッチ化ペア比較


add-on治療としてのDPP-4阻害剤は、add-on治療SU剤と比較して、以下のリスク低下と相関 
全原因死 (ハザード比 [HR], 0.63 [95% CI, 0.55 to 0.72])
MACEs (HR, 0.68 [CI, 0.55 to 0.83])
虚血性卒中 (HR, 0.64 [CI, 0.51 to 0.81])
低血糖 (HR, 0.43 [CI, 0.33 to 0.56]) 

しかし、心筋梗塞リスクや心不全入院とは相関せず



にしても、心臓疾患と糖尿病治療・・・簡単にはいかない

農業労働:COPD有病率高い、アクティビティー、地域、診断クライテリアに依存

私らの地域のためにあるような論文だなぁ



農業労働者のCOPD頻度は非農業労働対照に比べ頻度が高く、農業のアクティビテーに依存した頻度を有する。そして、地域、クライテリアにも依存する。




Prevalence and risk factors for COPD in farmers: a cross-sectional controlled study
Alicia Guillien, et. al.
European Respiratory Journal 
DOI: 10.1183/13993003.00153-2015 Published 9 October 2015


40−75歳の 917名の非農業者、3787名の農業者の横断研究
呼吸器症状、タバコ暴露、職業歴(直接暴露測定なし)、肺機能
GOLDクライテリア(拡張剤使用後 FEV1/FVC < 0.70)かLLN正常下限未満かを使用

GOLDクライテリアに従うと、COPD有病率(95%信頼区間;CI)は、農業者 5.1% (4.4–5.8%)、対照 2.9% (1.8–4.0%)(p=0.005)。
LLNクライテリアだと、3.1% (2.5–3.6%) 、 1.5% (0.7–2.3%)(p < 0.01)

年齢、性別、喫煙状態補正後COPDクライテリアは両方とも、対照と耕種農業では同様。
対照に比較して、4つのジョブカテゴリー、すなわち、牛飼育、豚飼育、家禽飼育、2種以上の家畜飼育農家で、COPD高頻度。


牛肥育農業者のうち、フランシュ=コンテ地域圏のみGINAクライテリアもLLNクライテリア診断COPD頻度高い。



南アジア:母体体脂肪量・高血糖が生下時体脂肪へ影響を与え糖尿病発症しやすい?

インド系が主だと思うが、南アジア系の移民が増えて、Caucasianに比べ、UK、カナダなどで注目されているようだ


対白人で、南アジア系の新生児肥満状態の民族差がその後の2型糖尿病になりやすさと関連しているのではないかと考察している
母体の体脂肪量増加、母体の高血糖による影響が大で、子供は低体重だが、皮下脂肪厚大で、内臓脂肪もおそらく大となり、生下時よりこの体組成変化がその後の糖尿病発症のしやすさと関連あるのではないかと・・・


What accounts for ethnic differences in newborn skinfold thickness comparing South Asians and White Caucasians? Findings from the START and FAMILY Birth Cohorts
S S Anand ,et. al.
International  Journal  of  Obesity advance online publication, 29 September 2015; 
doi:10.1038/ijo.2015.171

790名の妊娠女性、南アジア系401名、白人コーカシアン 389名
南アジア系は白人に比べ、若年 (30.1 vs 31.8 歳 , p < 0.001)、妊娠BMI低値(23.7 vs 26.2 , p< 0.0001)、妊娠糖尿病率高い( 21% vs 13 % , p=0.005)


満期産新生児では、南アジア系体重低値  (3283 vs 3517g, P=0.0001)、 皮下脂肪厚:skinfold thickness は高値(11.7 vs 10.6mm; P=0.0001) 、ウェスト径大(31.1 vs 29.9cm, P=0.0001)

新生児皮下脂肪厚のリスク要素は、南アジア民族性、母体血糖、母体体脂肪量と相関 (標準化推定 (s.e.): 0.24, 0.079, 0.14; P< 0.001 ,p=0.04, P=0.0002)


同じく、コーカシアン白人と比べ、糖尿病になりやすい日本人を含めた東アジア人も同様の影響があるのでは?

ICU急性呼吸不全&免疫不全:非侵襲性人工呼吸は酸素療法より28日目死亡率改善しない

臨床実地的に多大な影響を与えそう、特に化学療法中発症の呼吸不全に対して・・・



急性呼吸不全ICU入室免疫不全患者において、早期非侵襲的人工換気は、通常の酸素療法比較にて28日目の死亡率減少に寄与しない


Effect of Noninvasive Ventilation vs Oxygen Therapy on Mortality Among Immunocompromised Patients With Acute Respiratory Failure
A Randomized Clinical Trial
Virginie Lemiale, et. al.; for the Groupe de Recherche en Réanimation Respiratoire du patient d’Onco-Hématologie (GRRR-OH)
JAMA. Published online October 07, 2015. doi:10.1001/jama.2015.12402


多施設ランダム化トライアル、374名の重症免疫不全患者(84.7%が造血系あるいは固形腫瘍治療中):フランス・ベルギーの28ICU







Probability of Survival at Day 28
Probability of survival and subgroup analyses of the risk of day-28 mortality Kaplan-Meier estimates of the probability of day-28 mortality in immunocompromised patients with acute respiratory failure receiving either early noninvasive ventilation or oxygen only. Statistical test used the log-rank test.

腰痛への理学療法早期介入は統計学的に意味はあるが臨床的意味はすくない

腰背部痛、頚部痛など運動器系疼痛を含め、理学療法だけでなく、薬物、代替治療に関しても、臨床的有意最小変化量:MCIDで再評価する必要があると思う。


”統計学的有意差≠臨床的意義”ということが未だに周知されてない。

統計学的有意差があれば全て意味があるという誤解は、払拭できてない。研究者が(勝手に打ち立てた)帰無仮説が否定されたに過ぎないという意味しか無いのだが・・・。



Early Physical Therapy vs Usual Care in Patients With Recent-Onset Low Back Pain
A Randomized Clinical Trial
Julie M. Fritz, et. al.
JAMA. 2015;314(14):1459-1467. doi:10.1001/jama.2015.11648.



【序文】 腰痛、Low back pain (以下、LBP)は、プライマリケアでコモンなもの。ガイドラインでは理学療法へ後に照会することが推奨されている。

【研究目的】 早期理学療法(マニピュレーション、運動)が、通常のケアに比べ、decision ruleとして、LBP-フィッティングをもって患者のディスアビリティを改善するという点でより有効か評価

【デザイン、セッティング、被験者】
220名の被験者を有するランダム臨床トライアルで、2011年3月から2013年11月まで登録。直近6ヶ月間にLBP治療を行ってない、18歳から60歳(平均年齢 37.4歳、[SD, 10.3歳])、Oswestry Disability Index (ODI)スコア 20以上、16ヶ月未満の有症状期間、72時間内の膝より遠位症状無しをプライマリケア受診フォローアップ登録。



【介入】全員教育を受ける。早期理学療法(n=108)は、4つの理学療法セッション〜成り、通常ケア (n = 112)は、初めからの4週間は介入追加無し


【主要アウトカム・測定項目】
プライマリアウトカムは、3ヶ月時点でのODIスコア変化 (range : 0 - 100 : 高値ほどディスアビリティ悪化を示す; minimum clinically important difference, 6 ポイント)
セカンダリアウトカムは、フォローアップ4週後、1年後ODIスコア、疼痛強度の変化。
4週、3ヶ月、1年フォローアップ後の、Pain Catastrophizing Scale (PCS) スコア、 fear-avoidance belief、 quality of life、 patient-reported success、 health care utilization

【結果】
1年フォローアップ完遂207名(94.1%)
共役変数解析にて、早期理学療法は3ヶ月後のディスアビリティーにおいて通常ケアより相対的改善を示す  (平均 ODI スコア: 早期理学療法群, ベースライン:41.3 [95% CI, 38.7 to 44.0] →  3ヶ月後:6.6 [95% CI, 4.7 to 8.5] ; 通常ケア, ベースライン:40.9 [95% CI, 38.6 to 43.1] → 3ヶ月後:9.8 [95% CI, 7.9 to 11.7] ; 群間差, −3.2 [95% CI, −5.9 to −0.47], P = .02)
4週間後、ODIスコア有意差有意差ある(群間差, −3.5 [95% CI, −6.8 to −0.08], P = .045])も、1年後フォローアップ時点では有意差無し (群間差, −2.0 [95% CI, −5.0 to 1.0], P = .19)

4週間、3ヶ月、1年フォローアップ時点での疼痛強度改善見られず (群間差, 4週間フォローアップ時点−0.42 [95% CI, −0.90 to 0.02] ; 3ヶ月フォローアップ時点 −0.38 [95% CI, −0.84 to 0.09] ; 1年フォローアップ時点 −0.17 [95% CI, −0.62 to 0.27]  )

PCSスコアは、4週時点、3ヶ月時点で改善するも、1年フォローアップ時点では改善無し (群間差, 4週フォローアップ時点 −2.7 [95% CI, −4.6 to −0.85] :3ヶ月フォローアップ時点 −2.2 [95% CI, −3.9 to −0.49] ; 1年フォローアップ時点 −0.92 [95% CI, −2.7 to 0.61] )
どの時点でも医療受診に関して差を認めない

【結論・知見】発症間もないLBP成人において、早期理学療法はディスアビリティーの統計学的有意な改善を認めるも、この改善度合いは軽度で、通常ケアに比較して、臨床的有意最小変化量:MCIDを満たしてない。



早期リハビリテーションが全て善ではない・・・早期リハビリテーションが必要というなら地道に、MCIDを示す臨床トライアル結果を提示するしかない


noteへ実験的移行

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