2014年3月11日火曜日

アジスロマイシン・レボフロキサシンにより、不整脈・死亡リスク増加

安全性情報に関して、建前とは別に、製薬会社は安全性情報より売り上げ最優先のため、この種の安全性情報は流さない。故に、ホントは、学会・医師会などが能動的・積極的に啓発活動すべきで、製薬会社はその情報を各種団体や各医療機関に公表・協力すべきなのだが、新薬創出・売り逃げだけに懸命。後発医薬品が出たら安全性情報などほぼ放置なのでは?

昨年、医療機関・医師たちはこの情報をMRたちからきいたことがあるだろうか?
米国FDA警告:ジスロマック・致死的不整脈リスク 2013/3/13マクロライドや、非マクロライドであるフルオロキノロンなどもQT延長や他の重大な副作用があり、抗菌薬選択には注意が必要と・・ 
QT/QTc間隔延長薬剤:投与前・投与後心電図検査 2013/03/18

まぁ、製薬会社に倫理性だけを求めても、無理。市場原理とはそういうもの!


とにかく、これら薬剤処方時には注意が必要


"Azithromycin and levofloxacin use and increased risk of cardiac arrhythmia and death"
Rao G, et al
Ann Fam Med 2014; 12: 121-127.

米国在郷軍人コホート(平均年齢 56.8歳)・主に外来
アモキサシリン(979,380)、アジスロマイシン(597,792)、レボフロキサシン(201,798)
アジスロマイシンは5日間、アモキサシリン・レボフロキサシン10日間が大部分

アジスロマイシン投与患者(投与1-5日め)、対照薬アモキサシリン投与に比べ、死亡リスク有意増加(ハザード比 [HR], 1.48; 95% CI< 1.05 - 2.09)、重症不整脈 (HR = 1.77; 95% CI, 1.20 - 2.62)。 投与6-10日めでは、リスク有意差なし。

レボフロキサシン(1-5日目)では、対照アモキサシリン比較で、死亡リスク増加(HR = 2.49, 95% CI, 1.7 - 3.64)、 重度心不整脈 (HR = 2.43, 95% CI, 1.56 - 3.79)
この死亡・重度不整脈リスクは、6-10日めで有意差残存(HR = 1.95 ,95% CI , 1.32 - 2.88 、 1.75 ; 95% CI, 1.09 - 2.82)


解説:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Arrhythmias/44703


寄与要素補正後、死亡リスクはレボフロキサシンが最も大!
アジスロマイシンに比較して、治療初期5日間、6-10日間は、全原因死亡率高い。
不整脈リスクは、レボフロキサシンとアジスロマイシンは同等。


医師たちは、自ら情報獲得しなければいけない時代。ふんぞりかえっていたら、MRさんたちが恭しく(ひんまがった)情報をあたえてくれる・・・ってのは本来間違い。ノバルティスや武田が、医者を敬い奴隷のごとく神のごとき正しい情報をくれてるとでも思ってたのだろうか?これらの会社の製品を不買する程度の反応しかできない医者はアホとしか・・・。


胸痛受診:肥満は医療コスト増大、入院期間増加させ、原因不明の胸痛に終わることが多い

胸痛主訴の肥満者は、非肥満に比べ、入院期間が長くなり、医療コストがかなり高くなる。有意差のない部分でも断言、信頼性今ひとつだけど、示唆的内容にはなっている。


冠れん縮性狭心症や安定した陳旧性心筋梗塞を診断してはよろこんでいる循環器系医師も存在する日本に比べ、こういう米国の解析においては、死亡率や合併症に関する診断追求を早い段階で切り捨ててる・・・そういう背景を念頭に置く必要があろう。


Association of Body Mass Index With Increased Cost of Care and Length of Stay for Emergency Department Patients With Chest Pain and Dyspnea
Geoffrey W. Peitz, et. al.
CIRCOUTCOMES.113.000702 Published online before print March 4, 2014, doi: 10.1161/​CIRCOUTCOMES.113.000702


前向き4施設アウトカム研究
呼吸困難・胸痛成人患者で、診断歴無し
90日間主要アウトカム(医療コスト、入院・受診期間(ED・病棟時間を含む)、放射線被爆量)をフォローアップ
BMIを5カテゴリー(低体重、正常体重、過体重、肥満、合併症的(病的)肥満)に分ける
Kruskall–Wallis rank testを用い比較、BMI予測価値を多変量解析で検証。

正常体重患者の医療コストに比較して、コストは
肥満 28%(P=0.020)
病的肥満 41%(P=0.015)
CT無しの病的肥満患者は、正常体重社に比べ、34%も入院期間長い(P=0.073)
CT有りの病的肥満者は44%も入院期間が長い(P=0.83)

BMIは必ずしも放射線被爆量増加の予後因子ではない。

病的肥満は、CT肺血管造影後90日心肺合併症無し比率が87%と高い。
過体重 22% (P = 0.077)

肥満者に於ける原因不明の胸痛という新しい病名の可能性はないのだろうか?
血栓・血管狭窄は否定されても、機能的痙攣などは否定されてないのでは?
まぁ、死亡率・合併症率に関連しない病態なら、医療経済的には意義大きくない病態ではあるだろうが・・・

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