2013年3月8日金曜日

SMART的使用法:ベクロメタゾン/ホルメテロール定期・頓用使用 vs 発作時サルブタモール比較

"The Lancet Respiratory Medicine”というのが発刊らしい。

SMART療法というと、製薬会社のプロモーションがひどすぎて、なんだか訳がわからなくなってきてる。 本来は、as-neededとして、即効性・持続性のあるホルメテロール含有の吸入ステロイドを使用すれば、抗炎症効果が同時に、そして、β受容体作用と吸入ステロイドの相乗作用なども期待できるという代物だった。

今回のas-needed治療として使用されているの、ベクロメタゾン/ホルメテロール製剤

これでの検討・・・SMART療法なる名称は使えない・・・

一応、有意差はでているものの急性悪化回数の差は1日もない。
呼吸機能や頓用使用の回数も有意差でてない。
BUD/FOMも同様だが、宣伝ほどの差は無いのだ・・・



Beclometasone—formoterol as maintenance and reliever treatment in patients with asthma: a double-blind, randomised controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Volume 1, Issue 1, Pages 23 - 31, March 2013 
Alberto Papi et. al.

ICSとしてBDP(ベクロメタゾン)と、立ち上がり迅速・長時間作用のフォルメテロールを含む超微細併用吸入と、短時間作用型サルブタモールをレリーバ使用する戦略を


ヨーロッパ諸国14ヶ国、183センター、48週間に及ぶ二重盲験トライアル、完全なコントロールにない18歳以上喘息(run in 2週間、FEV1予測値 < 60%)
この期間中に、BDP100 μg/ FOM6μg × 2 の定期吸入 + サルブタモール100μg(要求時)
レリーバとして
BDP100μg+ホルメテロール6μg
サルブタモール 100μg
1:1比で割り付け
プライマリアウトカムは、重症急性増悪までの期間(病院受診・ED受診、3日連続以上のステロイド全身投与)
セカンダリアウトカムは、重症急性増悪回数(年間100名の患者あたりのイベント)、軽症急性増悪までの期間・回数、追加急性増悪変数、肺機能、症状スコア、喘息コントロール
【結果】
1714名の患者を、必要時割り付け、ベクロメタゾン/ホルメテロール:BDP/FOM(n=857)、 サルブタモール:SAL(n=857)で、解析は852、849

重症急性増悪 251名、48週での最低1回の急性増悪は 99 vs 152
BDP/FOM頓用、維持・レリーバ使用でのBDP/FOMでは、SAL頓用に比べ、有意に急性増悪までの日数増加( 209 日 vs 134 )、差は75日、でリスク減少36%(ハザード比 0.65 [95% CI, 0.49-0.82]; p = 0.0005)、推定確率12%と18% p=0.0003)
BDP/FOM頓用の方が、SAL頓用より軽症喘息急性増悪日数は、少ない  (56.04 日数/患者・年数 vs 65.11 日数/患者・年数; 0.86 [0.76 - 0.98]; p=0.021)
run-in periodから48週までの症状改善(BUD/FOM頓用 平均 変化差 -1.59 [-1.94 〜 -1.25] 、-1.44[-1.78 〜 -1.10]、差は -0.15[-0.60 〜 -.37] p=0.507
喘息コントロール日数比率  (9.5% [7.3 〜 11.8]% vs 10.9%[8.7-13.1%])、差は-1.4[ -4.3〜 1.6] p=0.357
1714名の患者を、必要時割り付け、ベクロメサゾン/ホルメテロール:BDP/FOM(n=857)、 サルブタモール:SAL(n=857)で、解析は852、849
重症急性増悪 251名、48週での最低1回の急性増悪は 99 vs 152

BDP/FOM頓用、維持・レリーバ使用でのBDP/FOMでは、SAL頓用に比べ、有意に急性増悪までの日数増加( 209 日 vs 134 )、差は75日、でリスク減少36%(ハザード比 0.65 [95% CI, 0.49-0.82]; p = 0.0005)、推定確率12%と18% p=0.0003)

BDP/FOM頓用の方が、SAL頓用より軽症喘息急性増悪日数は、少ない  (56.04 日数/患者・年数 vs 65.11 日数/患者・年数; 0.86 [0.76 - 0.98]; p=0·021)


run-in periodから48週までの症状改善(BUD/FOM頓用 平均 変化差 -1.59 [-1.94 〜 -1.25] 、-1.44[-1.78 〜 -1.10]、差は -0.15[-0.60 〜 -.37] p=0.507

喘息コントロール日数比率  (9.5% [7.3 〜 11.8]% vs 10.9%[8.7-13.1%])、差は-1.4[ -4.3〜 1.6] p=0.357

 レリーバ使用  ー0·29 [- 0.38 〜 - 0.20] vs - 0.27 [- 0.36 〜 - 0.19]、差は −0.02 [—0.13 〜 0.10]; p=0.794)

 肺機能 (FEV1, 0.090 [0.060 〜 0.120] vs 0·090 [0.060〜0.120]、その差は 001 [—0.040 〜 0.040]; p=0.969)

 耐用性良好 (重度副作用, 32 [4%]、 41 [5%])




SMART療法について・・・
Single inhaler as maintenance and reliever therapy—is it SMART?

The Lancet Respiratory Medicine, Volume 1, Issue 1, Pages 2 - 3, March 2013 
 





神経性食欲不振症:梁下帯状回脳深部刺激療法 第1相試験

梁下帯状回への脳深部刺激療法(英: Deep Brain Stimulation; DBS)治療

Subcallosal cingulate deep brain stimulation for treatment-refractory anorexia nervosa: a phase 1 pilot trial
Nir Lipsman et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 7 March 2013doi:10.1016/S0140-6736(12)62188-6

DBS は重篤な引く作用と関連し、手術後2週でプログラミン中けいれんで重篤
他に、手術後パニック発作
吐気・空気塞栓・疼痛

9ヶ月後の時点で、病歴ベースラインよりBMI増加・維持達成 3/6

DBSは、4例の気分、affective regulation、食欲不振症関連妄想・衝動脅迫改善と関連。
3名の6ヶ月後のQOL改善と関連。

臨床的ベネフィットは、脳の糖代謝(PETスキャン;ベースラインから6ヶ月後比較)変化を伴い、前帯状、島、側頭葉の病的異常の改善 

いまでは、神経性食欲不振症では、Maudsley modelと呼ばれる、family based treatmentが新しいスタンダードらしい。adolescent-focused therapy(AFP)から家族へというのは当然の帰結。

中年健康男女:red meat、加工肉と死亡率の相関明確! 非加工肉・鶏肉は関連せず?

約45万名の健康男女35-69歳を、1990年代から2000年代を通して調査。






 加工肉では死亡率と関係するが、加工肉外では死亡率と関連せず、鶏肉も無縁という・・興味ある結果。

Meat consumption and mortality - results from the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition
Sabine Rohrmann, et. al.
BMC Medicine 2013, 11:63 doi:10.1186/1741-7015-11-63 Published: 7 March 2013 

2009年6月までの26344名死亡観察

多変量補正後、 red meat消費増加は、全原因死亡率増加と相関(HR=1.14, 95% CI 1.01-1.28, 160+ vs. 10-19.9 g/日)

相関は特に、加工肉と強い相関(HR=1.44, 95% CI 1.24-1.66, 160+ vs. 10-19.9 g/日)

測定後差補正後、全原因死亡率は、有意なのは、加工肉のみ
(HR=1.18, 95% CI 1.11-1.25, per 50 g/日)


全被験者が 20g/日未満にすることで、死亡のうち、3.3%(95% CI, 1.5-5.0%)は予防可能

加工肉摂取と有意に関係するのは、心血管、がん、他の死亡リスク

鳥肉は、全原因死亡率と相関せず

4月から届け出必要:「侵襲性」インフルエンザ菌・「侵襲性」肺炎球菌・「侵襲性」髄膜炎菌


感染症法に基づく医師の届出のお願い
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html
平成25年3月4日から、4類感染症に「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が追加されますので、届出基準を満たした患者を診断した医師は届出をお願いします。 
平成25年4月1日から、5類感染症に「侵襲性インフルエンザ菌感染症」「侵襲性肺炎球菌感染症」が追加され、同じく5類感染症の「髄膜炎菌性髄膜炎」が「侵襲性髄膜炎菌感染症」に変更されますので、それぞれ届出基準を満たした患者を診断した医師は届出をお願いします。

4類: 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」

5類:
「侵襲性インフルエンザ菌感染症」
「侵襲性肺炎球菌感染症」
「侵襲性髄膜炎菌感染症」(髄膜炎菌性髄膜炎)

リファペンチン・モキシフロキサシンを利用した新しい結核レジメン:週1回レジメンも・・・

結核に関して、2HRZE/4HR(すなわち、2ヶ月のPZA+EB+RFP+INH → 残り4ヶ月はRFP+INH)というのが標準レジメンだが、
rifapentineとmoxifloxacinを利用して、
4ヶ月レジメン(2MRZE/2M・Riffapentin900)
6ヶ月・週1回レジメン(2MRZE/4weeklyM・Riffapentin1200)の比較

"A multicentre randomized clinical trial to evaluate high-dose rifapentine with a quinolone for treatment of pulmonary TB: the RIFAQUIN trial"
Jindani A, et al
CROI 2013; Abstract 148LB.
http://www.retroconference.org/2013b/Abstracts/48012.htm

Rifaquin
http://www.brti.co.zw/index.php?option=com_content&view=article&id=38&Itemid=59

週1回治療を特徴とした新しい結核治療レジメンの臨床トライアル、アドヒアランスと治癒率にかなりのインパクトを認めたとのこと


対照:2 months daily ethambutol, isoniazid, rifampicin, and pyrazinamide followed by 4 months daily isoniazid and rifampicin;

4ヶ月 regimen:isoniazid replaced by moxifloxacin in the 2-month intensive phase and 2 months of 2-weekly moxifloxacin and 900 mg rifapentine

6ヶ月 regimen—isoniazid replaced by moxifloxacin in the intensive phase and 4 months of 1-weekly moxifloxacin and 1200 mg rifapentine
2008年8月から2011年8月まで、南アフリカ(464)、ザンビア(292)、ボツワナ(56)、ザンビア(15)の827名
HIV+ 233(28%) /CD4カウント中央値 312/mm3
男性 509 (62%) 、体重中央値 53 kg
初期薬剤抵抗性 39(5%)を有効性解析から除外

4ヶ月レジメンと対照治療群との不良アウトカム差は、ITT 11.9%(95% 信頼区間 [CI] 3.7%, 20.0%) 、PP 13.2%(95%CI 6.4%, 20.0%)

6ヶ月レジメンと対照治療群との差は、 ITT  –2.0% (95%CI –8.9%, 4.9%) 、 PP–1.5% (95%CI –5.7%, 2.8%)

39名(対照 13、研究群 11、15)で 副事象 grade 3、4 46回
6イベントは肝炎

rifapentineは、moxifloxacinのクリアランスを8%増加するも、moxifloxacinの有意変化認めず

コレステロールの季節変動

コレステロールの値は、冬増加し、暖かくなると低下する

ブラジルFilipe Mouraらの研究

LDLコレステロールは、夏に比べ、冬では 7mg/dL増加で、約8%ほどに相当。
トリグリセライドは、約5%

American College of Cardiologyの学術紹介での報告らしい

http://health.usnews.com/health-news/news/articles/2013/03/07/cholesterol-levels-may-vary-by-season


脂質特性の季節変動に関し、2004年の報告(コレステロール値は季節変動する・・・その理由は・・・ 2004年 04月 27日)だと、
季節性変動の大きさは、
男性だと 3.9 mg/dL(0.10 mmol/L)で、12月がピーク
女性だと 5.4 mg/dL(0.14 mmol/L)で、1月がピーク

季節変動幅は高コレステロール血症患者で大きい

全体的に見ると、夏より冬の方が 240 mg/dL以上例は22%ほど多くなる

Seasonal Variation in Serum Cholesterol LevelsTreatment Implications and Possible Mechanisms
Ira S. Ockene, et. al.
Arch Intern Med. 2004;164(8):863-870. doi:10.1001/archinte.164.8.863

当時、 食事や身体活動の季節変動を主にして説明されている。
体重・BMI・心拍/血圧などの身体的要素、エネルギー(カロリー)が25%ほどの説明因子となっている。それ以外に、自然光や昼間の時間の長さが説明因子となると・・・

今回の発表で、すこしは新たな知見が報告されるのだろうか?

小児喘息 Cochraneレビュー:シクレソニド ・・・ 副作用少なく、効果も良いはずだが・・・

シクレソニド(オルベスコ)って発売当初は医薬品情報あったが、昨今はまったく聞かない。

宣伝文句は、「肺組織内で活性代謝物になるプロドラッグであり,嗄声や口腔カンジダ症などの口腔・咽喉頭に対する副作用を大幅に減少させる特徴がある.さらに,完全溶解型製剤であり,特殊なデバイスから噴射されるエアロゾル粒子径が極めて小さいため肺内到達率がよい」ということで、玄人受けしそうな薬剤だが、臨床実地上は果たして?

以下見ると、小児喘息に関して、まったく、その利点がない

Ciclesonide versus other inhaled corticosteroids for chronic asthma in children.
Kramer S,  et. al.
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Feb 28;2:CD010352. doi: 10.1002/14651858.CD010352.
6研究 3256名の4-17歳子供、2つはアブストラクトのみ

シクレソニドのブデソニド、フルチカゾン比較
シクレソニドはブデソニドと用量1:2として比較:喘息症状と副作用影響は同等

プール解析結果にて、急性増悪経験に有意差認めず (リスク比(RR) 2.20, 95% 信頼区間 (CI) 0.75 〜 6.43)
両研究にて、24時間尿中コルチゾール濃度は、シクレソニド群に比べ、ブデソニドの方が統計学的に低下

フルチカゾン比較のシクレソニド(用量比 1:1):喘息症状アウトカムに有意差認めず

プール化解析結果にて、急性増悪患者数の有意差なし  (RR 1.37, 95% CI 0.58 〜 3.21) 、メタアナリシスプールされてない研究からのデータでは両群同様の急性悪化数。
副作用の差認めず。群差の24時間尿中コルチゾール値に有意差認めず(平均差 0.54 nmol/mmol, 95%CI -5.92 〜 7.00)
 
シクレソニド vs フルチカゾン (用量比 1:2)は1研究でなされ、2つのステロイドの喘息症状で類似であった。
急性増悪小児数はシクレソニド群で有意に多い (RR 3.57, 95% CI 1.35 〜 9.47)

 副事象に有意差なし  (RR 0.98, 95% CI 0.81 〜 1.14) 、24-時間尿中コルチゾール値(平均差 1.15 nmol/mmol, 95% CI 0.07 〜 2.23)

エビデンスの質は、喘息症状に関しては「軽度」、急性悪化アウトカムは「極低」、シクレソニド vs フルチカゾン副事象(用量比 1:1)に関しては「低い」と判断
アウトカムから低いと判断 

シクレソニド vs フルチカゾン(投与量 1:2)比較では、喘息症状アウトカムは「引く」、急性増悪・副作用イベントに関しては「極低」 



noteへ実験的移行

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