2018年3月2日金曜日

新規抗インフルエンザ薬:ゾフルーザ 安全性高く、ウィルス消失タミフルより迅速、症状改善時間は他剤と同等?

皆、思うこと なんで、米国FDAでは認可されなかったの?
CNNなど米国でも報道されてたみたいだけど・・・
https://edition.cnn.com/2018/02/14/health/new-flu-drug-and-flu-related-products/index.html

neuraminidase inhibitorではなく、"endonuclease inhibitor"
S‐033188 is a prodrug that is metabolised to an active form (known as S‐033447). S‐033447 is a small molecule inhibitor of the cap‐dependent endonuclease of influenza A and B viruses.

ゾフルーザ(Baloxavir marboxil)は、タミフル(oseltamivir)より迅速にウィルス増殖を止め、症状改善時間は他の抗ウィルス薬と同様だが、安全性が高い


Baloxavir marboxil (S-033188)
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02954354


Baloxavir Marboxil Demonstrates Positive Phase 3 Influenza Results OCTOBER 13, 2017
http://www.mdmag.com/conference-coverage/idweek-2017/baloxavir-marboxil-demonstrates-positive-phase-3-influenza-results

20-64歳 
baloxavir marboxil 40mg , 80mg 、プラシーボ1回投与 2:1:2割り付け
対照オセルタミビル 75 bid x 5日間

12-19歳
baloxavir marboxil 、プラシーボ  2:1割り付け
(体重 80kg未満 40mg、体重 80kg以上 80mg)


登録者は、合併症無しの有症状インフルエンザで、最低 38度、1つ以上の呼吸器症状、1つ以上の全身症状あり、48時間を超えてない罹病時間

ウィルスtiterの変化、ウィルス消失時間、解熱・インフルエンザ前健康状態への回復時間

ウィルスtiterは1,2,4日、oseltamivirに比べても有意に低下
ウィルス消失時間は、oseltamivirの72時間に比べて24時間で有意に短い


Baloxavir marboxil 服用で、プラシーボに比較して解熱時迅速で、 24.5時間 vs 42時間

インフルエンザ罹患前健康状態への回復時間は、129.2時間で、プラシーボ 168.8時間で、40時間ほど早く改善

阻害剤は、 time to alleviation of symptoms (TTAS)においてプラシーボより優越で、53.7時間 vs 80.2時間

全体的に、baloxavir marboxilは副事象全般頻度 (20.7%) はプラシーボ (24.6%)、oseltamivir (24.8%)に比較して少ない
治療関連副作用もoseltamivirに比較して頻度少ない


ほっとけば、これ以外の薬剤駆逐しそうだけど・・・ 薬剤耐性大丈夫なのだろうか?


“The advantage is that it’s one pill once, versus a course of therapy, so particularly for pandemic planning, this could be an advantage,” O’Day said. “You don’t have the potential resistance that comes with not completing your course of therapy.”


成人発症糖尿病 5つに分類への提言

同じ糖尿病、2型糖尿病といっても、特性があり、クラスター分けするのは当然かもしれない。それにより、管理・治療方針が異なることも当然なのかも。今、糖尿病は1型、2型、late autoimmune diabetes (LADA), marurity-onset diabetes in the young (MODY)と、二次性糖尿病と分けられている。膵β細胞への自己抗体、若年発症などでわけている1型、2型の従来の区分け、最近glutamate acid decarboxylase (GADA)抗体や遺伝子配列の検討でheterogenousな病気であることがはっきりしてきた。生存率に関わる合併症を予防・早期治療する必要性もあり、生活菜糖尿病診断が求められている。

研究者等は、治療個別化、合併症リスクに基づく分類を、コホートから分類



従来の1型、2型糖尿病の分類より、生理学的特性・遺伝的特性の違いから5つの型に成人型糖尿病を分ける方が良いと、スウェーデン、フィンランドの5コホート、15000名ほどのデータからの報告

インスリン抵抗性が目立つクラスターは、糖尿病性腎症リスク有意に高く、
若年インスリン不足が目立つ症例では、代謝コントロール不良で、HbA1c高値で
大きな比率である高齢者群は比較的良性の臨床経過となる



5つのクラスター分け
1)重症自己免疫性糖尿病 (SAID : Severe autoimmune diabetes)
2)  重症インスリン欠乏性糖尿病(SIDD : Severe insulin-deficient diabetes)
3)  重症インスリン抵抗性糖尿病(SIRD : Severe -insulin resistant diabetes)
4)  軽症肥満関連糖尿病(MOD : Mild obesity-related diabetes)
5)  軽症加齢関連糖尿病(MARD : Mild age-related diabetes) 




Novel subgroups of adult-onset diabetes and their association with outcomes: a data-driven cluster analysis of six variables
Emma Ahlqvist,  et al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology published online March 1 
DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-8587(18)30051-2







ClusterN (%)CharacteristicsName
1577 (6.4)Early disease onset (at a young age), essentially corresponds with type 1 diabetes and LADA, relatively low BMI, poor metabolic control, insulin deficiency (impaired insulin production), GADA+Severe autoimmune diabetes (SAID)
21575 (17.5)Similar to cluster 1 but GADA–, high HbA1c, highest incidence of retinopathySevere insulin-deficient diabetes (SIDD)
31373 (15.3)Insulin resistance, high BMI, highest incidence of nephropathySevere-insulin resistant diabetes (SIRD)
41942 (21.6)Obesity, younger age, not insulin resistantMild obesity-related diabetes (MOD)
53513 (39.1)Older age, modest metabolic alterationsMild age-related diabetes (MARD)


DiRECT: 2型糖尿病寛解到達はプラクティカル医療上の目標:強化減量にて半数到達

糖尿病関連薬剤のプロモーターと化している日本の糖尿病医療指導者たちに、この報告はどのように解釈されるのだろうか?


「生活指導は大事で、特に、食事療法、運動療法が・・・」と言いながら、中途半端な指導を口先だけで行い、実際は、薬に頼りっぱなし
「DPP4阻害剤がぁ・・・、SGLT2阻害剤がぁ・・・ ばかり ほざく」というのが日本の糖尿病診療の実態ではなかろうか?

糖尿病関連の講演会に行くとそればっかりなので、足が遠のく・・・

糖尿病において、twin cycle hypothesis 、肝内・膵臓内の過剰な脂肪がとくに問題
“600-700 kcal/dayの負のエネルギーにて、7日で、肝内インスリン抵抗性及び脂肪含量正常化し、膵内脂肪は8週後に正常化する”となると、中途半端な食事指導ではこれに到達しない

やるなら、この報告の如く、徹底しなければならない



Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial
Michael EJ Lean,  et al.
The Lancet , Volume 391, No. 10120, p541–551, 10 February 2018
DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)33102-1 |

【背景】
2型糖尿病は障害治療を必要とする慢性疾患。強化体重管理(ルーチンプライマリケア無し)で2型糖尿病寛解到達できるかの検討

【研究方法】
オープンラベル・クラスターランダム化トライアル(DiRECT): スコットランドとイギリス・タインサイド地方の49プライマリケア
コンピュータ作成リスト経由ランダム割り付け (1:1)
weight management programme (intervention)
or
best-practice care by guidelines (control)
層別化(研究地域毎 タインサイド or スコットランド、 リストサイズ 5700未満 or 以上)
被検者、治療者、アフトカムデータ収集研究補助者はグループ割り付け認識あり ; しかし、割り付けは研究層別化から目隠しされている
20−65歳、6年以内の2型糖尿病診断、BMI 27-45 、インスリン非投与群
介入は、糖尿病薬中止、降圧剤中止、総ダイエット変更( 825-853 kcal/day の formula diet  3-5ヶ月)、食事再導入は 2-8週間でステップを踏む、長期減量メンテナンスへの構造的サポートとする。
Co-primary outcomeは、15kg以上の減量、糖尿病寛解(定義: 糖尿病薬剤全中止 2ヶ月後HbA1c < 6.5)、ベースラインから12ヶ月後まで


【結果】2014年6月25日〜2017年8月5日、 306名登録、介入GP n=23 vs 対照 GP n=26
群毎149名をITT対象

12ヶ月時点で、介入群 15kg以上の減量 36名(24%) 対照群 0名 p < 0.0001

糖尿病寛解は、介入群 68名 (46%) vs 対照群 6(4%) (オッズ比 19.7 95%CI 7.8 - 49.8 ; p < 0.0001)


全研究対象者においては寛解は体重でばらつ
体重増加群:0/76
減量 0-5 kg 維持群:6(7%) / 89
減量 5-10kg 群 19 (34%) / 56
減量 10-15kg 群 16 (57%) / 28
減量 15kg以上群 31 (86%) /36

介入群 減量平均 10.0kg (SD 8.0) vs 対照群 1.0 (3.7) kg  (補正差 −8.8 kg, 95% CI −10.3 to −7.3; p < 0.0001 )
EuroQol 5 Dimensions visual analogue scale測定 QOLでは 介入群 7.2ポイント (SD 21.3) 改善、対照群では 2.9ポイント(SD 15.5)減少(補正差 6.4ポイント , 95% CI, 2.5 - 10.3 ;  p=0.0012 )




重大副事象 介入群 7/157 (4%) vs 対照群 2 (1%) ;胆道系疝痛、腹痛2回、同じ被検者、介入に関連するものと見なされた

中断するような重篤副事象認めず


【結論】12ヶ月時点で、ほぼ半数が非糖尿病・糖尿病薬剤無しへ寛解
2型糖尿病寛解はピライマリケアにおいて2型糖尿病寛解は実践上の目標である



DiRectトライアルにて超過体脂肪が2型糖尿病に果たす役割の重大性が示唆された

DiRECT: 2型糖尿病寛解到達はプラクティカル医療上の目標:強化減量にて半数到達
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/03/direct-2.html

食事介入のみで、治療薬中止可能とする"寛解率”46%の意義は?

肝臓内脂肪(体重比率)16% →3% 激減!<推定>

膵臓内脂肪 小規模の変化のみ
だが、機能的にはβ細胞覚醒<初期インスリン反応回復、rapid surge回復>





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