2012年1月20日金曜日

薬価も韓流にしろ! ・・・ 先発も、後発も同様にバーンと薬価引き下げすべき!

エコノミスト(2012年 1/24)に掲載されてた記事

 ”韓国:薬価引き下げに向け 製薬業界リベート摘発”という記事なのだが、中身は、韓国での薬業団体の反発と、製薬会社と医師・薬剤師の間のリベートの根絶宣言がももたらすという話。一般世論この薬価引き下げが正当だ認識しており、製薬会社に不利になっているという記事。 

この記事の中でこの部分が気になった。
事の起こりは、2011年8月に保健福祉部(省)が発表した薬価制度改正案。オリジナル(先発)薬の特許期限が切れた後の薬価に関して、期限切れ前の価格に対してオリジナル薬80%、ジェネリック薬(後発)薬68%に設定されている現行の薬価基準を、12年4月から一律53.55%に下げるというものだ。これにより1兆7000億ウォン(約1200億円)の薬価引き下げが実現する見込みで、健康保険公団(7割)と患者(3割)の負担が軽くなる
韓国では、先発薬も後発薬も一律に下げるという、薬価下げ至上主義を行ってる。

日本では、先発製薬会社が後発薬をだすということを厚労省は拒否し、後発専門メーカーに利する政策を続けている。

日本は、後発医薬品を対先発比率70%(米国平均では対先発薬価費10%)という異常な状況を固持し続けようとしている。

日本の状況として、興味深いのは、中医協は、ジェネリック専門メーカーの利益者代表ではないかと思うくらい、ジェネリック専門メーカーや大規模チェーン調剤薬局の利益に反する改革は行おうとしない。

韓国をみならって、特許切れ医薬品に関して、ジェネリック・先発ともに、どんと薬価引き下げすべき。

ATP・IV 委員会への呼びかけ: LDL値を治療目標にするのはやめよう・・・個別化リスク似基づく治療へ

NIHのATPに関するopen letterだが、LDLコレステロールを目標とするのをやめようとの呼びかけ
Three reasons to abandon low-density lipoprotein targets: an open letter to the Adult Treatment Panel IV of the National Institutes of Health.
Hayward RA, Krumholz HM.
Circ Cardiovasc Qual Outcomes 2012; DOI:10.1161/circoutcomes.111.964676.

より、テーラー化された全体の心血管リスクを斟酌したものにかえようというもの



現行の”treating to lipid targets (treat to target)から、 個別ネットベネフィットに基づく治療、則ち、”administering fixed doses of statins based on a person's estimated net benefit (tailored treatment)”への変更の呼びかけ



LDLをターゲットとした治療には科学的根拠がない

LDLターゲットに基づく治療ベネフィットが直接示された論文なんてない。たとえば、スタチンなどの治験は固定用量で、特異的な治療対照群を相手に行った治験である。clofibrateやtorcetrapibなどのではリスク減少が示されず、他の薬剤、ezetimibe(ゼチーア)なんて検討中に過ぎない。
すべての薬剤が脂質レベル減少が患者リスク減少を示すとは示されてない。ターゲットは臨床トライアルエビデンスにもとづくというドグマがある。

だが、”LDLコレステロールを目標とする”戦略にはエビデンスがない!

スタチン類の “pleiotropic” effect

 第一世代であるシンバスタチンは劇的に心血管イベント・死亡率を減少させた。アトルバスタチンのような潜在力の高いスタチンは非致死的イベントを減少する作用が15-20%付加的にあった。
トライアルエビデンスではスタチン使用に関するもので、ターゲットによる治療ではなかった。
ベネフィットの働くスタチンのメカニズムは議論があるところであるが、"cholesterol hypothesis"に関して異論の反証の必要性はないほどである。
LDLそのものがheterogeneityがあり、相互作用も存在し、患者アウトカム改善につながるのか信じられない。



LDLターゲット治療の安全性は判明していない

新規薬剤をスタチンに加える方法が使われることが多いが、より高価になるだけでなく、併用に関するベネフィットは示されてない。薬物相互作用を含め5-7年を越えた長期安全性は明確になってない。10年間を越えるベネフィットは評価されてないが、心血管リスクを有する個人は生涯の治療が当然と考えられている。その上に、若年者にまで対象が広げられている。近年、血圧、血糖でも推奨ゴールをstrictにするほど死亡率増加することが明確になってきた。そのまま応用は出来ないが、少なくとも、LDLターゲットをさらに厳しくすることを推奨を正当化するには十分なエビデンスは存在しない。


テーラー化治療は、より単純で、安全で、効果的で、よりエビデンスに基づいている

ATP III LDLターゲットは、RCTエビデンスから離れたモデルの外挿でできている。コレステロール管理において短期治療中のコレステロールの長期変化を信号(s)として個体内変動(n)を雑音としてs/n評価。7Tの短期変動背景に対し、コレステロール値増加シグナルとして検知は困難Ann Intern Med. 2008;148:656661。 治療ガイドラインに従えば、過小治療もしくは過剰治療になっている。
単純なテーラー化治療アプローチとは、5-10年心血管リスクによるもので、年次QALYあたり10万程度をsaveするもので、treat-to-target approachアプローチよりスタチン高用量該当者を少なくすることが出来る。
個別ネットベネフィットに基づく治療、則ち、”administering fixed doses of statins based on a person's estimated net benefit (tailored treatment)”は、現行の”treating to lipid targets (treat to target)より、エビデンスに基づくものと言える。LDL値はすぐさまスタチン治療によるベネフィットを表しているものではなかったから当たり前。




記憶の固定化:PTSDなどの関連するかも ・・・ vs 睡眠はなんでもすばらしいという研究結果

 一晩寝たら、つらいことなんて忘れてしまう! ・・・ ってほんとか?

寝る前に怖いものをみたら記憶の固着が生じる。情緒的・感情的に表現することは減少するが、記憶として残る。


せめて、寝る前にはやはりpositiveなものに触れるようにしましょう・・・


農薬と認知機能への悪影響

フランスLaboratoire Santé Travail EnvironementのIsabelle Baldi氏ら

20年以上ブドウ栽培に従事する40~50歳代の人を対象とした前向き研究 長期間の農薬への曝露により認知機能低下のリスクが2倍以上に高まる
http://mtpro.medical-tribune.co.jp /mtpronews/1012/1012014.html


この研究の論文


Neurobehavioral performance among agricultural workers and pesticide applicators: a meta-analytic study
Occup Environ Med oemed-2011-100204Published Online First: 19 January 2012

殺虫剤慢性低レベルの農業従事者暴露が、認知機能、精神運動機能減少の程度と関連することが示されている。
この研究は、 
(1) identify and quantify neurobehavioral deficits among agricultural workers and pesticide applicators
(2) analyse the potential confounders or moderators of these neurobehavioral deficits

17研究(21のコホートグループ)をメタ・アナリシスに含む

これらの研究は16の神経心理試験(23の注意機能の神経行動機能に関するパフォーマンス測定)
暴露登録者で、注意機能に関する神経行動、視覚運動統合、言語抽象化、知覚構成に関するすべての検査・測定値で、有意な減少が見られた。
記憶に関する3つの検査のうち一つ、持続注意機能に関する検査の5つのうち2つ、運動性言語の8つの内4つが有意な減少を示した。
コホート横断的に、effect size分布のうち9つがheterogenetiy有意にあり
コホートの変数、たとえば、農業労働者 vs 散布機、暴露期間、年齢、男性登録者比率などがこのheterogeneityを説明するにはほぼ不充分。
しかし、Block Desighという一つの検討では、暴露期間はこのパフォーマンス減少と有意に正の相関が見られた。
さらに、この検査でのパフォーマンス減少は高齢者で小さい。

この方面の研究には、研究数の増加、より一致した方法論が要求される。


卒中:早期リハビリテーションは役立つが、転倒リスク増加をもたらす

リハビリテーション関連領域や行政に関わる方々、早期リハビリテーション導入に、懸命で有り、その利益性も理解できるが・・・ あまりに先を急ぎすぎて、歩行・起立に十分な機能を回復しないままで、促進すると、転倒事故を増やすのではないかという危惧がある。

 転倒予測評価を提示して、予防策をはかりながら、リハビリテーションを勧めるべき

"Characterizing and identifying risk for falls in the LEAPS study a randomized clinical trial of interventions to improve walking poststroke"
Tilson JK, et al
Stroke 2012; 43: 446-452.
 
Locomotor Experience Applied Post-Stroke (LEAPS)というランダム化臨床トライアル(2つの歩行回復介入の転倒へのインパクト、転倒予測のための臨床評価検討のためのトライアル)


LEAPS登録地域居住卒中生存者を2ヶ月後評価。
転倒を12ヶ月間モニターし、多発・外傷性(M/I); 単発、非外傷性、非転倒
M/I転倒頻度・それまでの期間を介入群横断的に検討   [自宅運動や locomotor training; 2ヶ月開始   [early-LTP] or 6 ヶ月開始 [late-LTP] )。
転倒アウトカムに関する2ヶ月臨床評価予測

登録者408名のうち、M/I 36.0%、単発・非外傷性 21.6%、非転倒 42.5%

多くの転倒は、評価後3ヶ月内の自宅で生じている。
転倒頻度は、早期-LTP施行重度歩行障害の場合最も多い (P=0.025)

Berg Balance Scale スコア 40/56以下は、M/I転倒の 最もよい指標



高齢者:個性変容可能: Sudoku、クロスワードなどで新しいことへの探求性を開眼




高齢者へのSudokuやクロスワード・パズルを含む認知トレーニングは、新しい経験を開眼することに! 


"shifts in openness or willingness to seek out new and cognitively challenging experiences"という文書から、”openness”を翻訳すれば、”開眼”と言う言葉が妥当と考えた。

medpage(http://www.medpagetoday.com/Geriatrics/GeneralGeriatrics/30752)解説から・・・


16週間のinductive reasoningのトレーニング後、新しいactivityをトライする意志が対照群に比べ増加(P<0.05)したという報告

Joshua Jackson ( Washington University in St. Louis, Psychology and Aging)

高齢者はパーソナリティーの変化をもたらし、新しいこと、、知的チャレンジを見いだし、新規探求性への道へつながることとなる。高齢者に認知機能をより豊かにするような数多くの介入がデザインされたが、それへの開眼するような試みは少なかったと筆者ら。

筆者らの説明だと”認知機能改善を目的とする介入がパーソナリティー特性の変化までもたらす”という仮説の証明。

72.9歳の高齢者で、主に白人(94%)。平均的には教育としては15.5年。
仕事で15時間あるいはボランティアで週15時間過ごす場合には研究に参加しなくても良いとし、除外クライテリアは最近3年間卒中、積極的癌治療、MMSE 24未満

被験者を介入群、wait-list control群にランダム割り付け。研究評価完成に対し研究者に報酬。介入群85名は92%完遂。対照群は98被験者89%完遂。

介入は、クラスルームベースの"inductive reasoning(帰納的推理) training program"で、novel pattern recognitionを主としたものからなり、自宅施行を主にしたSudokuやクロスワードパズルをおこなった。パズルセットは前週のパフォーマンスをベースとした個別スキルレベルに応じて行った。レベルに達したとき、難易度を上げる。

パーソナリティー特性や帰納的推理テストを、介入前、期間中、介入後施行。二次latent growth modelを"openness to experience"のトレーニング効果として評価解析する。


検査前は、"openness to experience"と"帰納的推理スキル"の組み合わせ指標に2群差は認めず。

トレーニングにより"帰納的推理"能力が対照群比較で増加(P<0.05)。


著者らは、トレーニング群でpost-test openness scoreが対照群より高値であると報告し、帰納的推理の変化はopennessの変化に影響を与えないことも見いだした(z=1.47)。則ち、認知機能介入は、opennessに対し帰納的推理技術以上に、影響を与えた。

"(このタグは)使える”、”使えない”ということが、これらの研究で使われており、”これを使える”ということがより"open”になる・・・"openness to experinece"は健康状態をより良好西、死亡率リスクを減少させることにつながる・・・と筆者ら(の暴走?)。



研究の限界としては、メカニズムとして、"openness"変化を説明出来ず。帰納的推理トレーニングのためなのかどうかを直接検討した研究ではないということも。
個性が非心理薬理学的介入により変容したことを示す最初の研究の一つと著者らは胸を張っている。

Jackson JJ, et al "
Can an old dog learn (and want to experience) new tricks? cognitive training increases openness to experience in older adults"
Psychology and Aging 2012; DOI: 10.1037/a0025918.




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