2017年6月1日木曜日

手洗い効果の違い:洗浄水温度、石けんの量、泡立ち時間、抗菌石ケン

トリクロサン抗菌石ケンがやりだまに上がってたので抗菌石ケンの話題はさほど珍しくはないのだろうが・・・

トリクロサン等を含む薬用石けんの切替えを促します
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000138223.html


抗菌石ケンは通常の石ケンとの差は無い
手洗い温度も影響されない
http://www.dailymail.co.uk/health/article-4558764/Washing-hands-cool-water-kills-germs-hot.html




Quantifying the Effects of Water Temperature, Soap Volume, Lather Time, and Antimicrobial Soap as Variables in the Removal of Escherichia coli ATCC 11229 from Hands
Dane A. Jensen, et al.
Journal of Food Protection: June 2017, Vol. 80, No. 6, pp. 1022-1031.
doi: http://dx.doi.org/10.4315/0362-028X.JFP-16-370

手洗いの効果は、石ケンの量、泡立ち時間、洗浄水温度、製品などの影響をうけるはず。
ベースラインは、「非抗菌石ケン1ml、5秒の泡立ち時間、38度の水温」
非病原性大腸菌(ATCC 11229)を暴露細菌として検証
男女10名ずつで検証

大腸菌除去に関して、殺菌剤1%クロロキシレノールではブランド石ケンと有意差無し
平均減少率: 抗菌石ケン 1.94 log CFU(range, 1.83 -2.10) vs ブランド石ケン 2.22 log CFU (1.91 - 2.54 log CFU)

泡立ち時間での影響あり、泡立ち時間20秒間で 0.5-logの減少差あり


水温では、38℃と15℃を比べ、有意差無し
手洗い中の細菌減少効果有意差無かったが、エネルギー使用量に差がある

男女差無し (2.08 log CFU; p=0.988)


効果差はむしろボランティアの行動の差でばらつきあり、human behaviorやhuman factorに影響されると解釈されるとの結論





「オピオイド依存は稀」は1980年の短いレターセンテンスが大元?

米国内では、1999年から2015年の間にオピオイド処方による死亡例18万3千あったとされ、数百万人のオピオイド依存が存在するとされる。

この危機的状況は、1980年のレター報告a(Addiction Rare in Patients Treated with Narcotics; N Engl J Med 1980; 302:123January 10, 1980 )の影響が大きく、
それまで慎重であった医師たちは、依存病歴の無い場合稀と考え、長期オピオイドでその使用が広がった。

このレターの引用文献は

Comprehensive Drug Surveillance
Hershel Jick, MD; Olli S. Miettinen, MD, PhD; Samuel Shapiro, MD; et al
August 31, 1970
doi:10.1001/jama.1970.03170350023005
など、病院サーベイランス結果であるが、引用はかなり増加




オキシコンチン1995年導入後引用吸うさらに増加し、「オピオイド治療患者では依存症は稀」という引用が広がった。
最近は断定的引用は這ったようだが、たかが6つのセンテンスのレターが大元。引用を確認せずその有害性に関する不正確引用が広がったのはゆゆしき話である。


A 1980 Letter on the Risk of Opioid Addiction
N Engl J Med 2017; 376:2194-2195June 1, 2017
DOI:  10.1056/NEJMc1700150
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1700150

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