2012年8月10日金曜日

スタチンと糖尿病リスク :低リスクではほぼ問題なし 高リスクでもベネフィット上回る

JUPITER トライアルを用いた、スタチン使用の心血管ベネフィットおよび糖尿病ハザードの検討。


Cardiovascular benefits and diabetes risks of statin therapy in primary prevention: an analysis from the JUPITER trial
The Lancet, Volume 380, Issue 9841, Pages 565 - 571, 11 August 2012

1つ以上の糖尿病リスク要素を有するトライアル登録者(n=11508)では主要リスク要素もたない対象者(n=6095)より糖尿病発症リスク高い

一つ以上のリスクを有する患者では、スタチン割り付けは、プライマリ・エンドポイント39%減少と相関  (hazard ratio [HR] 0.61, 95% CI 0.47—0.79, p=0.0001)、静脈血栓塞栓 36%減少 (0.64, 0.39—1.06, p=0.08)、総死亡率17% 減少 (0.83, 0.64—1.07, p=0.15), 糖尿病 28%増加(1.28, 1.07—1.54, p=0.01)


糖尿病リスク要素ある対象者では、リスクとしての新規発症糖尿病診断54例に対し、ベネフィットとしての心血管イベント回避134。

主要糖尿病リスク要素のないトライアル被験者では、スタチン割り付けはプライマリエンドポイント52%減少と関連  (HR 0.48, 95% CI 0.33—0.68, p=0.0001)、静脈血栓塞栓 53% 減少(0.47, 0.21—1.03, p=0.05), 総死亡率 22% 減少 (0.78, 0.59—1.03, p=0.08), 糖尿病増加認めず (0.99, 0.45—2.21, p=0.99)。そして、糖尿病診断新規症例なく、総数で86名の血管イベント・死亡回避。

フォローアップ中糖尿病発症者486名に限った解析で、スタチン治療関連心血管リスク減少ポイント(HR 0.63, 95% CI 0.25—1.60)は、トライアル全体と一致 (0.56, 0.46—0.69)

プラシーボ比較で、スタチンは糖尿病診断までの平均時間を5.4週ほど加速 (ロスバスタチン 84.3 [SD 47.8] 週 vs プラシーボ 89.7 [50.4] 週).

“スタチン治療の糖尿病リスク増加は、糖尿病主要リスク要素保持患者に限定されているので、スタチン治療開始時の血糖モニタリングは治療前血糖正常、もしくは、メタボリックシンドローム特性を有しない対象者では必要ない”と著者ら。

JUPITERトライアルでスタチンの用量反応的な糖尿病発症リスク増加 が示唆され、クレストールにて27%もの新規発症糖尿病リスク増加が報告され、FDAはスタチンのラベルに糖尿病リスク増加が記載された。

一次予防使用のスタチンにおける注意点は存在するが、心血管ベネフィットがリスクを上回るものではないと結論。

心血管疾患低リスク(5年間主要血管疾患リスク 10%以下)でのスタチン効果

低リスク群での一次予防効果

 Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaboration は21の標準治療17万名のメタアナリシスで、強化、非強化レジメン比較で、LDL 1mmol/L減少で、主要血管イベント発生1/5程度減少認め、より強化スタチン治療がリスク減少をもたらすとされた。

LDL 65mg/dL(1.7 mmol/L)から50mg/dL(1.3 mmol/L)でさえがん死亡、非血管死亡リスク増加のエビデンス認めず

より低リスク群のスタチン一次予防効果について可能となったため検討

5年主要血管イベント(5MVE)リスク <5%、<10%でさえというか、むしろ、低リスクでのリスク減少効果が顕著。


The effects of lowering LDL cholesterol with statin therapy in people at low risk of vascular disease: meta-analysis of individual data from 27 randomised trials
The Lancet, Volume 380, Issue 9841, Pages 581 - 590, 11 August 2012


スタチンvs対照の22トライアル登録者を含むメタアナリシス  (n=134 537; 平均 LDL コレステロール差 1.08 mmol/L; フォローアップ中央値 4.8 年管)、スタチン高用量vs少量5トライアル(n=39 612; 差 0.51 mmol/L; 5.1 年間)

主要血管イベントは重大な冠動脈イベント (ie, 非致死性心筋梗塞 or 冠動脈死), 卒中, or 冠動脈再建術

ベースライン5年間主要血管イベントリスクを、コントロール治療の5つのカテゴリー分け(スタチン無し or 低スタチン) (<5 1.0="1.0" br="br" each="each" in="in" ldl="ldl" mmol="mmol" per="per" rate="rate" ratio="ratio" the="the" to="to">

スタチンによるLDLコレステロール減少は腫瘍血管イベントリスク減少 (RR 0.79, 95% CI 0.77—0.81, per 1.0 mmol/L reduction)
年齢、性別、ベースラインLDLコレステロール、以前の血管疾患に対して影響を受けず、心血管死亡率・全原因死亡率のリスクを示す。

主要血管イベントの減少率は、最小リスクカテゴリーと最大リスクカテゴリーは少なくとも同等に大きい。
 (最小から最大リスクまでの 1.0 mmol/L減少あたりのRR: 0.62 [99% CI 0.47—0.81], 0.69 [99% CI 0.60—0.79], 0.79 [99% CI 0.74—0.85], 0.81 [99% CI 0.77—0.86], 0.79 [99% CI 0.74—0.84]; trend p=0.04)
主要冠動脈イベント、冠動脈再建術の2つの最小リスクカテゴリーの有意減少を反映 (RR 0.57, 99% CI 0.36—0.89, p=0.0012,  0.61, 99% CI 0.50—0.74, p<0 .0001=".0001" 0.35="0.35" 0.51="0.51" 0.52="0.52" 0.63="0.63" 99="99" both="both" br="br" ci="ci" p="p">
卒中に対し、主要血管イベント5年リスク10%未満減少のリスク減少は、より高リスクカテゴリーで見られるリスク減少と同等(trend p=0.3)
(LDLコレステロール 1.0 mmol/L 減少あたりのRR 0.76, 99% CI 0.61—0.95, p=0.0012)

心血管疾患病歴無し群で、スタチンは血管リスク減少(RR per 1.0 mmol/L LDL cholesterol reduction 0.85, 95% CI 0.77—0.95) 、全原因死亡率減少 (RR 0.91, 95% CI 0.85—0.97)し、比例的減少はベースラインリスクでも同様。

スタチンによるLDLコレステロール減少ががんリスク増加認めず  (RR per 1.0 mmol/L LDL cholesterol reduction 1.00, 95% CI 0.96—1.04)、がん死亡率増加認めず (RR 0.99, 95% CI 0.93—1.06)、他の非血管死亡率増加認めず





ストレス下の男性はふくよかな女性を好む ・・・ “ Environmental Security Hypothesis”

ストレス下の男性はふくよかな女性を好む

“ Environmental Security Hypothesis”というらしいが、ストレスを受けてる場合、飢餓恐怖及び、本来の富の象徴であるふくよかな女性ということで、体重増加している女性へへ好みが増すという・・・

The Impact of Psychological Stress on Men's Judgements of Female Body Size
 Swami V, Tovée MJ (2012)
PLoS ONE 7(8): e42593.

ストレス状況タスクでの実験群(n=41)と対照群(n=40)で、るいそう状況ともいえる女性から肥満までの女性について、その好みを評価。



実験群と対照群とを、平均年齢、BMI、食欲などマッチさせて比較。

実験群では、有意に、高体重に最大の魅力を感じる報告。
また、より体重のある女性の方が魅力的で、女性への理想とする姿にばらつきが大きかった。


配偶者選択という面で、地域の状況や体験が大きな影響を与え、ストレス経験が配偶者選択の特性に影響を与えているのである。

考察としては、上記のような意義論的記載と、ストレスホルモンや交感神経との関連など、飢餓状態との関連など考察されている。

末梢穿刺中心静脈カテーテルによる深部静脈血栓 :サイズ工夫で発生率減少


末梢穿刺中心静脈カテーテル;PICC使用広がるにつけ、上肢深部静脈血栓症増加

PICCサイズを工夫することで、少しは減らせそう

Reduction of Peripherally Inserted Central Catheter Associated Deep Venous Thrombosis ONLINE FIRST
R. Scott Evans, et. al.
CHEST.2012 doi:10.1378/chest.12-0923

 シングルルーメンPICC使用増加は、5FトリプルルーメンPICCの施設採用に加え、PICC関連DVT減少と有意に相関。

カナダ地域調査: COPD治療薬と不整脈関連性

カナダの地域の2調査、COPD各種薬剤と不整脈リスクの関連
 
短期作動、長期作動β刺激剤、メチルキサンチン、イプロトロピウムに関して、やはり、不整脈リスク懸念がある。

特に、LABAでは、不整脈リスク一貫して示されている。


LABA単剤として、ホルモテロールも、サルメテロールに続き発売されるのだが、この懸念に関して、商品説明どうおこなうのだろう。

Bronchodilator Use and the Risk of Arrhythmia in COPD: Part 1: Saskatchewan Cohort Study
Machelle Wilchesky; Pierre Ernst; James M. Brophy; Robert W. Platt; Samy Suissa
CHEST. 2012;142(2): doi:10.1378/chest.10-2499
COPD6018名のコホート、469名の不整脈例、56名の死亡例、100人年あたり1.37の不整脈包括発生率

不整脈発生率は、イプロトロピウム(RR, 2.4; 95% CI, 1.4-4.0)、LABA (RR 4.5; 95% CI, 1.4-14.4)

SABA新規使用では増加無し(RR, 0.9; 95% CI, 0.5-1.6)
メチルキサンチンでは有意差無し(RR, 1.6; 95% CI, 0.7-3.7)

Bronchodilator Use and the Risk of Arrhythmia in COPD: Part 2: Reassessment in the Larger Quebec Cohort
Machelle Wilchesky; Pierre Ernst; James M. Brophy; Robert W. Platt; Samy Suissa
CHEST. 2012;142(2): doi:10.1378/chest.11-1597

COPD 76,661名、不整脈 5,307(1000人年あたり、10.3)、うち621が致死的。
心臓不整脈発生率はSABA (RR, 1.27; 95% CI, 1.03-1.57) 、LABA(RR, 1.47; 95% CI, 1.01-2.15) 
 イプラトロピウム(RR, 1.23; 95% CI, 0.95-1.57) 、methylxanthines (RR, 1.28; 95% CI, 0.93-1.77)では.発生率は有意に軽度増加するも、統計学的有意差認めず。
長期使用では注意が必要。 
SABA、LABAとも、COPD患者では、軽度心臓不整脈増加。
イプラトロピウムでリスク増加しているかどうかはこの大規模住民調査報告では結論づけできず。



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