2019年8月31日土曜日

急性呼吸不全:超音波は聴診器の代わりになるか?

急性呼吸不全:超音波は聴診器の代わりになるか?



Should point-of-care ultrasonography replace stethoscopes in acute respiratory failure?
BMJ 2019; 366 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l5225 (Published 30 August 2019)

 肯定的意見:現時点の道具は、聴診器とレントゲン撮影だが、診断的正確性の限界はあるものの代替手段はなく、伝統的とも言える従来の医療業的観点から放棄困難となっている。市中肺炎を例にしてみても、聴診も胸部レントゲンも感度・特異性も劣る。聴診上のCrackleは感度 19-67%、特異度 36-96%、陽性尤度 2.3、陰性尤度 0.8で rule in/rule out使用は限定的。観察者間一致率も 72%でκ値 0.41。
胸部レントゲンは幾分かはマシで、一致率は 59%、包括的κ値 0.53(中等)
CTと比較したときに胸部レントゲン浸潤存在判断の感度はわずか43.5%
左室機能障害診断や他の急性呼吸不全診断においても従来のこれら技術は診断上poorと言わざる得ない。

一方、急性呼吸不全時の肺超音波はgood evidenceを呈する、ベッドサイドのseminal 2008 single centre studyでは急性呼吸不全重症患者の90.5%の診断上正確性示し、標準化され、再現性もあり、学習しやすく、教育もしやすい。
国際コンセンサスガイドラインでは質の高い入手可能エビデンスが強調され、最近の肺炎でのメタアナリシスでも感度88%、特異度 86%で、陽性尤度 5.37、陰性尤度 0.13でrule in/rule out上の有益。同様データが、気胸、左室機能障害、非心原性肺水腫で存在する。

結論:もはや適切かどうか言及する段階ではない、「常にこの方法を使うべきとき」
エビデンス上はレントゲン・聴診は肺超音波に劣る、これはエビデンスベースで確認されそれが拡大している

With established training pathways like Core Ultrasound in Intensive Care (CUSIC) and Focused Acute Medicine Ultrasound (FAMUS), it should be integrated into the assessment of acute respiratory failure.


否定的意見:

このケアを提供する法的義務と、そのようなケアが保留された場合の医療過失の結果を考えると、診断テストは、ケアの標準として臨床診療に導入する前に主要な要件を満たす必要があります。 急性呼吸不全を診断するためのポイントオブケア超音波検査は、有効性とコストという2つの理由で問題があります。
ベネフィットのある患者アウトカムが示されるべき
診断検査の有効性は診断的正確性を超越している。検査の真の価値は、臨床的思考や管理の変化、最終的には患者のアウトカム改善のための能力にある。特定の条件下で超音波検査が急性呼吸不全の原因を正確に診断することを示してはいるが、管理変更や患者転機改善効果は示されてない。気胸、肺炎、肺水腫に関し正確性90%を超えるとするが、解釈上注意が必要で、高度選択下集団で行われた研究で一般化はされてない。例えば気胸は外傷、重篤患者、気胸リスク患者のみで行われたもので有病率の高い状況での検討。肺塞栓などはCTに落ちる
ガチンコ研究
POC超音波が臨床的思考、臨床管理に影響をあたえるかのデータは乏しい。EDでは診断修正までの時間短縮、病棟では急性呼吸不全の治療変更、集中治療室では集約的心エコー、肺、下肢静脈超音波で全体的診断率を高めるが、これら集中治療研究では複雑な診断、診断の明確性が必要とされる患者を除外した。多くのICUコホートでは急性呼吸不全の主要ドメインであるはずのARDSは存在せず、この病態は肺炎、肺水腫と類似し、超音波検査では判別指数poorである。最重要なバリアは患者のアウトカム改善を示せてないこと。客観的な結果を標準治療プロトコールに使用されるよう、事前指定治療と結びつける検証が必要。



結局は積極的に使う方向で世の中動くんだよなぁ


Smallwood N, Dachsel M, Matsa R, Tabiowo E, Walden A. Focused acute medicine ultrasound (FAMUS)—point-of-care ultrasound for the acute medical unit. Acute Med 2016;15:193-6.28112288


 Diagnostic chest ultrasound for acute respiratory failure. Respir Med 2018;141:26-36. 



LAMA:エクリラは咳嗽・喀痰の重度症例で明らかに効くよ

喘息でも咳嗽を強く訴える症例において、スピリーバ投与すると著効例がある

エクリラはCOPD適応限定なのでpureな喘息二は使えないが、COPDでの咳嗽・喀痰への効果エビデンスにつき検討された


エクリラ400μgジェヌエア60吸入用



The Effect of Aclidinium on Symptoms Including Cough in Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Phase 4, Double-Blind, Placebo-controlled, Parallel-Group Study
AJRCCM Vol. 200, No. 5 Sep 01, 2019




Evaluating Respiratory Symptoms in COPD (E-RS:COPD, formerly the Exacerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool [EXACT]-Respiratory Symptoms Scale [E-RS; http://www.exactproinitiative.com/instrument-descriptions/],
https://www.ema.europa.eu/en/documents/other/user-manual-e-rs-exact-respiratory-symptoms-applicant-submission-version-30_en.pdf

 Evidera [http://www.exactproinitiative.com/instrument-descriptions/exactpro@evidera.com]) total score over the course of 8 weeks (minimal clinically important difference [MCID], 2.0) .
https://respiratory-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12931-014-0124-z


セカンダリ有効性アウトカム:8週後E-RS 咳嗽と喀痰 ドメインスコア (MCID, 0.7)と、8週後LCQLeicester Cough Questionnaire (LCQ; MCID, 1.3)
CATスコア(MCID, 2.0)、咳嗽VAS、E-RS総スコア、E-RS-咳嗽喀痰ドメインスコア、各々4,8週後
4週後、8週後、8週間 E-RS息切れ(MCID, 0.1)と胸部ドメインスコア(MCID, 0.7)
and E-RS breathlessness (MCID, 0.1) and chest domain scores (MCID, 0.7) (8) at Week 4 and Week 8 and over the course of 8 weeks.
post hoc解析としてベースラインの咳嗽重症度(VAS;30mm超、30以下で重度、重度でないと判断)



アクリジニウムはプラシーボと比較して、COPD症状(咳嗽を含む)を広範に改善
LCQやCATの改善は総数において統計学的改善を見なかったが、比較的軽症咳嗽において効果少ない症例が含まれているためで、より咳嗽重度の場合には、E-RS咳嗽・喀痰ドメインの大幅改善を示した。
ベースラインの咳の重症度が治療反応の重要な症候性マーカーであり、VASスコアがCOPD、特にアクリジニウム治療に最も反応する咳との産生を促進するメカニズムを反映している可能性があることを示唆している。





LAMAを検索するとダライ・ラマ氏のご尊顔が・・・

フォシーガ:心筋梗塞既往、駆出率低下心不全合併でのベネフィット

SGLT-2iのなかでは選択性が高い類いで、可逆性が高い部類のフォシーガ
http://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400016/670605000_22600AMX00528_F100_2.pdf

現在の所、心筋梗塞既往や心不全患者での臨床的エビデンスとして一歩リード?
クラス内比較したわけではないので、真の薬効差はわからないが・・・

DECLARE-TIMI 58 trial(主発表: published in the New England Journal of Medicine)にて2型糖尿病患者のdapagliflozin(フォシーガ)心不全ベネフィットは心筋梗塞・心不全既往ある駆出率低下心不全でベネフィットを示すと今年初めCirculation誌に同時2つ報告( 心筋梗塞 3,500   、駆出率低下心不全671名)されたがそのサブ解析が、 American College of Cardiology meeting (in New Orleans)で報告された



Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus and Previous Myocardial Infarction
Subanalysis From the DECLARE-TIMI 58 Trial
Remo H.M. Furtado, et. al.
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.039996
Circulation. 2019;139:2516–2527
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.039996

心筋梗塞既往3,500人の報告で、主報告と異なり、過去の心筋梗塞のある人では総MACE(主要な有害な心臓イベント)の割合が16%減少し、しかも、直近の過去2年間に心筋梗塞のあった人ではさらに減少を示した。
現在、心不全の減少-心不全のための入院-は、ダパグリフロジンなどのSGLT2阻害剤全般的に見られ、ほぼすべてが心不全を軽減。
心筋梗塞既往でのMACEリスク減少はvery strong finding


Effect of Dapagliflozin on Heart Failure and Mortality in Type 2 Diabetes Mellitus
Eri T. Kato, M , et. al.
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.040130
Circulation. 2019;139:2528–2536
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.040130

駆出率45%未満の心不全患者671名ではMACE及び心不全入院低下だけでなく、心血管死45%、総死亡率41%減少を示した


empagliflozin:EMPA-REG、canagliflozin:CANVAS試験と異なり、DECLARE TIMI-58は、心筋梗塞既往患者でのデータ、駆出率低下心不全患者でのデータに特化されており、"showing that these are groups that have considerably more benefit than the rest of the trial."とベネフィット明確と記載

引用:
https://www.medpagetoday.com/innovations-in-medicine/type-2-diabetes/81908



サルコペニアをテーマにする講演もあるようだが、
bone fracture, bone healthへの悪影響にテーマの重点がうつってる気がするのだが・・・






The SGLT2 inhibitors are associated with enhanced blood glucose control as well as a reduction in all-cause mortality, myocardial infarction, heart failure admissions and renal replacement therapy (the good).
However, the SGLT2 inhibitors are also associated with increased genital and urinary tract infections (the bad),
and a rare, hard to diagnose, and potentially fatal condition (the ugly): euglycaemic diabetic ketoacidosis (euDKA).



noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note