2016年1月2日土曜日

下気道in vivo研究: ディーゼル排気物は誘導性アレルギー性炎症促進

これはヒトのアレルギー性鼻炎での知見だが・・・
グルタチオン抱合酵素(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、GST)の遺伝子、Glutathione S-transferase (GSTs) theta 1 (GSTT1)は、アレルギーの原因物質であるアレルゲンの増強作用をの働きをディーゼル排出物質による増強作用の個人差と関連する
"The Lancet ,Volume 363, No. 9403, p119–125, 10 January 2004 "

下気道in vivo研究での検討。
ディーゼル排気物はアトピー患者患者でアレルゲン誘導性アレルギー性炎症を促進する



Diesel exhaust augments allergen-induced lower airway inflammation in allergic individuals: a controlled human exposure study
Chris Carlsten, et. al.
Thorax 2016;71:35-44 doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207399

序文 交通関連大気汚染は、アレルギーや気道疾患を促進する。しかし、ディーゼル排気物によるアレルギー作用促進はヒトの肺でのin vivo実験では不明、この明らかなsynergyの下部構造詳細は不明

目的 アトピー例において、ディーゼル排気物の2時間吸入によりセグメント化アレルゲン暴露による下気道炎症、免疫細胞活性化を促進するかを検証

方法 18 名のブラインド化アトピーのボランティアに、ランダム形式で、フィルター化空気、もしくは、ディーゼル排気物 300 µg PM2.5/m3 を暴露
1時間暴露、希釈対照セグメント化アレルゲン暴露を行い、2日後、暴露セグメントから得たサンプルをBALにて採取。サンプルを、アレルギー性炎症のマーカーあるいはmodifier(eosinophils, Th2 cytokines) とadaptive immune cell activationを分析
これらエンドポイントにおける序数コントラストによるMixed effects modelで、単一・組み合わせ暴露効果を検討

結果 ディーゼル排出物は、気道好酸球、IL-5、ECPのアレルゲン誘発的増加促進させ、、GSTT1 null genotypeは促進されたIL-5反応と有意に相関する。
ディーゼル排出物単独はまた非アレルギー性炎症のマーカーやmonocyte chemotactic protein (MCP)-1 を促進し、マクロファージ活性や骨髄樹状細胞を抑制する

結論 環境的問題となる濃度でのディーゼル排出物吸入は、アトピー体質の人の下気道でのアレルゲン誘導性アレルギー性炎症を促進し、GSTT1 genotypeはこの影響を促進する。
アレルギーの場合、ディーゼル排気物は気道への悪影響感受性が高い。


COPD:ネットワーク・メタアナリシス LABA/LAMA合剤の有効性安全性

副作用などから例外は存在するだろうが、基本的に全例LABA/LAMA合剤でよいではないか・・・と極論されそうな話


特に、長期安全性に関してはもう少し知見が必要だと思う。


だが、合剤への潮流は変わらない・・



Efficacy and safety of long-acting β-agonist/long-acting muscarinic antagonist combinations in COPD: a network meta-analysis
Yuji Oba, et. al.
Thorax 2016;71:15-25 Published Online First: 21 October 2015



背景 COPD安定期患者に於る、長時間作用βアゴニスト/長時間作用ムスカリン作用アンタゴニスト(LABA/LAMA)の立場は実ははっきりしてない。
LABA/LAMA合剤の有効性、安全性をシステマティックにレビュー

方法 明確な臨床トライアルをいくつかのデータベースと業者ウェブサイト調査。LABA/LAMA合剤とプラシーボ and/or 単剤との比較した、12週以上のランダム化対照トライアル。メタアナリシスのネットワーク手法、従来の直接比較手法によるデータをpool化

結果 27,172名、23トライアルをこの解析に含めた。LABA/LAMA合剤は、単剤より、肺機能、 St. George's Respiratory Questionnaire (SGRQ) score、 Transitional Dyspnoea Index (TDI) をを有意に改善
対 LABAs比較で、 OR 1.23 (95% credible interval (CrI) 1.06–1.39)、 OR 1.34 (95% CrI 1.19–1.50) 
対LAMAs比較で、 OR 1.24 (95% CrI 1.11–1.36), OR 1.31 (95% CrI 1.18–1.46)

LABAs比較で中等度〜重症急性増悪回数減少  (HR 0.82 (95% CrI 0.73–0.93))するも、対LAMAs比較では減少有意差なし(HR 0.92 (95% CrI 0.84–1.00))

LABA/LAMA合剤と各々の単剤との比較に関して、安全性アウトカム、重症急性増悪に関して統計学的有意差無し
結論 合剤治療が肺機能改善、QOL、症状スコア、中等度〜重症急性増悪発生率に関して、各々の単剤より、プラシーボより最も有効。安全性アウトカムと重症急性増悪に関して同等効果。


β遮断剤はCOPD急性増悪を減少

点眼を含めたβ遮断剤使用により喘息において気道閉塞を生じる可能性がある一方、COPD患者においては死亡率・急性増悪減少を生じ比較的安全と考えられる。

喘息・COPDオーバーラップ症候群でその使用はどう考えるべきか、課題が残る。


後顧的研究というエビデンスレベルのやや劣る報告だが、β遮断剤使用は、GOLD stage 3、4及び在宅酸素患者・Stage BでCOPD急性増悪減少が示された。




β-Blockers are associated with a reduction in COPD exacerbations
Surya P Bhatt,et.al.
Thorax 2016;71:8-14 doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207251

【序文】 後顧的研究の中にはβ遮断剤は急性増悪の頻度減少し、死亡率減少するという報告もある。一方、在宅酸素の重症COPD患者への使用は有害性があるかどうか関心がある。

【方法】 COPDGene cohort(現行喫煙・喫煙既往者登録・多施設観察コホート)の前向きフォローアップにおけるChronic Obstructive Lung Disease (GOLD) stage 2–4 COPD被検者において、多センター観察コホート
急性悪化総数・重症悪化率を、負の二項回帰解析を用いた長軸的フォローアップによる、β-遮断剤使用にてカテゴライズされた群間を住民統計、気道閉塞、CT上%気腫、冠動脈疾患存在、うっ血性心不全、冠動脈石灰化補正後比較とβ遮断剤処方の propensity補正比較。

【結果】 3464 名を含め、フォローアップ期間中央値 2.1年間において、β遮断剤は急性悪化総数減少l (incidence risk ratio (IRR) 0.73, 95% CI 0.60 to 0.90; p=0.003)、重症急性増悪数減少(IRR 0.67, 95% CI 0.48 to 0.93; p=0.016)と関与

GOLD stage 3 及び 4および在宅酸素使用者において、β遮断剤は 急性悪化総数減少l l (IRR 0.33, 95% CI 0.19 to 0.58; p<0 .001="" 0.16="" 0.35="" 0.76="" 95="" ci="" p="0.008)と関与</p" to="">
急性増悪減少は、GOLD stage Bにおいて特に大きい。

β遮断剤使用による全原因死亡率の差を認めず

【結論】 気道閉塞重症度にかかわらずβ-Blocker使用は、COPD急性増悪における有意減少と関連。この研究の所見はランダム化、プラシーボ対照トライアルにおいて検証されるべき。


noteへ実験的移行

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