2013年11月18日月曜日

組み替えリラキシンー2抗体:セレラキシン :RELAX-AHRトライアル 呼吸困難度改善・死亡率改善結果なのだが・・・不自然な結果

組み替えリラキシンー2抗体であるセレラキシン



RELAX-AHF (RELAXin in Acute Heart Failure)トライアルで、プライマリ有効性エンドポイントの一つでは合致した結果だったが、もう一つのプライマリ有効性エンドポイントでは有効性示せなかった  (P=0.007、P=0.70)

この新薬は、ゲームチェンジャー(サッカーなどで選手交代などで、趨勢を一気にかえてしまう状況)となるのか、死亡率ベネフィットは偶然示されたものか、真実なのか?

事前登録条件である組み合わせでいえば、有益性示され、成功とされる。

呼吸困難度、well-beingに関する自己報告による共同組み合わせエンドポイントの改善は見られた。

プライマリエンドポイントは、
・5日目の呼吸困難改善度(VAS ACU)
・中等度から著明呼吸困難(Lkert scale)改善:24時間
これの組み合わせ


一方、よりハードなアウトカム指標である死亡減少有効性に関して、全原因死亡率に効果が示されている。死亡率改善効果が正しいとしたら、この治験はなんらかのヒントを与えてくれるのかもしれない。この治験での、「生存率は改善するが、再入院率などソフトなアウトカムは改善しない」というのは奇異という話


1161名を、治験薬(n=581)、プラシーボ(580)割り付け


Serelaxin, recombinant human relaxin-2, for treatment of acute heart failure (RELAX-AHF): a randomised, placebo-controlled trial
Prof John R Teerlink et. al.
for the RELAXin in Acute Heart Failure (RELAX-AHF) Investigators
The Lancet, Volume 381, Issue 9860, Pages 29 - 39, 5 January 2013


セレラキシンはVAS AUCプライマリ呼吸困難エンドポイント改善  (448 mm × h, 95% CI 120―775; p=0.007) するも、もう一つのLiert scale改善せず(プラシーボ, 150 名 [26%]; セレラキシン, 156 [27%]; p = 0.70)

セカンダリエンドポイントの心血管死亡、心不全・腎不全再入院のセカンダリエンドポイントで有意な効果無し (プラシーボ, 75 イベント [60-日 Kaplan-Meier 推定値, 13.0%]; セレラキシン, 76 イベント [13.2%]; ハザード比[HR] 1.02 [0.74―1.41], p=0.89] 、day 60 までの生存退院  (プラシーボ, 47.7 [SD 12.1] 日; セレラキシン, 48.3 [11.6]; p=0.37)

セレラキシン治療は、day 180での死亡数減少を含む、事前層別付加的エンドポイントで有意な減少を認めた (プラシーボ, 65 死亡; セレラキシン, 42; HR 0.63, 95% CI 0.42―0.93; p=0.019)

院外心停止:機械式胸部圧迫装置は、用手式と4時間後死亡率差を認めず、その後の神経学的アウトカムも差を認めない

機械式胸部圧迫装置
e.g.)http://www.medgadget.com/2007/10/lucas_chest_compression_system_offers_a_new_cpr_experience.html



病院外心停止成人例で、4時間後死亡率比較において、用手式と機械式胸部圧迫装置を用いた場合の比較において差は認めない。生存率の大部分では6ヶ月後神経機能的アウトカム良好。機械式胸部圧迫法は、提示アルゴリズムに従えば、用手式とその治療成績は変わらない。



機械式戦略で院外心停止症例のアウトカム改善するかが臨床トライアル上検討されてなかった。用手的心肺蘇生(manual CPR)と、機械式胸部圧迫装置を用いた胸部圧迫(mechanical CPR)の4時間生存率比較

アウトカムは4時間後生存率をプライマリとし、良好神経学的アウトカム(Cerebral Performance Category (CPC) scoreを用い、1−2を良好とする)6ヶ月後をセカンダリとする。



The LINC Randomized Trial
Sten Rubertsson, MD, PhD, Erik Lindgren, MD, David Smekal, MD, PhD, et al.



4時間後生存率
機械式 CPR:   307 patients (23.6%)  vs 用手式 CPR 305 (23.7%)
( リスク差, –0.05%; 95% CI, –3.3% to 3.2%; P  > .99)


CPCスコア1、2での生存率:機械式CRP vs 用手CPR
・ICU退出時 98 (7.5%) vs 82 (6.4%) (リスク差, 1.18%; 95% CI, –0.78% to 3.1%)
・退院時 108 (8.3%) vs 100 (7.8%) (リスク差 0.55%; 95% CI, –1.5% to 2.6%)
・1ヶ月後 105 (8.1%) vs 94 (7.3%) (リスク差, 0.78%; 95% CI, –1.3% to 2.8%)
・6ヶ月後 110 (8.5%) vs 98 (7.6%) (リスク差, 0.86%; 95% CI, –1.2% to 3.0%)

6ヶ月時点での生存者において、CPC スコア1、2比率、機械式CPRでは99%、用手式 CPRでは94%




【心停止】低体温治療:病院収容前からの施行:アウトカム改善示せず

心停止蘇生後の脳外傷は合併症や死亡率と関係し、意識レベル回復しないことが多い。低体温は脳機能回復治療として望みがもたれている。収容前からの低体温処置へのランダムトライアルにて、軽度低体温状態(32から34度)12−24時間で神経学的アウトカム・死亡率改善効果が示されている。
Hypothermia after Cardiac Arrest Study Group.  Mild therapeutic hypothermia to improve the neurologic outcome after cardiac arrest. N Engl J Med. 2002;346(8):549-556.

Bernard  SA, Gray  TW, Buist  MD,  et al.  Treatment of comatose survivors of out-of-hospital cardiac arrest with induced hypothermia. N Engl J Med. 2002;346(8):557-563.

で、導入のタイミングがあきらかでない。ということで、動物実験では心停止後15分以上以降で成績が下がる可能性があり、入院収容前から低体温治療導入が検討された・・・という次第。


Effect of Prehospital Induction of Mild Hypothermia on Survival and Neurological Status Among Adults With Cardiac Arrest
A Randomized Clinical Trial
Francis Kim,  et. al.
JAMA. Published online November 17, 2013. doi:10.1001/jama.2013.282173

心室粗動有無両原因心停止蘇生後、病院収容前冷却によりアウトカム改善効果するか?


病院収容前冷却処置使用により、収容時核体温減少し、34度までの到達時間は改善されたが、生存率や神経学的状況改善せず

【退院時状況比較】


【覚醒、非覚醒死亡アウトカム到達比率】

【卒中急性期・降圧治療】China Antihypertensive Trial in Acute Ischemic Stroke (CATIS)

卒中急性期降圧問題は長年続く課題


China Antihypertensive Trial in Acute Ischemic Stroke (CATIS)のJAMA誌及びAHA科学セッション同時発表
Primary source: American Heart Association
Source reference: He J, et al "China antihypertensive trial in acute ischemic stroke trial" AHA 2013; Abstract 19557. 
Additional source: Journal of the American Medical Association
Source reference:He, J, et al "Effects of immediate blood pressure reduction on death and major disability in patients with acute ischemic stroke the CATIS randomized clinical trial" JAMA 2013: DOI: 10.1001/jama.2013.282543 

13%ほど収縮期血圧を低下させることによっても、早期死亡率や身体障害改善せず

平均収縮期血圧: 
24時間後 降圧治療群 166.7 mm Hg → 144.7 mm Hg (-12.7%)  vs 対照群 165.6 mm Hg → 144.7 mm Hg (-.5%[95% CI,  -4.9 〜 -6.1%; 差絶対値 -9.1 mm Hg [  [95% CI, −10.2 to −8.1]; P < .001)


7日め 降圧治療群 137 mm Hg vs 146 mm Hg  (差, −9.3 mm Hg [95% CI, −10.1 to −8.4]; P < .001


プライマリアウトカム(14日め、退院時)について、治療群と対照群の差は認めない (683 イベント [降圧治療群] vs 681 イベント [対照]; オッズ比, 1.00 [95% CI, 0.88 to 1.14]; P = .98)


3ヶ月時点での死亡・重大身体障害のセカンダリ組み合わせアウトカムでも差を認めず (500 イベント [降圧治療群] vs  502 イベント [対照]; オッズ比, 0.99 [95% CI, 0.86 to 1.15]; P = .93).




ランダム化後14日めで、降圧治療群で683イベント、対照群で681イベント
3ヶ月時点で、治療群付加イベント500、対照群で502と有意差無し(p = 0.93)





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