2013年11月14日木曜日

うつは、老化促進的に働く・・・ テロメア長指標



Major depressive disorder and accelerated cellular aging: results from a large psychiatric cohort study
J E Verhoeven, et. al.
Molecular Psychiatry , (12 November 2013) | doi:10.1038/mp.2013.151

大うつ疾患(MDD)は、加齢関連身体疾患である、心臓疾患、糖尿病、肥満、がんなどと関連する。これは、生物学的加齢を促進していると示唆され、テロメア短縮を示す。
オランダのデータセット、現行MDD 1095名、寛解MDD 802名、対照 510で、MDDが生物学的加齢促進するか、うつ特性である重症度、期間、精神疾患活動性薬剤がどのように影響を与えるか検討。


テロメア長を、定量PCRを用いた、テロメア配列コピー数(T)/単遺伝子コピー数(S)で評価、T/Sをもとめ、塩基ペアに変換(bp)

MDD診断とMDD特性は、自己報告アンケート、構造精神疾患インタビューで決定。

対照では平均 bp 5541
社会住民統計補正TLは、寛解MDD患者(bp=5459)、現状MDD患者(bp=5461)で短縮( P=0.0140.012)

健康・ライフスタイル変数補正後、相関性は減少せず


現行MDD患者内で、個別解析ではうつ重症度高いほど、うつ症状期間長い(4年内)ほどTL短縮と関連。

結果からみると、用量依存的に、重度・慢性MDDではTLもっとも短縮。
うつ暴露のimprintがしめされることももう一つの知見



テレビゲーム(スーパーマリオ)は、脳可塑性変化させる → 精神疾患リスクと真逆で、むしろ治療使用可能性

スーパーマリオは、脳の構造的可塑性を増加させる

Playing Super Mario induces structural brain plasticity: gray matter changes resulting from training with a commercial video game
S Kühn, et. al.
Molecular Psychiatry 2013, 29 Oct.
doi:10.1038/mp.2013.120
http://www.nature.com/mp/journal/vaop/ncurrent/abs/mp2013120a.html

毎日30分以上2ヶ月訓練で、有意に、右海馬構造体(hippocampal formation:HC)、右背外側前頭前野(前頭前野背外側部 Dorsolateral prefrontal cortex:DLPFC)増加、小脳の灰白質増加

HC増加はegocentricからallocentric navigation strategyの変化と相関する。
HC、DLPFCの灰白質増加は、ビデオゲーム欲求と関連し、この容積がゲーム渇望の予測要素となる。 
ビデオゲーム訓練は、ナビゲーション戦略における行動的変化のためのエビデンスを伴う、空間ナビゲーション、戦略的プランニング、ワーキングメモリー、運動パフォーマンスに重要な脳領域の灰白質増加を示す。

ビデオゲーム訓練は、従来その関連性が取りざたされたメンタル疾患のリスク要素とされてきたが、真逆に働く。それら疾患は、海馬容積減少し、DLPFC減少を示すのが特徴。で、むしろ、PTSD、統合失調症、神経変成疾患への効果の可能性がある。








テレビゲーム=悪と考えてもらわなければ気が済まない連中が多い日本




非心血管性胸痛:NCCP ・・・既往・症状・所見重要、GERDではPPI高用量試験有益

非心血管性胸痛(non-cardiovascular chest pain:NCCP)は医療費増加と関連するが、それに対する診断検査には十分なガイドラインが存在しない。
重要な診断指標、NCCP状況の特異的、非特異的状況の検討。

システマティック・レビュー及びメタアナリシス施行、各群30症例以下は除外




NCCPでは、その適切な診断検査とは、その既往、症状、臨床所見であり、特に、GERDでは高用量PPI反応性がもっとも重要な情報で、早期からその情報が重要。
パニック・不安障害では、underdiagnosisがしばしばで、胸痛診断に関しては様々な診断が考慮されるべき。


Diagnostic indicators of non-cardiovascular chest pain: a systematic review and meta-analysis
Maria M Wertli
BMC Medicine 2013, 11:239  doi:10.1186/1741-7015-11-239
Published: 8 November 2013


診断正確性を、尤度表現:
良好(good) LR+ 5 to 10 、LR- 0.1 to 0.2
やや良い(fair) LR+ 2 to 5、 LR- 0.2 to 0.5
不良(poor) LR+ 1 to 2、 LR- 0.5 to 1

6316文献のうち、260のフルテキスト、28を除外
GERD 20、 筋骨格筋 3、 精神疾患 5
研究の質に関して、良好なのは15、中等度は13
GERD診断は
・典型的症状で 、LR+ 2.70 から 2.75 LR- 0.42から 0.78
・非定型的症状で、LR+ 0.49、 LR- 2.71



GERD はやはりPPI試験の正の反応性と相関
(LR + 5.48, 7.13, and 8.56; LR- 0.24, 0.25, and 0.28)

6つの研究での感度  0.89 (95% credible interval, 0.28 to 1) 、特異度 0.88 (95% credible interval, 0.26 to 1)

パニック・不安スクリーニングスコアも、その後その疾患検査必要な症例では、その同定に役立つ。

筋骨格筋つうでは、陽性尤度 (LR+)はfairからmoderateとなり、陰性尤度(LR-)もその逆。
非常に良好(very good) LR+ 10超、LR- 0.1未満 


【心拍:成人】心拍数分あたり10増加毎に、死亡率11%増加

在郷軍人における、心拍数と死亡リスク


Heart Rate at Rest, Exercise Capacity, and Mortality Risk in Veterans
American Journal of Cardiology Volume 112, Issue 10 , Pages 1605-1609, 15 November 2013
安静時心拍(HR)は死亡リスクと逆相関する。しかし、フィットネスは死亡リスクと逆相関する。フィットネスとβ遮断剤とも心拍数に影響を与える。

1996年から2011年にかけて、負荷心電図施行したの1万8462名の在郷軍人で、安静時心拍、死亡率評価
フォローアップ期間中央値10年間で、5100名死亡:年次死亡率 24.1/1000人年平均


年齢、BMI、心リスク要素 、内服、運動能力補正後、心拍数10/分 増加毎、約11%死亡率増加。

広範な臨床的スペクトラムのリスク評価後、60/分未満から100/分以上の、10ごとのカテゴリー


死亡リスクは、70/分以上(ハザード比 1.14 , 95% 信頼区間[95% CI] 1.04 to 1.25; p < 0.006)で増加し、49%まで増加する (ハザード比 1.49, 95% CI 1.29 to 1.73; p < 0.001)

同様傾向が60歳未満、60歳以上、β遮断剤使用者でもみられる。


フィットネスを考慮しなければ、死亡リスクはoverestimate

安静時心拍の死亡率への影響は直接的である。他要素と独立し、死亡率増加と相関する。
特に、β遮断薬を用いても、70を超えるような場合は問題で、60歳未満、以降ともに意味がある。フィットネス状況を考慮スレベこの影響は過剰推定の可能性がある

非糖尿病・高腹囲径・心血管リスク患者:メトホルミン心血管予防効果認めず

メトホルミンは、血糖降下効果と独立して、2型糖尿病患者の心血管系リスク要素を減少させる可能性がある(アジアのある国では、なぜか、糖尿病関連学会のお偉いさんたちが率先してその使用を差し控えさせていた、表向きは滅多に無い副作用を理由に・・・)

では、2型糖尿病の無い対象者でも、心血管予防効果があるのではないかという仮説検証

結論は、非糖尿病心血管リスク患者では、動脈性状の変化を見れば、メトホルミンの心血管疾患予防効果なさそうという話。ただ、臨床的アウトカム(心血管死亡・総死亡率・入院と言った指標)ではないから、ひょっとしてという可能性はあるが・・・

単独施設二重盲験プラシーボ対照(英国、グラスゴーの研究施設)
被験者は、2型糖尿病は無いが、冠動脈疾患ありで、ウェスト径大きい例
プラシーボとメトホルミン850mg×2回/日 1:1割付け
プライマリエンドポイントは、18ヶ月後の平均総頸動脈遠位IMT(cIMT)の進展度
セカンダリエンドポイントは、頸動脈プラークスコア(6カ所)差、血糖上体(糖化ヘモグロビン、空腹時血糖、インスリン濃度、HOMA-IR)、脂質濃度、hsCRP、tPA濃度

プラシーボ 87、メトホルミン 86登録、平均年齢 63歳

ベースラインでは、平均cIMT 0·717 mm (SD 0·129)、平均総頸動脈プラークスコア 2·43 (SD 1·55)

cIMT 進行は両群差認めず(slope difference 0·007 mm per year, 95% CI −0·006 to 0·020; p=0·29)

総頸動脈プラークスコアも有意差認めず  (0·01 per year, 95% CI −0·23 to 0·26; p=0·92)

メトホルミン服用者では、プラシーボ比較で、HbA1c、インスリン、HOMA-IR、tPA減少。総コレステロール、HDL、非HDLコレステロール、トリグリセリド、hsCRP、空腹時血糖両群有意差認めず

メトホルミン群で副作用イベント数 138/64名 vs プラシーボ群で120/60名

下痢、吐き気、嘔吐がメトホルミン群で多い (28 vs 5).

Metformin for non-diabetic patients with coronary heart disease (the CAMERA study): a randomised controlled trial
David Preiss et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 7 November 2013
doi:10.1016/S2213-8587(13)70152-9

英国の子供:過去30年間に脈拍増加 ・・・ 体重増加とは関連せず、運動不足が原因・・・運動・心血管系への影響懸念


Trends in resting pulse rates in 9–11-year-old children in the UK 1980–2008
Arch Dis Child doi:10.1136/archdischild-2013-304699

英国での住民ベース研究(1980−2008) 
男児より女児で、脈拍平均高い (82.2 bpm vs 78.7 bpm) 
研究期間平均脈拍は1年間につき
男児: 0.07 (95% CI 0.04 to 0.09) bpm/年増加
女児: 0.04 (95% CI 0.01 to 0.06) ( p < 0.05 性差) 

男児において、1994年以前に比べ、1990年代中頃からこの傾向は顕著となっている  (annual increase 0.14 vs 0.04 bpm)

この心拍増加の説明要素として、BMI傾向によるとされる部分は、男児 13.8%(11.3% to 16.3%)、女児 17.2%( 9.4% to 24.9%)でわずかである。



英国の子供では、過去30年間で、脈拍数分時2回増加しており、それは体重増加とはさほど関連性が無かった。この増加は軽度であるが、身体運動能力・心血管系への影響があるかもしれない。

Brithish誕生コホート、Bromptonコホート、Two Towns Study、Ten Towns Study、年次Health Survey for England (1995-8, 2002, 2006-8)を含む、9歳から11歳の子供2万3千名

同年代の運動量減少と、ひきこもり傾向が関与している可能性を筆者らは報告

Resting pulse rates of UK pre-teens have risen during past 30 years
http://medicalxpress.com/news/2013-11-resting-pulse-uk-pre-teens-risen.html


Meditterranean Diet:アルツハイマー病高リスク遺伝子キャリアで、認知機能減少抑制

APOE4陽性者中の検討で、3年後フォローアップにて、食事で認知症進行を抑えられるかもしれないという、西オーストラリアのCowan大学のPhD学生の報告。
Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle Study of Ageing (AIBL)の一環 のようだ


the Society for Neuroscience meetingでの報告。

527名の被験者と、健康対象者比較
食事自己評価判定を数年にわたり行い、神経心理学的バッテリー調査

ほかの食事方法では認知機能アウトカムに関連性無かったが、Meditteranean食と男女とも著明に改善の関連性がみられたという報告らしい
さらに、APOE4 alleleキャリアと食事相関関係がみられたことが目新しい

Primary source: Society for Neuroscience
Source reference: Gardener SL, et al "Dietary patterns and their association with cognitive decline: data from the Australian imaging, biomarkers, and lifestyle study of ageing" SFN 2013; Abstract 89.01/FFF12.

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/SFN/42894





Mediterranean Dietの認知機能減少抑制効果、NHS研究でも報告されている。ただ、電話調査による認知機能評価など信頼性の比較的低い調査

Mediterranean diet and cognitive decline in the Nurses' Health Study
Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's AssociationVolume 8, Issue 4, Supplement , Page P448, July 2012

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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note