2018年2月27日火曜日

COPD:全身性酸素低下により内皮依存性血管拡張障害・心肺関連性をもたらす




COPDと心血管疾患の合併は多く、COPD患者での心血管疾患合併、死亡率増大と関わる。冠動脈性疾患(CAD)併存に関して、心筋梗塞後、CABG後、PCI後のCOPD患者での死亡率増加の報告あり、疫学的にもFEV1、重症度と心血管系リスクの関連性報告あり、潜在的メカニズムの判明が待たれている。共通するリスクである喫煙で説明できる部分もあるが、COPDの全身への影響もそのメカニズムとして考えられ、全身性炎症、酸化ストレス、低酸素血症、加齢、血管内皮変性、プロテアーゼ/アンチプロテアーゼバランス障害、全身性血管障害が現在検討中。
FEV1と、FMD急性減少障害の関連性報告、同様、血管stiffness、構造変容指標である頸動脈IMTなど関連性が安定COPD患者で報告されている。 COPDなしの喫煙社を対照にした比較でも、COPD患者での全身性血管障害報告されている。
COPD患者において、心血管疾患合併時動脈硬化によるアウトカム悪化と関連する血管内皮障害の集積性あるかどうかは不明であったがそれが明らかとなり、全身性低酸素の役割が明確化したとの報告



Oxygen dependence of endothelium-dependent vasodilation: importance in chronic obstructive pulmonary disease
Stefanie Keymel,  et al.
Arch Med Sci 2018; 14, 2: 297–306
DOI: https://doi.org/10.5114/aoms.2016.58854
https://www.termedia.pl/Oxygen-dependence-of-endothelium-dependent-vasodilation-importance-in-chronic-obstructive-pulmonary-disease,19,27223,1,1.html

序文: 冠動脈性心疾患(CAD)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者の合併症・死亡率増加の疫学研究あり、CADと併存COPD患者の酸素依存内皮機能の特性検討

対象と方法:COPD有無両方のCAD患者 n=33
上腕動脈(BA)の非侵襲的FMD、IMT測定、前腕血流(FBF)、laser Doppler perfusion imaging (LDPI)による皮膚微小循環還流
実験セットアップにて、血管内皮を健康ボランティア(n=5)、酸素12%、100%にて室内空気吸入比較で評価

結果: COPD は、FMD障害と相関  (3.4 ±0.5 vs. 4.2 ±0.6%; p < 0.001、 IMT 増加(0.49 ±0.04 vs. 0.44 ±0.04 mm; p <0 .01="" br="">前腕血流、LDPIは両群同等
FMDは毛細血管酸素分圧と相関(pO2, r = 0.608)
COPD患者の pO2 > 65 mmHgと pO2 65 mmHg以下のサブグループ解析にて、pO2低下患者のFMD低下  (3.0 ±0.5 vs. 3.7 ±0.4%; p < 0.01)
多変量解析にて、pO2はFMD独立指標となり、FEV1、pack-yearsと独立した相関
低酸素吸入にてFMD急性減少を生じ、100%酸素投与によって血管機能障害は回復することはない

結論:COPDを有するCAD患者では、全身性酸素低下により内皮依存性血管拡張障害を生じ、心肺関連性をもたらす。

<0 .01="" br="">血管疾患二次予防において肺治療はかなり重要であると判明







一過性低酸素に対し神経質になられても困る気がするが・・・

米国内の急性上気道感染へのステロイド使用

この時期になると、花粉症へのステロイド・デポ製剤注射が問題になる


急性上気道炎へのステロイド処方というのは、さすがに私の周りでは聞かないが、咽頭炎への有効性報告は知っているので・・・処方する場合もあるのかもしれない程度であった。米国内の医療事象もあるのだろうが、実態報告がなされていた。

一方、COPD急性増悪など正当な使用もあるので、その辺誤解広まらないでほしいとも思う。


急性上気道感染へのステロイド使用は推奨されていない。咽頭炎へのステロイドによる症状早期軽減効果報告はあるが、臨床的トライアルでの副鼻腔炎、気管支炎への有効性証明はない。副作用30日内に出現し、安全性への懸念増大。


High Frequency of Systemic Corticosteroid Use for Acute Respiratory Tract Illnesses in Ambulatory Settings
Evan L. Dvorin, et al.
JAMA Intern Med. Published online February 26, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.0103



National Ambulatory Medi- cal Care Survey (NAMCS)  2012 から 2013年

急性期同感染に対し成人外来患者の約11%にステロイド処方

地域差が激しく13.6%(南部)から8.3%中西部まで分布

多変量解析にて、COPDや喘息病歴患者が多く(オッズ比 OR, 2.62; 95% CI 2.24 - 3.06)
受診時気管支炎診断 OR, 1.73; 95% CI, 1.22 - 2.46、NP介在 OR , 1.65 95% CI< 0.79 - 3.42、physician assistant (PA) OR, 1.74; 95% CI, 0.98-3.06)

 プライマリ医介在の急性気道感染の23%でステロイド注射がなされ、注射機会の有意増加は、COPD (OR, 1.47; 95% CI, 1.31-1.64)、副鼻腔炎・耳炎(OR, 2.10; 95% CI, 1.89-2.33)、アレルギー性鼻炎 (OR, 1.42; 95% CI, 1.30-1.56)、上気道感染(OR, 1.17; 95% CI, 1.05-1.30)、気管支炎(OR, 1.82; 95% CI, 1.67-1.99)、NP介在(OR, 1.82; 95% CI, 1.67-1.99)

白人以外で少ない (eg, アフリカ系黒人 [OR, 0.88; 95% CI, 0.83-0.93])
メディケイド・メディケアで少ない[各々、OR, 0.80; 95% CI, 0.68-0.95、 0.75; 95% CI, 0.69- 0.81])
糖尿病病歴 (OR, 0.73; 95% CI, 0.67-0.79) and/or 骨粗鬆症 (OR, 0.88; 95% CI, 0.79- 0.98)で少ない
PA介在で少ないA (OR, 0.78; 95% CI, 0.71-0.86)
受診時肺炎診断で少ない (OR, 0.55; 95% CI, 0.46- 0.64)

結論:例え短期でも、ステロイドの全身への副作用はよく知られている。急性上気道感染へのステロイド使用の米国内地域的・国内的検討課題で、コストと潜在性リスクの問題がある。
ルイジアナや国内で頻度多いことが判明




COPD急性増悪においては、適応考慮の上、速やかに投与しなければならないと思うのだが・・・ SABA投与にてコントロール困難な場合は・・・

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