2013年4月17日水曜日

6分間歩行距離試験:心臓リハビリテーション効果判定ツールとして

【診療報酬】 時間内歩行試験
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/03/blog-post_1590.html
在宅酸素療法を検討、または施行している患者に対して行い、運動耐容能力等の 評価や治療方針の決定を行います。
・・・ということで、在宅酸素療法直前または施行中の患者の流量決定に重きが置かれているような印象の保険設定。

当たり前だが、この検査は、心臓血管疾患・肺疾患患者のfunctional capacity評価の検査であり、心血管系のリハビリテーションのツールとしても有用



Six-Minute Walk Test: An Effective and Necessary Tool in Modern Cardiac Rehabilitation
http://www.mdlinx.com/read-article.cfm/4544373


 Table 1. Indications for the application of the six-minute walk test. 
治療前後 : 
– CHF
– Lung-reducing surgery
– Pulmonary hypertension
– Pulmonary rehabilitation
– Drug therapy in COPD
– Lung transplantation or resection

機能状態評価: 
– CHF 
– COPD
– Cystic fibrosis
– Elderly patients

入院・死亡の予後推定: 
– CHF 
– COPD
– Pulmonary hypertension

CHF – congestive heart failure; COPD – chronic obstructive pulmonary disease.

6分間歩行距離試験に関して、Nilssonらは、グループベースの高強度心臓リハビリテーションでは、1年間フォローアップで、58mの平均的増加、41m距離増加を維持することを効果としている。このときのeffect sizeは 0.87
Larsen らは、CHF患者の平均517m、 Redelmeirらは70mの改善が臨床的意義有る数値としている。ランダム化コントロール研究では、30m長さを適切なパフォーマンスとしている。



6分間歩行距離試験が、在宅酸素療法がらみだけで無く、運動耐用能検査として使用できるよう願いたい

PURE: 冠動脈疾患・卒中後のライフスタイル健全度、高所得国居住か、低所得国居住かで影響される

17ヶ国からの研究で、貧乏ほど炭水化物を多く摂取し、裕福な場合ほど蛋白や非不飽和脂肪酸摂取回数が多くなるという報告

Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study


ESC Congress 2012
The ESC Congress is currently the world's premier conference on the science, management and prevention of cardiovascular disease. ESC Congress 2012 takes place 25-29 August at the Messe München in Munich. The scientific programme is available at: http://spo.escardio.org/Welcome.aspx?eevtid=54


このPURE研究からの別の知見ということになるだろう


同じ自己報告冠動脈性心疾患・卒中既往患者でも、国の収入レベルに応じて、健康的ライフスタイルの頻度に影響を与える。低所得国ほど、健康行動少ない


Prevalence of a Healthy Lifestyle Among Individuals With Cardiovascular Disease in High-, Middle- and Low-Income Countries The Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) Study
JAMA. 2013;309(15):1613-1621
自己報告CHD(冠動脈性心疾患;過去イベント:中央値 5.0 [IQR, 2.0-10.0]年前)・卒中(過去イベント:中央値[IQR, 2.0-8.0]年前)の既往7519名のうち、
・ 喫煙継続 18.5%(95% CI, 17.6%-19.4%)
・ 仕事・娯楽関連運動高レベルなのは35.1%(95% CI, 29.6%-41.0%)
・ 健康食なのは 39.0%(95% CI, 30.0%-48.7%)
以上3つの項目の健康側ライフスタイル行動いずれもしてないのは14.3% (95% CI, 11.7%-17.3%)
以上3つ全ての項目の健康側ライフスタイル行ってるのは 4.3%(95% CI, 3.1%-5.8%)

最高所得国(HIC : high-income countries): 74.9% [95% CI, 71.1%-78.6%]
高・中等度所得国(UMIC : upper-middle-income countries): 42.6% [95% CI, 39.6%-45.6%] 
低所得国(low-income countries): 38.1% [95% CI, 33.1%-43.2%]

身体運動のレベルは国収入増加毎に増加するが、この傾向には統計学的有意さ認めず

健康食最低頻度は、 LIC (25.8%; 95% CI, 13.0%-44.8%)
LMIC (43.2%; 95% CI, 30.0%-57.4%)、UMIC (45.1%, 95% CI, 30.9%-60.1%)、 HIC (43.4%, 95% CI, 21.0%-68.7%)




【骨粗鬆症診療】企業人としては正しいのかもしれないが、医療関係に関わってほしくない医療情報担当者

4月某日、所属企業からのレクチャーを盲信するMRに出くわした。企業人としては正しいのだが、社会的役割から言えば有害。


具体的には、「弊社薬剤にて、骨粗鬆症治療は万全です」という言葉にかちんと!

さらに、薬物療法が、骨粗鬆症の一次予防として、死亡率や合併症などの重大アウトカムに 影響を与える報告があるようなことを賜った。
骨粗鬆症薬物治療というのは全人的に影響を与えるほどのインパクトあったっけ?



要するに、「エビスタ」、「フォルテオ」だけで、骨粗鬆症治療は万全だそうだ。
そして、薬物一次予防治療はすでに確立しているそうだ。

骨粗鬆症に関してそれほど上記薬剤って立派なクリニカルエビデンスあっただろうか?



NGCのガイドライン
「Alendronate, etidronate, risedronate, raloxifene and strontium ranelate for the primary prevention of osteoporotic fragility fractures in postmenopausal women.」
http://www.guidelines.gov/content.aspx?id=13581

これには、
Interventions and Practices Considered
1. Alendronate
2. Alternative treatment: etidronate, risedronate, or strontium ranelate
Note: Raloxifene was considered but not recommended
すなわち、「ラロキシフェン(エビスタ)は考慮しても良いが、推奨されない」一次予防薬なのである。




Teriparatide(フォルテオ)に関しては,骨折治癒促進がその目的。non-union(偽関節)、delayed(遷延癒合)が検討されているわけだが、pubmed検索しても、未だ、臨床的エビデンスというレベルではないことがわかる。

例えば、今年記載の論文でもこの程度なのである。
non-union予後に関して「動物実験から推定される」
A conceivable positive effect of teriparatide on fracture healing is well-documented on animals, and very likely on humans, however further studies are needed to confirm these hopeful hypotheses.
Teriparatide in the treatment of non-unions: scientific and clinical evidences.
Injury. 2013 Jan;44 Suppl 1:S54-7. doi: 10.1016/S0020-1383(13)70013-5. 




そもそも、骨粗鬆症一次予防に関しては、まず、骨塩定量スクリーニング対象設定が問題になってるわけで、その後、その間隔の問題も持ち上がっている。
参考:正常骨密度なら15年以上DXA検査しなくてよい ・・・ これへの反論


DXA初回検診検討事例
・ 65歳以上全女性 ・ 脆弱性骨折既往、骨粗鬆症1つ以上のリスク(身長低下、BMI < 20、 骨粗鬆症既往、喫煙歴、過剰アルコール摂取)を有する全女性 ・ 疾患合併(e.g. 関節リウマチ)あるいは、低骨量・骨喪失の関連する医薬品 (e.g. プレドニゾロン日々投与量 5mg以上、同等量3ヶ月以上など)服用成人 ・ 骨粗鬆症治療考慮された全て、骨粗鬆症治療(エストロゲンを含む)中断例全て、骨粗鬆症治療中、治療効果モニター
例:RAX calculator : www.shef.ac.uk/FRAX. 
など・・・


一次予防のための検査さえ、はっきりしないのに、薬物で全て解決と発言する社員がいる製薬会社なんて・・・信用できるはずもない

国別こども視線の世帯所得格差

小泉政権下の亡霊たちが復権し続けている現政権に危惧を感じる部分がある。

ジニ係数は、社会における所得分配の不平等さを測る指標で、中国の格差問題だけをクローズアップして、日本のジニ係数に表れる問題は軽視して報道されがち。
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GINI index(ジニ指数)、GINI ratioと書かれる場合もあるようだ

USA 2007年 45.0 (CIA Gini)、 UK 2005年 34.0 (CIA GIni)、 日本 2008年 37.6 (CIA Gini)、 韓国  2011年 41.9(CIA Gini) 、北朝鮮 31.0(GPI Gini)、ロシア 2011年41.9 *Gini) 


https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/rankorder/2172rank.html

 


より小児に特化した所得格差の検討・・・United Nations Children’s Fundの報告


米国のこどもの5人に1人異常は、UNICEF定義の貧困
この場合の定義は、国民中央値の半分以下の所得率で、絶対的収入ではなく、高所得層群が多ければそれに引っ張られて貧困層が多くなるというもの



Map: How 35 countries compare on child poverty (the U.S. is ranked 34th)


http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2013/04/15/map-how-35-countries-compare-on-child-poverty-the-u-s-is-ranked-34th/











気になるのが、「Child poverty gaps」、これかなり日本は大きい




所得格差のある場合、学校でのいじめの原因にもなるわけで、日本はそのリスクは高いってことに。社会階層流動性あるほどそのリスクは加速するが、日本は次第に社会階層固定化しつつある側面も有り、どちらも問題はあるのだろうが・・・

CELLWAVE研究:高エネルギー超音波目標心筋組織条件付け後、骨髄球移植 ;shock wave-facilitated infusion of BMC

ショック波(実際には高エネルギー超音波)を媒体としたターゲット心臓組織へのpreconditioninを行った上での、骨髄由来単核球投与治療
これが、慢性心筋梗塞後心不全患者に5ヶ月後、左室駆出率改善をもたらした。

臨床研究である程度の効果があった慢性心筋梗塞後の患者へ、超音波対外的ショック治療を目標組織を行い、自家骨髄移植(BMC)の冠動脈内投与がBMCのhomingに対して、homing factor増加をもたらし、BMCの停留を促進する可能性が示唆された。


再生治療に期待が高まるが、今後期待の高まる新方法である。

Effect of Shock Wave–Facilitated Intracoronary Cell Therapy on LVEF in Patients With Chronic Heart Failure
The CELLWAVE Randomized Clinical Trial
Birgit Assmus, et. al.
JAMA. 2013;309(15):1622-1631.

BMCの投与慢性心不全左室駆出率改善仮説

一方向ブラインド化
ショックウェーブ:低エネルギー量(n=42)、高エネルギー量(n=40)、プラシーボ(n=21)
24時間後、冠動脈内BMCもしくはプラシーボ投与

主要アウトカム測定は、左室駆出率(LVEF) ベースラインから4ヶ月後の改善

プライマリエンドポイント
shock wave+ BMC群: 3.2% [95% CI, 2.0% to 4.4%])
shock wave + placebo infusion 群: 1.0% [95% CI, −0.3% to 2.2%] (全群との比較 P = .02)

局所壁肥厚
shock wave + BMC 群 (3.6% [95% CI, 2.0% to 5.2%]) 
shock wave + placebo infusion 群 (0.5% [95% CI, −1.2% to 2.1%]) (前群との比較 P = .01)

主要副事象心血管イベント包括的発生率
shock wave + BMCs group (n = 32 events)
placebo shock wave + BMCs (n = 18)
shock wave + placebo infusion (n = 61) 群
(ハザード比, 0.58 [95% CI, 0.40-0.85]; P = .02)


結論:心筋梗塞後慢性心不全患者において、shock wave-facilitate冠動脈内BMC投与は、shockwave単独投与より有意だが、比較的軽度、左室駆出率改善をもたらす
収縮機能の改善で、臨床的アウトカム改善につながるか今後の大規模研究で検討すべき

noteへ実験的移行

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