2018年6月19日火曜日

COPDリハビリテーション:付加的吸気筋トレーニング効果

付加的(adjunctive)吸気筋トレーニング(IMT)によりCOPD患者の呼吸リハビリテーションのベネフィット促進効果あるか ?


吸気筋トレーニングはリソースも限られ時間的制限もあり、プログラムとして採用されているのは過半行かない状況。IMT単独では吸気筋機能(筋力と持続能力)、呼吸困難症状改善効果、運動耐容能改善効果が示されている(
general exercise training(GET)との組み合わせへの付加的効果に関しては支持データ不十分と言うことでこの研究ということらしい


プライマリアウトカムの6分間歩行距離では効果認めなかったが、
サイクリング運動の運動耐容能改善、呼吸困難度の改善がみられた


どう解釈するか・・・

Randomised controlled trial of adjunctive inspiratory muscle training for patients with COPD

Charususin N, et al. Thorax 2018;0:1–9. doi:10.1136/thoraxjnl-2017-211417
http://thorax.bmj.com/content/early/2018/06/18/thoraxjnl-2017-211417


FEV1 予測比 42%±16%、吸気筋力低下 PImax 51±15 cm水柱


  • 介入群 (IMT+PR; n=110)
  • 対照群 (Sham-IMT+PR; n=109)

2重盲検、多施設ランダム化対照トライアル (ClinicalTrials.gov NCT01397396)

事前定義プライマリアウトカム:6分間歩行距離(6MWD)
事前定義セカンダリ呼吸筋機能、サイクリング持続時間


6MWD改善:介入群 (n=89) 、対照群 (n=85) に差を認めず  (0.3 m, 95% CI −13 to 14, p=0.967)

介入群完遂評価患者では、対照群に比較して、呼吸筋力到達ゲイン大きく (effect size: 1.07, p<0 .001="" 0.79="" 149="" 1="" ci="" effect="" endurance="" isotime="" org="" p="" size:="" to="">
結論:付加的IMT導入後呼吸筋機能の改善は6分間歩行距離の付加的改善をもたらさなかった(プライマリアウトカム)
しかし、endurance timeの増加、呼吸困難指標の改善がサイクリングendurance中に見られた(セカンダリアウトカム)




糖尿病と心血管疾患リスク:各々別の炎症性特性を有する

“炎症”という一言で表現できないようで、

糖尿病と心血管疾患は重複するリスク要素を有することは、共有するmolecular driver、pathwayの存在、遺伝子subnetworkの存在から支持される。肥満を引き起こすインスリン抵抗性と心血管疾患の遺伝子発現変化のoverlapなど。さらには低程度慢性炎症とインスリン抵抗性、代謝障害が糖尿病と心血管疾患の共通土壌となっていることも明らか。ただ、pathogenesis上の特異的変化が想定される。

そういう視点で、発症に関係する炎症に特性の違いは無いかを探ると・・・



Comparing the inflammatory profiles for incidence of diabetes mellitus and cardiovascular diseases: a prospective study exploring the ‘common soil’ hypothesis
Cardiovascular Diabetology201817:87
https://doi.org/10.1186/s12933-018-0733-9©  The Author(s) 2018
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0733-9



Malmö Diet and Cancer cohortをベースに、25,969名の被検者、糖尿病、心血管疾患既往なし
平均フォローアップ 17.4± 4.58年間、心血管疾患発症率を検討
7つの炎症性マーカーを検討し糖尿病発生率、心血管疾患発生率を4658名対象にLunn–McNeil competing risks approachで検討

通常リスク要素補正後、総、分画白血球数、orosomucoid、CRPは、糖尿病、心血管疾患リスクと相関

好中球/リンパ球比、セルロプラスミン、αアンチトリプシン、soluble urokinase plasminogen activator receptorはCVDリスク増加と関連するも、糖尿病リスク増加とは関連せず

ハプトグロビン、補体C3は、逆パターン(糖尿病と強く関連)

競合リスクモデル解析にて、リンパ球数、補体C4は心血管疾患リスクより糖尿病リスクと強く相関  (p for equal associations = 0.020 , 0.006)

好中球/リンパ球比が逆関係となっている (p for equal associations = 0.025)


感度分析にて結果一致性あり


“世の中に免疫が強いとか弱いとか言う人多すぎ” これだけ複雑な仕組みが判明下のだから、強い弱いで表現できるはずもなく・・・

手っ取り早い解釈をしたいが為に間違った常識を積み上げてるんじゃ無いかと思う事象が世の中に多い。

入院必要COPD患者のQTc延長の臨床的重要性?

タイトル魅力あり、全文フリーなので、ラッキーと一瞬思ったが

COPDの有無に関係ない話でした



Significance of prolonged QTc in acute exacerbations of COPD requiring hospitalization
International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease 
Published 14 June 2018 Volume 2018:13 Pages 1937—1947
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S157630
https://www.dovepress.com/significance-of-prolonged-qtc-in-acute-exacerbations-of-copd-requiring-peer-reviewed-article-COPD

横断研究、後顧的解析から前向き検討

後顧的に、低カリウム血症、心Troponin T、心電図伝導障害は有意に独立してQTc延長と相関
QTc延長は全死亡率と相関 (HR 2.698 (95% CI 1.032–7.055), p=0.043)するも、年齢、FEV1、心Tropoin T補正後有意性を失う

前向き検討にうつり、AECOPDもしくは肺癌、肺感染症、他の肺疾患診断の1/3にQTc延長見られるも、特に AECOPDで多い訳ではなかった

QTc持続時間は入院中にCOPDの有無にかかわらず減少する

noteへ実験的移行

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