2012年3月14日水曜日

tanezumab: 抗NGF製剤 慢性頭痛治療 米国FDA承認

変形性関節症・慢性背部痛・糖尿病性末梢性神経障害・ヘルペス後疼痛・慢性膵炎・子宮内膜症・間質性膀胱炎・腰椎骨折・熱傷・癌性疼痛などを含む慢性疼痛治療のための薬剤として開発

Nerve growth factorは様々な状態の痛覚過敏を促進し、末梢性障害受容体、軸索発芽、間隔・交感神経線維innervationをもたらす


FDA助言委員会は、抗NGF薬  tanezumab  を 関節破壊・骨壊死症例報告あるが、全会一致で承認

情報ソース: http://www.medscape.com/viewarticle/760126


Janssenは、 anti-NGF agent fulranumab で、変形性関節症のある患者の股関節血行障害壊死を2010年報告。anti-NGF agent, REGN727のRegeneronトライアル中止となっている。


副作用懸念の中の承認・・・



変形性関節症:ヒト神経成長因子モノクローナル抗体 tanezumabの効果  2010年 09月 30日
http://intmed.exblog.jp/11354251/

NIPPON DATA80:心電図・時計回りは死亡リスク・心不全リスクと関連、反時計回りは・・・


Epidemiology and Prevention
Prognostic Values of Clockwise and Counterclockwise Rotation for Cardiovascular Mortality in Japanese Subjects
A 24-Year Follow-Up of the National Integrated Project for Prospective Observation of Noncommunicable Disease and Its Trends in the Aged, 1980–2004 (NIPPON DATA80)

Yasuyuki Nakamura, et. al.

Circulation. 2012; 125: 1226-1233 Published online before print February 3, 2012, doi: 10.1161/​CIRCULATIONAHA.111.070045 


Coxモデルを用いた多変量補正ハザード比(HR)では、生化学的所見・他のECG所見を含む検討で、


時計回り回転は有意に、両性での、心不全と正の相関  (HR=1.79; 95% confidence interval [CI], 1.13–2.83; P=0.013)、男性と両性においてCVD  (HR=1.49; 95% CI, 1.12–1.98; P=0.007 in men; HR=1.28; 95% CI, 1.02–1.59; P=0.030 in combined)と相関、両性の総死亡率と相関  (HR=1.19; 95% CI, 1.00–1.49; P=0.0496 in men; HR=1.15; 95% CI, 1.00–1.32; P=0.045 in combined)

反時計回り回転は、両性で、卒中と逆相関   (HR=0.77; 95% CI, 0.62–0.96; P=0.017), CVD in men and in men and women combined (HR=0.74; 95% CI, 0.59–0.94; P=0.011 in men; HR=0.81; 95% CI, 0.70–0.94; P=0.006 in combined)、女性において卒中と逆相関 (HR=0.87; 95% CI, 0.77–0.98; P=0.023)



時計回りの意義は左心系への負荷を表し分かる気がするが、反時計回転の意義が分からない。
でも、フルテキスト入手するほどの意欲はわかない・・・

ウェブベース教育介入プログラム:がん治療後無病変患者の疲労



がん関連疲労(CRF)を有する無疾患生存者へのインターネットによる個別教育プログラム


Web-Based Tailored Education Program for Disease-Free Cancer Survivors With Cancer-Related Fatigue: A Randomized Controlled Trial
Young Ho Yun, et.al.

JCO March 12, 2012 JCO.2011.37.2979


National Comprehensive Cancer Network (NCCN)のがん関連疲労ガイドラインに基づく、 汎理論的モデル(The transtheoretical model)を用いて、個別化したもの


NCCNガイドライン 日本語版
http://www.tri-kobe.org/nccn/index.html


"fatigue"
http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/f_guidelines.asp
http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/fatigue.pdf



273名の患者をランダムに割り付け136名が介入群で、BFI、FSSスコア改善
セカンダリアウトカムである、HADS不安スコア、全般QOL、EORTC QLQ-C30スコアも改善



Webベースでこういう使い方が出来るんだと・・・

消化管出血:ベッドサイドでの部位・重症度判定はいかにおこなうか?

急性胃腸出血の部位、重症度を決定する必要性にせまられることがある。

病歴、症状、サイン、ベッドサイド医療行為、基本的な検査室検査で、上部消化管出血を鑑別できるか?

CLINICIAN'S CORNER
Does This Patient Have a Severe Upper Gastrointestinal Bleed?

JAMA. 2012;307(10):1072-1079. doi: 10.1001/jama.2012.253




上部消化管出血尤度増加: 下血患者報告(LR 5.1-5.9)、下血便検査(LR 2.5;95%CI 4-174)、 血性・コーヒー残渣様経鼻胃洗浄液(LR 9.6;95%CI 4.0-23.0))、BUN > 30(LR 7.5;95%CI 2.8-12.0)

便中の血塊は上部消化管出血否定的(LR 0.05;95%CI、 0.01-0.38)

Blatchford clinical prediction scoreは、緊急介入を必要としない患者の同定に非常に有効


Glasgow-Blatchford Bleeding Score (GBS)
http://www.mdcalc.com/glasgow-blatchford-bleeding-score-gbs/ 
解説:http://www.medicalcriteria.com/site/index.php?option=com_content&view=article&id=306%3Agasblat&catid=54%3Agastroenterology&Itemid=80&lang=en

スタチンによりパーキンソン病発症抑制? 若年者でより明らか?

60歳未満において特に、スタチン使用はパーキンソン病のリスクを減少させるかもしれない


Prospective Study of Statin Use and Risk of Parkinson Disease
Xiang Gao, et. al.
Arch Neurol. 2012;69(3):380-384. doi:10.1001/archneurol.2011.1060
男性4万名、女性9万名の2つのUSコホート( Health Professional Follow-up Study and the Nurses' Health Study)での検討で、週2回以上コレステロール低下薬剤使用 
発症 644例(女性 338、男性 306)
パーキンソン病(PD)リスクはスタチン現行使用で低下 補正プール化RR=0.74;95% CI、 0.54-1.00;P=0.049)
有意な相関が60歳未満の被験者でみられ(補正化プール化RR 0.31; 95%CI、 0.11-0.86; P=0.02)。だが、高齢では、認めない(補正化プール化RR 0.83;95%CI、 0.60-1.14;P=.25)(P for interaction=0.03)

最近、スタチンに関して 糖尿病関連など副作用に関して、良い話を聞かないが、抗炎症作用、小免疫調整への効果など、過剰な期待がなされていた時期がある。

このコホート研究にも、観察研究故に、交絡要素介入の疑いが残る。

カナダ:急性期医療病院 入院料金かかるほど死亡率・再入院・心臓イベント低下

医療費支出の限度が目に見えている以上、なんらかの医療アクセス制限が必要だろう。ユニバーサルな医療体制において、医療技術アクセスを制限することの是非は、本来あるべき重視すべき医療アウトカムを設定の上での検討が必要。日本の医療施策は、後顧的・作為的データにより、結論ありきのうそばかりの検討会がなされ、医療制度のゆがみが続いている・・・


カナダの報告で、医療体制の異なる国での調査に関して、そのまま、日本に応用することは不可能。

だが、多くの専門家が出入りする病院は良い病院で、その後の診療を担当するであろう医師・プライマリケア医が正当な評価の元、出入りすることも大事なようだ。




39万名の長軸的コホート調査

急性心筋梗塞・うっ血性心不全・股骨折・大腸癌による入院患者で、高い入院医療費(濃厚な看護内容・専門医や医療密度が大きいこと)は、死亡率、再入院、心臓イベントの低下と相関。


高品質医療と患者アウトカムのための医療費増加はやむえない。
だが、高額な医療技術へのアクセス制限をしなければ、真に必要なひとに医療資源が回らない。


Association of Hospital Spending Intensity With Mortality and Readmission Rates in Ontario Hospitals Therese A. Stukel, et. al. 
JAMA. 2012;307(10):1037-1045. doi: 10.1001/jama.2012.265
【目的】高額医療費病院受診急性期患者が死亡率低下をもたらし、再入院減少をもたらすか?

【デザイン・セッティング・患者】研究対象:1998-2008年の18歳超の成人、カナダ・オンタリオ、初回入院
 acute myocardial infarction (AMI) (n = 179 139)
congestive heart failure (CHF) (n = 92 377)
hip fracture (n = 90 046)
colon cancer (n = 26 195)

フォローアップ1年間

暴露測定としては、指標病院での終末期医療医療支出(病院、医師、救急部門)指数

【主要アウトカム】プライマリアウトカムは30日・1年での死亡率、再入院、主要心臓イベント(急性心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全のための再入院、死亡)


【結果】ベース他院の健康状態は病院支出グループ横断的に同様。


3分位比較

医療費 最大vs最小 比較で、すべての副事象アウトカム低下

さらに、年齢・性別補正30日間死亡率は
急性心筋梗塞 12.7% vs 12.8%
うっ血性心不全 10.2% vs 12.4%
股関節骨折 7.7% vs 9.7%
(結腸癌;誤植)  3.3% vs 3.9% 

完全補正相対的30日死亡率は
急性心筋梗塞  0.93 (95% CI, 0.89-0.98)
うっ血性心不全  0.81 (95% CI, 0.76-0.86)
股関節骨折 0.74 (95% CI, 0.68-0.80)
結腸癌 0.78 (95% CI, 0.66-0.91)

1年時死亡率、再入院、主要心臓イベントは同様

高額医療費病院は、ナーシングスタッフ比率が高く、より入院患者の外部専門医(インターベンション(急性心筋梗塞コホート)や内科(急性心筋梗塞・うっ血性心不全コホート)、術前スペシャルケア(結腸癌コホート)、他院後共同ケアのための心臓専門医・プライマリケア医(急性心筋梗塞・うっ血性心不全コホート))からの受診が多い


【結論】オンタリオの病院では、医療費支出多いほど、死亡率、再入院、心臓イベント率低下をもたらす。

感染症性壊死性膵炎:内視鏡的切除で炎症惹起少なく、合併症減少・・・

感染性壊死性膵炎治療での開腹壊死巣切除は、その後の合併症と関連する
22名の壊死性膵炎疑診・確診例のランダムトライアル化研究で、開腹術に比べ、 内視鏡的壊死巣切除は、炎症誘発性反応減少し、主要合併症リスクを減少させる




覚醒下で行う、胃経由壊死巣切除-ドレナージと後腹膜直達内視鏡的壊死巣切除


Endoscopic Transgastric vs Surgical Necrosectomy for Infected Necrotizing Pancreatitis
A Randomized Trial
Olaf J. Bakker, et. al.
JAMA. 2012;307(10):1053-1061. doi: 10.1001/jama.2012.276 

プライマリエンドポイントは、“postprocedural proinflammatory response as measured by serum interleukin 6 (IL-6) levels”
セカンダリエンドポイントは、主要合併症(新規発症多臓器不全、腹腔内出血、腸管皮膚瘻、膵瘻)事前登録組み合わせ

22例ランダム化し、2名は、経皮的カテーテルドレナージ後行われず、プライマリエンドポイント解析せず

内視鏡的経胃壊死巣切除は、回復術に比べ、術後IL-6値を減少 (P=0.004)

組み合わせ臨床エンドポイントは、内視鏡的壊死巣切除後減少  (20% vs 80%; risk difference [RD], 0.60; 95% CI, 0.16-0.80; P= .03).

内視鏡的壊死巣切除は、新規発症多臓器不全を生ぜず  (0% vs 50%, RD, 0.50; 95% CI, 0.12-0.76; P= .03) 、膵管瘻を減少 (10% vs 70%; RD, 0.60; 95% CI, 0.17-0.81; P= .02).


22例のランダム化トライアルで統計学的有意差認めている。ただ、プライマリエンドポイントを炎症関連マーカー。セカンダリエンドポイントながら臨床的アウトカムに効果があるだけに・・・

にもかかわらず、今後の治療に大きな影響を与える論文であることは確か

志賀毒素産生大腸菌腸管内除菌:アジスロマイシン有効

ヨーロッパで猛威をふるった病原性大腸菌感染

病原性大腸菌・下痢関連溶血性尿毒症症候群への血漿交換療法の効果 2011年 08月 25日
http://intmed.exblog.jp/13366739/

ドイツ ”感染源 もやし類” 2011年 06月 11日
http://intmed.exblog.jp/12829762/

ヨーロッパ流行:腸管出血性大腸菌 O104 2011年 06月 03日
http://intmed.exblog.jp/12738250/

prophylactic azithromycin treatmentが、C5抗体治療と共に行われていたが、予防的有用性の報告

 志賀毒素産生大腸菌:Shiga toxin–producing Escherichia coli (STEC) 感染は、 溶血性尿毒症症候群ののリスクを増加させるという理由から、重要視されている。しかし、腸管病原性細菌がコロナイズしている患者は、便中に検出されるより長く感染していると考えられている。
STEC感染65名の患者で、22名に経口azithromycin投与、抗生剤投与無しに比べ、長期(28日間)STEC carriage 頻度減少の報告



ドイツの単施設研究



Association Between Azithromycin Therapy and Duration of Bacterial Shedding Among Patients With Shiga Toxin–Producing Enteroaggregative Escherichia coli O104:H4
Martin Nitschke et. al.
JAMA. 2012;307(10):1046-1052. doi: 10.1001/jama.2012.264 

STEC感染
22名の患者をazithromycin割り付け、43名を抗生剤投与無し
抗生剤治療患者中、長期STEC保菌(>28日間)は1/22(4.5%、 95%CI、 0%-13.3%)、対照 35/43(81.4%;95%CI、69.8%-93.0%)(P<0.001)

azithromycin治療22名すべてで治療完遂後最低3回の便検体STEC陰性、STEC再発見られず

抗生剤治療しなかった15名の患者で、STEC長期キャリアに対し、azithromycin3日間の治療で便検体陰性がもたらされた。


日本の食中毒報道というのは、“風評被害”裁判を恐れるあまり、実害報道が極めて少ない。いわゆる情報の非対称性が存在する。
特に、スプラウト類の食中毒の危険性に関して、管元総理の厚労相時代の軽薄な行動がその後の日本に悪影響を与えている。この男の有害性は、原発事故の対応だけに限った話ではないのだ。

noteへ実験的移行

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