2015年8月4日火曜日

閉経後女性へのビタミンD投与は高用量でさえ骨密度、転倒、筋肉量・質へ影響与えない

そもそも、「ビタミンD濃度増加≠臨床的ベネフィット」である。ビタミンD濃度増加してもそれが臨床的ベネフィットにつながるかは?

ビスフォスフォネートの骨密度でも同様だと、私は思うのだが・・・Cochrane Reviewで骨折に対しても一次予防効果認めず、二次予防で疑念有りながらやっと・・・。これで「骨折予防にビスフォスフォネート」などと言えるもんだと・・・

今回の報告は、筋骨格筋健康のための至適な25−水酸化ビタミンD(25[OH]D)濃度は? ビタミンD欠乏閉経後女性に於ける、1年間の活性化ビタミン製剤:コルカルシフェロールの低用量、高用量、プラシーボ投与でのtotal fractional calcium absorption、bone mineral density、Timed Up and Go and five sit-to-stand testsとmuscle mass の変化評価



高用量ビタミンD投与しても、カルシウム吸収はさほど増えず、椎体、股部、全身の骨の骨密度増加は僅か1%程度増加するのみ。高用量だって、筋肉量や筋肉フィットネス、転倒へ影響を与えるほどの効果は無い。



Treatment of Vitamin D Insufficiency in Postmenopausal Women A Randomized Clinical Trial
 Karen E. Hansen, et. al.
JAMA Intern Med. Published online August 03, 2015


ランダム化二重盲検プラシーボ対照化臨床トライアル
ベースライン25(OH)D濃度 14−27 ng/mLの75歳以下の230名の閉経後女性・骨粗鬆症無し
介入  3群
・ daily white and twice monthly yellow placebo (n=76)
・ daily 800 IU vitamin D3 and twice monthly yellow placebo (n=75)
・ daily white placebo and twice monthly 50,000 IU vitamin D3 (n=79)
ビタミンD高用量レジメンは、25(OH)D濃度 30 ng/mL以上を維持目的

主要アウトカム・測定項目
1年後の、2つの安定アイソトープを用いたtotal fractional calcium absorption 、DEXA測定骨密度・筋肉量、 Timed Up and Go and five sit-to-stand tests、 functional status (Health Assessment Questionnaire), and physical activity (Physical Activity Scale for the Elderly)
偽所見率コントロールP値Benjamini-Hochberg補正


結果
ベースラインの吸収値補正後、カルシウム吸収率は高用量で1% (10 mg/d) 増加(P = .005 vs 高用量群)、低用量で2%減少(P = .005 vs 高用量群)、プラシーボで1.3%減少(P = .03 vs 高用量群)。

椎体、平均総股部、平均大腿頚部、体全体骨密度、骨梁部骨スコア、筋肉量、Timed Up and Go や five sit-to-stand test scoreに関して群間差認めず

同様に、転倒数、転倒者数、身体活動、機能状況に群間差認めず

結論・知見
高用量コレカルシフェロール治療にてカルシウム吸収率を高めるが、その効果は乏しく、骨密度、筋機能、筋肉量、転倒へのベネフィット効果までは相当しない。
閉経後女性、血中25(OH)D 30 ng/mL以上を維持する専門委員会推奨のデータを見いだせなかった。
このコホートの25(OH)D濃度 30 ng/mL未満の女性の骨、筋肉への低用量・高用量コレカルシフェロールのアウトカム効果はプラシーボと同等

US予防医療サービスタスクフォースでは、閉経後女性65歳以上で、転倒リスクのある場合ビタミンD補充を勧めている。


ビタミンDサプリメントの議論が終わり、米国の委員会での推奨を止め?
「骨の健康」のためと称して、ビタミンDサプリメントを否定すべき最終的根拠としたい。ビタミンD濃度が多く測定され、サプリメントが様々な量投与されているが、こういうことは止めた方が良いと報告。魚脂、全粒穀物・卵・乳製品高摂取組み合わせとともに、ビタミンD製剤接種によるビタミンD濃度増加に伴い、腎障害や消化管障害などの可能性さえある。



英国委員会は、ビタミンDは骨の健康に必須で補充十分すべきで、10mg投与必要としている。




ついにまともな早期膵がんバイオマーカー出現? 

といっても、単一じゃなく3つのマーカーくみあわせなのだが・・・尿中LYVE-1REG1ATFF1

膵管腺癌(PDAC)の非侵襲的バイオマーカーは現時点で現実的なもの存在しない。早期PDAC同定可能な尿検査による候補報告


Identification of a Three-Biomarker Panel in Urine for Early Detection of Pancreatic Adenocarcinoma
Tomasz P. Radon, et. al.
Clin Cancer Res August 1, 2015 21; 3512
 LYVE-1、 REG1A、 TFF1を候補バイオマーカーとして選別。

健康対照者 87、 PDAC 192の尿試料を検討比較

AUC/ROCの結果トレーニング試験(データの70%)で0.89 [95% 信頼区間 (CI), 0.84–0.94]、確認試験(データ30%)で0.92 (95% CI, 0.86–0.98)

PDAC Stage I-II (n=71)の正常対照比較で、AUCは、トレーニング試験 0.90 (95% CI, 0.84–0.96) 、 確認試験 0.93 (95% CI, 0.84–1.00)

この候補バイオマーカーに血中CA19-9を加えると、AUCは   0.97 (95% CI, 0.94–0.99) から0.99 (95% CI, 0.97–1.00, P = 0.04)へ増加するが、健康対照尿と比較してStage I-IIA PDAC比較では改善せず




もうひとつは、同じくPDACの組織内マーカーの予後因子

 GSK3β 発現は、膵管腺癌(PDAC)の予後と強い相関あり、Stage(T)、N因子、腫瘍マージン、CA-19-9と独立した因子である。



Glycogen Synthase Kinase 3β predicts survival in adenocarcinoma of the pancreas
Edgar Ben-Josef, et. al.
Clinical Cancer Research 
Published OnlineFirst August 3, 2015; doi: 10.1158/1078-0432.CCR-15-0789

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