そもそも、「ビタミンD濃度増加≠臨床的ベネフィット」である。ビタミンD濃度増加してもそれが臨床的ベネフィットにつながるかは?
ビスフォスフォネートの骨密度でも同様だと、私は思うのだが・・・Cochrane Reviewで骨折に対しても一次予防効果認めず、二次予防で疑念有りながらやっと・・・。これで「骨折予防にビスフォスフォネート」などと言えるもんだと・・・
今回の報告は、筋骨格筋健康のための至適な25−水酸化ビタミンD(25[OH]D)濃度は? ビタミンD欠乏閉経後女性に於ける、1年間の活性化ビタミン製剤:コルカルシフェロールの低用量、高用量、プラシーボ投与でのtotal fractional calcium absorption、bone mineral density、Timed Up and Go and five sit-to-stand testsとmuscle mass の変化評価
高用量ビタミンD投与しても、カルシウム吸収はさほど増えず、椎体、股部、全身の骨の骨密度増加は僅か1%程度増加するのみ。高用量だって、筋肉量や筋肉フィットネス、転倒へ影響を与えるほどの効果は無い。
Treatment of Vitamin D Insufficiency in Postmenopausal Women A Randomized Clinical Trial
Karen E. Hansen, et. al.
JAMA Intern Med. Published online August 03, 2015
ランダム化二重盲検プラシーボ対照化臨床トライアル
ベースライン25(OH)D濃度 14−27 ng/mLの75歳以下の230名の閉経後女性・骨粗鬆症無し
介入 3群
・ daily white and twice monthly yellow placebo (n=76)
・ daily 800 IU vitamin D3 and twice monthly yellow placebo (n=75)
・ daily white placebo and twice monthly 50,000 IU vitamin D3 (n=79)
ビタミンD高用量レジメンは、25(OH)D濃度 30 ng/mL以上を維持目的
主要アウトカム・測定項目
1年後の、2つの安定アイソトープを用いたtotal fractional calcium absorption 、DEXA測定骨密度・筋肉量、 Timed Up and Go and five sit-to-stand tests、 functional status (Health Assessment Questionnaire), and physical activity (Physical Activity Scale for the Elderly)
偽所見率コントロールP値Benjamini-Hochberg補正
結果
ベースラインの吸収値補正後、カルシウム吸収率は高用量で1% (10 mg/d) 増加(P = .005 vs 高用量群)、低用量で2%減少(P = .005 vs 高用量群)、プラシーボで1.3%減少(P = .03 vs 高用量群)。
椎体、平均総股部、平均大腿頚部、体全体骨密度、骨梁部骨スコア、筋肉量、Timed Up and Go や five sit-to-stand test scoreに関して群間差認めず
同様に、転倒数、転倒者数、身体活動、機能状況に群間差認めず
結論・知見
高用量コレカルシフェロール治療にてカルシウム吸収率を高めるが、その効果は乏しく、骨密度、筋機能、筋肉量、転倒へのベネフィット効果までは相当しない。
閉経後女性、血中25(OH)D 30 ng/mL以上を維持する専門委員会推奨のデータを見いだせなかった。
このコホートの25(OH)D濃度 30 ng/mL未満の女性の骨、筋肉への低用量・高用量コレカルシフェロールのアウトカム効果はプラシーボと同等
US予防医療サービスタスクフォースでは、閉経後女性65歳以上で、転倒リスクのある場合ビタミンD補充を勧めている。
ビタミンDサプリメントの議論が終わり、米国の委員会での推奨を止め?
「骨の健康」のためと称して、ビタミンDサプリメントを否定すべき最終的根拠としたい。ビタミンD濃度が多く測定され、サプリメントが様々な量投与されているが、こういうことは止めた方が良いと報告。魚脂、全粒穀物・卵・乳製品高摂取組み合わせとともに、ビタミンD製剤接種によるビタミンD濃度増加に伴い、腎障害や消化管障害などの可能性さえある。
英国委員会は、ビタミンDは骨の健康に必須で補充十分すべきで、10mg投与必要としている。