2012年2月13日月曜日

COPD急性増悪:全身性バイオマーカー


Systemic Biomarkers in Exacerbations of COPD
The Evolving Clinical Challenge
CHEST February 2012 vol. 141 no. 2 396-405 


 臨床的アウトカムに関する全身性バイオマーカー研究
診断:CRP、IL-6、MPIF、SP-D
病因:BNP、CRP、ECP、フィブリノーゲン、血糖、IL-6、インスリン、IP-10、レプチン、ProADM、ProET-1、PCT、SAA、sIL-5Rα、sTNF-R55、sTNF-R75
重症度:BNP、copeptin、CRP、ProADM、ProET-1、PCT、SAA、sTREM-1
抗生剤使用ガイダンス:CRP、PCT、sTREM-1
入院期間:アルブミン、BNP、copeptin、CRP、PCT、ProADM、ProET-1、sTREM-1、トロポニン
回復/合併症期間:Copeptin、CRP、フィブリノーゲン、血糖、IL-6、PCT、SAA、sTREM-1、TNF-α
ECOPD頻度/再発:アルブミン、CRP、IL-6、PCT
死亡率/生存率:BNP、CRP、PCT、ProADM、ProET-1、sTREM-1、トロポニン
BNP = brain natriuretic peptide; ECP = eosinophil cationic protein; IP-10 = interferon- g -induced protein 10; MPIF-1 = myeloid progenitor inhibitory factor-1; ProADM = proadrenomedullin; ProET-1 = proendothelin 1; SAA = serum amyloid A; sIL-5R α = soluble IL-5 receptor α ;SP-D = surfactant protein D; sTNF-R = soluble receptor of tumor necrosis factor; sTREM-1 = soluble form of the triggering receptor expressed on
myeloid cells 1; TNF- α = tumor necrosis factor- α
 たとえば、抗生剤使用に関するPCTの利用に関して Stolzらの報告では、<0.1 μg/Lで抗生剤使用せず、>0.25 μg/Lで抗生剤使用推奨するPCTガイダンスの報告。だが、DanielsらのPCT低値での抗生剤有効性報告と一致せず。




喘息:喫煙者では、吸入ス剤(FP)倍増より合剤(FP/SM)にした方が有効



Fluticasone/Salmeterol Combination Confers Benefits in People With Asthma Who Smoke
CHEST February 2012 vol. 141 no. 2 330-338

 喫煙は、気道炎症を生じるだけでなく、吸入ステロイドへの治療抵抗性を生じる。
salmeterol+fluticason vs fluticason倍量 比較で、持続性β2刺激剤を加えることの意義を検討。

軽症・中等症持続喘息16名非喫煙患者と、15名の喫煙喘息患者の比較

フルチカゾン/サルメテロール合剤 (FP/SM) (125/25 μg) 2puffs bid (plus fluticasone placebo)
or
フルチカゾン(250 μg) 2 puffs bid (plus FP/SM placebo)

1-2週後ベースラインとwashout periodを設け2週毎行う。

プライマリアウトカムは、ベースラインからのPC20の変化


非喫煙者では、メサコリンPC20は、フルチカゾン群と合剤群共に同様。

喫煙者では、FP/SMからのベネフィット付加分あるが、フルチカゾン群では認めない
PC20 では、1.6 倍加 (95% CI, 1.0-2.2)差 P < .01

喫煙者群では、マニトール負荷ではフルチカゾン群よりFP/SMでの有意な改善 FEV1 (PD15) 15%がみられるが、非喫煙者群では差が見られない。

FEV1 や気道抵抗に関して、気道径に差は認めない。

進行がん患者の“End of Life care discussion”の現状




日本では、終末期と言えば、“がん”についてのみ語られている傾向が強いと思う。だが、心疾患・脳血管疾患、COPD、アルツハイマー病、腎不全なども当然ながら終末期は存在する。むしろ”がん”の終末期比率は22%とされ、少数なのである。

Advance Care Planning
Preferences for Care at the End of Life
http://www.ahrq.gov/research/endliferia/endria.htm


日本に於ける終末期ケアの議論は偏りすぎている。ただ、非がん疾患では、終末期の判断が難しいことが多いのも確か。だが、“終末期”の判断は、患者の苦痛を与えるだけの終末期医療を回避し、それに関わる時間を節約し、患者の残り少ない時間を有効に使うことにつながる。そして、医療コストの適正化にも役立つ。日本における“がん”に偏った終末期議論が様々な弊害を生んでいる。


がんに話はもどるが、進行がん患者の“End of Life care discussion”の現状



End-of-Life Care Discussions Among Patients With Advanced Cancer
A Cohort Study
Ann Int Med. February 7, 2012 vol. 156 no. 3 204-210 


2003-2005年肺がん・直腸結腸がん患者の前向きコホート
北カリフォルニア・LA、カリフォルニアなど在住

2155名検討

73% が ”EOL care discussion”を少なくとも一つの情報源で見いだした。
1470名フォローアップ中死亡のうち、87%がEOL care discussionを有し、フォローアップ終了時生存685名では41%。

カルテ記載初回EOL care discussion1081のうち、55%が病院で行われている。

oncologistは27%しか記載せず

フォローアップ中死亡したEOL記載されていた959名で、discussionが行われたのは死亡前中央値33日前



“End-of-life discussion”は、死が近い状態で、患者が受けたい医療ケアの目標・期待を明確化する機会を与えること。

だが、現実には、多くの研究でも医師や患者とも死について曖昧なままで、この議論を避けたままということが多い。 End-of-life discussionは、積極的医療を減少させ、ホスピスへの受け入れ早期化をもたらす(JAMA. 2008;300(14):1665-1673. )。


practical 4-step approach to conducting end-of-life discussions with patients and their families:
(1) Initiating Discussion,
(2) Clarifying Prognosis,
(3) Identifying End-of-Life Goals
(4) Developing a Treatment Plan.
 J Gen Intern Med. 2000 March; 15(3): 195–200. 





パンデミックインフルエンザ:学校閉鎖の効果



Original Research
Effects of School Closure on Incidence of Pandemic Influenza in Alberta, Canada

Ann Int Med. February 7, 2012 vol. 156 no. 3 173-181 


パンデミックH1N1頻度と、学校閉鎖・気候との関連を検討

投稿期間の終了と再スタートは、第1波を減衰し、パンデミックインフルエンザ第2波開始時期に影響を与えた。
数学的モデルにて、学校閉鎖はパンデミックインフルエンザの伝播に劇的効果を示す。
学校閉鎖は、パンデミックインフルエンザ広がりを緩徐化するために有効な方法。











Figure 3. Comparison of pH1N1 data for the province of Alberta with simulations.
Box plots are based on 1000 realizations of our best-fit model, as specified in the Table. 
Data and simulation results are shown for school-age children (aged 5–18 y) (left panels) and for the rest of the population (right panels). 

上がbest-fit modelのシミュレーション、下が夏を通して閉校しなかった場合の予測

子供の睡眠時無呼吸:CPAPにて子供の認知行動機能改善だけでなく、家族・社会・学校生活にも好影響










子供の閉塞型無呼吸治療として、気道陽圧持続治療が使われているが、この治療により、子供の認知行動異常改善が見られるという報告。

Effects of Positive Airway Pressure Therapy on Neurobehavioral Outcomes in Children with Obstructive Sleep Apnea
Published ahead of print on February 9, 2012, doi: 10.1164/rccm.201112-2167OC
Am. J. Respir. Crit. Care Med. February 9, 2012 rccm.201112-2167OC 
52名の小児・青年のheterogenous groupのベースラインと3ヶ月後の神経行動評価

Adherenceにばらつき (mean use 170+145 [SD] minutes/night)


CPAP治療は、注意欠乏改善(p<0.001)、 Epworth scale 眠気(p<0.001)、行動 (p<0.001)、保護者 QOL(p=0.005) 、子供-QOL (p<0.001)改善した。

3ヶ月後のEpworth Sleepiness Scale減少とadherenceに有意相関  (r=0.411, p=0.006),
しかし、他の行動アウトカムとadherenceは有意相関認めず 。

発達遅延サブセットでも、行動機能の改善がみられた。

アドヒアランスが今一つでも、CPAP治療で、有意に、子供の認知行動機能の改善が見られる。
発達遅延の子供でも同様で、家族・社会的・学校に関する機能にもその好影響が見られる。




生薬:あじさいの一種から抽出物 halofuginone 自己免疫疾患薬剤の候補

"Halofuginone and other febrifugine derivatives inhibit prolyl-tRNA synthetase" by Keller et al


あじさいの一種であるChang Shan(堂山)
http://www.geocities.jp/plants_name/jouzan/jouzan.html

これの根の抽出物を用いてマラリアの治療に中国の漢方医たちは使っていた。
(チベットやネパール・・・と、書きながら、中国とは・・・)

この成分である、halofuginoneが、多くの自己免疫疾患治療に役立つ可能性があるというHarvard School of Dental Medicineの研究者の報告。

(こういうのって、過剰に報道されること多い分を差し引かなければ・・・)


halofuginoneが、Th17をブロックし、ストレス反応経路のtriggerとなるプロセス判明。

Halofuginone and other febrifugine derivatives inhibit prolyl-tRNA synthetase
Tracy L Keller, Davide Zocco, Mark S Sundrud, Margaret Hendrick, Maja Edenius, et al
Nature Chemical Biology doi:10.1038/nchembio.790


2009年、 Kellerらは halofuginone (HF)が、他の免疫細胞に影響を与えることなく、TH17免疫細胞に対して防御的に働くことを報告。2006年以降、Th17がいわゆる"bad actor”として、炎症性腸疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬などの多くの自己免疫疾患プロセスに関与していることが認識されつつある。
わずかなHF量でマウスモデルの多発性硬化症軽減。
免疫系を抑えることなく、自己目根来疾患病態を選択的に抑制する新しい治療法の可能性・・・.

解説:
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-02/hms-rdm020812.php

摂取カロリー増加ほど軽度認知機能障害リスク増加

2142kcal/日を越える食事の人は、1526kcal/日摂取にくらべ、2倍を超えるMCI発症リスク。
Geda Y, et al "Caloric intake, aging, and mild cognitive impairment: a population-based study" AAN 2012.
American Academy of Neurology's 64th Annual Meeting in New Orleans April 21 to April 28.  発表予定の内容らしい


解説:
http://www.medpagetoday.com/Geriatrics/GeneralGeriatrics/31139?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter


詳細解説:
http://newsfeedresearcher.com/data/articles_m7/calorie-risk-study.html


oxidative damageが構造的異常を来しているのではないかという仮説が記載されている。

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