診断過程は必ずしも明確なものではなく、科学的解釈も不十分。意思決定には時間的制限・不明瞭差を伴う情報の限界が有り、症状・徴候での診断では経験不足・助言不十分な状況が存在するという解説記事(http://www.physiciansnews.com/2013/02/26/missed-medical-diagnosis-common-report-faults-poor-doctor-patient-encounters/)を先に紹介する。
Types and Origins of Diagnostic Errors in Primary Care Settings
Hardeep Singh, et al.
JAMA Intern Med. 2013;173(6):418
doi:10.1001/jamainternmed.2013.2777
目的 プライマリケアでの疾患見逃しの種類や確定診断過誤に関する診断過程を明確にし、そして、記録レビューが将来の調査として寄与する要素を明らかにできるか明確にする
デザイン 診断過誤カルテ記録レビュー(2カ所(高齢者在郷軍人相手が主:site A、より若年者あいての家庭医:site B)での電子カルテベーストリガーにて検知)。トリガーは、患者のプライマリケア指標受診後の計画外受診パターンに基づく
セッティング A large urban Veterans Affairs facility and a large integrated private health care system.
被験者 プライマリケア受診検知誤診の190ユニーク・インスタンスに焦点を当て、2006年10月1日から2007年9月30日まで
主要アウトカム測定 カルテレビューを通して、指標受診時の症状に関するデータ収集、見逃し診断の種類、プロセスの省略、関連可能性寄与要素、過誤による有害性要素
結果 190例中、68のユニークな診断ミス検出
多くの誤診はプライマリケアでの多い病態であり、肺炎(6.7%)、非代償性うっ血性心不全(5.7%)、急性腎不全 (5.3%)、がん(原発性)(5.3%)、 尿路感染・腎盂腎炎(4.8%)
プロセス省略の多くは、対診時:patient-practitioner clinical encounter (78.9%) だが、紹介に関連するもの(19.5%)、患者関連要素(16.3%)、診断情報のフォローアップ・追跡(14.7%)、診断検査のパフォーマンス・解釈(13.7%)
プロセスの一つ以上で問題なのは、43.7%
対診時のプロセス省略の内容は、主に、病歴聴取(56.3%)、検査(47.4%)、and/or 追加検査ワークアップのための診断検査オーダー(57.4%)。
多くの過誤は中等〜重度有害事象可能性と関連
結論・新知見 今回研究の診断過誤は通常の疾患広汎対象で、しかも有害事象を生じる可能性があるもの。 多くの過誤は、 対診(patient-practitioner clinical encounter)の時のプロセス省略によるものである。これらミスに対する予防介入としては、診断横断的な普通のありふれた寄与要素をターゲット化する必要があり、特に、patient-practitioner encounterに関するデータ集積・合成をターゲット化すべき。
"$1 triton" problemは、日本では簡単・・・全部医者が悪いで済むから・・・