https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ninchisho_kaigi/yusikisha_dai2/siryou2.pdf
若年発症認知症の一部は原因遺伝子明確なものがあり早期の研究進展が望まれる
一方、一般的な高齢発症認知症は遺伝的要素としてpolygenicであり、さらにはライフスタイルの影響あり、遺伝的影響が希釈化あるいは濃縮化する可能性がある
Association of Lifestyle and Genetic Risk With Incidence of Dementia
Ilianna Lourida, et al.
JAMA. 2019;322(5):430-437. doi:10.1001/jama.2019.9879
意義 遺伝的要素は認知症リスクを増加させるが、これはライフスタイルによりどれほどoffsetできるかは不明
目的 健康的ライフスタイルは遺伝的リスクにかかわらず認知症リスク低下と関連するか?
デザイン、セッティング、被験者 後顧的コホート研究でヨーロッパ民族60歳以上成人でベースラインで認知機能異常や認知症を有さない成人
UK Biobank study (2006年から2010年からフォローアップ 2016 or 2017年まで)
暴露 polygenic risk score:低(最小5分位)、中間(2-4位置の5分位)、高(最大5分位)リスク影後李、加重健康ライフスタイルスコア(現行喫煙なし、定期的身体活動、健康食、中等アルコール摂取を良好、中間、不良ライフスタイル分け)
主要アウトカムと測定項目 全原因認知症(入院・死亡記録確認)
結果 196,383名(平均{SD]年齢 , 65[2.9]歳、女性 52.7%)、フォローアップ 1,545,433人年(中央IQR フォローアップ 8.0[7.4-8.6]年間]
全体でライフスタイル 良好 68.1%、中間 23.6%、不良 8.2%
polygenic risk scoreに関し、20%が高リスクスコア、60% が中間リスクスコア、20%が低リスクスコア
高遺伝リスク 発症 1.23% (95% CI, 1.13%-1.35%) vs 低遺伝リスク 0.63% (95% CI, 0.56%-0.71%) (補正ハザード比, 1.91 [95% CI, 1.64-2.23])
高遺伝リスク&不良ライフスタイル 認知症発症 1.78% (95% CI, 1.38%-2.28%) vs 低遺伝リスク&良好ライフスタイル 発症 0.56% (95% CI, 0.48%-0.66%) (ハザード比, 2.83 [95% CI, 2.09-3.83])
遺伝リスク、ライフスタイル要素の有意相互相関認めず (P = .99)
高遺伝リスク被験者中、良好ライフスタイル発症 1.13% (95% CI, 1.01%-1.26%) vs 不良ライフスタイル 1.78% (95% CI, 1.38%-2.28%) (ハザード比, 0.68 [95% CI, 0.51-0.90]).
結論と知見 認知障害・認知症なし高齢成人において、不良ライフスタイル&高遺伝リスクは有意に認知症リスク増加と関連する
良好なライフスタイルは高遺伝子リスクを有する被験者において認知症リスク低下と関連する
遺伝的要素とライフスタイル要素がアルツハイマー病や他の認知症タイプでも一定の役割を果たす。amyloid precursor protein(APP; OMIM;104760)、presenilin 1 (PSEN1; OMIM:1-4311)、presenilin 2(PSEN2: OMIM:600769)遺伝子は若年アルツハイマー病の原因だが極限られた比率。多くの認知症では多遺伝子リスク要素で、ε4 allele(APOE; OMIM; 107741)が知られている。欧州民族での老年発症アルツハイマー病の多数リスクallele複合スコアが定量的に検討されている
遺伝子スコア:
LambertJ-C,Ibrahim-VerbaasCA,HaroldD, et al; European Alzheimer’s Disease Initiative
(EADI); Genetic and Environmental Risk in
Alzheimer’s Disease; Alzheimer’s Disease Genetic
Consortium; Cohorts for Heart and Aging Research
in Genomic Epidemiology. Meta-analysis of 74,046 individuals identifies 11 new susceptibility loci for
Alzheimer’s disease.
Nat Genet. 2013;45(12):1452-
1458. doi:10.1038/ng.2802