2020年5月14日木曜日

COPD:呼吸リハビリテーションは退院後すぐに始めましょう 予後改善

 2016 Cochrane meta-analysisや最近のメタアナリシスでは退院後すぐの肺リハビリテーション開始が予後改善に寄与するというが、急性増悪後3−4週間胃内開始推奨するガイドラインがある

  • Puhan MA, Gimeno-Santos E, Cates CJ,Troosters T. Pulmonary rehabilitation followingexacerbations of chronic obstructive pulmonarydisease.Cochrane Database Syst Rev. 2016;12:CD005305. doi:10.1002/14651858.CD005305.pub4
  • Ryrsø CK, Godtfredsen NS, Kofod LM, et al.Lower mortality after early supervised pulmonaryrehabilitation following COPD-exacerbations:a systematic review and meta-analysis.BMC Pulm Med. 2018;18(1):154. doi:10.1186/s12890-018-0718-1


退院直後のリハビリテーション開始を後押したいというような趣旨?

後顧的研究なので エビデンスは限定的


Association Between Initiation of Pulmonary Rehabilitation After Hospitalization for COPD and 1-Year Survival Among Medicare Beneficiaries
Peter K. Lindenauer, et al.
JAMA. 2020;323(18):1813-1823. doi:10.1001/jama.2020.4437
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2765730

キーポイント
質問:質問 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の入院後の肺リハビリテーションの開始は生存率の向上につながるか?
知見: COPDで入院後に退院したメディケア受給者197 376人を対象としたこのレトロスペクティブ観察研究では、退院後3ヵ月以内に肺リハビリテーションを開始した場合、それ以降に肺リハビリテーションを開始した場合としなかった場合を比較して、1年後の死亡リスクの低下と有意に関連していた(ハザード比、0.63)

意義:これらの所見は、COPDの入院後の肺リハビリテーションに関する現在のガイドラインの推奨を支持するものであるが、交絡が残存する可能性があり、さらなる研究が必要である。

要約:
意義:COPD急性増悪後の肺リハビリテーション開始は生存率改善と相関することがメタアナリシスにて示唆されている。ただ、被検患者数は小さく、heterogeneityは高い。現行ガイドラインでは患者は退院後肺リハビリテーション参加推奨している

目的 退院後90日以内の肺リハビリテーション開始と1年後の生存率の関連性を決める

デザイン、セッティング・被験者 後顧的inceptionコホート研究は2014年に米国の4446の急性期病院でCOPDのために入院した有料サービスのメディケア受給者の請求データを使用。追跡調査の最終日は2015年12月31日

暴露 退院後90日以内肺リハビリテーション開始

主要アウトカムと測定項目 プライマリアウトカムは1年時点での全死亡率
他院から脂肪までの期間を肺リハビリテーション時間変化暴露のCox回帰にてモデル化、死亡率、アンバランスな特性補正と入りハビリテーションのpropensity補正した。
付加解析は呼吸リハビリテーションタイミングと死亡率の関連性、完遂セッション数と死亡率の関連性も評価

結果 197,376名の患者(平均年齢 76.9歳、 女性 58.6% 115,690名)のうち、退院時90日内の肺リハビリテーション開始 2721(1.5%)
退院後1年以内死亡 38,302(19.4%)で、90日内肺リハビリテーション開始 7.3%、90日移行肺リハビリテーション開始もしくは開始無しの死亡は 19.6%

90日内肺リハビリテーション開始は1年時点での死亡率低下と有意相関 (絶対的リスク差 [ARD], –6.7% [95% CI, –7.9% to –5.6%]; ハザード比 [HR], 0.63 [95% CI, 0.57 to 0.69]; P < .001)




肺リハビリテーションの開始は、
開始日から30日以内の範囲で死亡率の低下と有意に関連していた  (ARD, –4.6% [95% CI, –5.9% to –3.2%]; HR, 0.74 [95% CI, 0.67 to 0.82]; P < .001) 
退院後61−90日でも有意相関 (ARD, –11.1% [95% CI, –13.2% to –8.4%]; HR, 0.40 [95% CI, 0.30 to 0.54]; P < .001)

セッション3付加毎に有意に死亡リスク低下 (HR, 0.91 [95% CI, 0.85 to 0.98]; P = .01)

結論と知見 COPDで入院した有料メディケア受給者において、退院後3ヶ月以内に肺リハビリテーションを開始することは、1年後の死亡リスクの低下と有意に関連していた。これらの知見は、COPDの入院後の肺リハビリテーションに関する現在のガイドラインの推奨を支持するものであるが、交絡が残存する可能性があり、さらなる研究が必要である。

Covid-19と糖尿病

Covid-19は糖尿病の人は罹患しやすい・・・という推定は妥当なところだと誰しも思う。しかし、メタアナリシスでも明確に出るはず・・・と思いきや、実際さほどクリアカットな結果では無いという印象

だが、私の印象とは違い
本研究では、2019-nCoV患者の糖尿病有病率が体系的に評価されている。本研究は、2019-nCoV患者の糖尿病有病率を報告した最初の研究であることが確認された。2020年2月25日までのPubMed、Embase、Web of Science、Medlineを検索したところ、研究者は本研究に含めるべき9つの論文を特定した。プールされたDMの有病率は9%であった。研究者らは、2019-nCoVを有する重症患者と2019-nCoVを有する中等度患者では、DMの有病率が有意に高いことを観察した。この知見は、将来的に2019-nCoVの普及を制限するために有益である可能性がある。
と結論づけている。故に、この結果がいろんなところで引用されると思うのだが・・・内用をみるとちょっと疑問あり

糖尿病罹病率は加齢と共に増加し、その影響を差し引かなければならない

そもそも、糖尿病有無という二分割が果たして妥当なのだろうか?
コントロール不良や合併症・併存疾患や罹病年数など按分しなくてよいのか・・・など考えるとさほどクリアカットではない




Prevalence of diabetes mellitus in 2019 novel coronavirus: a Meta-analysis
https://doi.org/10.1016/j.diabres.2020.108200
Diabetes Research and Clinical Practice
Available online 12 May 2020, 108200
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168822720304502
Diabetes Research and Clinical Practice

合計9編の論文が適格基準を満たした。プールされたDMの有病率は9%(95%CI 6%~12%)であった。これらの研究におけるDMの有病率には明らかな不均一性(I2 65%、p=0.004)があった。2019-nCoVの中等度患者におけるDMの有病率は7%(95%CI 4~10%)であった。2019-nCoVの重症患者におけるDMの有病率は17%(95%CI 13%~21%)であった。2019-nCoVの重症患者におけるDMの有病率は、2019-nCoVの中等度患者におけるDMの有病率よりも有意に高かった(OR 2.49、95%CI 1.70~3.64)



肥満の増加や人口の高齢化により、DMの有病率が上昇している。
糖尿病と感染症には密接な関係があった。 以前の研究では、DM患者は下気道感染症(上気道感染症ではない)や尿路感染症を発症しやすいことが示されていた。
別の研究では、糖尿病患者は糖尿病のない患者と比較して、感染症で入院する可能性が高いことが示された。以前の研究では、2型糖尿病の高齢者では感染症がより深刻であることが示された。
97の前向きコホート研究のメタアナリシスでは、糖尿病患者は糖尿病のない患者と比較して、全死因による死亡リスクが高いことが示された。
先行研究では、中国における2型糖尿病の有病率は45~54歳で7.3%(95%CI 5.8~8.7%)、55~64歳で11.0%(95%CI 9.0~13.0%)であった。
別の研究では、年齢標準化された全糖尿病有病率は9.7%(男性10.6%、女性8.8%)で、2019-nCoV患者のDM有病率(9%、95%CI 6~12%)や2型糖尿病の全有病率(9.1%)と同様であった。
糖尿病の有病率は60歳以上の年齢層で20.4%であり、年齢中央値が56.5歳の2019-nCoV重症患者のDM有病率(17%、95%CI 13%~21%)よりもわずかに高かった

しかしながら、この研究にはいくつかの限界がある。
第一に、含まれる研究の多くがアウトカム解析のために参加者を異なるグループに分けていなかったため、我々はサブグループ解析を行っていない。
第二に、今回のメタアナリシスでは、すべての研究がレトロスペクティブであり、明らかな不均一性を有していたため、この問題を解決するために、メタアナリシスではランダム効果を採用しました。
 第三に、本研究は対照群を含まない単群メタアナリシスであるため、因果関係の判定が困難である。
第四に、含まれている研究はすべてレトロスペクティブ研究であり、そのほとんどが年齢群を持たないため、因果関係の判定が困難である。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

SARS-CoV-2:イスラエルの対照比較研究 小児期のBCGワクチン接種予防効果認めず 

イスラエルは1955−1982年 BCGワクチン義務化され、それ以降は移民のみへのワクチンというBCGユニバーサル接種群と未接種群が存在し、比較可能となっているそうだ

1979~1981年生まれ(39~41歳)のCOVID-19に適合する症状を有する者と1983~1985年生まれ(35~37歳)のCOVID-19陽性者の人口10万人当たりの割合と割合を比較


小児期のBCGワクチン接種が成人期のCOVID-19に対する保護効果を持つという考えを支持できないという結果


SARS-CoV-2 Rates in BCG-Vaccinated and Unvaccinated Young Adults
Uri Hamiel, et al.
JAMA. Published online May 13, 2020. doi:10.1001/jama.2020.8189
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182
BCGワクチンは、1955年から1982年の間、イスラエルでは国家的な予防接種プログラムの一環として、すべての新生児に日常的に投与されていました。イスラエルでのワクチンの受け入れ率は全体的に高く、90%以上の接種率を誇っています。1982年からは、結核の罹患率が高い国からの移民にのみワクチンが投与されるようになりました。この変化により、BCGの状態が異なる2つの類似した集団(ユニバーサルBCGワクチンプログラム終了前の3年間と終了後の3年間に生まれた人)における重症COVID-19病の感染率と割合を比較することができました。

イスラエル保健省の現在の方針は、COVID-19に適合する可能性のある症状(咳、呼吸困難、発熱)を持つすべての患者を対象に、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の検査を行うことである。
鼻咽頭スワブは、2020年3月1日から4月5日までの間に、承認された検査室でリアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を用いて検査した。患者 1 人につき 1 回の検査のみを対象とした。結果は出生年によって層別化した。特定の出生年の人口データは、国立中央統計局から入手した。χ2検定を用いて、1979~1981年生まれ(39~41歳)のCOVID-19に適合する症状を有する者と1983~1985年生まれ(35~37歳)のCOVID-19陽性者の人口10万人当たりの割合と割合を比較した。両側有意差の閾値はP < 0.05とした。この研究は、すべてのデータが非同定であったため、シャミール医療センターの機関審査委員会によって除外されたとみなされた。統計解析はRソフトウェア、バージョン3.5.3(R Foundation)を用いて行った。

対象となった72 060件の検査結果のうち、1979年から1981年生まれの3064件(同時期の出生集団の1.02%、男性49.2%、平均年齢40歳)と、1983年から1985年生まれのワクチン未接種者と思われる2869件(同時期の出生集団の0.96%、男性50.8%、平均年齢35歳)の検査結果が含まれていた。
BCGワクチン接種群(361人[11.7%])と未接種群(299人[10.4%]、差は1.3%、95%CI:-0.3%~2.9%、P=0.09)における陽性率、または10万人当たりの陽性率(ワクチン接種群121人、未接種群100人、差は10万人当たり21人、95%CI:-10~50人、P=0.15)に統計学的に有意な差はなかった。
重症化(機械的静脈切開または集中治療室入院)は各群で1例であり,死亡例は報告されていない
この研究の長所は、大規模な集団ベースのコホートと2つの類似した年齢層の比較であり、交絡因子を最小限に抑えていることである。
主な制限は、イスラエル生まれではなく、ワクチン接種状況が不明な集団が含まれていることである。
しかし、これらの年齢群の中でBCGワクチンを接種している国からの移民は少数派(高齢者群の4.9%、若年者群の4.6%)であり、1つのグループに過大に含まれるべきではない。

結論として、本研究は、小児期のBCGワクチン接種が成人期のCOVID-19に対する保護効果を持つという考えを支持するものではない。




素性の分からない新興感染症が現れたとき、雑多な情報があふれる
権威ある医師たちからも・・・

逐一、客観的評価・批評が必要

noteへ実験的移行

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