2019年2月18日月曜日

COPD:急性増悪身体活動低下は身体活動の持続的減少と直結しない ;「筋核ドメイン仮説」の体現?

急性増悪→呼吸困難増加・身体活動低下→骨格筋廃用→活動意欲低下・・・など説明してきたが・・・

加筆するが・・・
2019年02月19日 06時00分 サイエンス
一度衰えた筋肉でも鍛えるとすぐに回復するのは「筋肉記憶」のおかげ
https://gigazine.net/news/20190219-muscle-memory/


マサチューセッツ大学の生物学教授であるLawrence Schwartz氏は「筋繊維がもつ核、すなわちDNAの量と細胞質の量は密接に関係している」という「筋核ドメイン仮説」を唱えています。
Schwartz氏によると、これまで核の数が筋肉の肥大化と関係しているということを示すような研究はあるものの、長い間筋肉を使わないことによって起こる萎縮で核の数が変化しているのかどうかは議論が続いているそうです。つまり、「筋肉の衰え」は筋繊維が縮小しているのか、筋繊維の核の数が減っているのかはこれまでわかっていなかったとのこと。
そこで、Schwartz氏率いる研究チームはマウスとタバコスズメガの筋肉で実験を行いました。その結果、マウスとタバコスズメガの両方において、筋繊維が萎縮しても核が失われることはなかったとのこと。筋肉そのものが萎縮していても細胞質が減少してしまっているだけで核の数は減っていないため、筋肉が衰えてもトレーニングを再開すればすぐに元通りに回復するというわけです。
これを元にいか論文みると面白い

従来は・・・





急性増悪契機の身体活動低下は一時的でそのトレンドに大きく変動を示すものではないらしい



No impact of exacerbation frequency and severity on the physical activity decline in COPD: a long-term observation
Sievi NA, et al.
International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease Volume 14
Published 15 February 2019 Volume 2019:14 Pages 431—437
https://www.dovepress.com/articles.php?article_id=44118
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S188710

序文: COPD急性増悪は日々の身体活動: daily physical activity (PA)の付随的減少と関連。故に、急性増悪回数と重症度がその影響を増悪する。身体活動レベルの減少が急性増悪前に戻るか、あるいは身体活動行動へネガティブな影響持続するかは不明

方法:COPD患者のコホートにて、1週間の1日歩数を1日PA数として年次評価
急性増悪回数と重症度を記載。単変量、多変量mixed effect modelを日内ステップ数の変化(従属変数)と急性増悪の相関性を検討。可能性共役要素で層別化

結果: 181名のCOPD (中央値 [4分位] 年齢 [64[59/69]、男性 65%、FEV1%予測比 46[33/65])、観察記か 2.1 [1.6/3.1]年間中、急性増悪総数 273回

急性増悪回数も重症度も、経時的PAの全体的減少と有意相関無し





異なる寄与要素(年齢、性別、疾患重症度補正)では急性増悪による経時的減少促進のサブグループ分けできず


結論:急性増悪期の身体活動性低下は、身体行動の基本的変化を生じるような持続的減少とはならない
Trial registration: www.ClinicalTrials.gov, NCT01527773 Keywords: COPD, daily physical activity, exacerbation




図からは、"急性増悪回数多いほどステップ数減少急峻”であるのは確か

だが、長軸でみると、急性増悪後、安定期となれば歩数減少大きくなるわけではない・・・ということだが・・・


重症COPD カテゴリーDの老人はそのたびに、意欲や筋肉量、身体活動量低下する気がする


喘息:気道上皮構成細胞成分とヒエラルキー、さらにはEzrinの関連

気道上皮と喘息など肺疾患の関連、まだまだ全体像は見えてきてないようだ
一部おぼろげながら・・・ってところか・・・



single-cell RNA-sequencing (scRNA-seq) と in vivo lineage tracingにより、のう胞性線維症や喘息のマウス期間上皮の細胞成分とヒエラルキー明確化
のう胞性線維症の"Ionocyte"、Foxil+肺ionocyte、"hillocks"と命名された ターンオーバーの早い扁平上皮構造の細胞型、tuftや杯細胞の疾患毎の特有サブセットは連続的、直接にbasal progenitor細胞から補充されるのである。


A revised airway epithelial hierarchy includes CFTR-expressing ionocytes
Daniel T. Montoro,et al.
Naturevolume 560, pages319–324 (2018) 








細胞骨格蛋白Ezrinが気道上皮マーカーとしての役割がある、ERM (ezrin/radixin/moesin) familyの一つで、Ezrin ノックアウト後、気道のpermeability亢進し、IL-13ー誘導喘息の早期イベントと関連している可能性有り



細胞膜細胞骨格蛋白のEzrinは、細胞構造維持機能、細胞間癒着、バリア機能防御作用を示すが、呼気condensate(EBC)内濃度で喘息患者で検証、マウス喘息モデルBALFでELISA測定、IL-13の調整への関与を検証、shRNSAを用いたEzrin knockingdownをヒト気道上皮16HBE細胞で検証

Ezrin濃度は正常対比喘息で、EBC 低下 (92.7 ± 34.99 vs. 150.5 ± 10.22 pg/ml, P < 0.0001) 、血中 低下 (700.7 ± 55.59 vs. 279.2 ± 25.83 pg/ml, P < 0.0001) 正常対比、コントロール不良で低下、部分コントロール下でも低下
EBC、血清Ezrin値は肺機能と相関、血中IL-13やペリオスチンと逆相関
一次気道上皮細胞のezrin発現のIL13-誘導downregulationは"喘息"マウス肺組織・BALFで減少し、BALF IL-13濃度と負の相関

Ezrin, a Membrane Cytoskeleton Cross-Linker Protein, as a Marker of Epithelial Damage in Asthma
Man Jia  , et al.
AJRCCM Vol. 199, No. 4, Feb 15,2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201802-0373OC       PubMed: 30290132

”喘息誤診”報告へのカウンター批評



https://kaigyoi.blogspot.com/2017/01/jama.html

「 no evidence of acute worsening of asthma symptoms, reversible airflow obstruction, or bronchial hyperresponsiveness after having all asthma medications tapered off and after a study pulmonologist established an alternative diagnosis. 」というのが誤診の定義で、喘息治療奏功あって徴候・症状安定していれば誤診という判断のようでどうなんだろ?


レビュー:
 Aaron SD, Boulet LP, Reddel HK, Gershon AS. Underdiagnosis and overdiagnosis of asthma. Am J Respir Crit Care Med 2018;198:1012–1020

医師が診断した喘息患者の研究では、喘息と診断された成人および子供の30〜35%が現在の喘息を持っていないと示唆される

これに対するResponseのto the editor記事


Diagnostic Failures in Asthma
AJRCCM Vol. 199, No. 4 | Feb 15, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201810-1953LE

診断ラベルの認識不足と不適切診断による問題点指摘と誤診(diagnositic failure)に関する注意喚起は評価するも、過小診断と過剰診断の定義を明らかにすべきとし、全てユニバーサルに視点を広げ疾患定義について議論したいと・・・
狭義では、過剰診断は、症状や有害性を生じそうもない診断的ラベル形成状況に適応すべきで、真の過剰診断とは“スクリーニングで主に生じ、lead-time biasの極端な形態"となる。例えば、前立腺がんの無分別スクリーニングはがん検出数を確かに増やすが、多くのがんは臨床的明確な疾患に進行しない。もし大規模住民へスパイロメトリ検査で無症状患者で可逆性閉塞を同定するとしても同様としてよいのだろうか?無症状のままの患者群を“診断”した場合過小診断ではなく過剰診断となってしまう。
(この辺の記述に疑問 高血圧なんてもっと無症状なのに治療してるけど・・・)
症状やQOL低下を患者が過少報告していると考えた場合(症状やQOL低下の認識不足のこと?)でも一部患者が過剰診断による結果に悩む患者がいるということを認識すべき。
臨床医は、不必要な疾患レッテル漬けや過剰治療に関してカウンターバランスをとった集約的症例発見を心がけなければならない
(批評ターゲット論文筆者の)Aaronらはアレルギー性鼻炎などの他の疾患を誤って喘息と診断している状況も記載。この状況は過剰診断ではなく、むしろ診断過誤で、「患者の健康上の問題について正確かつ適時説明確立及びその説明を患者伝達することを怠った」と考えられる。例えば患者へ自信を持たせたり、適切な診断検査アクセスを勧めることのような、喘息周囲の診断目標の診断プロセス付加的部分をターゲットとすることもできる。

Aaronらは、持続的臨床的寛解状態の患者に喘息という言葉を使ってはならぬとしてるが、批評として、これを過剰診断カテゴリーに含まれるという主張には同意できないとしている。予後診断(prognostication)、検証、治療のガイドのため意義形成の一形態として診断レッテルを貼るなら、“喘息”という病名を使うことは患者・臨床医にとって意義あることではないか!
genotypeや環境からの感受性が潜在的に存在する場合、喘息phenotypeが将来出現する蓋然性は高い

結論から言えば、このセマンティック(意味論)が、治療目標より重く扱われるべきではない(Ultimately, the semantics matter less than the goal: to provide outstanding evidence-based care to our patients. )。喘息患者をケアする場合、診断定義が必要で、その定義は患者、医師、科学者、疫学者にとって各々に適したものであるべき。診断は曖昧な部分のある科学でアリ、喘息的あるいは非喘息的と2分割(binary classification)することで思いがけない顛末をもたらす可能性がある。研究者や統計解析専門家にとって適した複雑な診断定義が、常に最前線医療で遭遇する疾患についてよりよい認識を翻訳しているとは限らない(Complex diagnostic definitions that suit researchers and specialists may not always translate to better recognition of disease at the “front line” of medicine. )。診断性向上へのチャレンジの中で、喘息コミュニティが診断クライテリアをより簡便でベッドサイドで適応でき、過剰診断と認識低下の適切なバランスを供給できるものであって欲しい




変化の激しい病態である喘息を一刀両断的に“喘息無し”あるいは“喘息有り”とする乱暴な学術報告が続いているのでカウンターは必要と感じていた。

真の喘息診断定義は存在するか?



The Impact of the Global Initiative
for Asthma (GINA): Compass, Concepts,
Controversies and Challenges
Helen K. Reddel, MBBS, PhD, FRACP
Woolcock Institute of Medical Research, University of Sydney, Sydney, Australia
http://www.brnreviews.com/files/brn_2019_5_1_04-18.pdf

Make the diagnosis of asthma early, if possible before controller treatment is started, based on a typical pattern of variable respiratory symptoms and one or more tests for variable expiratory airflow limitation

 GINAガイドライン
https://ginasthma.org/wp-content/uploads/2018/03/wms-GINA-main-pocket-guide_2018-v1.0.pdf



"無症状"・"no symptom"ならどんなに気道閉塞所見があっても喘息の診断できないとも解釈されるGINAの記載

FEV1/FVC < 85%やIOSデータの異常あるも、表面的には無徴候、よく聞いてみると、年齢不相応と思われる息切れやエリートアスリートでパフォーマンス出せてないなぁという症例・・・これって喘息でない?



米国FDA OTC吸入気管支拡張剤承認(ただしエピネフリン)

シムビコート後発の話が聞かれる昨今
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/67021/Default.aspx
シムビコート後発品は日本ジェネリック、東亜薬品、ニプロの3社が承認を取得した。

日本ジェネリック:ブデホル吸入粉末剤「JG」
http://www.nihon-generic.co.jp/medical/data2/RELEASE_20190215.pdf

ニプロ:ブデホル吸入粉末剤「ニプロ」
https://www.nipro.co.jp/news/document/190215.pdf


これをみると
https://www.tokkyoteki.com/2016/12/20161130-v-2810121-2810122-2810123.html

おそらくこれ?


https://www.tevauk.com/hcp/DuoResp_Spiromax
DPIのようで・・・





米国FDAは吸入エピネフリン(ブランド:Primatene商標 mist HFA)をOTCとして許可

  • 迅速だが効果持続性無し
  • 頻拍など生じやすい
  • 12歳以上で適応
  • 間歇的発作のみの軽症喘息のみ適応

コントローラー治療必要な持続性喘息や繰り返し発作のある場合は適応外

Treating Asthma Symptoms with Quick Relief Bronchodilators: Prescription or Over-The-Counter Inhalers
Marianna Sockrider , et al.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
https://doi.org/10.1164/rccm.1994P7       PubMed: 30767684
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.1994P7?af=R


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note