2013年8月9日金曜日

線維性特発性間質性肺炎:日々運動活動量は拡散能、運動能力と独立した評価要素

COPDでは運動機能そのものもだが、日々の運動量が重視されつつあり、近年のガイドラインでもそれが反映しつつある。

間質性肺炎の方はどうか?

日々運動量:DLPAは、肺拡散能や運動能力からの影響すくなく、他から影響をうけているものと思われる。死亡率への独立した影響は判明しなかった。

Physical Activity in Daily Life in Fibrotic Idiopathic Interstitial Pneumonia
Benoit Wallaert ,et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0806 

6分間歩行試験(6MWT)は、線維性特発性間質性肺炎(f-IIP)の患者の運動能力評価のため用いられている。しかし、これらの疾患が実際に、日々運動活動量(DLPA: physical acitivty in daily life)減少しているかどうか不明、肺機能検査・6MWTがDLPAと関連するかも不明. 
50名のf-IIP患者、25名の性別・年齢マッチ化健康対照を登録し、DLPAマーカーを4連続日・運動活動性にて評価。Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS) scoreも評価。
対照患者と比べ、f-IIPでは、DLPAパラメータは、有意に減少(all p < 0.001)
日々ステップ平均数は、DLco、FVC、6MWT距離、6MWT 最小 SpO2と強く相関
DLPAは、HADSスコアと相関せず

多変量解析にて、DLcoと6MWT距離では、日々のステップ数のばらつきの31%分しか説明できない状況。

DLco、6MWT距離、6MWT最小SpO2は、死亡率の有意な予測因子だが、 DLcoと6MWT距離のみ、独立した予測因子である。

DLPAの定量は、f-IIPの機能評価のための、新しい患者中心的アプローチであり、臨床的ケア、治療レスポンス評価のために役立つツール。

システマティック・レビュー:H.ピロリ除菌:連続治療が基軸だが、未だ不十分な治療効果の現状

連続治療と訳されることが多いようだ。

Sequential therapyとは、同時ではなく、連続性に抗菌薬を投与する新しいレジメン
当初5日間 PPI+アモキシシリン1gを1日2回投与 → 5日間 3剤(PPI、クラリスロマイシン(CAM) 500mg、ニトロイミダゾールをそれぞれ1日2回)投与する方法

以下のシステマティックレビュー・メタアナリシスによると、最善と思われる治療プロトコールは既存・新規治ともに認められず、地域的な菌抵抗性状況が治療方針の手助けになるとしかいえないようで、新規薬物が期待されるという結論。


Global eradication rates for Helicobacter pylori infection: systematic review and meta-analysis of sequential therapy
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4587 (Published 7 August 2013)

46のRCTレビュー、5666名の連続治療への割り付け、7866名の確立・新規治療への割り付け

Sequential therapyの包括除菌率 84.3% (95% 信頼区間 82.1% to 86.4%)

Sequential therapy は、7日間3剤治療より優れている (相対リスク 1.21, 95% 信頼区間 1.17 to 1.25; I2=29.3%; number needed to treat 6 , 95% 信頼区間 5% to 7%)



さらに、10日間3剤治療に対しては境界的有意性  (1.11, 1.04 to 1.19; I2= 67.2%; NNT 10, 7 to 15) 
しかし、14日間3剤治療に対しては優越なし(1.00, 0.94 to 1.06; I2=54.3%)
ビスマスベース治療  (1.01, 0.95 to 1.06; I2=21.1%)、非ビスマスベース治療(0.99, 0.94 to 1.05; I2=52.3%)でも同様。 
治療前抗菌剤感受性による除菌データは8つの研究にて利用可能で、sequential therapyはCAM耐性菌で72.8%除菌可能(61.6% to 82.8%)


MERS-Cov伝播の主役はラクダ?

”一流”医学雑誌の東スポ Lancetだからなぁと考えながらも・・・

中東呼吸器症候群:MERS-CoVはコウモリと関連性が取りざたされてきたが、「砂漠の船」される楽だがMERSコロナウィルス伝播主役ではないかという報告。


"Middle East respiratory syndrome coronavirus neutralising serum antibodies in dromedary camels: A comparative serological study"
Reusken CBEM, et al
Lancet Infect Dis 2013; DOI: 10.1016/S1473-3099(13)70164-6.

中東(オマーン)や他のスペイン・オランダ・チリといったところのからのラクダ科動物からの血清検査

MERS-CoV spikeに対する特異抗体割合
・ オマーン・ラクダ 50/50
・ スペイン・ラクダ 15/105

ヨーロッパの羊、やぎ、ラクダや他のラクダ科からの血清では抗体認めず

MERS-CoV中和抗体価は、オマーンラクダ血清では1/320〜1/2560、スペイン・ラクダでは1/20〜1/320

MERS-Covとその関連ウィルスがラクダに感染し、種々地域のラクダ血清からの抗体・seroprevalenceで、その広がりが示唆される。



MERS-CoV 医療機関内感染深刻 2013/08/01

hCo-EMC → 中東呼吸器症候群(MERS) と 名称確定 2013/05/29

咳嗽評価ツール:システマティック・レビュー

 咳回数を計測しようってのは昔から試みられているが、なかなか普及しない。
急性咳嗽や慢性咳嗽診断・治療はもちろん、副作用としての咳嗽が問題になったACE阻害剤は客観的指標なく、主観的指標も明確でないまま、治療中断されていることなどをみるにつけ、咳嗽指標の確立は重要と思っていた。

手動咳嗽カウンティング、他のオーディオ記録デバイス、ビデオ記録デバイス、QOLアンケート、客観的スコア、検査室内咳嗽誘発など検討

成人では、日本版もあるし、LCQが標準的と考えざる得ない


Evaluating Cough Assessment Tools: A Systematic Review
Kristine M. Schmit,  et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0310

システマティック・レビューとして、咳嗽回数、成人・若年・小児での、急性・慢性咳嗽での評価 
78研究、8つのRCT、70の観察研究 
全ての年齢群で、オーディオ・ビデオ電子記録デバイスが一番信頼性が高い
しかし、VASスコア、QOLアンケート、咳日記、誘発試験などの他の咳嗽計測との相関性は低い。 
成人・若年者では、 Leicester Cough Questionnaire (LCQ)、Cough-specific Quality of Life Questionnaire (CQLQ) が信頼性あり、再現性あり、クラス内、検査・再検査でも一致率高い。 
小児では、Parent Cough-specific Quality of Life Questionnaire (PC- QOL) とPediatric Cough Questionnaire (PCQ)が再現性が高い。




咳特異的QOL評価法比較:表VIII-5 p100
咳嗽ガイドライン 第2版

CQLQ :28 の質問項目と,6 つのドメイン(身体的訴え,強い身体的訴え,精神・社会的問題,感情の安定,自身 の安全に対する不安,機能障害)から構成される.質問を各ドメインに割り付けた際に各項目の臨床的意義 が考慮されていないという問題点が指摘されてい る 

LCQ  :19 項目,3 ドメイン(身体面,精神面,社会面)か ら構成されている.簡便で使いやすく,再現性,妥当性,反応性が検証されている.慢性咳嗽患者において 咳モニターによる咳嗽数,咳 VAS,包括的 QOL 質問 票(SF36),呼吸器疾患特異的質問票(SGRQ)などとの良好な相関関係が報告されている翻訳も進んで おり,オランダ語版,トルコ語版に続いて日本語版も出版された.

PCQ :記載無し



PC-QOL

Validation of a parent-proxy quality of life questionnaire for paediatric chronic cough (PC-QOL)
Thorax 2010;65:819-823 doi:10.1136/thx.2009.133868

内科ICUにおける呼吸器インターベンションにのPEG胃瘻挿入の安全性・実効性

Safety and Feasibility of Interventional Pulmonologists Performing Bedside Percutaneous Endoscopic Gastrostomy Tube Placement
Lonny Yarmus,  et. al.
Chest. 2013;144(2):436-440. doi:10.1378/chest.12-2550


 1980年代より前は、 栄養チューブ挿入は開腹限定だったが、PEGの安全性がGaudererらにより記載され変わった。この技術は、外科の範疇を超え、胃腸専門医、胸部外科、インターベンション医と広がっている。インターベンション呼吸器科医胃(IPs)による重症患者へのPEGの安全性・実行可能性についての報告。

3字医療機関2003-2007年のPEGチューブ挿入内科系ICUで施行された例の前向きデータ

72名を検討。PEGチューブ挿入成功は97.2%、70例。フォローアップデータは70のうち59
30日死亡率は11.7%
死亡・即時合併症は認めず
PEGチューブ除去は27名、除去までの中央期間 76日

インターベンション呼吸器科医によるベッドサイドチューブ挿入は安全で・有効


静注麻酔・筋弛緩剤投与・麻酔科医施行。
気管切開・PEG施行でなければ気管切開後PEG施行。全てモニター下施行。
抗生剤予防投薬全例。
Gaudererらの記載テクニック pull-through法を用い、2種の商用PEGキット (Ponsky Pull PEG Kit; Bard Access Systems, Inc and the Kendall Entristar Safety P.E.G. Kit; Covidien) を施行毎に決め、医師要求に従う・・・

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