2012年9月20日木曜日

NICE-SUGAR研究:重症患者血糖強化コントロールは低血糖エピソード量依存的に死亡リスクと関連

 重症患者での血糖強化コントロールは中等度・重度低血糖を生じ死亡リスクを増加させる。
この関連性は量依存的で有り、 血液分布異常性ショックによる死亡との関連が深い。
ただ、因果関係に関して判明しているわけではない。

Hypoglycemia and Risk of Death in Critically Ill Patients
The NICE-SUGAR Study Investigators
<a href="http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1204942?query=featured_home">N Engl J Med 2012; 367:1108-1118September 20, 2012</a>


強化群:目標血糖を 81-108 mg/dL
通常群:目標血糖を 180mg/dL

プライマリアウトカムは90日内死亡率

6026名でフォローアップデータ利用可能
中等度低血糖 2714(45.0 %)で、うち2237名が強化コントロール群(i.e. 強化群 3013名中82.4%、重度低血糖は223名(3.7%)で、93.3%の208名が強化群(i.e. 強化群の6.9%)
低血糖のない3089名の内、726(23.5%)が死亡
中等度低血糖2714名の内、774名(28.5%)死亡
重度低血糖223名の内、79(34.4%)死亡

低血糖無し群との比較、中等度・重度低血糖患者の死亡補正ハザード比は、 1.41 (95% 信頼区間 [CI], 1.21 ~ 1.62; P<0.001) 、 2.10 (95% CI, 1.59 ~ 2.77; P<0.001)

死亡との相関は、2日間以上の中等度低血糖患者で増加 (>1 day vs. 1 day, P=0.01)
血液分布異常性ショック( distributive shock )、血管拡張性ショック、インスリン治療無しの重度低血糖で増加(ハザード比, 3.84; 95% CI, 2.37 ~ 6.23; P<0.001)で増加


集中治療管理テーマの一つ、血糖コントロール
重症患者では、低血糖という事態が、生命予後に関わるほど、生体に悪影響を与えていることは確かなようだ。

ただ、低血糖という事象がホメオスターシス維持不能状態の現れの一つという可能性はないのだろうか?終末期に向かうほどホメオスターシス維持困難で、血糖だけというより、ナトリウム、カリウムなどの電解質異常、 自由水の異常、アルブミン血管内保持異常など生じる異常は多い。

低血糖を生じているから、血液分布異常性ショックが生じると結論づけるにはまだ早いという考察も本文中になされている。

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