2013年7月19日金曜日

WHI新規解析:子宮摘出後50-59才:エストロゲン治療行わないことで死亡率増加 ・・・ 全米で年間数千名というインパクトと・・・

子宮摘出女性(50-59歳)では、エストロゲン治療で死亡率回避効果があり、これがなされないため、米国内で数千名もの死亡犠牲者がでているという報告。

landmark studyになったというWHIの新規解析(http://www.medpagetoday.com/OBGYN/HRT/40567)

超過死亡で表現し、ドラマティックで興味を引く内容となっている。1990年代は、子宮摘出後50代女性の90%はエストロゲン服用し、平均4・5年間継続していた。多くの研究でエストロゲンにより子宮摘出後の骨・心疾患リスク減少が示された。2002年のエストロゲン使用による超過イベントによるWHI研究途中中断より急激に閉経後女性へのエストロゲン使用激減した。2004年の子宮摘出後女性・エストロゲン単独投与群のWHIサブグループ解析で死亡リスク減少が示されたと主張。フォローアップ2011年までに子宮摘出後女性での年間死亡リスク1万対13の減少効果とのこと。


The Mortality Toll of Estrogen Avoidance: An Analysis of Excess Deaths Among Hysterectomized Women Aged 50 to 59 Years.
Philip M. Sarrel, ,et.al.
American Journal of Public Health. e-View Ahead of Print.
doi: 10.2105/AJPH.2013.301295

米国内での一般住民と、WHIのRCT被験者で、子宮摘出女性に関する超過死亡を比較したもの

2002年開始10年スパンで、エストロゲン治療回避されたため、最小 18601名、最大 91610名の早期死亡と推定

結論:若年閉経女性エストロゲン治療は、全原因死亡率決定的な減少と関連するが、この住民でのエストロゲン使用は低率で、さらに減少傾向である。
このデータでは、50-59歳女性での数千名ほどの年間死亡犠牲という示唆。
子宮摘出後女性と医療機関側でインフォームドディスカッションが危急の問題  (Am J Public Health. Published online ahead of print July 18, 2013: e1-e6. doi:10.2105/AJPH.2013.301295)


エストロゲン単独という揺れ戻しが次第に目立ってきている。
上記報告を全面的に信用するとしても、”50代女性で子宮摘出後に限定”されたベネフィットとして判断すべきだろう。

メンデルランダム化解析:血中尿酸値・高尿酸血症は、虚血性心疾患・高血圧と原因的関連性認めず、BMIが共役的役割を果たし観察研究結果に影響

高尿酸血症や尿酸値高値 が、心血管疾患の独立した寄与因子という表現をみるたび、なんだかなぁ・・・と思っている。単純に物事を断言する馬鹿の多いこと・・・


メンデルランダム化解析 mendelian randomisation analysisとは、対立形質が無作為に遺伝する仮定に基づく分子疫学的解析法で、当ブログでも何度も出現
この分析がありがたいのは、原因相関が明らかになることである。

解説
‘Mendelian randomization’: can genetic epidemiology contribute to understanding environmental determinants of disease
International Journal of Epidemiology 2003;32:1-22




特異的な遺伝子である、SLC2A9 (rs7442295)を尿酸評価インスツルメントとして、FTO (rs9939609), MC4R (rs17782313)、 TMEM18 (rs6548238)をBMIのインストルメントとして施行。

血中尿酸値と高尿酸血症ともに、虚血性心疾患、血圧との関連、BMIの内在的寄与関与検討。




Association of plasma uric acid with ischaemic heart disease and blood pressure: mendelian randomisation analysis of two large cohorts
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4262 (Published 18 July 2013)


【セッティング】 デンマークの2つの大規模前向きコホート

【被験者】尿酸値と、関連する共役変数を、58 072 名(Copenhagen General Population Study)と 10 602名(Copenhagen City Heart Study)
それぞれ、虚血性心疾患の4890、2282例含む

【主要アウトカム】血圧と虚血性心疾患評価

【結果】推計にて、既知事項である、血中尿酸値、高尿酸血症と、虚血性心疾患・拡張期血圧及び収縮期高血圧のリスクとの相関を確認。
しかし、尿酸・高尿酸血症genotype instrument使用時、尿酸と、虚血性心疾患、高血圧とのcausal associationを認めなかった。
BMIを観察的関連性内在寄与要素としての検討を遺伝的インスツルメンツ使用したところ、尿酸値とのcausal effect観察された。
BMI4単位増加毎、尿酸値 0.03 mmol/L(95% 信頼区間 0.02-0.04)増加し、高尿酸血症リスク7.5%(3.9%-11.1%)増加する

【結論】観察研究知見と反して、尿酸と虚血性心疾患あるいは高血圧との関連性に原因的関連性認めず。しかし、BMIと尿酸値、高尿酸血症リスクに関して原因相関性を認める。
この知見により、BMIと高尿酸血症が観察的相関において共役要素として働いていたことが強く示唆される。BMI増加・肥満が尿酸関連状態発症において役割を果たすことが示された。


米国・労働省職業安全衛生局にみる熱中症予防キャンペーン 「熱順応」重視、教育・相互監視重視 ・・・ 日本では軽視されてるのでは?

厚生労働省・熱中症

~皆さまに取り組んでいただきたいこと~
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000335ag.html

おそらくこれが源だろう、「水分補給」と「暑さを避けること」ばかり述べている。そして、マスメディア発の情報では、バランスを超えた水分摂取や塩分摂取主張が気になる。


だれが大元作ったのか知らないが、日本で一番指導的役割を果たさなければならない行政機関なのに、知識アップデートなしのいい加減な啓発キャンペーンだと思う。「相互監視」に関しては書かれているが・・・

OSHAが戸外労働者への熱中症予防キャンペーンを行った。そして、アスリート向けのガイドラインも参考にすると、「熱順応」「体重などをモニターとする適切な水分摂取」がめについた。戸外労働者に関しては、ポイントを踏まえた「教育」「相互監視」で、戸外労働者など熱関連労働に関しては、雇用者責任を具体的に指導すべきだろう。


米国・労働省職業安全衛生局:OSHA

戸外労働者熱中症予防キャンペーン


How can heat illness be prevented?


雇用者は、職場で、猛暑から安全性を守るよう配慮する。
雇用者は労働者に対して、水、安静、日陰を供給しなければならない。
労働負荷は徐々に増加し、新規労働者や熱い環境での労働耐性(順応)を1週間以上有さない労働者では、より頻回に休憩を与えるべき。
熱中症症状・予防について教育すべき。
雇用者は、また、職場トレーニングに熱中症予防のステップを加え、プランと緊急時何をすべきかのステップを加えるべき。

迅速な行動で生命を守ることができる。


OSHAから労働者への助言のキーピースは以下のごとく
のどが渇いて無くても15分ごとに飲水を
クールダウンのため、日陰で休む
防止をかぶり、薄い色の着衣を
熱中症の徴候を学び、緊急時何をすべきかを学べ
労働者仲間を常に監視


National Athletic Trainer's Association 熱中症


プレシーズン熱順応

コンセンサスステートメント
・外的要因
・一般的リスク軽減
・水分摂取
喪失した水分量を補充しなけりゃ、脱水になる。軽度脱水(体重減少:BWL 2%未満)は不可避で、アスリートは常に水分補給し続けることできないためである。体重減少 BWL 2%から、パフォーマンス・体温調節機能が始まる。適切な水分摂取は水分と電解質の補充だが、個別ニーズによる。水分摂取は水分喪失とほぼ同等にすべき。アスリートは、水分要求量を個別的に確立・モニターし、適切な水分状態にするよう行動を修正する。長時間必要量を超える水分摂取は危険である→運動誘発性低ナトリウム血症 
・認識・発見
口腔感想、口渇、いらいら、不快感・頭痛・無力感・めまい・筋痙攣・悪寒・嘔吐・吐き気・頭頸部熱感・過剰疲労・パフォーマンス低下
・治療
・プレー続行判断
・労作性熱射病:exertional heat stroke
・熱疲労:heat exhaution
・熱痙攣:heat cramp
・運動性低ナトリウム血症:exertional hyponatremia


発汗速度とナトリウム喪失

Sweat rate and sodium loss during work in the heat
Journal of Occupational Medicine and Toxicology 2008, 3:4 
高温下労働でのナトリウム喪失研究で、夏(順応環境下)と冬(非順応環境下)の比較
発汗速度は夏場の方が高く、ナトリウム濃度は低い
夏場は2日目はナトリウム濃度低下するが、冬場は低下しない。
2日目のナトリウム濃度低下は順応性を示す。

逆に言えば、順応性できてるひとも、順応性のない人も同様に塩をとれば、それぞれ弊害を生じる可能性がある。


noteへ実験的移行

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