2013年8月7日水曜日

喘息臨床ガイドラインの質評価は惨憺たる結果 ・・・ 推奨容認できるガイドライン存在せず

勘違いした司法関係者が「臨床ガイドライン」に基づき、司法判断に使われる例さえあると聞く。臨床実践ガイドラインはさほど公明正大・臨床応用現実的であるのか?


臨床実践ガイドラインに著しく外れる診療は大問題だが、これを金科玉条とするには全般的に信頼性が乏しい


すくなくとも喘息に関わる診療ガイドラインは・・・そのまま臨床的に推奨できる状況にはないという・・・


臨床実践ガイドラインの質評価指標

Appraisal of Guidelines Research & Evaluation (AGREE) II instrument
http://www.agreetrust.org/

日本語;www.mnc.toho-u.ac.jp/mmc/guideline/AGREE-final.pdf‎
・対照と目的
・利害関係者の参加
・作成の厳密さ
・明確さと提示の仕方
・適応可能性
・編集の独立性


Quality Assessment of Asthma Clinical Practice Guidelines: A Systematic Appraisal
Agustín Acuña-Izcaray,
Chest. 2013;144(2):390-397. doi:10.1378/chest.12-2005

2000-2010年の18の臨床実践ガイドライン(CPG)を検討

レビューア同士の包括一致率は中等度

AGREE部門ごとの平均スコアは
・対照と目的 44.1% (range: 10.0%-79.0%)
・利害関係者の参加 33.8% (range: 4.0%-66.0%)
・作成の厳密さ 32.4% (range: 8.0%-64.0%)
・明確さと提示の仕方 32.4% (range: 8.0%-64.0%)
・適応可能性 21.1% (range: 3%-55%)
・編集の独立性 25% (range: 0%-58%)

推奨評価できる指標である60%を超えるCPG存在せず

半数である9つが修正を要し、推奨できないCPGが9つ




日本の診療指針「落第」が半分  今後はガイドラインの質が問われる時代に
2013年7月2日 m3.com編集部 
一部引用
「中山氏は「日本ではガイドラインを過大評価する傾向がある。ガイドラインはあくまでも人間集団から疫学的手法で得られた質の高い一般論に過ぎない」と説明。」

半分が及第って言っても、諸外国のガイドライン丸写しが大半だし・・・

スタチン超強化しても、2年間は重大心血管イベントはベースラインの動脈硬化サイズに影響される

LDL<70 br="">
Coronary atheroma volume and cardiovascular events during maximally intensive statin therapy
Rishi Puri , et. al.
Eur Heart J (2013)  doi: 10.1093/eurheartj/eht260 



でも、PAVが退縮すればいいわけだから・・・




Effect of statin therapy on the progression of coronary atherosclerosis


スタチン十分量でしか、PAV退縮は得られないことも配慮しなきゃならない。



プラーク安定化の話はこの検討populationじゃ出てこない?



スタチンのMRI測定頸動脈動脈硬化病変退縮効果確認され、ナイアシン加えても

MRI-measured regression of carotid atherosclerosis induced by statins with and without niacin in a randomised controlled trial: the NIA plaque study
Christopher T Sibley ,et. al.
Heart  doi:10.1136/heartjnl-2013-303926
大学病院外来・ランダム化対照二重盲験単一施設臨床トライアル
65歳超、半数が75歳超の高齢者 145名、動脈硬化確認 
LDLコレステロール目標±ナイアシン 
MRI測定内頸動脈壁容積測定値減少がエンドポイント 
18ヶ月後、スタチン+ナイアシンの方が、スタチン単独よりHDL高値  (1.6±0.4 vs 1.4±0.4 mmol/L p<0 .001="" blockquote="" nbsp="">
両群ともICA壁容積は、月毎0.5%(SEM 0.2, p=0.004)退縮
一方、スタチン+ナイアシンでは0.7%(SEM 0.2, p<0 .001="" blockquote="" nbsp="">
退縮速度に関して群差認めず(p=0.49)

新型トリインフルエンザH7N9 父→娘への感染

ニュースに上らなくなった中国の新型トリインフルエンザ(H7N9)

Probable person to person transmission of novel avian influenza A (H7N9) virus in Eastern China, 2013: epidemiological investigation
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4752 (Published 6 August 2013)


家禽類から暴露後5-6日で発症した指標患者男性の次の患者は32歳の彼の娘。娘は父との接触後6日で症状出現。
2つのウィルス株分離、ゲノムシークエンスとphylogenetic treeで、遺伝子的にほぼ同定。

2名の患者と近接密着接触者は、43名。1人が軽症だが、avian H7N9はRT-PCRで陰性。HI抗体では全例特定抗体陰性。




                                   





トリ生産盛んな県なのに、中国へ県職員を県税を使って職員研修という名のお遊びに集団で連れていっているアホな県があるそうな・・・

ADAPT-DES:ステント植え込み後プラビックスは生存率改善に寄与せず、血小板反応性の結果に生存率左右されず・・・

薬剤溶出性ステント後の抗血小板治療に大きく影響を与える報告


心血管疾患患者での血小板抑制効果より強力にするベネフィットがあるとしたら、ステント植え込み後の出血性、虚血性合併症のcounter-balancing effectが強調される結果で、より安全な薬剤、テーラー化手法で、より有効性のある薬剤の使用を行うことがのぞまれるという結論。


ステント植え込み後のプラビックス(クロピドグレル)は特定のアウトカムへの効果はあるが、生存率にはインパクト与えてない。

さらに、血小板分析の結果にかかわらず、死亡率に大差なし。

Platelet reactivity and clinical outcomes after coronary artery implantation of drug-eluting stents (ADAPT-DES): a prospective multicentre registry study
The Lancet, Early Online Publication, 26 July 2013
doi:10.1016/S0140-6736(13)61170-8

【背景】冠動脈内drug-eluting stent植え込み後、血小板反応性とステント血栓、重大出血、他の副事象イベントとの関連性は十分に特徴付けされてない。
なっていない。
冠動脈内drug-elutingステント植え込み後患者での、アスピリン+クロピドグレルのdual therapy中の血小板反応性と、臨床的アウトカムの関連を検討。


【方法】ADAPT-DESは10-15の米国・欧州の病院での、1つ以上のdrug-elutingステント植え込み後、アスピリンとクロピドグレル投与患者・前向き多施設登録
PCI施行後血小板反応性評価をVerifyNow point-of-care assayで評価し、血小板反応性高値 定義に基づき異なるカットオフ値を割り付け
プライマリエンドポイントは、ステント血栓確定と臨床診断;他のエンドポイントは全原因死亡率、心筋梗塞、臨床的意義出血
propensity-補正多変量解析を、血小板反応とその後の副事象イベントの相関を決定して行った。

ClinicalTrials.gov, number NCT00638794.

【結果】
2008年1月から2010年9月まで、11ヶ所8583名登録


フォローアップ1年後、ステント血栓70(0.8%)、心筋梗塞 269(3.1%)、臨床的意義出血 531(6.2%)、死亡 161(1.9%)


クロピドグレルでの血小板反応高値は強く以下と相関
・ステント血栓 (補正 HR 2·49 [95% CI 1·43—4·31], p=0·001)
・心筋梗塞  (補正 HR 1·42 [1·09—1·86], p=0·01)


出血は負の相関  (補正 HR 0·73 [0·61—0·89], p=0·002)


しかし、死亡率とは相関せず  (補正 HR 1·20 [0·85—1·70], p=0·30)


アスピリンによる血小板反応性高値 は、ステント血栓 (補正 HR 1·46 [0·58—3·64], p=0·42)、心筋梗塞、死亡と相関せず
しかし、出血とは逆相関  (補正 HR 0·65 [0·43—0·99], p=0·04).


PTSDに伴うアルコール依存:ナルトレキソンは飲酒日数比率減少効果あり、PE療法はアルコール使用急性増悪

PE療法:Prolonged Exposure Therapy :参考 → https://www.jspn.or.jp/journal/journal/pdf/2011/02/journal113_02_p0214.pdf

オピオイド拮抗薬ナルトレキソンは日本未発売で、1995年FDAではアルコール依存治療薬として承認されている。低用量にてがん治療、エイズ、MS、パーキンソン関連で効果が話題になっている。

PTSDを伴うアルコール依存に関して、ナルトレキソンは飲酒日数比率減少に効果あるが、PE療法は効果みとめなかった。介入後の飲酒復活を意味する飲酒日数比率では若干PE療法に効果があるかもしれないが、効果比で考えれば意味がないのかもしれない。


Concurrent Naltrexone and Prolonged Exposure Therapy for Patients With Comorbid Alcohol Dependence and PTSD
A Randomized Clinical Trial
Edna B. Foa, et. al.
JAMA. 2013;310(5):488-495. doi:10.1001/jama.2013.8268.


PTSDに伴うアルコール依存は治療抵抗性である。
介入として、
(1) prolonged exposure therapy plus naltrexone (100 mg/d)
(2) prolonged exposure therapy plus pill placebo
(3) supportive counseling plus naltrexone (100 mg/d)(4) supportive counseling plus pill placebo
2x2介入 
prolonged exposure therapyは12週間×2週間毎 6回

単盲検ランダム化臨床トライアル 165名被験者
主要アウトカムは、Timeline Follow-Back Interview と PTSD Symptom 
Severity Interview を用いて、アルコール摂取日数比率とPTSD重症度をそれぞれ評価し、Penn Alcohol Craving Scale を用いてアルコールcravingを評価。
治療前、治験終了後(第24週)、6ヶ月後
4治療群被験者ともに、飲酒日数比率減少変化平均 
・PE療法+naltrexone ;  −63.9% [95% CI, −73.6% to −54.2%] 
・PE療法+プラシーボ ; −63.9% [95% CI, −73.9% 〜 −53.8%] 
・支持カウンセリング+ naltrexone : −69.9% [95% CI, −78.7% 〜 −61.2%] 
・支持カウンセリング+プラシーボ ; −61.0% [95% CI, −68.9% 〜 −53.0%] 
しかし、naltrexone被験者では、プラシーボ被験者に比べ飲酒日数比率低下
(平均差, 7.93%; p = .008)

4治療群ともPTSD症状も改善、しかし、PE療法の主効果は統計学的に有意でない

治療終了後6ヶ月で、4群すべての被験者で、飲酒日数比率増加。
しかし、 PE療法 plus naltrexone群ではその増加が最も少ない。

日本のアルコール依存診療では、ナルトレキソン使用できない

久里浜の国立施設、ネット依存を病名に仕立て上げる前に、目の前のアルコール依存診療をしっかりしたらどうだろうか?

noteへ実験的移行

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